「大都会LA、孤独な奴の昼と夜の世界が魅力を醸し出す」ドライヴ Ryuu topiann(リュウとぴあん)さんの映画レビュー(感想・評価)
大都会LA、孤独な奴の昼と夜の世界が魅力を醸し出す
この『ドライヴ』と言う映画は正に、ライアン・ゴズリングの魅力が溢れ出す映画だね!
彼のどこか、孤独で、物悲しそうな眼差しが、きっと女性のファンにはたまらなく魅力的に見えると思う。
そして、彼のご近所さんの、キャリー・マリガンが演じているアイリーンでなくても、きっと誰でも友達になってみたくなるだろう。
物静かで、決して多くを話さないけれど、そっけなくも無いし、冷血な感じも無く、ぶっきらぼうでもない。多くを語らない静かな奴と言うのは、普通は付き合い難い奴が多くて、友達が出来難いものだが、基本的に彼は生真面目なようで、仕事の腕は抜群なために、職場でも、信用度が高いので、少しばかり、影があっても、どこか憎めずに、仲良く声をかけてしまいたくなるキャラだ。昼間は映画のカースタントドライバーであり、夜は強盗犯のお抱え運転手だなんて良くも考え付いたキャラクター設定だ。
カースタントマンともなれば、車の運転の腕は抜群だし、LAの街の総てを知り尽くしている彼にとっては、警察を撒くのもお手の物。
アルバイトとしてドライバーをする仕事の内容としてはヤバイ仕事だが、口は固く、ちゃらちゃらしていないのだから、雇う側の悪人からみたら、仕事仲間にしたら、組むには最高に良い奴だろう。
しかし、その分、無口で物腰が穏やかだと、甘く見られがちなのだ。
そして、彼を利用しようと甘く見ている悪い奴らの事は、容赦なくガツンと叩きのめしてしまうのだ。
このゴズリングの前半の部分と、後半に描かれる彼のキャラが全く同一人物のものとは思えないで、キャラがガラリと反転する処が、映画として凄く楽しめるのだ。
この主人公のドライバーは、決してまともな奴ではないのだが、人間、誰しも2面性を併せ持っているものだ。それ故、たまには映画のキャラクターとしては、こんな犯罪者がいるのも魅力的に見えるものである。
自分が実際に、犯罪者のお友達になる事は、実生活はゴメンだが、映画の世界の話しでなら、友達になっても、良さそうって思えてしまう雰囲気を醸し出しているから不思議だ。
しかし、何処からとも無く、或る日当然に、LAにやって来て、車の修理工場で働いて、アイリーンとその息子の為に、務所帰りである彼女の男の為に一肌協力するのだが、思わぬハプニングに見舞われても、その決着をきっちりと付けて、そしてまた、何処からとも無くLAにやって来た時と同様に、彼は黙って、街を去って行く。
と言っても決して、彼女に2度と逢う事も無く、一人去りながら、静かに死んで行くのだろう・・・この映画黒澤の『用人棒』を見た時のような、地味でクールな奴でありながら、ついつい惹き込まれてしまう魅力がある。それは丁度LAが危険な街でありながら、それでいて、魅力に溢れているように、その相対するギャップこそが魅力に1因だ!