劇場公開日 2011年8月27日

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ゴーストライター : インタビュー

2011年8月24日更新
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ユアン・マクレガー、名匠ポランスキーの演出方法に強く共感

「戦場のピアニスト」でアカデミー賞監督賞を制した名匠、ロマン・ポランスキーの5年ぶりの新作「ゴーストライター」が、8月27日に公開となる。ロバート・ハリス原作による、トニー・ブレア元英国首相をモデルにした政治的な内容や、映画製作中に監督が仕事で訪れたスイスで身柄を拘束されるなど、いろいろな意味で話題を集めた作品は、硬派でありながらもヒッチコック映画を彷彿(ほうふつ)させる極上のエンタテインメントに仕上がっている。主演を務めたユアン・マクレガーに、本作の醍醐味について聞いた。(取材・文/佐藤久理子)

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主人公は、他人に成り代わり文章を代筆する“ゴーストライター”。友人のコネでイギリスのラング元首相の自叙伝の代筆を引き受けるが、前任者が不可解な事故死を遂げたことを知る。やがてその謎を追求するうちに、ラングの隠された陰謀の秘密に突き当たり、後戻りできない状況に追い込まれていく。何気ない描写に不穏な空気を漂わせる心理的な演出と、緊迫感に満ちた音楽がサスペンスを盛り上げるなか、マクレガーのときにユーモラスでもある存在感がかえってリアルな恐怖をかき立てる。

——政治的な要素と、ヒッチコック映画的な娯楽スリラーの両方を兼ね備えている作品ですが、あなた自身はこの映画をどうとらえていますか。

「僕は政治的な映画として見ているよ。政治家について描き、とても辛らつなコメントをしているポリティカルな映画だと思う。政治家が常に本当のことを語っているとは思わないし、この映画のようなことは現実にも十分に起こり得るだろう」

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——対テロ戦争に関する不正行為で捜査を受けるラング(ピアース・ブロスナン)は、明らかにトニー・ブレア元首相をモデルにしていますよね。ポランスキー監督の狙いも、政治的な要素にあったのでしょうか。

「そう思うよ。だってこの映画を見た人なら誰でも、ラングはブレア以外の何者でもないとわかるからね。誤解の余地がない(笑)。それは監督がこの映画を作る上でのステートメントと言えると思う」

——この作品が出来上がる前にポランスキー監督がスイス当局に拘束されましたが、実際どのようにして作品が完成したのでしょう?

「撮影は全部終了して、ポスト・プロダクションも90%以上終わっていた。残りはスタッフが弁護士を通して彼にコンタクトをし、遠隔操作を受ける形で終えたらしい。ロマンはとても緻密な監督で、カメラのフレームからセットまですべて自分で決める。『自分はすべてのパートにおけるフィルムメーカーなんだ』とよく言っていたよ。監督によっては指示を出したらあとは各部門にお任せって感じの人もいるけど、彼は絶対そんなことはしない。だからこの作品も完璧に彼の望んだ通りに仕上がったことは断言できる」

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——彼自身優れた俳優でもありますが、役者の演出に関してはいかがでしたか。

「正直に言って、彼のような伝説的な監督と仕事をすると考えただけでもナーバスになったし、スリリングだった。彼はスタッフや俳優にすごくハッパをかける。歯に衣を着せず、自分の欲しているものを率直に言う。その分、慣れるまでは不安な気持ちにさせられた。俳優にはエゴがあるからね(笑)。でも彼は誰に対しても同じ態度で、それは彼が望むもののためなんだということが一度理解できると、とても解放された気持ちになった。僕は彼のスタイルが気に入ったよ。監督は演出をするのが当たり前だけど、彼の場合は本当にこっちが演技について学んでいるという印象で、その感覚はこれまで味わったことがない独特なものだった。その意味で彼は僕と同じぐらい僕の演技に責任がある(笑)。僕の演技がよくなかったら半分はロマンのせいだ! 彼はまさに母親のような存在だね。いろいろうるさいことを言われても、それはすべて理屈にかなっているんだ(笑)」

——最近はマイク・ミルズの新作「Beginners」で彼の分身と言える役柄を演じていますね。スター・ウォーズ新シリーズ以降、意図的にインディペンデントな作品を選んでいる印象を受けますが、そんなことはないですか?

「これまではむしろチャンスやタイミングによるところが大きくて、自分からキャリアのことだけを考えて役を選んできたわけじゃない。でも最近は、いまどんな監督が面白いのか、どんな新しい人材がいるのか発見することに興味が沸いてきたんだ。たとえば最近、ギレルモ・デル・トロが製作してJ・A・バヨナという若い監督がつくった『永遠のこどもたち』を見たんだけど、すごく面白かった。これからはもっと積極的に新人監督と仕事をしたり、やりたい作品の企画を考えたいと思っているよ」

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