ドライヴのレビュー・感想・評価
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香港が嫉妬する快作!
「インファナル・アフェア」→「ディパーテッド」の逆を行き、香港映画版を観てみたい! 俳優は、トニー・レオンか、レオン・ライか。ドニー・イェンは王道だけれど、見るからに強すぎる。騒々しく雑多な香港の街中であれば、このドラマはどのような闇と光を生むのだろう。そんな妄想が際限なくふくらむ、最近稀に見る快作に出会えた。
始まるなり、観客は暗闇に投げ出される。目が慣れてくるにつれ、犯罪の渦中に立ち合っていると気付く。夜明けとともに、不穏な喧騒から一転、渇き鬱屈した日常へ。とはいえ、無表情な主人公の生気のなさに変わりはない。そんな彼の前に、くりくりとよく動く瞳の母子が現れ、物語が動き出す。…そして、何がなんだかよく分からないままに、観る者も母子に魅了され、物語に引き込まれていくのだ。
とにかく無駄がない。セリフも、シーンも、登場人物も、そして上映時間も。キャスト、スタッフが織り成すアンサンブルが素晴らしい。主演のライアン・ゴズリングは言うまでもないが、紅一点のキャリー・マリガンの可憐さも貢献度が高い。香港リメイクするとしたら、彼女に匹敵するリアルタイムの女優がパッと浮かばないのが難点だ。かつてのマギー・チャン、もしくはセシリア・チャンあたりはパッと浮かぶのだが…。
ちょっと古くさい、もしくは泥くさい。クレジットのピンク色が下品。初めは少々気恥ずかしく思えたあれこれも、観終えたあとはこの映画の欠かせない要素、と何処かいとおしく思えてしまう。それらが実は巧妙な計算であったとしても、単なる「たまたま」だとしても。
映画は、まだまだ捨てたもんじゃない! にんまりしながら席を立つ快感を、久々に味わえた。
レフン監督が全米デビューを果たしたカー・アクション映画の傑作
ライアン・ゴズリング主演、ニコラス・ウィンディング・レフン監督の出世作。LAを舞台に、犯罪者に雇われ逃走を助ける凄腕ドライバーの姿を描く。冒頭から強盗犯を車に乗せ、警察無線を傍受しながらパトカーや警察ヘリとチェイスする緊張感のあるシーンから始まる。どんなに追い詰められても決して慌てず、時にスローに、そして激しく自在にクルマを操るプロの仕事ぶりに引き込まれる。
原作はジェイムズ・サリスのクライム・ノベル。時制が行きつ戻りつしながらイメージ描写が挟み込まれ、主人公である「ドライバー」の幼少期から今に至るまでのエピソードが交錯するノワールノベル(続編として生き延びた主人公が7年後、婚約者を殺され復讐に立ち上がる姿を描いた邦訳版は未刊行の「Driven」がある)。実はこの小説、1978年のウォルター・ヒル監督による映画「ザ・ドライバー」にオマージュを捧げられている。同作もやはり“逃がし屋”を描いたカーアクションで、主演ライアン・オニールの代表作になっている(「ザ・ドライバー」自体はメルヴィル「サムライ」やペキンパー「ゲッタウェイ」の影響を受けている)。
そもそもレフン監督の起用は、このノワールな原作を気に入っていたゴズリングからの逆指名によって始まったという。彼はレフン監督の才能に早くから注目しており、主演が決まった際にゴズリングから打診の連絡をしたという。当初は興味を示さなかったレフンだったが、ゴズリングと会ったその日にイメージが湧き監督を引き受けたというエピソードがある。
主観が先行し映像化には骨が折れそうな原作を、レフンと脚本家ホセイン・アミニは大まかな設定をベースに、ファッションや小物、クセなどにオリジナリティを加え主役のキャラを設定、共演陣に人妻役のキャリー・マリガンやその夫のオスカー・アイザック、マフィアのロン・パールマンといった魅力的なキャストを配置した。また、効果音やサウンドトラックも不穏な映画の雰囲気をスタイリッシュに盛り上げ、目立つタイトルロゴやギラつく照明が現実感を揺さぶる。これは視覚障害をカムアウトしているレフン監督ならではの演出なのかも知れない。
さらには、凄まじいカーチェイスに加え、血まみれの格闘アクションや人体損壊など、遠慮のないゴア・シーンも多く登場する。エグいほどのバイオレンス描写で定評のあるレフン監督の持ち味を十分に活かし、原作には無い魅力が加わっている。2010年代を代表する作品の1本だ。
演出がオシャレで格好良い。場所とクルマと人が魅力的
