少年裁判所
1973年製作/144分/アメリカ
原題または英題:Juvenile Court
スタッフ・キャスト
- 監督
- フレデリック・ワイズマン
1973年製作/144分/アメリカ
原題または英題:Juvenile Court
フレデリック・ワイズマン特集 - その6 (1973)
テネシー州・メンフィスの少年裁判所 (Juvenile court) で働く人々、罪を犯した子供やその家族を記録したドキュメンタリーです。
日本で言えば家庭裁判所に相当するのだろうと思うのですが、いやぁ、直ぐに答えなど出しようのない問題が山積した場所でした。アメリカも少年犯罪に対しては処罰よりも更生を重んじた法の造りのようです。そこへ、万引き・強盗から売春・薬物・性的暴行まで様々な事案を抱えた子供が送られて来ます。そこで、その子の家庭・学校生活・普段の素行などを調べその子供にとって最適の解を探して行きます。
50年前に既にこれだけのシステムが出来ていた事にまず驚きました。単に裁判で判決を下すだけでなく、それぞれの子の心理テストや医師からのアドバイスも参考にケースワーカーが解決策を家族に提示します。ただ、恐らく事案の数が余りに多過ぎるせいでしょう、それが決めつけや押し付けになってしまっているのではと思える点もありました。
そして、本作は法廷ドラマとしても優れています。後半、子供自身は無罪を主張する裁判が取り上げられます。裁判は何度か中断して裁判長室で、弁護士らを交えた話し合いが繰り返されます。ここでも、有罪・無罪の処断よりも子供にとって何が一番良いのかを元に人々が知恵を懲らし、一体どうなるのだろうとハラハラしながら我々は見守ります。その結果の裁判長の判断には苦衷が満ちていました。
と、内容のみっちり詰まった作品でしたが、気になる点も。本作では、問題となる子供が全員顔出しで登場します。50年前の作品とはいえ、彼らのその後の生活を考えた時、ワイズマンはそこは考えなかったのかな。