ツレがうつになりまして。のレビュー・感想・評価
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イイ話だ。いい映画だ
筋書きは単純なのだが味付けがいい。
まず、超マジメで神経質なツレ。曜日で締めるネクタイを決め、好みのチーズを使った弁当を自分で作って出掛ける。満員電車に揺られ、会社からも顧客からも無理難題を押しつけられる日々。そこへ、自分の立場しか考えない上司、ツレの味方だがチャラい部下、それに名物クレーマーの3人だけを登場させ、ツレがうつを発症させるまでを描いてしまう。分かりやすくて効率がいい。
発症してからは、心配するハルさんの実家を絡ませて家族ドラマに仕立てていく。今度は、同じ病気を持つ患者や、落ち込んだ神経を逆なでする兄を登場させ、ここではうつ病についてのレクチャーが施される。うつに対する偏見を取り除き、ハルさんとツレを応援する気持ちでいっぱいになる。
いよいよ妻のハルさんの奮起だ。何事にもネガティブでマイペース、しかも家事が不得意。そんなハルさん、奮起の起爆剤は行きつけの骨董屋でみつかる。なんでもないただのガラスの瓶だが『割れなかったからここにある』という主人の言葉に目が覚める。主人役の犬塚弘が言うから余計に心に響く。クレイジーキャッツのメンバーでご存命は犬塚弘さんと桜井センリさんだけだ。
次は同じ教会で同時期に式を挙げたサークルの同窓会のエピソードだ。これがまた、いい味付けとなる。今作のメインディッシュといってもいい。
世間にうつであることを隠さず、励まし合い、前にも増して互いを思いやるハルさんとツレ。ホントは頑張ってるんだけど「頑張らないぞ」と言い聞かせるふたり。ここ数年の作品の中でも、心温まるラブストーリーとして珠玉の出来栄えだ。
さて、デザートはというと、それは観てのお楽しみだが、ある御仁が美味しいところを持って行く。
もちろんこの作品のシェフは宮崎あおいと堺雅人。絶妙なさじ加減で息もぴったりだ。
そして、作品にアクセントをつけてくれたウェイターといえば、イグアナくんだ。
オープニングと同じアングルで締めくくられるエンディング。季節の移り変わりをはめ込むことも忘れていない。
イイ話だ。いい映画だ。
病める時も健やかなるときも
割れないことに価値がある
身内の不幸を笑いのオブラートに包んで表現する「毎日かあさん」的作品。
ファーストシーンは古い民家。今はあまり見られない縁側がある。そんな家に住む髙﨑幹男は妻からツレと呼ばれている。ツレは弁当のチーズとネクタイの組み合わせを月曜から金曜まで決めている。名字の「髙」と「高」の違いを指摘する。超A型的性格。まあ、うつになるわな。
妻はツレのうつ発症に対して頑張らないで付き合うと言いつつ、「ツレがうつになりまして仕事ください」と頑張る。「野菜は重いから買いたくない」でも、うつに効くからと両手にいっぱい買う。
うつの人は観ないと思うけど、うつ予備軍は多いから参考になるかも。失敗しても怒られても右から左的人はうつにならないだろう。そんな人、周りにいるでしょ。
ほのぼのと鬱に向かい合うアンバランスな夫婦噺
鬱病に苦しむパートナーを支える夫婦噺やと、映画では、リリー・フランキー&木村多江の『ぐるりのこと』が、
漫画では、吾妻ひでをの『失踪日記』が傑作やと思う私は、今作の妙にほのぼのとした世界観に出足から戸惑ってしまう。
しかし、闘病生活の痛々しい現実と微笑ましいのんびりしたテンポとのシンクロが絶妙で、メリハリの効いた空気を『篤姫』以来の夫婦役となる宮崎あおい&堺雅人が愛嬌豊かに演じ、見応えがあった。
悲しいけど何か笑える。
笑えるけど妙に寂しい…
そんな鬱病に揺れ動く2人の心情が繊細に表現され、原作が持つ不思議な画のアンバランスさを再現している。
特に退職当日、満員電車で突然泣くじゃくるダンナに困る妻のやり取りは深刻さに反して思わず笑ってしまい、ユルさの重要性を実感した。
ペットのイグアナを筆頭に、妻の両親(余貴美子&大杉漣)etc.のトボケた存在感も陰を和らげる効果を発揮し、観る者が病気に対して受け入れやすい敷居の高さに調整してあるのが大きな魅力であると云えよう。
総合的には、予想より病状が軽いような印象を感じ、克服するまで闘病生活がスムーズに過ぎていったのは物足りなかった。
しかし、元来ズボラな怠け者なのに、介護福祉士という常日頃、神経を細かくして対応しなければならない職業を勤める私には2人の苦悩は他人ごとでは無い。
2人それぞれの不安や葛藤から生まれる名言にいちいち頷いている自分に気付く。
・休む時は休むのが宿題
・うつ病になった原因を考えるのではなく、うつ病になった意味を考える
・頑張んなきゃいけない時だからこそ、私は頑張らないet
c.etc.
