ショーン・オブ・ザ・デッドのレビュー・感想・評価
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安定&安定
エドガー・ライト×サイモン・ペッグ×ニック・フロスト×ゾンビ
こんなに安定する方程式他にないでしょ?
ゾンビ映画と侮るなかれ、コメディ映画と侮るなかれ、
新感覚ハートフルコメディゾンビムービーだ!
ダメ人間だっていいじゃん!
面白かった!
笑えるゾンビ映画!
毎日、たいして好きでもない仕事をしているショーンは、仕事が終わると、親友エドと一緒にパブでビールを飲み、家でゲームをして過ごしている自堕落なダメ人間
そのせいか、恋人リズに愛想をつかされ、両親との約束も忘れがち
しかし、ある時、突然、ゾンビが大量発生し、ショーンに襲いかかる!
よくあるゾンビ映画では「運命に選ばれし美男美女」がヒーローとなって、ゾンビから人類滅亡の危機を救う
しかし、この映画は違う
美男美女など出てこないし、ヒーローもいない
主人公は、ビールとゲームが大好きで、酔っ払っては恋人との約束を忘れちゃうようなダメ人間だ
でも、現実世界に生きる私たちは、選ばれし者でもないし、ヒーローでもなく、どちらかと言えば、ダメ人間だ
休みの日は、何事もなく怠惰に一日が過ぎていき「あぁ、今日も一日終わっちゃった…」と思う
多くの人が、そんな日々を過ごしたことがあるだろう
この映画は、そんな愛すべきダメ人間への優しさと愛に溢れた映画だった
たとえば、
恋人との関係を改善しようと思っていたショーンの目の前に現れたゾンビの大群
そんなゾンビたちは、ダメ人間ショーンを目覚めさせる役割を果たしている
いくらダメ人間だって、生きるか死ぬかの環境に置かれたら
人生を見つめ直し、恋人や、両親への想いに気づかされるのではないか…と
確かに、ゾンビの襲撃に遭ったショーンは目覚め、恋人リズや愛するママを救いに行く
でも、気持ちは空回りし、いつも、どこかずっこけていて、頼りない
いや、いや、そこにいるのが一番安全なんじゃないの…
わざわざ、パブに行かなくても良いんじゃないの?
やっぱり、ビールとゲームが恋しいだけじゃないの…??って
けれど、この映画は、彼らがそんな風に完璧じゃなくて、ちょっと足りないからこそ良いのだ
人生とは、ショーンの救出計画のように思うようにいかないことの積み重ねなのだ
だからといって、人は突然、ヒーローにはなれないし、確かにダメ人間かもしれない
それでも、失敗から学ぶこともあるし、少しずつだけど成長することだってあるのだ
そんな「普通の人々」に対する愛情に溢れた温かいゾンビ映画だった
ゾンビ映画と聞いて、拒絶してしまう人もいるかもしれないけど、笑えるところが満載で、ちっとも怖くないので、コメディ映画好きな人に、ぜひ、観て欲しい作品
ダメ人間だって良いじゃん!
って思えるところが良かった
キャッチコピーが秀逸 ロマンチックコメディwithゾンビ
映画愛、音楽愛に溢れた作品。
不必要なグロいシーンが1箇所だけあるが、次作の「ホットファズ」にも同様に1箇所だけグロいシーンがあるので、ある意味、「狙って」いるのだろう。
低予算ホラーコメディの最高傑作だと思う。
むちゃくちゃなゾンビパロディ
サイモン・ペッグ主演、エドガー・ライト監督による、ロメロの『ゾンビ』パロディ満載のコメディ。
いやぁ、笑った笑った。
二日酔いで街を歩くと、周りがゾンビと死体だらけなのに、気づかないとか。
ゾンビの動きが遅いから、簡単に逃げられるとか。
頭を叩き割ればすぐ退治出来るとか。
静かにしないといけないところに、連れの馬鹿が大麻取引の携帯電話を受けて、ゾンビに囲まれるとか。
人体損壊を、クイーンのイカすナンバーに乗せてリズムカルに行うとか。
もうむちゃくちゃ。
ラストあたりに少しだけ、内臓ぶちまけスプラッタがある以外は、基本的に平和。
イギリス流ブラックジョーク満載で、笑えてしょうがなかったです。
いつも
初見。
しかし、ペッグ・フロスト組はいつもダメなオタクが、自分を変えなくても尊厳を取り戻して終わる、という展開な気がする… (『ワールズ・エンド』も『宇宙人ポール』も)
エドガー・ライトの出世作として楽しみました。
2004年ベストムービー!
