ものすごくうるさくて、ありえないほど近いのレビュー・感想・評価
全211件中、201~211件目を表示
この主人公の少年に、大人として共感が持てるかどうか。
911で父親(トム・ハンクス)を亡くしたオスカー。彼は父親がのこした遺品の中から鍵を見つける。何処の鍵だか、何の鍵だが、わからない。けれど永遠に父親と繋がっていたいオスカーは、その鍵に会う穴を見つけるため、ニューヨーク中を探し廻る。
パニック障害を持つオスカーは、無償の愛を注いでくれた父親を亡くして、光の無い世界に突き落とされた。その突然の死を受け入れられないし、その感情を何処に持っていったらいいか図らない。当然暗闇の世界で恐怖心にも満ちみちている。それで、周囲の大人たちにその抑えきれない感情をぶつけてしまう。母親(サンドラ・ブロック)に汚い言葉で罵り、ベットの下や戸棚の中に自分の世界を作って引きこもり、自傷行為をしてしまう。祖母の部屋に間借りしている老人(マックス・フォン・シドー)には、父親の最後の留守電を無理矢理聴かせる。
母親との口論の場面は非情な緊迫感があり、観ていて非常に辛くなる。なぜなら、母親は現実に直面している。夫を亡くしての悲しみ、喪失感。大人だから必死に耐えている。そして決して子供にはその姿を悟られまいとしている。しかし、のちに彼女は息子の「冒険」を知り、それをサポートすることで自分自身も癒されていく。
また老人は過去の辛い体験に、自ら言葉を失うことでその気持に対して封印をしてしまっている。けれども、彼はオスカーと共に鍵を捜すという「冒険」をしているうちに、次第にオスカーの純粋さに惹かれもしていく。
普通の大人は時として、子供の純粋さを自分たちにはもう持ち得ないことへの嫉妬と共に、その美しさを賞賛する。ただし、ここでのオスカーの気持ちはそれに当たるかどうかは、人それぞれだろう。むしろ、マックス・フォン・シドーの演じた老人やジェフリー・ライトが演じるビジネスマンのような、過去の後悔に悩みつづけている人たちの姿のなかに、心の重荷をずっと抱えながら生きて行くこと対して、思わず頷いてしまう自分がいた。このように、彼を取り囲む人々それぞれが持つ悲しみ、苦しみに共感する観客が多いのではないか。
911の悲劇を、11年かかってやっと、それに巻き込まれた人々の感情を表現するのに十分な作品といえる。ただし精神的に酷な表現描写もあり、当事者でない人間であっても辛くなる場面が多々ある。これの是非は、暫く経ち、この作品を離れてみてからでないと、何とも言えない。
2月18日 TOHOシネマズ六本木ヒルズ
やっぱりトム・ハンクスとサンドラ・ブロック。
9.11により父を失った少年が、父の遺品の謎を追う物語。
物語に9.11が取り入れられていますが、9.11をテーマにした作品ではありません。突然の父の死を、象徴的・衝撃的に描くために9.11が選ばれています。その意味では、交通事故でも、飛行機事故でも良かったのかもしれません。ただ、9.11を取り入れることで、周囲の人間を物語により取り込みやすくなったのは事実。そういう意味では、9.11と言う事に意味はあるのかもしれません。
トム・ハンクスやサンドラ・ブロックと言うアカデミー俳優を従えて主演をはったのは、トーマス・ホーン。オスカーはちょっとクセのある少年ですが、自然に上手く演じています。でもやっぱり、この映画のキモは、トム・ハンクスとサンドラ・ブロックですね。息子オスカーを愛で包む両親の姿を、すごく自然に演じています。特に、トム・ハンクスは、いきなり亡くなってしまう役で、その後は回想シーンで出てくるだけですが、それでも尚且つ、その存在感を示しています。流石です。それと、サンドラ・ブロックも上手い! 『スピード』とか『デンジャラス・ビューティー』や『あなたは私の婿になる』の、ちょっとコミカルなイメージが強いんですが、この作品では一点、息子を愛する母親の姿を上手く演じています。
