ベニスに死す

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劇場公開日:

ベニスに死す

解説・あらすじ

巨匠ルキノ・ビスコンティの「山猫」と並ぶ代表作で、ノーベル賞作家トーマス・マンの同名小説を原作に、作曲家グスタフの美少年への心酔と老いの苦しみを描いた。「地獄に堕ちた勇者ども」に続いて撮られた、ドイツ3部作の2作目にあたる。療養のためベネチアにやってきたドイツの老作曲家アシェンバッハは、ホテルで少年タジオを見かける。一目で少年の美しさの虜になり、彼の姿を見つけるだけで喜びを感じ始める。全編に流れるのは、アッシェンバッハのモデルになったマーラーの「交響曲第3、5番」。2011年には製作40周年を記念し、ニュープリント版でリバイバル上映された。

1971年製作/131分/G/イタリア・フランス合作
原題または英題:Morte a Venezia
配給:クレストインターナショナル
劇場公開日:2011年10月1日

その他の公開日:1971年10月2日(日本初公開)

原則として東京で一週間以上の上映が行われた場合に掲載しています。
※映画祭での上映や一部の特集、上映・特別上映、配給会社が主体ではない上映企画等で公開されたものなど掲載されない場合もあります。

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第44回 アカデミー賞(1972年)

ノミネート

衣装デザイン賞 ピエロ・トージ
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DEATH IN VENICE (C) 1971 Alfa Cinematografica S.r.l. Renewed 1999 Warner Bros., a division of Time Warner Entertainment Company, L.P. All Rights Reserved.

映画レビュー

5.0ビョルン・アンドレセンの同性でも息を呑む秀麗さ、セリフはほとんどありませんが、グスタフを魅了する容姿には世界中誰もが納得したことでしょう。

2025年5月25日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

早稲田松竹クラシックスvol.235/『退廃する街で』と題した特集上映にてフォルカー・シュレンドルフ監督『ブリキの太鼓』(1979)、ルキノ・ヴィスコンティ監督作品『ベニスに死す』(1971)の2本立て鑑賞。

『ベニスに死す』(1971年/130分)

記者会見でルキノ・ヴィスコンティ監督からまさに『世界で一番美しい少年』と絶賛されたタジオ役のビョルン・アンドレセンのその後の人生を追ったドキュメンタリー『世界で一番美しい少年 The Most Beautiful Boy in the World』(2021)とセットで鑑賞。

貴族出身で名匠と誉れ高いヴィスコンティ監督らしい気品高く耽美で退廃的な作品。

主な舞台になるベニスのホテルや街並みが光り輝く観光地から疫病により輝きを失う様や、海と空の青さ、音楽もマーラーの交響曲が主人公・グスタフ(演:ダーク・ボガード)の激しく揺れ動く心情を音楽で表現、もう一人の主人公といっても過言ではないですね。

『地獄に堕ちた勇者ども』(1969)、『愛の嵐』(1974)の名優ダーク・ボガードのタジオへの一途な愛情、かなわぬ想いへの苦悩、老いに対する抗いを見事に演じきっております。

そして本作を不朽の名作たる映画に押し上げたのはビョルン・アンドレセンの同性でも息を呑む秀麗さ、セリフはほとんどありませんが、グスタフを魅了する容姿には世界中誰もが納得したことでしょう。
ヴィスコンティ監督の審美眼の確かさと、ビョルンの少年から大人への一瞬の儚さを逃さずフィルムに焼き付けた奇跡的な出会いを感じますね。

本作以降「世界で一番美しい少年」と絶賛されたビョルンはステージママ(祖母)の強い意向もあり、本意ではない日本での歌手デビューをはじめとするアイドル活動や、醜い大人たちに翻弄され性的搾取も経験。
その際の心の傷からか老齢の彼は「美」に抗うかのように、全く身だしなみに無頓着で長髪に長髭、誰もがあの「世界で一番美しい少年」とは気がつかない風貌に変わり果て、『ミッドサマー』(2019)にも出演し衝撃を受けましたが、時より見せる眼差しは、やはり美男子です。

祖母の勧めに応じずオーディションを受けなければ、全く違うミュージシャンとしての明るい未来があったかもしれない、実に悲しい事実。
「ベニスの死す」という光が強いほど影は濃くなってしまうのでしょうか。

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矢萩久登

4.0ヴィスコンティ作品の中ではとっつきやすい‼️

2025年4月6日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル、DVD/BD

泣ける

知的

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活動写真愛好家

5.0原作以上の出来栄え

2024年10月23日
iPhoneアプリから投稿
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ジョニーデブ

3.0“身の置き所のない主人公”の“身の置き所のある人々”を見つめることに終始付き合わされて…

2024年1月24日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

少し前に、久しぶりに「家族の肖像」を
観たところ、
急遽イタリアやビスコンティ好みの旧友と
会うことになったので、
話のネタにと、この作品も観ることにした。

しかし、主人公の特異な心理設定に加え、
平板なカメラワークと
登場人物にほとんど台詞が無いこともあり、
鑑賞のモチベーションを上げることに
苦労した。

なにせ、
英知や気高さによる健全な努力こそが
美を創造するとの持論の持ち主が、
モラルを超えた中で
天から降臨する感覚こそが芸術を生む、
君は凡庸な芸術家だと友人に論破されたり、
発表した作品が観客から非難された上、
娘を、そして多分妻も亡くし
“身の置き所のない主人公”が
“身の置き所のある人々”を
ただただ見つめるだけの主人公に
終始付き合わされるのだがら。

そんな彼は、ベニスで見つけた
天性の美少年への心の高揚から、
これまでとは異なるかのように、直感的に
作曲に挑むかのように見えたものの、
結局は美少年を求めさまよい歩く中で、
感染症で命を落とす。

しかし、
彼の末期の表情は喜びに溢れた印象だ。
美の降臨性を確認出来、
過去のしがらみから解放された喜びでも
あったのだろうか。

「家族の肖像」と共に、
キネマ旬報ベストワンに輝いた作品で、
両作品の主人公は共に、
己に無かった価値観への想いを残したまま
最後には亡くなるストーリーだが、
まだ“身の置き所を維持していた”
「家族の…」の主人公の能動的な生き様の方に
共感出来たような気がした。

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