サイモン・ペグといえば、やはりこの映画です!
ゾンビ映画好きにこそ、オススメしたい!(笑)
*DVDでしか観たことがなかったけど、今回スクリーンで観ることが出来て良かった!
スプラッターでもコメディでもないのが痛し痒し。
昔はホラー映画はデートコースの定番アイテムでw、結構沢山のホラー映画やスプラッター映画は沢山あったんですが、最近は以前に比べて劇場公開が少なくなった感じがします。
と言う事でなんとなく久々のゾンビ映画を劇場で観たくなって鑑賞しました。
で、感想はと言うと、う~ん…なんと言うのか…
一言で言うと、まさしくゾンビコメディなんですが、どうしてこう言う作品を作ろうと思ったんだろうかと言うのが最初の疑問。
いろんなゾンビ映画の中の1つとしてはあってもおかしくないけど、あくまでも亜流と言うか、インスパイア系の作品な訳で、爆笑でもないし、物凄く怖い訳でもないし、引く程物凄くグロい訳でもない。
いろんな要素が弛~い感じで、肩の力を抜いて観る分には良いかなと思ってもグロかったりして、終盤のゾンビに身体が引き裂かれるシーンは「死霊のえじき」を思い出しました。
何でこの作品が15年経って公開に至ったのかが謎です。
ジョージ・A・ロメロの正統派ゾンビ作品のリスペクトが所々感じられるので、単に茶化した訳ではないのが救いではありますが、まぁツッコんだら負けかなとw
それでもいろんな、家族愛や友情、恋愛、嗜好と言った様々なテーマがあって、極限の状況の中でそれらと向き合うと言う事を考えさせられるとも言うのは、ちょっと深読みし過ぎでしょうかw
カット割りなんかスタイリッシュな感じがしますが、やはり15年前なので古さは否めないです。
数多に溢れるゾンビ映画の中の1つとして、コレクションとして鑑賞するのには良いかなと思いますが、それ以外は個人的にお薦め要素が少ない、B級テイスト作品ですが、劇中に流れる「Don't stop me now」を聴いて、「ボヘミアン・ラプソディー」の大ヒットでクイーンブームな所では公開が旬なタイミングではあると言えますが、改めて「Don't stop me now」は名曲だなぁと感じた次第ですw
まさかの劇場公開
この作品でサイモンペッグどエドガーライトを知りました。当時ビデオスルーで見た時にあまりの面白さに大興奮。ゾンビのごとくの怠惰な日々の人達やスタイリッシュなコマ割りに夢中になったなー。ゾンビ映画はどれも似たり寄ったりな作品が多い中でピカイチでした。これがまさかの劇場大画面でみれるなんて。ビデオで見過ぎて新鮮味はないけれど映画館で見れてよかって。
シャツが真っ赤だぞ!