結局のところ、一人の少年が数々の障害に立ち向かい成長していく姿、そして、その少年が関わった周囲の人々も、少年から受けた影響で幸せになると言う話ということで良いでしょうか。はっきりとした結論とか、そう言うものは無いかもしれませんが、人間の成長、人間の愛というものを見られた様な気がします。
違和感
9.11で父親を亡くした(たぶん)アスペルガーの少年が、
悲しみを乗り越えてゆく。。というのが、おおまかなストーリーです☆=
脚本として、言いたいことはよくわかるのだけれど、
アスペルガーの少年を主人公にしたことで、
逆に暖かさのようなものが薄れてしまった気がします。
アスペルガーを理解していないと、わかりづらいところもある半面、
映画の中のアスペルガーの描写そのものに、疑問がある点もありました。
良かったのは、やっぱりトム・ハンクス演じる父親と、(老人)の心の暖かさです。
いつものことながら、トムの演技は本当に素晴らしかったです!!♪
逆に、サンドラ演じる母親が、実は器用に手をまわしていた。。という愛情の示し方は、
「対等に扱って」という少年の心の叫びを、無にしているようで、好感がもてませんでした。
父親の、「この子が最初に恋する相手は・・」というセリフ、
そのひとことで、映画すべてが救われた気がしました。 ^-^
人に薦めたくなる秀作。
トーマス・ホーン君の繊細な感情表現で達成された
静かな葛藤と,
たしかな成長を伝える心の旅が共感に満ちており,
泣いた,胸を打った,自然とエールを送った。
心地良い語り過ぎない演出の数々と,
辿り着いた優しい答えが大好き。
喪失と再生をテーマにした9.11映画の到達点のように思う。
人と出会って鍵穴を埋めよう。
未来のために。
引き裂かれる
苦しくて、心が引き裂かれます。 事実から目を背けてはいけないけれど、それを受け止めるには 相当の体力がいります。 なので、鑑賞後は 疲労困憊でした。。
9・11テロで 最愛の父を亡くした少年オスカーは、クローゼットで1本の鍵を見つけ、父親が残したメッセージを探すため ニューヨークの街へ飛び出していく。 鍵の先にある奇跡を追って、最愛の者を失った人々の再生と 希望を描き出していく(作品情報より抜粋)。
主人公・オスカーを演じた トーマス・ホーン。 素晴らしい演技でした!! が、トムにもサンドラにも似ていないところが ちょっと浮いてたかも(苦笑)。 アスぺルガー症候群の疑いがある少年の心の揺れ方を、見事に表現していたと思います。 将来がとても楽しみな イケメン君☆
オスカーの父親を演じたトム・ハンクス。 助演に徹して、トーマス君をしっかり盛りたてていました。 ますます太って オッサンになっていましたが、家族を支えていた立派な父というイメージが しっかり残る演技でした。
オスカーの母親を演じた サンドラ・ブロック。 彼女の そつのない演技も好印象。 泣けました。 頑張るママを演じさせたら(今のところ)世界一。
その他、オスカーと出会う“話せないおじさん”を演じた マックス・フォン・シドー(『シャッターアイランド』)、オスカーが鍵を探し訪ねた先で出会う女性に バイオラ・デービス(『ヘルプ 心がつなぐストーリー』)、などなど 助演の皆さんも素晴らしいです。
この作品を通して… 立ち止り、9・11で家族を亡くした人々の痛みに触れ、考え、そしてまた歩き出す勇気を持つことの大切さを 少年の葛藤を胸に刻みながら学ぶ。 ストーリーもキャスティングも、演出もシーンごとのコントラストなども 緻密に計算されてるなと思いました。 ただ、もう悲しすぎて。。。トーマス君の演技が完璧すぎて。。。 良い作品であるのは間違いないですが、「もう一度観たいか」と聞かれたら 正直迷うと思います。。 でも、感想を聞かれたら「ぜひ観てほしい」と お勧めすると思います。
***『最後だとわかっていたなら』(ノーマ・コーネット・マレック作)
あなたが眠りにつくのを見るのが最後だとわかっていたら
わたしはもっとちゃんとカバーをかけて神様にその魂を守ってくださるように祈っただろう
あなたがドアを出て行くのを見るのが最後だとわかっていたら
わたしはあなたを抱きしめてキスをして そしてまたもう一度呼び寄せて抱きしめただろう
