ミッション:8ミニッツのレビュー・感想・評価
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もしもの世界。
多くのD・ジョーンズファンがおっしゃっているように、
私も「月に囚われた男」でやられてしまった一人である。
まぁ~泣いた、泣いた、心でむせび泣くっていうの?(古)
まさにそんな感じだったなぁーなんて思いながら観た本作、
やっぱりラスト近くではむせび泣き(T_T)、また同じだった。
本作もテイストはよく似ている。
なんですか、あの予告(だいぶ反響をよんでるみたいだけど)
映画通ほど…ってやつですね。そもそも映画通って何なの^^;
そう言われて「あ、はい私映画通ですから」と思える人は素敵。
私は通じゃなくてバカの方なので…じゃあどっちなんだろか?
と期待しながら観てしまった。結果は…う~ん泣かされた(爆)
ま~話の運びが巧い。
観客までも列車に同乗させ、主人公と一緒に犯人探しをさせ、
さらにロマンスまで絡める。かと思えば悲しい過去を露呈させ、
人生にやり直しは利くのか?という難問を突きつけてくる。
原題「ソースコード」、これはプログラムの中での出来事である。
テロによる列車爆破は起きた後、第二の予告テロを防ぐための
ミッションがこの8分間なのである。繰り返される転送と爆破、
このままずっと主人公は転送され続けるのだろうか、と考えて
より切なくなってくる観客に、少しずつ変わる環境を味わわせ、
待てよ、これって何とかできるんじゃないのか?ひょっとしたら
この乗客全員を助けることが可能なんじゃないのか?と期待を
膨らませる方法が巧い。結果、最後までミッションが展開する。
確かに人生、そうは巧くいかない(T_T)
理想(仮想・夢想・構想・妄想)と現実世界とは異なって然りなのだ。
人生のもしも。はどちらかといえば後悔の念が引き起こす。
もう戻らない時間や人間や物体をいつまでも追い求める脳内世界。
特に今回のようなテロにあっては、犠牲者の魂が救われないのが
何より辛い。博士が開発したこのソースコードの目的が犯人特定
に絞られることに対し、主人公が最も重要視するのが救済である。
この監督、こういった自己犠牲的なテーマをこれは如何にもという
目線でなく、ごくサラリと描いてしまうところがすごい。
なぜ大尉が選ばれたのか。なぜショーンの身体なのか。どうして
彼は父親と話がしたいのか。このミッションを成功させたいのか。
謎が謎を呼ぶ(考えるとキリがない)展開の中、物語は佳境に入り、
ついにラストの8分間へと向かっていくが。。。
ストップモーションの中、列車内に散りばめられた笑顔の光景は
おそらく誰もが今作の冒頭からは予想し得なかった映像だと思う。
J・ギレンホール(ホントに名画座みたいな名前^^;)
監督を逆指名し今作を作り上げたのだが、とてもいい演技を見せる。
一瞬しか顔を拝めないショーン先生(だったよね)が一番の犠牲者
(言い方が悪いかしら)では?という気がするのは私だけだろうか。。
いや違う、運命は、信じた方が勝ちなんだから。魂よ、永遠なれ!
