天地明察のレビュー・感想・評価
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久しぶりに余韻に浸れた
原作、コミック未読で鑑賞(2012/09/22)
久しぶりに余韻に浸れた、見応えのある映画だった。
とても丁寧に作られていて、
突然出てくる登場人物については、最初は戸惑ったが、
無駄のない脚本と構成のおかげで把握できる、
なんとかついていける許容範囲。
原作の長編を2時間半に集約していることを考えると
さらに作品の丁寧さが感じられる。
原作を読んだ人と読んでいない人との温度差はあるのだろうけど、、、
純粋に楽しめる映画。
『あ~映画っていいなぁ』
「日知り」=「聖」かな
天文ドラマなら★4つ、男と女のドラマとしては★1つ
江戸時代の前期に四分儀を使った北極星の観測を全国に亘って行なっていたことに驚く。算術のレベルもすごい。
普段、何気なく使っている暦が生活に及ぼす影響も改めて考えさせられた。
天体の知識が充分でない時代に、正確な暦を作ることの大変さがよくわかる。
そして、暦が正確になることは万人にとって喜ばしいことだと思えば、利権絡みで良しとしない連中もいる。なかなか難しいものだ。
予告篇で笹野高史と岸部一徳が膝を高く上げた歩き方をしていて妙だと思っていたが、歩数を数えて移動距離を算出し北極星の見える角度を予測する遊びだったとわかる。なかなかに昔の人は賢く、また大らかに星々を見つめていたことに感心する。
もともと算術と星に興味をもつ碁打ちの算哲が、本格的な天体観測を通して新しい暦を作ることに没頭する姿はよく描けている。算哲を取り巻く人々もキャスティングがいい。
これが単に天文ドラマならいうことはない。
だが、この物語にはもう一つの軸がある。
算哲が天地の動きを明察したのと同様に、自己の伴侶として誰がふさわしかったのかも明察したという男と女のドラマだ。
えん(宮崎あおい)が影に日向に算哲を支えたことは分かるが、なぜ算哲はえんだけを見つめてきたのか、ほかの婚姻を乗り越えてまで添い遂げたエネルギーはいったいどこからきたのか、そのあたりが希薄だ。燃えるような男と女の情熱が伝わってこない。
原作ファンですが、思っていたより良かった。
僕は普段、小説は2回も読めばいいほうなのですが、天地明察だけはすでに5、6回は読み返しているほど好きな小説なんです。
なので、天地明察が映画化されると聞いたときから、『必ず映画も観に行こう』と決めていました。
しかし、いざ公開されてからこちらのレビューを読んでみると、『あぁ、やっぱり観に行かない方がいいのかもしれない。』と、これまでも好きな小説が映画化される度に期待が裏切られてきた経験が頭をもたげ、なかなか劇場に足を運ぶ事が出来ませんでした。
しかし、今日、意を決して劇場へ足を運び、観てきましたよ、天地明察。
僕の第一印象は『あれ?聞いてたよりいい出来じゃない笑っ』でした。
不満があるとすれば以下の数点です。
①『こと』を出して欲しかった……渾天儀を『こと』が抱くシーンは、算哲と建部との約束が成就する、作中最も感動的なシーンの一つであるだけに、そのシーンが無いのはとても残念でした。
②酒井……出番なかったね……
③余計な襲撃シーンいらないから、それよりも原作の良いとこ盛り込んだ方が良かったんじゃない?
④算哲がキレる描写は、なんかそれまでの算哲のャラ壊をしてるのと違いますか?
と、こんなところでしょうか。ラストが原作と全然違うところはご愛嬌、むしろ、尺の短い中で無理やり原作と同じラストシーンにしようとして失敗している他の作品よりは良かったのでは?と思います。
後は、他の人が言う通り、原作を読んでいないと何の事やら分からない場面なんかあったりしましたが(光圀と算哲がテーブル挟んで話してるとことか)、結果的には思っていたより楽しめる出来にはなっていると思いました。
すごい人がいるんだなぁー
岡田kun、あおいchanファンなら観て申し分ないです!
本題の映画内容ですが、私は原作を全く知りませんが、楽しめました!