あなたが喜びに満ちた声をあげるのを聞くのが最後だとわかっていたら
わたしはその一部始終をビデオにとって毎日繰り返し見ただろう
あなたは言わなくてもわかってくれたかもしれないけれど 最後だとわかっていたら
一言でもいい・・・「あなたを愛してる」とわたしは伝えただろう
たしかにいつも明日はやってくる
でももしそれがわたしの勘違いで今日ですべてが終わるのだとしたら
わたしは今日どんなにあなたを愛しているか伝えたい
そしてわたしたちは忘れないようにしたい
若い人にも年老いた人にも明日は誰にも約束されていないのだということを
愛する人を抱きしめられるのは今日が最後になるかもしれないことを
明日が来るのを待っているなら 今日でもいいはず
もし明日が来ないとしたらあなたは今日を後悔するだろうから
微笑みや抱擁やキスをするためのほんのちょっとの時間をどうして惜しんだのかと
忙しさを理由にその人の最後の願いとなってしまったことをどうしてしてあげられなかったのかと
だから今日あなたの大切な人たちをしっかりと抱きしめよう
そしてその人を愛していることいつでもいつまでも大切な存在だと言うことをそっと伝えよう
「ごめんね」や「許してね」や「ありがとう」や「気にしないで」を伝える時を持とう
そうすればもし明日が来ないとしてもあなたは今日を後悔しないだろうから***
現実は残酷だ
911で父親が亡くなった少年の心の変化と再生。と言えば聞こえがいいが、その傷はあまりに大きい。
留守電に残されたメッセージも変に感動を誘うような内容では決してなく現実的だ。
死を覚悟しているはずなのに、このメッセージを聞く(聞いている)息子の事を考えているんだろうなと。
息子の父親に対する愛情は全編を通し伝わってくるけど、父親の息子に対する愛情はより深い。
作品としては、悲しいながらも、最後は希望がもてるストーリーだけど、現実とファンタジー的要素の落差が大きくてノリきれない部分もある。
現実の出来事を絡めた内容で作品をつくるのってつくづく難しいと感じます。
そういう意味では、今作よりダイアナ妃の事故を効果的に使用したアメリは上手かった。
何かを期待しまうという点でトムハンクスはミスキャストだったと思います。
対峙して受容する。
試写会にて。
監督がS・ダルドリーということでかなり期待してしまった。
9.11で大好きな父親を失ってしまった少年の心の変遷を、
繊細すぎるほどの描写で丹念に描いた作品。
T・ハンクスとS・ブロックというコメディなら大成功役者を
夫婦役に抜擢しながら、彼らの見せ場は皆無というくらい^^;
少年役のT・ホーン君のまさに独壇場的な場面がほとんどだ。
この演技未経験?な男の子の天才的小生意気演技は凄い。
クイズ番組優勝経験で抜擢されたという頭の良さが伺える。
しかし冒頭から知的な会話ばかりが埋め尽くすテンポの速さ、
心温まる父子関係を想像していた自分は肩透かしを食らった。
えー。なんかT・ハンクスらしくないな。
S・ブロックにしても見せ場があるのは最後の最後くらいで、
この息子がなぜこうなったのか(元々の性格云々においても)
まったく見えてこない。夫婦の葛藤も。家族の背景も。
突如父と子の「第6区」探しが始まり、唐突に「あの日」が訪れる。
向かいに住む祖母と謎の間借り人、少年を支える人間は多い。
が、この少年にはトラウマともいえる「あの日」の記憶がある。
それが何なのかを探し当てることが
少年にとっては父親との「穴」を埋めるカギであり、
観客にとってはこのクソ長いタイトル(汗)を解くカギになる。
ビルから落下する父親の映像(確実ではないが)を映し出す
シーンはこの上なく辛い。
一家を突然襲った不幸は、幸せだった少年の心を痛めつける。
極端に神経過敏で他人との距離を巧くとれないこの少年の
唯一の味方で理解者がこの父親だったのだろう。
その父親亡きあと、彼に同じような温もりをもたらす人物は、
ある程度の謎に包まれているが、この作品の謎は何といっても
このタイトルなんじゃないかと私は思う。
原作を知らないので作者の意向は分からないが、
私にとってのタイトル通りの存在といえば「親」である。