(どの世界、どの時間、どの相手とであれ、幸せならばそれが一番)
「映画通ほどダマされる」に騙されないで😣
目覚めると別人の身体。
8分という限られた時間を繰り返し、列車爆破テロ事件の犯人を捜し出す。
斬新な設定と緻密に練られた展開で観る者を引き込むサスペンスアクション。
監督は「月に囚われた男」(09)で英国アカデミー新人監督賞に輝いたダンカン・ジョーンズ。
私が敬愛するデヴィッド・ボウイの息子サンです😂
父と暮らしていた監督サンは幼い頃から「全身全霊で情熱を傾けられる何かを人生で探しなさい」と言われていたそうです。(素敵に親父しているボウイに乾杯😂)
さて、日本公開に際して本作に付けられたキャッチコピー、
「このラスト、映画通ほどダマされる」
に、騙されないで下さい😅
本作は謎解き映画ではありませんし、映画通(寧ろSF通)ほど先の読める映画です😣
しかも、時間やパラドックスなどのSF要素を利用している為、完璧に人を選ぶ映画です💦
こうした挑戦的キャッチコピーや細かい矛盾を孕むSF要素がアダとなり、あちこちで酷評を招く作品になる事は間違いないでしょう😓
ちょっとした矛盾が気に掛かる方には少しも面白くない作品になってしまうかもしれません。
ですが、「怪獣や宇宙人もなし、ましてやアメコミや原作に頼らない」というSF好きや、一風変わったシチュエーションの映画が観たい、という方には持って来いの作品です。
状況設定が電車という限られた空間にも関わらず、登場人物が多い本作。
ほとんどが使い捨てキャラなのですが、終盤で彼等の存在がいい味を出してくれており、本作最大の見せ場になっておりました😂
昨今、ヴィジュアルに拘る監督が多い中にあって、人間性に重点を置く演出に非常に好感が持てました😂
しかも、70年代に大量生産された電車を扱う映画を彷彿させてくれる作品でもあり、オジサンでも安心して観れましたよ😅
全てにおいて、こじんまりした印象は拭えませんが、酷評を招く要素を含む作品としては良質な部類といえます。
脚本に惚れ込んだと語る監督は、下手に内容をいじりたくなかったそうですが、ダークでシリアスな展開だったので、主演のJ.ギレンホールと共同でユーモアを盛り込んでいったそうです。
そして、最も拘ったといわれている結末は当然、脚本にはなく、監督の頭に浮かんだ「これしかない」というアイデアを活かしたそうです。
結果として賛否両論を産み出すラストとなっておりますが、シカゴの街全てを映し込んでいる事で有名なオブジェ「クラウド・ゲート(三次元鏡面立体)」を効果的に利用しており、少し感心致しました😂
挑戦的なキャッチコピーや細かい事に頓着せず、気晴らし程度に鑑賞する事をお薦めしたい作品です✨
どう捉えるか
最後をどう捉えたら良いのだろう?そこがイマイチ難しいところだ…
全体的にはテンポ良く進んで、見応えがありました。現実に起きた事故前の8分間の任務。それを何度も繰り返して犯人を見つけ出し、次の犯行を未然に防ぐ。未来を変えるのであって、過去を変える訳じゃないはずなんだけど…?あのラストだと過去が変わっちゃってる気がするんだけど…しかも都合良く…。
でも、まぁ見応えある作品なので、どうぞ皆さん観てみて下さい。観る価値はアリます。
いいもの見た
サスペンスSFだと思って、犯人は誰なのか、主人公はミッションを成功させるのか?そもそもこの謎めいたシステムは一体なんだ?とハラハラしていると一転、人生とはなんぞや幸福とはなんだといったテーマが浮き彫りになった。とてもいいものを見た気分で映画館を後にしました。普段はそんなこと言わないんだけど、一緒に見に行った友達に、「急に怒るんじゃなくて、文句を言うにしても言葉を選んでお互いハッピーでいられるようにするべきじゃないか」と説教した。そんな事を言いたくなる映画だった。
1度見ただけではいまいち理解できていないです。
同じシーンの繰り返しでも微妙に異なる情報が入ってきたり
ジェイク・ギレンホールが学習していくことによって
話を転がしていくところは面白かったのですが・・・
わからないところが2つ。
ジェフリー・ライトが説明しているところが未だに理解できていないのですが
転送した先の人の記憶しかないのに、なぜ爆弾を見つけられたのか。
多くの人の記憶を頼りにシステムが補完していたから?
転送シーンですでにラストシーンのカットが挿入されていますけど
なぜ?
ミッションが新たにスタートするかのような音楽で
これからまた始まるのかと思わせるラスト。
これはループの映画だったのか???
どの瞬間、どの時点へ飛んだ!?
もう一度観ないといけないようです。
安心して観れる。
8分間の繰り返しを飽きさせない程度に上手く表現してるなと思いました。
観れば分かると思うのですが8分間の繰り返しのあとで、終わりかと思わず気を抜かないまま最後までしっかりと観ておく必要ありです!!
