映画「紙兎ロペ」 つか、夏休みラスイチってマジっすか!? : インタビュー
内山勇士監督&青池良輔監督が語る、爆笑製作秘話
TOHOシネマズと「ALWAYS 三丁目の夕日」の制作プロダクションのROBOTによるプロジェクトとして、劇場の幕間で09年から上映が開始されたショートアニメ「紙兎ロペ」が、「映画『紙兎ロペ』 つか、夏休みラスイチってマジっすか!?」として、5月12日よりついに劇場公開。誰もが“マジ!?”と思った映画化について、2人の監督、内山勇士&青池良輔が語った。(取材・文・写真:編集部)
2分前後の短編シリーズを「最低でも70分」の劇場用長編にする──日下部雅謹プロデューサーからのリクエストを「正直不安でした」(内山)、「『どうすんのこれ……』と思いました」(青池)と2人の監督は振り返る。
「はじめの(どうしようという)探りの時間が結構長かったですね。で、『2分半の短編をいっぱいくっつけて作ればいいじゃん……フフフ』って考えてたら、内山さんが『いや、そうじゃない。ストーリーを作りましょう』と。『はあ!?』って思いましたよ(笑)」(青池)
キャラクター・デザインと脚本(そしてほとんどのキャラの声まで!)を内山が担当し、アニメーション制作・演出・アートディレクションを青池が行なうダブル監督体制。「最初に内山さんが書いてきた脚本が、どう見ても40分くらいしかなくて(笑)」(青池)というストーリーが結果的に82分の長さとなり、「大まかなストーリーの合間に短編をはめ込んでいく形で進めていったんですが、長編のリズムが掴めなくて。長編の起承転結ができるように、最後は全部バラバラにして青池さんに入れ替えてもらって、パズルみたいに再構成」(内山)して、「映画『紙兎ロペ』 つか、夏休みラスイチってマジっすか!?」は完成した。
物語は、おなじみのロペとアキラ先輩が満喫しようとする夏休み最後の1日(ラスイチ)に、強盗団やサンバチームが絡み、一大騒動が繰り広げられるというもの。従来のシュールでゆる~い世界観と可愛いキャラクターはそのままに、あらゆる面がグレードアップ。篠田麻里子やバカリズム、ふかわりょう(友情出演)、LiLiCo、ピエール瀧などゲスト声優の参加にも注目だ。
「リズムとしては1人で(声を)やってるテンションですから、最初は全部の役を自分で入れて、皆さんにはそれに合わせて演じていただきました。いつも1人なので、掛け合いは楽しいですね。特ににジョージ(・ウィリアムズ)さんの演技はこちらの予想と全然違うものが返ってきて、面白かったです」(内山)
「内山さんの言葉選びや間が絶妙なんですね。だから『まずはこれを聞いてください』と。アニメの製作現場の方にも、最初は80分全部内山さんの声が入っているものが来るんですけど……大混乱するんです(笑)。ちゃんと演じ分けてそうに見えて、実は4、5種類しかできてない(笑)。アフレコの際は内山さんがゲストの方の横について指示を送るんですが……『普段使わない筋肉を使う』っていつも筋肉痛になる(爆笑)」(青池)
どこか懐かしくなる風景やアイテムが登場し、東京の下町でロケハンした背景がかもし出すノスタルジーが、「ロペ」が放つ魅力の1つだが、本人たちは「特に意識してはいない」と語る。
「“楽しかったなあ”という、自分の記憶を掘り返しているだけです。それがロペたちの高2、高3という時期なんですね。言葉にしても、そこからリアルなものを拾っています。90年代から00年代は、(劇中に登場する昔ながらの駄菓子屋など)色んなものがなくなっていく時期で、リアルに目の当たりにしていますから、その名残惜しさがあるのかもしれません」(内山)
「内山さんはアイディアを出すときは、高校時代にタイムスリップしていますから。机にじっと座りながら……全裸で(笑)」(青池)
劇中のキャラクター同様の凸凹コンビぶりを見せる2人に、見どころを聞いた。
「今までは短い分数でそんなに大きく動いてなかったのが、今回は場所が移動して変わっていくので、僕自身も見たことのないロペとアキラの動きがいっぱいついているんですね。可愛い動きや、立体感のあるカーチェイスなど、“動き”を見ていただきたいです」(内山)
「フラッと観に行ったらなんとなく楽しくて、『アハハ』と笑って帰れる作品だと思います。ゴールデンウィーク明けに女の子を誘うのにベストな映画だと思います(笑)」