どうふり払おうとふり払えない。遠く離れようと心は離れない。
(声を発しようとしまいと。シドーが最高に巧い)
常にうるさくてありえないほど近くにあるのは、その存在と記憶だ。
死者の記憶は消せるものではない。
というより、消してしまうものではない。
自分が受け入れられる時期がくるまで苦しみは続くと思うが、
自分にとって大切な存在は記憶になっても大切な存在なのである。
哀しみを心強さに置き換えて、いつも自分を見守ってくれている
心の中の存在、ものすごくうるさくて、ありえないほど近い存在で
あり続けるべきだと私は思う。
あんなに苦しんだ少年が初めて安堵の表情を示すラストの場面で
彼は誰にそれを見せたか。
いちばん大切なひとって、ちゃんと傍にいるんだよ。。。
(傷みを知れば成長もできる。頑張れ少年!お父さん見守ってるから)
人を亡くした痛みから、一歩前へ
試写会にて
題名が「なんなんだ?」と思っていたのですが、
何かの番組で内容を知って観たくなり、
試写会鑑賞させていただきました。
人や環境に対応するのが苦手な少年が、
テロにより亡くなった父が壷に隠していた
鍵をみつけ、Black氏を探す・・
という大まかなストーリーなのですが・・
最初は、少年の態度にイラッとさせられますが、
少年が心に溜めていた事を、おばあさんの家の
「間借人」の老人に打ち明けるシーンは、
ダムのように止めどなく吐き出し、
その圧倒感で心情が伝わり、いつの間にか涙が・・
一人で、そして間借人と一緒に
N.Y中のBlack氏を探す時など、
クスクスっと笑えるシーンもあり、
感動だけでなく、少しユーモアもあります。
個人的には、母親のサンドラ・ブロックと
間借人のおじいさんがよかった。
間借人が誰なのか?は途中で解りますよ。
人とのふれあい等で成長していく少年。
ちょっとありきたりな話かもしれません。
今の日本だから、9.11の犠牲者家族の心情が
より痛みとして感じる作品です。
でも、悲しんでばかりではなく、一歩一歩と前へ
歩き出せる思わせてくれる作品です。
ラスト、少年がブランコに乗るシーン、
あったかい気持ちになります。
ただ、あの『鍵』の最終地点での
先も知りたかったな~。
劇場でもレンタルでも、どちらでもよいと思います。
見ないと勿体ない!
今まで観てきた数々の映画を通り越して、一番大好きな映画になりました。
オースティンに関わる人たちも素晴らしいですが、オースティン役の子役が本当に素晴らしかったです!!
オースティンの激しい感情の起伏に引き込まれ、目が離せません。
全体的に人の暖かさが伝わってきて、映画が終わりに近づくに連れて爽やかな感動が私を包んでくれました。
オススメです。
心して鑑賞してください。
すごい映画だった・・・体力消耗した。すぐに立ち上がれなかった・・・
ティッシュ1コ使い果たしました。
感動の涙なんて甘いもんじゃない。悲しすぎて涙が止まらない。
それにしてもオスカー役のトーマス・ホーン君がものすごい。
激しい感情の表現や、字幕を追うのがやっとのほどの
早くて長くて難しい言葉の台詞。それが初めての演技とは!
この子ホントの天才?よくこの子を見つけ出したなと思いました。
もちろん、トム・ハンクスとサンドラ・ブロックの両親は素敵だし
アカデミー賞助演男優賞ノミネートのマックス・フォン・シドーがとてもいいんです。
もともと前売券を買っていたのでもう一度観に行かねば・・・
心して鑑賞します!
過程が大事
大事なのは探し求めた“答え”そのものではなくて
答えにたどり着くまでの道のりだった。
オスカーは911で父を失う。
それから1年経って、父のクローゼットで鍵を見つける。
その鍵がぴったりはまる鍵穴を探し始める。
オスカーはニューヨーク中を探す。
その中で、怖いもの、苦手なものを克服する。
がむしゃらになっていると周囲のことになかなか気がつかないけど、
成長するには、たくさんの人が関わっていて
助けてもらっているんだと実感した。
サンドラ・ブロックの母親ぶりがよかった。
全211件中、201~211件目を表示