劇場公開日 2012年9月15日

「天文ドラマなら★4つ、男と女のドラマとしては★1つ」天地明察 マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5天文ドラマなら★4つ、男と女のドラマとしては★1つ

2012年9月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

知的

江戸時代の前期に四分儀を使った北極星の観測を全国に亘って行なっていたことに驚く。算術のレベルもすごい。
普段、何気なく使っている暦が生活に及ぼす影響も改めて考えさせられた。
天体の知識が充分でない時代に、正確な暦を作ることの大変さがよくわかる。
そして、暦が正確になることは万人にとって喜ばしいことだと思えば、利権絡みで良しとしない連中もいる。なかなか難しいものだ。

予告篇で笹野高史と岸部一徳が膝を高く上げた歩き方をしていて妙だと思っていたが、歩数を数えて移動距離を算出し北極星の見える角度を予測する遊びだったとわかる。なかなかに昔の人は賢く、また大らかに星々を見つめていたことに感心する。

もともと算術と星に興味をもつ碁打ちの算哲が、本格的な天体観測を通して新しい暦を作ることに没頭する姿はよく描けている。算哲を取り巻く人々もキャスティングがいい。
これが単に天文ドラマならいうことはない。
だが、この物語にはもう一つの軸がある。
算哲が天地の動きを明察したのと同様に、自己の伴侶として誰がふさわしかったのかも明察したという男と女のドラマだ。
えん(宮崎あおい)が影に日向に算哲を支えたことは分かるが、なぜ算哲はえんだけを見つめてきたのか、ほかの婚姻を乗り越えてまで添い遂げたエネルギーはいったいどこからきたのか、そのあたりが希薄だ。燃えるような男と女の情熱が伝わってこない。

マスター@だんだん