ひとつ言わせていただくなら、後半から締めにわたる部分にもう少し魅力が欲しかったかな〜とちょっと感じるぐらいで、映画館で観て良かったと思います!
良かったと私は思う
ここのレビューを読んで評価が低かったのであまり期待はせずに見に行きました。ですが、思ったほど悪い映画では全然ありませんでした。
日本の良さ、文化綺麗に描かれていた気がします。私は原作は読んでいないのでなんともいえませんが、これより原作が数倍いいという評価もレビューにかかれていた方もいたので読みたくなりました。
映画としては一人の人の生涯を描くのは確かに大変なことだと思います。それをよく二時間ちょっとでまとめたなと思いました。私は宮崎あおいちゃんファンなのでとてもスッキリして見終われました。
レビューに流されずに見てもらいたいですね
岡田君、あおいちゃんのファンにはお勧めの映画!
この作品の印象を一事で述べるなら、ラブコメだ。
岡田准一演じる安井算哲の物語と言うよりも、宮崎あおい演じる、えんの可愛らしさ満開!の映画で、その二人を見守り、応援する村瀬塾を営む佐藤隆太の物語だ。
そう、良く考えてみれば、本作の監督は滝田洋二郎監督なのだから、コメディー映画タッチになるだろう事を予測出来ずに観に行ってしまった、私自身の失敗したパターンでした。映画館で何度か観た、予告編では、わりとシリアスな感じに観て取れたのだが・・・
やはり予告編は巧く作りますね!予告では安井算哲の命掛けの仕事人生が描かれる、ロマンを感じる気がしていたのだ。
私は原作を読んでいないのだが、日本で初の天文学者・安井算哲の物語となれば、私同様に、もう少しシリアスタッチの映画のイメージを抱いて映画館へと足を運んでしまう人々がいても自然の事と思うのだが、どうしても今の日本は、映画も、TVもお笑い路線ばかりにしてしまう傾向が強く、これも時代カラーで我慢しなければならないのだろうか?
中井貴一演じる光圀が庭で、人生50年と舞を披露しているシーンが有ったが、この時代は正に人生50年で、今日の日本人と平均寿命が違うため、当時の人々は皆今日の人と肉体年齢が同年でも、精神年齢はずっと高く、大人なのだ!何しろ50年で人生が終わってしまうのだから、その短い人生の時間の中で、何を自分はその生涯で成し得る事が出来るのかもっと日々を大切に生き、もっと真剣に考え、1日1日を江戸の人々は大切に生きていた事だと思うのだ。余りにも軽薄な感じだ。
当時は鎖国していたとは言え、オランダなどから来ていた、外国人の文献では当時の日本人の精神性や、文化水準や、倫理観や教育水準の高い事が記録として残っているのだ。
映画として面白味を演出する為か、伊藤重高孝と建部昌明との測量の旅の様子などは、全面コメディータッチで描いているが、これはコミック漫画では無く、実写の時代劇なのだから、ここまでいくと、観ていて腹が立って来てしまう!
折角の良いセリフが生きてこなくなり、セリフを言っていても、何の重みが無くなってしまうのだ!これは役者の芝居の問題では決してない。
江戸幕府政治も安定したこの時代、今風に言えば「平和ボケ」して命掛けで、何か世の為に、後世の人々の為になる事を成し遂げようと、真剣に生きようとする者がいないと嘆く光圀が、今の日本を観たらどう思うだろうか?
数億円の製作費を投じて制作される映画なのだから、皆、命掛けの真剣勝負をして制作に当たっている事は事実だろうが、この様なコミック漫画タッチの時代劇からは、何の気迫も感じられない!みな良いキャストを揃えていながら、残念な限りだ!
公開5日目だと言うのに、映画館には観客は私を含めて8人しか居なかった。
「おくりびと」も最初はガラガラだった。この映画には、「おくりびと」のような奇跡は起こるのだろうか?この映画がヒットしたなら、それこそ本当の奇跡だ!