普通に安心して観れるし楽しめると思います
短くまとめて正解かと
「映画通ほどだまされる」ってCMでやってたので楽しみに観に行きましたが、正直騙されたとも思いませんでしたね。
話の内容だけなら「普通」の3.0点より少し評価して3.5点くらい。
ただ8分の繰り返しを、今流行の難しすぎる内容にしないで、次々に流して、途中はうまく省略して。飽きさせないつくりにしてあるのは編集がうまいって感じましたよ。
疑う材料をいっぱい盛り込んで、誰が犯人かまったくわからなくして、最後の最後でも全部種明かししないで、ネットの上で議論してね、みたいな作りだったらうんざりしてたと思う。
そう意味で、騙されなかったけど楽にスリルを味わえたので+0.5点で「4.0点」としました。
これ、94分でよかったと思う。
120分だったら退屈だったろうなぁ・・・。
「月に囚われた男」に続くSFスリラーの佳作
まず、導入部の撮影と編集の巧さに目を奪われる。美しく、そして鋭く、次のカットで何が起こるか分からない緊張感を呼ぶ。本篇への入り口は、列車の通過とのタイミングがドンピシャだ。新鋭のクリス・ベーコンが、これまたいいスコアを付けている。ここまでの数分で、ダンカン・ジョーンズの映画センスの高さが窺える。
本篇だが、ジェイク・ギレンホール演じるコルター・スティーヴンス大尉が、列車事故で亡くなった乗客のひとり、ショーン・フェントレス教師の意識にどうやって入り込むことができるのか、はっきり言ってその仕組みはよく分からない。本作の場合、ここは深く考えずに〈成るものは成る〉と割り切って見ないと、ストーリーに置いて行かれる。
ここは、列車爆破直前の8分が繰り返されるところに妙味がある。そう思ったほうがいい。
では、8分でどうやって爆破犯人の手掛かりを掴むのか?
その解答が、繰り返される8分の体験の蓄積だ。
列車に放り込まれるたびに、目の前にはミシェル・モナハン演じるクリスティーナがいる。毎回、戻るたびに彼女との会話から始まる8分。何もしなければ同じことが繰り返されるだけだ。
ところが、舞い戻るたび、コトは微妙に変化する。繰り返しの中で学習し、それが生かされていく過程が面白い。
さらに、この映画ではそこにもう一工夫を加える。
自分がなぜここにいるのか、なぜこのプロジェクトに参加しているのかという疑問を差し込む。実は、意識を他人の中に転送するというだけではSFとしては不完全で、ただのお伽話になってしまう。ここに主人公の存在意義を入れてこそ本物のSFとして成り立つ。同監督のデビュー作「月に囚われた男」も、まさに“自分は誰でどこから来たのか?”というテーマを持ったSF佳作だった。
小さなカプセルの中で何度も何度も死を繰り返す8分、自分の身はいったいどうなるのかという不安が膨らんでいく。
外界とのコンタクトはヴェラ・ファーミガ演じるコリーン・グッドウィン大尉だけだ。彼女の存在が大きい。ときに、人として判断に躊躇する姿は、唯一、人間味のある人物として癒される。
そしてSF作品として成功させるラストのひと捻りも怠りない。ここでは内容を伏せておくが、自分の研究成果にしか目をくれないラトレッジ博士に対して、コルターがある決断をするとだけ言っておこう。
94分という上映時間が120分にも感じる密度の高さは「月に囚われた男」と同様で、SFスリラーにおけるダンカン・ジョーンズ監督の才能を確固たるものにした。
コンパクトだが中身がギッシリ詰まっている感じの映画
『インセプション』程複雑では無い。しかしラストの予想不可能で楽しさ8倍!
最近は120分を超える大作が目白押し、しかもその殆んどが長くつまらない映画!しかしこの作品、尺はコンパクトでエコ的だが面白さはダイナミックな驚きのジェットコースター映画だ!