あくまでもドラマがメイン
それでも彼女とのハッピーエンドを願ってしまう
3回目でやっと分かった素晴らしさ
ドライヴを観るのは3回目だ。傑作だと思う。思うが、一回目の鑑賞からそう思ったわけではない。昔の自分、何も分かってなかった。
最初に観たときは、徹底的に贅肉をそぎ落としてガリガリに 痩せたような作品だなと感じた。
無駄なシーンは一切無しで、あしたのジョーの力石みたいだと思った。
そのせいなのか、なんだか面白みに欠けるよう感じて、つまらなくはないけれど面白くもないくらいの評価だった。
2回目を観たとき、もっとちゃんと物語を理解することができた。
カースタント、バイオレンスアクションも見応え充分で、面白いと感じた。
一回目の自分、話も分かってなかったんだな。
そして3回目
赤と青、そしてオレンジのライティングが意味するもの。
カエルとサソリの寓話とジャケットのサソリ。
それらが分かったとき、悶えるほど面白いと感じた。
エレベーターのキスシーンを挟む一連のシーンなんか最高じゃないか。
見ているつもりで何も見ていなかった。分かっているつもりで何も分かっていなかった。
ただのバイオレンスアクションなんかじゃないアートといえる傑作。
病みつき
もう少し恋愛色強い作品かと…
名もなきドライバー‼️
HERE'S THE ニコラス・ウィンディング・レフン
儚い現実のなかで
ライアン·ゴズリング主演のカーアクション映画
冒頭の警察からの逃走シーン、派手なカーアクションで逃走するだけの映画じゃないと理解させられる逃走のリアリティ溢れる演出、音も静かな緊張感を高めてくれて、冒頭からこの映画に惹き込まれた
スケールの大きな設定や、ド派手な爆発やカーアクションで見せずにリアルな緊張感を5分の待ち時間の設定、ロートーンの映像、少ない人物の関わりや、会話など、あえてスケールを大きくしないことで生みだしている
主人公とご近所に住む人妻との会話や目線、言葉少ないことで登場人物の心の動きが感じとれる余白になっていると感じた
冒頭の逃走シーンに始まりエレベーターでのキスシーン、この映画には印象に残るシーンが多かった
まだ鑑賞されてない方は是非ライアン·ゴズリングのクソ渋い姿をみてほしい
美しく悲しい
ライアン・ゴズリング
サソリとカエル、箸と爪楊枝
巧みな車の運転技術から、昼はカースタント、夜は強盗の運び屋として車を走らせる生活をするドライバー。
彼は自宅アパートの隣人アイリーンに恋をする。
しかし、服役中だった彼女の夫が無事に出所して彼女の元に戻ってきた。
前と同じ関係に戻ったかに思われたが、夫スタンダードは服役中につくった借金を返すために、ドライバーに助けを求める。
彼女と彼女の家族のためと行ったその強盗の運びによって、彼の生活は次第に歯車を狂わせていき…
寡黙なドライバーの恋と殺人。
「強盗を5分は待つが、5分を超えたら待っているとは思わない」「銃は持たず運転だけ」という明確なルールのもと、正確に淡々と仕事をこなすドライバー。
しかし、恋をして私情を挟んでしまった瞬間、彼の中での秩序は崩れる。
いつもは夜間なのに昼間という点など、とにかくいつもと同じようでかなりイレギュラーな仕事だったのかもしれない。
ルール厳守の寡黙な運び屋の割にはややプロ意識低くないか?
前半の情熱に後半の狂気と、非常にエキサイティングで魅力的。
音楽の使い方や色彩感覚など丁寧な出来の作品ではあるけれど、この車にはイマイチ乗り切れなかった。
カーアクションや復讐劇など単体ではカッコいいけれど、(仕方なかったとはいえ)想い人を悲しませるような男をカッコいいとは呼びづらい。
復讐劇もそれでいいのか?というような中途半端なやり方で物足りなさが残る。
結局自分の性には逆らえないという、サソリとカエルの寓話。
住む世界が違うと、なんとなく分かれてしまう2人の結末は良かった。
今回もライアン・ゴズリングの新たな顔を見た。
まん丸の目に優しげな顔。
しかし凶暴性が露わになれば、優しそうで無口なイケメンほど怖いものはない。
アイリーン役のキャリー・マリガン。
欧米人の顔覚えられない症候群の自分にとって、どうしても『プロミシング・ヤング・ウーマン』のキャシーと同一人物とは思えず。すごいね!流石。
欧州風叙情派カーアクション
想定以上のアクション系
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