原作ファンには不満 初見には説明不足
原作が好きでかなり期待を持って劇場に足を運んだ為、少し辛めの評価かも知れません。
役者さんの演技や、音楽、美術については特に文句のつける所は有りませんでした。特に、作中に出てくる観測設備等は実際に映像として見れて良かったです。
ただ、脚本・演出面においてはかなり不満が残ります。
原作の通りであれとは思わないのですが、エピソードの選定、つなげ方、オリジナルエピソードのどれもが、細かく変えてある割りにかみ合ってないので、なぜそんな変え方をしたのかと思ってしまいました。
恋愛面と暦改変のどちらかをメインに据えられればもう少し印象が変わったのでしょうが、両方入れてどっちつかずになった感が否めません。
というか、恋愛面を盛りすぎた為にメインの暦改変ストーリーに割く説明量が不足したように見えました。
恋愛面は別に削ってしまっても良かったのでは?
(えんのキャラクターも変わっていた事によりエピソードとの絡みが微妙にずれてしまいましたし。良妻賢母過ぎて、とても縁談を悉く断られるようなキャラには見えませんでした。)
暦改変ストーリーをメインとして見るには、全体的に駆け足でした。
特に、幕府と宮中との関係性や、碁打ちであるはずの算哲の微妙な立場などを、映画の中で読み取るには事前知識が無いと無理があると思います。
登場人物達の関係性の描写不足で、感動シーンであるはずの場面で白けてしまいます。
あと、謎の襲撃事件はいらなかった。
個人的に一番納得のいかなかったのは、算哲→関への問いの誤謬が関からではなく、旅の途中で判明すると言う形に変更されていた事でした。
(後の暦改変への執念に関わる)主人公の算術に対する情熱を一番表しているエピソードだったのに、ショックから立ち直るのが早すぎて、関との関係性までもが軽く感じられました。
全体的に大事なのはどこ?と言いたい具合のぼやけ具合でした。
滝田監督…ほんと日本人が好きですね(笑)
自分は原作も漫画も読んでません。
よく原作付きの映画だと読み手のイメージが付きまといます。
評価のハードルは原作や漫画を読んだ方の方が高いんでしょうね(苦笑)
自分は映画館の予告だけで選んで観させていただきました。
勿論原作者の沖方丁さんは知っていますが「天地明察」は知りませんでしたので作品知識は予告だけで鑑賞しました。
まぁ滝田洋二郎監督の作品は「おくりびと」をはじめ何作か観てますが…
さて本作の個人的評価は[4.5]を付けさせていただきました。
江戸時代の鎖国の世を舞台に暦を創り上げる人々の物語をV6の岡田准一をはじめ様々な俳優陣で織り成されていく。
緻密なセットや時代背景に考証が話しを盛り上げ、要所に用いられる久石譲の澄んだ音楽が天空の広がりを感じさせる。
それらをまとめ上げる滝田監督の日本文化…いや日本人を魅せる才能に拍手!
作品が取り上げる世界を伝え、人々の想いを伝え、コミカルも加えつつ感動と涙を与えてくれたエンターティンメントな本作品…自分は好きになれました。
期待してませんでしたが
原作大好きでコミック版も本当に素晴らしい出来という視点から、「これはあまりいただけません」です。
そして、別に原作通りにしなくてもまったく構わない派です。
各俳優さんたちの演技はともかく、演出がミスマッチで感覚が古い気がしました。
熱いヒューマンドラマに持ち込みたいのか?の様な描き方が随所に有りで、私には微妙に感じられました。
それから、原作の非常においしいセリフを多用していましたが、単独でそれは生きないでしょ?というものが目立っていました。
カットせざるを得なかったのであろうというのは解りますが、それならばどこかで巧く折り合い(カットするか、まったく違うものにするか、など)をつけて欲しかったと思います。
キャラがともかく宙ぶらりんで、個性が生かされなかったのも残念。
算哲とえんの関係性もキャラが変更(特に、えんは原作が好きなだけに超不満)されていた為にありきたりで、つまらなかったです。
観た後、殆ど「うきうき」とか幸せには浸れませんでした。
原作ではあんなに読後感が良かったのに、欠片も無い、何かただ映像化されただけみたいな感じでした。
良かったのは、大道具や小道具が、想像の域から映像になって見られた事でした。
原作を読みましょう!