と言ってもこの映画舞台の殆んどが、列車の中の出来事。つまり有る意味での密室劇なのだから、観客を飽きさせない工夫が全編に散りばめられている秀作と言える。
舞台はシカゴ近郊に到着した長距離列車に時限爆破装置が取り付けられる。
そして事故が起きてしまうのだが、その爆破犯人をその列車の乗客の一人の過去の記憶に入り込み犯人を捜査すると言う摩訶不思議な捜査法を行うと言うストーリーなのだ。
やや物語は複雑ではあるが、過去にさかのぼり起きてしまったテロによる列車爆破事故をその事故の発生前の過去に戻って犯人を捜し出し、列車事故発生後である現在以降に起きるであろう、近未来の爆破事件を過去から犯人を割り出し、未然にテロ事件の発生を防ぐと言うものだ。アインシュタインの唱える相対性理論では光速が最も早いと言われていたが、現在では光よりも早い存在がこの世に存在しているだろうと言われ、正確に時間軸はどう存在するのだろうか?量子力学など苦手な私には正直良く理解出来ない分野であるが、割とこの手の作品は昔から多数有るのだ。これらはきっと謎を究明すると言う人間に備わった好奇心を呼び覚ますもののようだ。
実際にこの様な研究開発が何処かの国で、誰かの手により事実行われているのか否かは決して解らないが、好奇心のアンテナが全開する。
この真犯人究明の為に幾度も記憶に戻るので、同じ映像が展開されるのだが、少しずつ変化し続ける状況を見せる事で、真犯人捜査を主人公と同時に観客を巻き込んで行くと言うもので、最後まで目が離せないのだ。デビット・ボーイの息子であるダンカン・ジョーンズと言う監督の前作『月に囚われた男』を未だ私は観ていないが、このD・ジョーンズに私は囚われた男の一人かもしれない。これからの作品が楽しみな監督さんである。
僅か90分の映画で何度同じ様なシーンが繰り返されたのかカウントしていないので不明だが、本当に8分刻みで繰り返されていたのかさえどうでも良い程に気にならなかった。
この映画では列車がシカゴ駅に到着直前に爆破され、シカゴの街中で再びテロ事件の惨事を未然に阻止すると言うものだが、このシカゴと言う都市は私の記憶に間違いが無ければ確か全米一の飛行機の1日の離発着機数が多い空港のある都市だったと思う。
NYで発生した世界同時多発テロ事件から丁度10年目を迎えた今年、あのテロ直後より米軍のアフガン介入に始まりイラク・アフガニスタン戦争で、今年の年末ようやくイラクからの撤退を表明したオバマ政権であるが、テロと戦争の悲劇をこんな形で描く作品も珍しいと思う。
主人公の米軍エリートのスティーブは、幾度となく戦地に派兵するが、最後の派兵となるその前に父と口論したままで戦死した事を知る。
そしてこの列車で過去にさかのぼる過程で、父との喧嘩別れを許して欲しいと友人に成りすまして電話で伝えるシーンが切なくて忘れられない。私も父と死別2日前に口論したままで謝る事も出来ないままに別れた事が20年近く経つ今も悔やまれる時がある。私にもこの映画みたいに過去に戻れるなら、過去で起きた事実をたとえ取り消せなくても、新たに今のこの気持ちを伝える事が出来るならどれだけ嬉しいか!人は身近な人を大切にして生活し、決して照れずに素直に自分の気持ちを速やかに伝え続けると言う事の必要性をこの作品で教わった気がする。明日に延ばさずに、家族に感謝の気持ちを伝えて欲しくなるそんな作品だ。
軍の女性と列車の女性を交代した方がいいかも
水面を飛び立つ鳥から列車の爆発につながる。ミッションの度にこれが繰り返されると、ちょっとウザイと思ったがほどほどだったのでよかった。
プロジェクトを指導した博士は「これはタイムトラベルではない。並行世界へのアクセスだ」と言う。GANTZの世界観に似ている。
無数に分岐した世界が並行しているのだ。たとえば、列車は爆発しシカゴも爆破される。また、列車は爆破されるがシカゴは救われる。列車もシカゴも爆破されない。スティーヴンスにしてもスティーヴンスとして生きる世界もあれば別の人間として生きる世界もある。また、死んでしまう世界もある。無数に分岐した世界が同時に存在するのだ。おそらく、ひとつの個体は複数の世界を行き来することはできない。だから、ひとつの個体は今いる世界が唯一の世界だと思う。
あの時ああしていればこうしていれば、今頃どうなっていたろうと考えてみるのもいいかも。でも、考えすぎると疲れるからほどほどに。
騙されずとも満足します。
映画通ほど騙されるのあおりに警戒しつつ鑑賞。
楽しんで鑑賞できましたが、キャッチ少し熟考あれです!!
相変わらず濃い顔のジェイク・・ながら程よく力演。
それよりナイスな女優のキャスティング
ミシェル・モナハン&ベラ・ファーミガが良い
ジェイクの濃さを相殺。
話が進むうちに手の内が見えてきますが、
程よい尺と押し過ぎなさ
さすが評価上げのダンカン・ジョーンズ
次回作も楽しみです。
監督、上手いなぁ~!
