フレデリック・ワイズマン監督作品。
【ストーリー】
リチャード・ロードは元プロボクサー。
彼が引退後にひらいた"ローズジム"で、トレーナーたちとともに毎日練習生をトレーニングする。
テキサス州オースティン。
郊外にあるジムの、のどかな風景。
リズミカルなサンドバッグ打ちの音がひびくジム内には、デラホーヤ対ルエラやハグラー対デュラン、バーンズ対レナードといった「黄金の80年代」からメイウェザー対ヘスス・チャベスのわりとどうでもいいチラシや、『レイジング・ブル』『ロッキー』なんかの映画ポスター、練習生や家族のスナップ、新聞記事の切り抜きやメーカーの広告なんかが雑多に貼ってある、年季のはいった壁。
時間をきざむエバーラストのタイマー。
使ってる器具もボロボロですが、練習はみんな熱心。
ドレッドヘアの親子、赤子づれの母、アマやプロの選手をトレーナーたちがじっくり指導しています。
ちっちゃい子たちも多くて、スリッパでシャドーをしている女の子なんか、未熟なのに見入ってしまいます。
必要なら、試合に向けたトレーニングもしますけど、試合のシーンがあるわけじゃない。
撮影はほぼほぼジムの中で完結しています。
性別も人種も仕事も体格も年齢もバラバラな彼らが、せまいジムで一つの空気を作っている一体感。
興味がない人には完全に退屈な撮影フィルムの無造作な連続なんですけど、その中に彼らの生活や人生がかいま見える一瞬を、ついつい探してしまいます。
監督のフレデリック・ワイズマン、ドキュメンタリーの巨匠とのことなんですが、これが初視聴。
ナレーションもないし、注意して見ないと本当にただのたれ流しに思えちゃうスタイルなんですけど、ボクシングの本場の空気を味わえて、なんか幸せでした。
現場からは以上です。