(原作本未読。ほとんど事前知識なく鑑賞)
評判の原作本の映画化というふれこみと、
監督:滝田洋二郎、音楽:久石譲、そして豪華キャスト陣。
力(金)の入れ具合から、
面白い映画なのではと、
期待して初日に行きました。
鑑賞後の感想は・・・。
率直に言って、「原作はきっととても面白いのだろう」
なということ。
観終って、これだけ力をいれた作品であっても
「こんなもの?」という感じだったこと。
映画化としてはかなり難しい部類に入るお話なのでしょう。
だって「天体観測」のお話ですから。
映像作品として観終わって、
とくに読後感(?)もなく、
長い映画だったなあ、という感想しかありませんでした。
はっきり言えることは、娯楽映画作品化の宿命で
無理やり感がはっきり見えること。
ラストの日食のシーン、切腹間際で欠け始める?
これはないでしょう。
ドラマちっくに作ろうというのは無理がありすぎ。
やはり、こんなに力をいれてでも映画化したい位
「面白い原作」を読むのが
一番なのかなと思わされました。
是非、時間作って読もうっと!
暦、囲碁、算術と動きがなく、映像で表現しにくい題材を、違和感なく溶かし込んでいることが凄い
どんな困難にも諦めず暦の改革に打ち込む主人公算哲の姿には、同じ探求者として深い感銘を受けました。その算哲を挟んで暦支配を争う幕府と朝廷を置き、北極出地の旅、算哲が三種の暦を天下に問う「三暦勝負」などドラマチックな展開で、2時間21分の長尺を全くあきることなく、ラストまで画面に釘付けとなりました。
アカデミー賞受賞4年間というブランクは長すぎです。けれども監督の選んだ原作は、自らのライフワークにされている「時代の息吹きを描く」ことに相応しい内容でした。
特に暦、囲碁、算術と動きがなく、映像で表現しにくい題材を、滝田監督は物語の中に違和感なく溶かし込んでいることが特色です。
例えば、囲碁。冒頭の道策と算哲の勝負で碁石をアップで見せ躍動感を表現。観測方法や法則性などが難解な暦作りも、観測者の動きと声で親近感を持たせました。北極出地の歩く場面をふんだんに盛り込むなど、「動」を意識した演出も冴えまくります。
暦の改新という地味なテーマが、これほどに知的で波瀾万丈で躍動感に満ちた映像に仕上がるなんて驚きです。しかも、各場面にほどよい間と施されていて、深さを感じさせてくれました。4年も待たされた分、演出面ではより一層深化し、深い感動と未来への希望をいだかせる素晴らしい作品が完成したと多いに評価します。
舞台は江戸幕府四代将軍・徳川家綱の時代。碁打ちとして徳川家に仕える安井家の息子・算哲は、算術や天体が好きな青年に成長。棋士としても只者ではありません。将軍や幕府要職者に碁を指南するという要職であり、この人脈がその後の算哲の人生を大きく変えていくことになるのです。また棋力としても、史上最強の棋士として讃えられている本因坊道策の好敵手であったほど、当代随一の碁打ちだったのです。強いだけでなく、その碁風は革命的でもありました。将軍列席の御城碁で、真ん中の天元から打つことがどれくらい非常識な一手か!小地蔵も高校時代は囲碁部で全国大会を目指していたぐらいなので、このシーンには卒倒しました。当時も今も、隅から打ち始めるのが囲碁の常識なのです。しかし算哲は「天元は北極星にあたる。最善の一手」という信念のもとで断行。このあとも暦作りで大胆な勝負を挑めたのは、勝負師として、定石に拘らず生きてきたからなんでしょう。
算術の知識を見込まれた算哲は、会津藩主保科正之の命によって、日本全国の緯度を測定する北極出地の旅に出かけます。調査隊の幕命を体現した、膝を高く上げて後進する姿は威風堂々というよりもコミカル。特に隊長の建部伝内 を演じる笹野高史と副隊長伊藤重孝を演じる岸部一徳の掛けあいが絶妙!厳しい風雪のなかにあってもほんわかした雰囲気を感じさせてくれました。
