「頑張れ町工場。」はやぶさ 遥かなる帰還 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
頑張れ町工場。
記念すべき、はやぶさ映画、第二弾!
今回のは渡辺謙主演で、いかにも東映らしい(?)
人間ドラマがメインの泥臭い内容の作品だった。
第一弾(竹内結子の)と比べてどうかといわれると、
まぁ好き好きですよねぇ^^;としか言えないが、
私的には第一弾はエンターテインメントであり、
この第二弾は熱血人間ドラマだなぁーと思う。
はやぶさ本体の作りや操作性など、惑星探査機の
あれこれは第三弾にお任せするいうことにして^^;
それぞれに特色があるので、いいのでは?と思う。
(どうでもいいけどこの三作、タイトルでの分類が
面倒くさいので、よくある邦画タイトルのように…)
「竹内結子のはやぶさ。」
「渡辺謙のはやぶさ。」
「藤原竜也のはやぶさ。」
…じや、ダメなの?その方が分かりやすいんだけどな。
さて真面目に。本作は…
はやぶさに関わった人間達を深く掘り下げ、その葛藤や
意見の相違などのぶつかり合いを、これでもかと見せる。
開発者達の熱意と、それに応えようと頑張るはやぶさの
イオンエンジンの光が痛々しいほどに胸に迫ってくる。
第一弾でもそのシーンはあったが、これほどの人間ドラマ
があったとは…なのでこれはこれで観て良かったと思える。
いかに沢山の人間が関わっていたかというのが見せ場。
民間のサラリーマンでありながらイオンエンジン開発者の
吉岡秀隆がクロス運転を巡り、江口洋介とぶつかるシーン、
試作品を請け負った町工場の親父・山崎努と娘の夏川結衣、
工場に興味を持つ孫との触れ合い、そして神頼みのシーン、
どんな天才でも、どんな冷静沈着な人間でも、やっぱり
最後は神頼みなワケだ…というのに、なんだかホッとした。
長い壮大なプロジェクトには相当の予算が必要なワケで、
巧くいって何歩、巧くいかなくても何歩、彼らの熱意が
すぐさま資金に代わるものなら、幾らでも生み出せたろうに。
開発者達が何を考え、どれほどの苦悩を抱え、それでもなお
消えない熱意と希望が胸を梳くという、リアルで温かい物語。
同じ題材で同じ動向を辿るストーリーでも、作り手の見解で
これほど映画の内容は変わる、といういい例だと思う。
第一弾で「宇宙バカ」という台詞を褒めちぎったが、
今作でもそれは十分に使える。どれほど冷静に考えようと、
諦めるべきだと追い詰められようと、自分の信念をそんなに
簡単に捨ててたまるか!という熱意。世間の興味は一時的に
それを持て囃し、成功すればもちろん大ニュースに化そうが、
失敗すれば総スカンなのである。あのNASAでさえも…(汗)
技術開発に勤しむ人々には、大いに励みになるのではないか。
だけど惜しむらくは、高い技術力を誇りながら(中小ゆえに)
経営が成り立たない町工場の現状である。
どんなハイテクが世間を賑わしても、たった一つのその部品が
そこの技術でしか生み出せないものだったらどうなのだろう。
人間が作り出すものには、まずはその人間を育てることから
きちんと始めないと、豊かな創造力なんて拝めっこないのだ。
(しかし何回観てもはやぶさ帰還の映像は泣ける…よくぞ帰った!)