列車爆破テロ犯人を捕まえるべく、爆破8分前に遡り、乗客の意識に入り込む、ジェイク演じる大尉。
いきなり列車の中で目覚める所から始まる。
ジェイク自身、自分の置かれた状況が分からない。
それを見る私達も同じくわからない。
ストーリーが進むにつれ、自分の置かれた状況がわかってきて、同時に私たちにもわかるようになっている。
同じシーンが繰り返し、繰り返し行われるが、状況を掴むに従って、次の一手を打つことができるようになる。
あまりにテンポ良く他人の意識内に潜入するので、「ジェイクの体は大丈夫なんかなあ~?!」と心配になる。
が、終盤、≪そうだったのか~!≫と納得。
父に電話もできず、せまいカプセルに閉じ込められ、それでも、今この時を精一杯生き抜くんだ!というチカラ、力。
とても優しくて、力強くて、信念を持っている。
そんな温かい心に触れたら、普通の人間なら、手を差し伸べるだろう。
クライマックス、いいなあ。
こういうの、好き。
ラストは、「エエ?! そうなの?!」
ということは・・・
あの時ああだったから、今はこうなってるんかいな・・・?!
ちょっと謎だ。
しっかり理解できていない。
あっ!そうか。難しく考えなくていいのだ。
あの時こうなったから、今はこうなってるのだ。
犯人探しの謎。
ジェイクの謎。
クリスティーナとの未来。
パラレルワールドで起こるねじれ。
孤独な男の心理をとても上手く表現していたと思う。
ダンカン・ジョーンズ監督、上手いなあ~!
エッ! パパは、デヴィッド・ボウイなの!
楽しめました。
「映画通ほどだまされる」という煽りには映画通ほどだまされない
ダンカン・ジョーンズ監督、「月に囚われた男」に続いて独特な世界観、限定された状況下での物語の展開がうまいです。
繰り返される部分もしつこくならず、適度にサクサクすすむし、ラストも人によってとらえ方がいろいろありそうでよいです。
「もしテロがなければ…」という世界は、やはりどうしてもあの9・11テロがなければ…という思いにもつながるのかなと想像してしまいます。
作戦・実験のために植物状態で生かされているスティーブンスを生かすか死なすかの部分で人の命の尊厳を問い、そして「もしテロがなかったら」の世界でスティーブンスは光と笑顔に満ちている。
なにやらじんわりと考えさせられるラストでした。
しかし「映画通ほどだまされる」というCMの煽りは、「たぶんそういう映画じゃないだろうけど、まあ、苦肉の策でこういう方向で宣伝してるんだろうな」と思っていったので、特になんとも思いませんが。
だまされる云々の映画じゃないですよね。シャマラン作品じゃないんだから。
いろいろ日本の映画の宣伝をみている映画通ほど、この煽り文句にはだまされないんじゃないですかね(笑
今年一番の映画です
量子力学をある程度勉強したことがある人ならすんなり受け入れることのできるラストです。実はこの宇宙もこの映画のラストと似たような事象から誕生しているのかなぁ?今年映画館で20本ほど映画を見ましたが、今年一番の映画でした。序盤から画面に釘付けであっという間の92分でした。
あまりに切ない状況の中で
冒頭の美しい空撮からその世界に引き込まれ、堪能しました。
死が確実な乗客達に繰返し出会う、あまりに切ない状況の中、主人公の心の動きも彼の推理もすんなり入ってきました。登場人物にずっと共感し寄り添える緻密で丁寧な語り口は、無駄口があんまり無くて品がいいんです、上手いものです。
その割に博士のザッパリした描きよう、とってもいいです。
キャスティングも良く考えられていて、隅々までピッタリでした。
スティーブンス大尉を演じたジェイク・ギレンホール、すごく良かったです。テンポがゆっくりの時こそ彼の真骨頂、温かさが心にしみます。
せっかくディズニー配給で広く公開されるんだし、もっと間口が広くなるようなキャッチコピーなら良かったですね。
久しぶりに満足
予備知識なしで思い付きで観てきたので、もっとアクションとか想像してましたが全然違ってなかなか良かったです。
推理的なものに期待する人はいまいちなんだろうけど、この映画の主人公にとっては犯人なんかどうでもいい!