仕事上いつ自分が患ってもおかしくない病気なので、良い心構えになったと思う。
それにしても、退職したダンナに代わり、生活費を稼がなきゃと仕事に励む宮崎あおいの健気さが妙にリアルで愛おしかった。
では最後に短歌を一首
『遠ざかる 振り子にハネを 寒椿 雨はツレヅレ 添い寝のスケッチ』
by全竜
ツレの気持ちがよく解る。
自分も『うつ病』に悩まされた時期があるので、ツレの悲しみ、辛さ、苦しみが痛い程よく解りました。何に対しても申し訳ないと、自分なんか居なくても誰も困らないと強く自分を責めて、自分で自分を追い詰めるのです。
そんなツレと、ツレを懸命に支え続けるハルさんの温かさ、優しさに号泣しました。
ただ、最後の方で漫画のキャラが飛び出す描写にはチョイと引きましたね。必要あったんでしょうか?
全体的にはホンワカしてて、気持ちがあったかくなる、そんな作品です。
人生晴れのち曇り、そしてまた晴れる!最高のヒーリング映画
堺雅人と佐々部清が再びタッグを組んで、今の日本を切り取ってくれる!頑張らないで生きると言う女房役の宮﨑あおいの熱演に涙!
心の風邪と言うらしい鬱病になった夫の治療の過程を漫画にした作者の体験をドラマ化しているのだが、これが暗く無くて、観ていてうなずけて、しかも予防薬的効果も有りかも?と期待も出来る、好印象の映画だ。
今や3大成人病に新しく2つの病気が加わり、我が国では5大成人病と数えられる疾病の中の一つにこの、鬱病と言う面倒臭い、完治に至る迄の長い道のりの病気が加わったのだ。
何とも日本人にとって残念な事に年間3万人以上の人達が10年以上に渡り自殺をしている不思議な自殺大国日本。それらの自殺者の中にも、きっと鬱病を患い、発作的に自殺されてしまった方もおられるのだろうと、この映画を見ていると感じるのだ。
この悲しい現実を目の前にして、結婚5年目の若い夫婦が、鬱との闘病を漫画にして、ベストセラーにした奇跡の物語が、ドキュメンタリーでは無く、またアニメでも無く、実写のドラマとして創られたと言うのも、その時々の時代の一部をもぎ取り描くと言う事も一つの映画の大きな使命であり、この映画は今の日本を現した作品として、その存在価値を高く評価したい。
実際のこのドラマのモデルの家では、クラッシック音楽を頻繁に聴いていたのかは分からないのだけれども、ピアノ曲がとても効果的に使われていて、まったり、のんびりと極力肩の力を抜きながら生きて行く事に徹した夫婦の物語を観る事で、私達は、一種の癒し効果を得ているような気がした。
最近元気が足りなくて、心の風邪かもと思っている鬱病の初期段階の軽症患者には、ヒーリング効果と言うかリハビリ映画としてもお勧め出来そうな程である。
これは、単なる闘病日記的な映画では無く、若い家族の新たな再生の物語で有り、ラブストーリーでも有る点が救いである。
良い意味で予想に反して、ややもすると重く暗くなりがちな題材を、敢えてコミカルに描きつつも、程良くリアル感を残した作風が絶妙の作品だ!
