劇場公開日 2013年3月8日

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オズ はじまりの戦い : 映画評論・批評

2013年3月5日更新

2013年3月8日よりTOHOシネマズ日劇ほかにてロードショー

サム・ライミの緩急自在な語り口で魅せる3Dアトラクション・ファンタジー

MGMによる大ヒット・ミュージカル「オズの魔法使」(1939年)の前日譚をディズニーが製作したファンタジー大作だ。監督はこの名作の大ファンだというサム・ライミ。はじまりはスタイリッシュなモノクロに、スタンダードサイズの小さな画面。後に“偉大な大魔王”となる若きオズはサーカスの奇術師だ。プレイボーイで自己中だが憎めないこのインチキ野郎は気球でトラブルから逃走中、竜巻に巻き込まれてオズの国へ。と、ここで画面は目の覚めるようなカラー、シネマスコープへと変わる。オリジナルへのオマージュに、早くもニヤリ。

オズの成長物語に惹かれたとライミはいうが、同じく原作シリーズから前日譚を創作した舞台ミュージカル「ウィキッド」の複雑さに比べると、この脚本はビックリするほど単純で脳天気。深読みのしどころすらない。キャラクターとしては、3人の美しい魔女より魅力的なのが陶器の少女。主演のジェームズ・フランコの演技に宿る「ふざけ感」が、映画のトーンを軽く明るいものにしている。

しかし何より素晴らしいのは、カラフルでスケール感に満ち、緩急自在な映像の語り口だ。3Dの楽しさをこれほど感じさせてくれた映画はかつてなかったし、めくるめく映像にワクワクさせられっぱなし。ライミ印のカメラワーク、猛スピードでガガーッと分け入っていくような映像のパワーは健在だ。たとえば南の魔女とシャボン玉に入って飛んでいくシーンなどは、アトラクション感が最高。「スパイダーマン」の最初の飛行シーンにあった「ワーオ」感を思い起こさせる楽しさである。

サービス精神旺盛なライミは今回、非常な律儀さでファミリー向けのアトラクション・ファンタジーづくりに徹した。彼が繰り出す映像の魔術は、間違いなく“信じる”価値がある。

若林ゆり

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