開始0.1秒、彼の顔面アップを見た瞬間に分かる。ショーンは情けない男だと。
うだつの上がらない男ランキング殿堂入りみたいな主人公と、だらしないけどなんか憎めない男ランキング殿堂入りみたいな親友にこの映画への期待がどんどん高まる。
平和ないつも通りの日の朝にマーケットへ向かう道のりと、失恋に飲み明かした翌朝道のりのカメラワークが同じ。
しかし至る所に散らばる不穏で血みどろな要素にテンションが上がる。
全く気付かないショーンのマイペースっぷりに笑えて笑えてたまらなかった。
世界と本人たちのテンションのギャップが大好き。
庭の女との攻防が大好き。
私もゾンビになれたらあんな感じでお腹に風穴開けたい。楽しいな。
ゾンb…連中たちにようやく立ち向かい始めてからのサバイバル模様、王道の展開にもただ王道なだけじゃないコメディ演出が光る。
Don't stop me nowに乗せたボカスカ総攻撃でたまげ死ぬかと思った。最高。マーキュリーも喜んでるよ。いや知らんけど。
長年のわだかまりの解消、大切な人の感染、愛する人との雪解けなど、取ってつけたようなドラマにまんまとハマってしまった。ホロリホロリ。
あの別れ方は本当に辛い。
最後に感染者との新たな付き合い方が生まれ、小さく感動したと共にゾッとした。
ゾンビ化してもなおうるさい音楽を止めたがるお父さんが好き。
地味にあの謎のパワフルな友人女性が好き。
あちらのパーティは何人生き残ったのかしら。
レコード攻撃好き。
プリンスのパープルレインは絶対NGで。
デイヴとの小競り合いには少しイラッとしたけど、この手の作品に仲間割れ寸前のイライラは不可欠だからオールオッケー。
恋人も親友も家族もみんなみんな大事!ってスタンスが結局全然変わってないショーン。
でも好きな人達を守るために先陣切って奮闘する姿のなんと逞しいこと。
前半と後半で顔付きが全く変わって見える。
どんどんかっこよくなってて普通にキュンとしちゃうじゃない。
主演のサイモン・ペッグ、あれ今普通にイケメンじゃない。あのポヨポヨしたトホホ顔も好きだけど。
カットの連発や長回しなど面白い演出が多く、テンポの良さも素晴らしい。
音楽の趣味は私のツボではないけど使い方がパーフェクト。
非常に楽しかった。劇場で観られて良かった。
イギリスの憂鬱 ゾンビの国のショーン
15年前に作られた映画だが、まるで、今のイギリスの憂鬱、つまり、Brexitを巡る日々の混乱を見てるようで、腹も立つし、大笑いもしてしまった。
取り返しがつかなくなるまで問題の所在に気が付かない。
何かをやろうとしても、人の意見を聞くなんてことはない。
ゴールをでっち上げて、出来ないことが分かっても、責任を取る気もない。
自分の感情の赴くままに、そして、目の前にあるものに気を取られながら行動して、さらに取り返しがつかなくなる。
たとえ孤立しようと、危険であろうと、郷愁のある場所が一番だと信じ込んでいる。
上手くいかないことを薄々感じても、プライドは人一倍高くて、非難されることを嫌がる。
つまり、Z だとか、zombieだとか言われることには一丁前に腹が立つのだ。
兎に角、バッラバラで、まとまるなんてことはあり得ない。
イギリス議会のようだ。
そして、最後にやっとこさ助かっても、反省などせず、また、同じことを繰り返す。
ただ、Brexitを上手くやり過ごすことがができるとは限らないが…。
これを今、イギリス人が観たらどう思うだろう。
きっと、ビールを飲みながら、他人事のように大笑いするのだろうか。
実は、既にイギリスはゾンビの国になってしまったのかもしれないし…。
Edgar Wright
フレームで遊べるコメディの天才監督。
この作品、まさか日本で劇場公開されてなかったとは。この時期になって、劇場の巨大スクリーンで観れるなんて夢にもおもってなかったです。
最高の2文字。サイモン・ペッグとニック・フロストの常連が染み付いたのもこの作品のおかげ。コメディといえばこの2人でしょと言えるぐらい、素晴らしい演出、演技でした。
エドガー・ライト作品でやっぱり最高なのはフレーミング。この人どこまで完成作品の絵が見えていて撮影しているんだろう。フレーミングと編集のリズムがドンピシャでペースが全く落ちない。”今から面白いこと言うよ。”、”はい、どやっ!”みたいな完成された笑いとかよりも、むしろ、シリアスなシーンなのに細かいところにユーモアがあって、ずっとクスクス笑ってられるような感じ。撮影中、こっちの方が面白くなるってずっと考えながら、ディレクティングしてるんだろうなと思います。