この旅で算哲は、800年前に唐からもたらされた宣明?に2日間のズレが生じていることに気がつきます。このズレは徳川幕府も大恥をかいたことがあったのです。先々代将軍の秀忠が、隠居の挨拶に上洛して朝廷に挨拶しようしたら、暦の違いで約束した日は昨日だったなんてウソのような逸話も残っています。だから数多くの種類が横行していた当時の暦を統合することは、時代の悲願であったのです。けれども暦の決定権限は、ずっと京の貴族たちの特権事項で、そう簡単には変えられないシステムになっていました。
天下の副将軍徳川光圀に願い出た算哲は、許可を得て、江戸に観測所を設けて丹念な観測の積み重ねに裏打ちされた暦学理論を研鑽し、ついに授時暦こそ正しい暦だと突き止めます。その成果を元に改暦を朝廷に上奏したものの却下された算哲は、瓦版を巻き込んで、どの暦が正しいか「三暦勝負」を町衆に提案。大衆パワーで朝廷に揺さぶり をかける発想は、当時の階級社会では考えられない作戦です。「三暦勝負」では、他の暦を圧倒した正確さを誇示し続けた授時暦でしたが、日食だけは何故だか外れたのです。
ここからは、算哲を慕うえんとの恋も絡み、まるで青春映画のように、算哲の惨めな挫折と格闘が描かれていきます。紆余曲折して、妻となったえんがいいのです。算哲を優しいまなざしで支え、ときにはきついことをいうえんには、説得力のある演技をする宮崎あおいがぴったり!仲むつまじい夫婦の姿に幾たびも感動しました。
そんなえんの内助の巧が実って、授時暦の問題点が時差にあることを突き詰めた算哲は、授時暦を日本向けに改良を加えて大和暦を作成。これを認めようとしない朝廷相手に、自らの切腹をかけた大勝負を、京の街なかで打ってて出ます。
見おえて、算哲のすごさを感じたのは、碁打ちとして名声を得ているのにも関わらず、自らの信念を全うすべく、天体と算術に命までかけてこだわり続けたところだと思います。
その時代の息吹をつくるこだわりに滝田監督は共感したのではないでしょうか。そんな滝田監督もこだわりの人。劇中描いた夜空や天体図は、専門家も唸るほど当時の星の位置を正確に再現しているというのです。他の観測器具なども精巧そのもの。そんな監督だからこそ算哲という人物に惹かれたのかもしれません。
算哲を演じた岡田准一も適役でした。星を見て、あるいは算術をしながら喜々とする青年の顔と、改暦事業に巻き込まれたあとに徐々に顔付きが変わり、最後には男の勝負師の顔になるところに、ぜひご注目を。
またずっと算哲に仕えた坊主頭の強力役はもしやと思ったら、やっぱり武藤敬司ではありませんか。あれだけカリスマが自分の個性を殺して、目立たない強力役に徹することができたことも多いに評価したいと思います。
最後に、貴族の権威のために間違った暦を長く使い続けてきたわが国では、今でも「誤算」が続いています。長年にわたる円高の放置。国家が「天地明察」となるために、金融にも算哲のように新たな「息吹」となる改革者の登場がまたられますね。
原作本とは違う『天地明察』と思った方が良いかも。
第7回本屋大賞を受賞した『天地明察』が原作。
確かに『天地明察』を原作にしているものの、内容はだいぶ違うかな。原作本が、安井算哲が数学・天文学に打ち込み、改暦を成すまでの鬼気迫る様子を描いているのに対し、映画では、確かに安井算哲が数学・天文学に打ち込んだ結果、改暦を成し遂げるという大筋では原作通りではあるものの、必要以上にコミカルに描いている様な印象。もう少し、真面目だったと思うんですけどねぇ。
松本幸四郎、中井貴一、市川猿之助、市川染五郎と言う錚々たる俳優陣の中、岡田准一、横山裕の二人は辛いなぁ。演技に深みが無いです。横山は、それ程出演シーンもなく、動きの少ない役どころだったのでまだいいかもしれませんが、岡田准一は主役ですからねぇ。松本幸四郎や中井貴一と一緒のシーンが多かっただけに、その演技力の差が如実にスクリーンに出てしまい、ちょっと残念。
逆に、岡田准一演じる安井算哲の妻えんを演じた宮崎あおいは、やっぱり凄い。まだまだ若いのに、あんなに凛とした武家の女が似合う人は、そう居ないと思います。宮崎あおいの演技力と、岡田准一の演技力のバランスが全然取れていないと言うことかな。でも、周囲の俳優陣の演技がすごいので、二人くらい演技がイマイチのが居ても、大丈夫だったのかもしれません。