途中の脱力感や最後のミッションに対する思い入れなど、見せ方が上手いです。
下手にダラダラしてなくてちょうど良いかも。
最後の主人公の選択が本人にとって幸せなのか、そうでないのか…
考えると自分的には悲しすぎますが、人間の尊厳なども含めて考えさせられる映画です。
映画通ほど…!!!!
良い意味であざとい作品です。
小粋な単館系の様相というか、お軽い小品のフリした、かなりの爆発力秘めた大作だけど、それをオクビにも出さず、素晴らしいストーリーテリングをわざわざサプレッサーで消した様な、大人しめなトーンというか。
微妙なさじ加減で観客を満足させてしまう、唸らせてしまう、この作風の妙味というか。
醸しの巧みさ。
要するに、タマランのですよ、この映画。
ダンカン・ジョーンズ監督の長編二作目。
前作「月に囚われた男」で独自の世界観を提示し、世界の映画ファンを唸らせて、しかも親父はデビッド・ボウイという!という!
いやー、いやいや。この人、本物です。
物語の筋書きをここで語っても仕方ないので省きますけど、SFをこうやって語れる人は、今の映画界隈で彼しか居ないんじゃないか?と思ってしまう。
これは自分の場合なんですけど、どの映画も程度の差こそあれ、映画鑑賞中はスクリーン眺めてる自分を俯瞰、客観視してるもんなんですけど、これに関しては中盤辺りから、物語に完全に没入してました。夢中でしたね。
きっちり、ラストの締め括りまで胸踊らせてました。
ま、あのラストがベストか分からないし、「映画通が騙される」って煽りはどうかと思いましたけども。
でも、あのラストは、うん。素敵でした。
ハッピーでも、アンハッピーでもない。けど、相当な満足を得られるのは確実なラストでした。
良かった、マジに。
『映画通ほど“観て欲しい”』―そう思わせる映画でした。
映画通ほど騙されるのではなく、映画通だと自覚させる映画
乗員・乗客全員死亡の凄惨な爆破テロの実行犯を探すため時空を超えた捜査に命を懸ける物語は、当初、デンゼル・ワシントン主演の『デジャヴ』を思い出した。
被害者のヒロインと恋に落ちる哀しいロマンスも酷似している。
しかし、今プロジェクトは人体実験の趣が強く、冷酷に進められ、明確に違うデジャヴを形成している。
相違点は主に3つ。
1:自らの志願ではなく、いつの間にか強制的にトラベル執行され、標的を見つけなければ、何度も繰り返される。
2:犯人が解ったとしても事実は絶対に変更できない
そして、最大の要素は
3つ目の
《遡るのは自身の体ではなく、脳波に適した被害者の肉体に憑依するシステム》という点である。
なぜ、自分自身の体ではなく、赤の他人で戻らざるを得ないのか?
謎だらけの作戦が事件を追うに連れて真相が明らかにされていく。
美しいヒロインとの出逢いと別れが往復する度に互いの振り回される運命に虚無感が瓦礫の如く募る。
よって、謎解きの要素は、理不尽なプロジェクトの構造にほとんど費やされており、犯人探しを楽しみにしている客には衝撃波は弱い。
タイムトラベル、テロ事件、恋物語それぞれにおいて充実していた『デジャヴ』に較べると、どうしてもインパクトに欠けてしまう。
オリジナリティの薄さが物足りない要因に繋がっているのは致命的ではなかろうか。
つまり、キャッチコピーの《映画通ほど騙される》という文句は今作には当てはまらない。
テリー・ギリアムの『12モンキーズ』
ジュネの『ロストチルドレン』
ロバート・ゼメキスの『バックトゥザフューチャー』
etc.脳と時空を扱った一連の作品の手法をなぞったうえでのオチだからだ。
正確には、映画通は騙されるのではなく、映画通だと自覚する映画の方がしっくりくる。
もしくは、映画通だと思い込ませる映画だ。
それを我々、医学用語で《洗脳》と呼ぶ。
byケーシー高峰
脳を洗う。
凄い言葉だ…。
主人公も客も己の脳を洗う意味を考えさせられる。
結論的には、そんな映画なのかもしれない。
では最後に短歌を一首
『炎(ほむら)起つ 車窓行き交ふ 残像の 迷宮は問ふ 刻む運命(さだめ)を』
by全竜
くどいリフレインシーンに耐えられるかどうかがポイントですね。