今回の作品はコメディ要素満載のフレーミングだけじゃなく、スピルバーグや黒澤明の王道シネマ的フレーミングを採用したショットもたくさんありました。今作では特に、集団のブロッキングにすごさを感じました。キャラクター数が基本的に多い彼の作品ですが、そのキャラクターの関係性をフレーミングで伝えられるのは、映画的にかなり有効でとても才能が必要となることです。映画を勉強すると、さらにそのすごさがわかります。特に印象的なのはゾンビ化が進んで、主人公のショーンがリズの家に助けに行った後のシークエンス。元カノという微妙な関係性とダイアンとディヴィッドの対立関係なんかもとてもわかりやすい。
あとは何と言っても、クロースアップのショットと、それをつなげるトランジションの数々。これを真似しようとおもってもなかなかできない。フレームのサイズ感と編集のリズムはもったいないと思うぐらい一瞬の出来事。そして、最近気付いたのですが、そのクロースアップに然り、コスチュームに然り色の使い方があまり目立ちませんが、とても効率的に働いています。各キャラクターにイメージカラーを当て、そこにトレードマークや感情を乗せていくのはすごい。それが、スピーディーなコメディーの裏にひっそりと練り、サブコンシャス的にキャラクターを気づきあげているのがこの監督の見えないすごさ。
本当に次の作品が楽しみ。
翻訳不能な下ネタから分厚い人情までが詰まった永遠の名作
友人エド、ピートとシェアハウスで暮らす電器屋店員ショーンは中卒の後輩にすらナメられる悲しい中間管理職の29歳。彼女のリズとは付き合って3年になるがデートはいつも行きつけのパブ、ウィンチェスター。あまりのマンネリにブチ切れたリズを慰めるべくショーンは思いつきで人気レストランでのデートを提案するが、その頃謎の疫病が街に迫っていた・・・からのゾンビコメディの名作。
今回初の本邦劇場公開ということで期待していましたが特に映像クオリティに目新しいところはなく、散々DVDで観た映像とほとんど変わりなし。デジタルリマスターとの表記もないのでブルーレイ上映なのかも知れませんがなんせ15年前の作品ゆえその辺りの古臭さに慣れるのにちょっと時間がかかりました。
とはいえ作品の魅力そのものは何度観ようとも衰えない。多分鑑賞するのは10年ぶりくらいだと思いますが、短いカットを矢継ぎ早に繋いで繰り出すトボけたギャグ、劇伴とシンクロしたアクションシークエンス等その後のエドガー・ライト作品に滲んでいるトレードマークが既にこの頃に確立していたことを確認出来たのは新鮮でした。
実は日本語字幕版を観るのはこれが初めてだったのですが、劇中で最もエゲツない下ネタが一切訳されずにスルーされていたのに驚きました・・・まぁ確かにアレは翻訳難しいですけれども。主演のサイモン・ペッグとニック・フロストのクズっぷりがやはり最高で、それがゆえにオフビートなギャグを散々重ねた後のドラマはエモーショナルで今回もビービー泣けました。ショーンの義父フィリップを演じるビル・ナイがこれもまた最高、あれから15年一切衰えない眼力が本作で捻り出すのが不器用なオヤジの本音で、そこもビービー泣けました。
要するに本当に永遠の傑作。是非スクリーンで堪能して下さい。
キレ味のあるコメディ
ゾンビ映画でありながら終始コメディ要素を盛り込んだなんとも痛快な作品。
Simon Pegg の冒頭のボンクラ感が滲みでる表情が最高だ(笑)
ルームシェアをするボンクラ三人というキャラクターの配置は後の「hang over」に充てられた様なキャラクター配置といえる。
演出面も見事で、前半の痛快且つスピード感のあるコメディタッチから、事態の発動。いわゆるゾンビ出現による「世界の終幕」シークエンスに突入する絶望感は見事。しかし彼らは徹頭徹尾ボンクラ感を絶やさず面白可笑しく事態に順応していく(笑)
さすがのEdgar Wright 監督。このキレのよさが後の「Baby Driver」に生かされているとなると納得です。
Queen 「Don't stop mi now」の使い所に注目だ。(笑)
個人的には、この作品を鑑賞している間は多幸感に満ち溢れた気分になってしまった。(笑)紛れもない傑作!
『カメラを止めるな!』をリメイクしたら…⁈
ゾンビ映画を作るならこんな風にしてみたら?
という教則本のような印象を持ちました。
・そこの死角から出てくる〜、襲われる〜、というドキドキ感
・ゾンビの鈍臭さを上手に笑いに持っていく
・近しい人、大事な人がゾンビ化した時の苦悩と決断
・一緒に逃げてる人たちの分裂と団結
などなど王道パターンを無理なくドラマチックにバランスよく展開させてます。
『カメラを止めるな!』の監督もこの映画を観ていて、少なからぬインスピレーションとオマージュの気持ちがあったのではないか、と思います。
逆にもし『カメ止め』を海外でリメイクしたらこんなテイストに仕上がるのではなかろうか?
そんな既視感に近い懐かしさを味わえました。
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