劇場公開日 2013年3月22日

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ジャックと天空の巨人 : 映画評論・批評

2013年3月21日更新

2013年3月22日より丸の内ルーブルほかにてロードショー

おぞましい民間伝承を基に描く、豪快な冒険スペクタクル

童話「ジャックと豆の木」の起源を辿るとイギリスの民間伝承に行き着く。いわれによって筋や展開は異なるが、いずれにせよ天高くには神の国があるとされた時代に「いいえ、それは巨人の国でした」だなんて、何と大胆な設定だったことか。

本作はその伝承の一つにアレンジを加え、おぞましい巨人が地を踏み鳴らし、青年と姫が勇気を奮い、兵士が勇ましく時の声を上げる冒険スペクタクルへと仕立て上げる。3D撮影による巨人たちのスケール感は豪快だし、天に向かってグイグイ伸びゆく豆の木は、二つの異質な世界の架け橋であるのみならず、映画を貫く創造力の起爆装置としても重要な役割を果たしている。

監督は「ユージュアル・サスペクツ」や「X-メン」のブライアン・シンガー。“疎外感”や“傷”をモチーフに作品を重ねる彼が、ファミリー向けの本作ではその作家性を、身分の違いを越えたボーイ・ミーツ・ガール譚として照射してみせるのも快い。

農民ジャックとイザベル姫は各々の境遇で親を失いながらも、決して冒険心を失うことはない。そんな二人がいつしか巡り会い、ここではない唯一無二の自分の居場所を見つけようとする顛末は、極めてシンガー的な語り口と言えるだろう。

かと思えば、欲望をこじらせ暴走する者も現れる。野心に満ちた伯爵が魔法の冠を頭上にかざし巨人たちを跪かせる様は、まるで「X-メン」のマグニートーのようではないか。

さすが幼少期よりこの物語に惚れ込んできたというだけある。本作はシンガー監督の原点ともおぼしき記憶を詰め込んだ、いわば壮大なおもちゃ箱。そしてこの映画を通し創造性の豆の木を昇りきった彼もまた、ひとりの“ジャック”と呼ぶべき存在なのかもしれない。

牛津厚信

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