最後の手紙

最後の手紙

解説・あらすじ

1967年のデビュー以降、現代アメリカ社会を独自の視点で見つめ続けてきたドキュメンタリー作家フレデリック・ワイズマン監督が、ワシーリー・グロスマンの小説「人生と運命」の1章を映画化した劇映画。コメディ・フランセーズの女優カトリーヌ・サミーのためにワイズマン監督が自ら脚色した。1941年、ウクライナ。ナチによるユダヤ人迫害の恐怖が渦巻く中、年老いた女医アンナがナチの手を逃れた息子に宛てた手紙を口述筆記し、その姿が1人の人間の弱さや強さ、尊厳を浮かび上がらせていく。2011年、ワイズマン監督作を一挙上映する「フレデリック・ワイズマンのすべて」にて日本初公開。

2001年製作/62分/フランス・アメリカ合作
原題または英題:La derniere lettre

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映画レビュー

ドキュメンタリーと劇映画

2025年2月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 現在観る事が出来るワイズマンの作品群の中では唯一の劇映画です。ナチスによりゲットーに収容されたユダヤ人女性医師が死を覚悟した思いを息子へ宛てた手紙の形で語る一人芝居。非常に演劇的な構造ですが、シルエットを上手く生かした紛れもない映画作でした。狙いを直接言葉や映像で語らず、観る者に判断を委ねる彼のドキュメンタリーとは異なりかなり直球のメッセージでした。

 ワイズマンの『コメディ・フランセーズ』(1996) では劇団の運営側メンバーとして登場していたカトリーヌ・サミーが、女優としても途轍もない力を持っている事を知らしめる一作でした。彼女の語りだけで一時間、緊張が緩む事は片時もありませんでした。

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