先にも記しましたが、基本的には原作本『天地明察』に準じたストーリーですが、期待した感じとはだいぶ違います。そう言う意見が続出することを見越したのか、エンドロールに「天地明察を原作とするが、映画化に際して創作した部分もある」と言う意味合いの掲示が出ていました。それを言っちゃぁお終いなんだけどな。
原作を知ってると「えっ?!」と思うかもしれませんが、この作品を単体で見ると、映画としてはそれなりに楽しめます。まぁ、突っ込みどころは多いんですけどね。
自分にはあいませんでした
前半ははまり役の俳優さんたちの演技もあり、期待できたのですが、中盤以降は原作から各シーンを浅く広く繋ぎ合わせたような退屈な構成に…。
決して短くない作品ですが、要点がボヤけており、展開も平凡で、ワクワクするようなところはありませんでした。
小説の映画化作品としては取捨選択に失敗しているのでは、という感想です。
さらにとってつけたようなお涙頂戴シーンや、不要な登場人物など、やや不快に感じる点もありました。
原作が非常に好きで、期待していただけに残念です。
本を読み返したくなった
天地明察が映画になった。
本は本屋大賞を受賞した良作だ。
壮大な歴史ロマンに感動した記憶がある。
江戸時代、暦はズレていた。
鎖国をしている時代で、正しい知識もなく古い暦を利用していた。
その事を知る人はごく1部の人間だけだ。
主人公の安井算哲(渋川春海)は碁打ちの身分だったが、
ひょんな事からこの事実を知る。
そして、正しい暦を作り、日本の暦を改めようとする。
映画では短い時間で色々詰め込んでるので、
原作を知らない人は、急に出てくる人物とかの把握が難しいと思う。
正しい暦を何とかして、朝廷に認めさせるのを中心に話を進めているが、
少し話が浅くて物足りなく感じる。
原作を読んだ人が楽しめる映画だと思う。
天に挑み、暦を制す
多くの賞に輝いた沖方丁の同名小説を、「おくりびと」の滝田洋二郎監督が、岡田准一&宮崎あおいの顔合わせで映画化。
江戸時代、算術と星々に長けた囲碁棋士・安井算哲が、紆余曲折を経て、日本に正しい暦を作るまでの話。
後に算哲は渋川晴海と名を改め、天文暦学者として名を知られる。
序盤は囲碁勝負や専門的な用語が飛び交い、少々小難しく感じたが、だんだんと作品世界に見入り、日蝕と絡めたラストには素直に感動。
多くの人との出会い、師への敬意と謙虚さ。
固定概念に縛られず見聞を広めた、学びの尊さ。
現代社会のような権力の圧力、それに屈しない困難に打ち勝つ強さ。
それらが丹念に描かれ、非常に後味がイイ。
岡田准一、難しい役をよく演じた!
支える妻・宮崎あおいにいつもながら癒される。
ユーモラスな笹野高史と岸部一徳は作品に弾みを付け、松本幸四郎と中井貴一はベテランらしく場を引き締め、公家人・市川染五郎(早く良くなってね)は憎々しく、皆それぞれ好演。
ちょっと大袈裟に感じたが、久石譲の奏でる音楽は清々しい。
滝田洋二郎、これぞ匠の技。
日本と日本人が美しい日本映画。
簡単すぎてワクワクしない。
明察に至る様子が冗長で淡白な演出ゆえ、偉業のスゴさが響いてこない。
配役のハマりっぷりが素晴らしい反面、
ドラマ性が弱くて共感度がついてこなかった。
予定調和な展開から芽生えるツッコミは、
『波乱万丈に見えて順風満帆』
心身を豊かにする好奇心の魅力を、
もっと的確に軽快に伝えてほしかったな。
原作を読んだ時のワクワク感が薄まっていて残念。
ついにきた!歴史×天体モノ★
映像・音楽・ストーリーどれも最高でした。
さすが!だなと思わせる作品です。
とくに算哲と関が対峙するシーンの市川猿之助には圧倒されました。
少し長めの上映時間ですが、長く感じません。
是非劇場で見ていただきたい作品です。
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