この作品、映画通ほど意味不明に追い込まれる作品かも知れません。他人の意識を取り込み再現するドラマとしては、インセプションに近いと思います。
死者の死亡時の脳は死ぬ直前8分間の記憶が遺されているそうなのです。本作は、ハイテクで、その記憶を別な人間に取り込んで再現して、犯人を特定。次のテロを未然に食い止めるまでを描いた作品でした。
けれども、そういう設定を一切説明せず、爆破される列車の8分前の車内から描かれるので、最初はなんでリフレインするのか、訳が分かりませんでした。ある程度予習の必要な作品です。
この8分間のリフレインが曲者です。何度も体験することで、手かがりを得て記憶を蓄積、犯人とテロの真相に近づいていくのです。まるでタイムスリップやパラレルワールドといったSF映画の手法を取り入れて、少しずつ手かがりとなる映像を追加していく映像は斬新です。しかし、余りに同じパターンが繰り返されるので、小地蔵は途中で飽きてしまいました。もちろん、途中で主人公の靴にコーヒーがこぼされたりするシーンなど、微妙に変わっていくところなど、間違い探し的な興味が掻き立てられるかもしれません。
そんな余裕も、最初に何が起こっているのかアウトラインが分かれば出てくるというもの。消化不良に終わった作品でした。
さて物語は、シカゴに向かって行く列車の車内から始まります。アフガンに赴任していたはずの陸軍大尉コルターは、なぜ自分がこの列車に乗っているのか分かりません。そして、座席に向き合って見慣れない女性が親しげに声をかけてくるのです。その女性は、自分のことをショーンと呼ぶのです。
何のことだか気持ちが動転した、コルターは、トイレに駆け込むと、鏡映る自分の姿に驚愕します。そこには、全く別人が映っていたのでした。
所持していた身分証明書には、“ショーン・フェントレス:教師”と記されていました。そのとき突然、車内で大爆発が発生。なす術もなく炎に飲み込まれていったのです。
何のことかさっぱり分からぬまま、場面はいきなり暗転。コルターはコクビットのようなボットのなかに閉じ込められていました。ボットをオペレーションするグッドウィン大尉とのやりとりで次第に自分が負っているミッションを思い出していきました。
列車をねらった爆破事件が発生し、乗客は全員死亡。しかも犯人からは、次なるテロの予告が送りつけらていて、一刻も早く犯人を逮捕するための政府の極秘の計画に、コルターは選ばれたのでした。それは、列車爆破事件の犠牲者の“死ぬ8分前の意識”に潜入し、犯人の手がかりを捜すことだったのです。コルターは、犠牲者の体を借りて再び列車内の捜索を開始します。そしてまた死ぬ8分前の映像がリフレインしていくのでした。
ドラマのポイントは8分間という時間の壁。秒刻みのミッションが、緊張感をかき立てられます。爆破時間になると決まってポッドに引き戻されるというお約束。ポッドと列車内と研究室の限られた空間のなかで、リピートしながら少しずつストーリーを変化させていくのは、ミニマムな場面設定を構築していくジョーンズ監督のお得意の手法です。テクノロジーに翻弄される生と死のテーマややるせない情感などと相まって、前作の「月に囚われた男」と同じテイストを色濃く感じました。
展開を積みかさねるなかで、コルターに心境の変化が表れます。列車で共に旅しているクリスティーナに恋心が芽生え、救いたいという渇望に変わっていったのでした。しかし、コルターが爆破を回避できたとしても、乗客全てが死んだ現実は変わらないはず。
またコルターは、クリスティーナにアフガニスタンに向かった自分がどうなったか調べて欲しいと依頼します。コルターの念いが叶ったとき、何が起こるのかは見てのお楽しみに。この秘密計画の全貌が明かされるラストには驚かされてしまいました。普段映画を見ない人であれば素直に驚くでしょうけれど、映画通だとかえってこれまでの伏線の整合性に考え込む終わり方でした。
あれってどういうことなのか、これからご覧になる方にぜひネタバレをお願いします。
全142件中、121~140件目を表示