「プラウベル・マキナ67とツォルフェライン・スクール」パレルモ・シューティング harayu.comさんの映画レビュー(感想・評価)
プラウベル・マキナ67とツォルフェライン・スクール
舞台はヴェンダース監督の故郷であるドイツはデュッセルドルフだけど、パレルモっていうのはイタリア。2011年公開(2008年制作)。
出演はミュージシャンとして活躍するカンピーノで眉毛が吊り上がりすぎなのがちょっと気になるけど、他にジョアンナ・メッゾジョルノ、死神がはまりすぎで撮影の2年後に他界するデニス・ホッパー。
さらには本人役としてミラ・ジョヴォヴィッチやルー・リード(幽霊?)も出演してる。
この映画はフィルム撮影で、その後すべてデジタル変換→加工処理という主人公のカメラマンの作品とまったく同じ工程で制作されているというのが2重にこの作品の厚みを増してる。
カメラマンである主人公は現実にはない世界を画像を加工して作り出したり、非現実的な広告写真をつくったりする売れっ子カメラマンらしくて、そのまんま非現実を行きてるというか生きてる心地がしないって自分でもつぶやいてるけど、それでさらに不眠症に悩まされてもいる現代っ子。
ひょんな事で死神を写真に撮っちゃってそれから死神に命を狙わるんだけど、なんなんだろ?この映画。
死神デニス・ホッパーが言ってるように"デジタルとか加工とか本質を映さないし混乱しちゃうんや!"っていうテーマなんだろうけど、いかんせん、とにかく主演のカンピーノの顔というか演技が気になってしまうので他の俳優だったらもっとよかったかも。
よくも悪くもヴェンダースが故郷に固執した作品かな。ただ見所はたくさんあってこれも建築映画として見ると楽しい。主人公が使ってるカメラはプラウベル・マキナ67(たぶん)というのにもこだわりが見えるし、主人公の事務所として使われてるのはSANNA(妹島 和世+西沢 立衛)設計のツォルフェライン・スクールもいい。