正直『日輪の遺産』では、少々現実味が薄れていて、堺さんと佐々部コンビには、ガックリさせられたのだが、今回は、ハナ丸だ。
『陰日向に咲く』『ソラニン』と献身と純真な役ところが好感の持てる宮﨑あおいを起用したと言うのもこの映画の成功の要因の大きな点だと思う。
これからの季節は、何とは無く、物悲しく、切ない気持に成り易い秋だ。頑張らないで、
でも決して後ろ向きに成らずに、ゆっくり、一歩一歩、確実に人生を前進させる事の素晴らしさ、それに向かい合って行く事の素晴らしいさを教えてくれたこの映画に感謝したい。病める時も、健やかなる時も共に、これを敬い、愛し生きて行く事を心に秘め、この311後の日本をみんなで共に生き抜いて行けたらどんなにか、素晴らしい事だろうか!
明日は、また新しい日だ、人生晴れる日が来ない事などないとツレが言っている!!
がんばらない
原作を読んでいないので、
原作を読みたくなった映画だった。
うつ病に対しての偏見というか、
心の病ということで、健常者からは理解されにくい病気を
比較的、わかり易く映像化していると思う。
最後のほうに必要ない演出があって興ざめするシーンがあったが、
その部分を除いては、
コミカルで心温まる、泣ける映画になっていると思う。
すすり泣きが聞こえてくるぐらいの人数が泣いていた。
夫婦、カップルでツレと一緒に観に行くと楽しめる映画だと思う。
ぬくさとゆるさの力かげん
「うつ」は、乗り越えたり克服したりするというよりは、ゆるく凌いでやり過ごすのがよいようです。
状況をそのまま受け入れて、がんばらず、できないことはしないで身体も心も休ませる。起きられないなら起きられないまま起きずにいる。ゆるくいる。
いくらでもゆるくしていていいのに、本人は、「できない自分」のことを情けなく思い、「もうしわけない」気持ちでいっぱいになって、メソメソしていたりするのですね。
それ、わかります!
堺雅人さんの“抜いた”演技が、その辺の力かげんをほどよく表現していてイイですね。
そして、そんな夫に寄り添い支える妻役の宮崎あおいさんの、あたたかみのある表情が好きです。
ふたりの、お互いを想いあうホンワカぬくぬくとした空気に包まれた癒しの2時間に、ゆったり浸って帰りました。
夫婦とイグアナの大変であたたかい家庭
27日の試写会で観て来ました。原作のエッセイコミックは未読。
長文感想、失礼します。
主役の宮崎あおいさん、堺雅人さんが演じる夫婦を観て見たい、それと
身近な人がうつ病にかかったことがあり、今も治療中なので、ストーリー
もすごく気になっていたので、少しでも早く公開前に観たかったのです。
結論。観てよかった!
「うつ病にかかった夫と向き合い、苦労しながら前向きに自分らしく
対応する妻」のストーリーはテーマが重く、うつ病について少しでも
知っている人でないと理解しがたい、共感するのは難しいかも知れない。
けれど宮崎あおいさん演じる、「晴子」ことハルさんのおおらかで
可愛く、包容力のある妻が、真面目できっちりした、でもすべてを一人
で背負い込んでしまうような夫「幹男」ことツレを支える苦労の数々
と、それにくじけない、「がんばらない」前向きな姿勢が丁寧に描かれて
ました。
説教っぽいセリフはなく、ツレが自分を追い詰めすぎるシーンは多少緊張
しましたが、ストーリー全体の起伏は激しくなく、淡々と展開している印象
もあったかな。
それとペットのイグアナが要所で見守るような、気遣うような演出も良かった。
ハル、ツレ夫婦の苦労するも愛情を感じる日常と、夫婦とペットの家族がお互いを支えあう様子に共感できました。
脇役も実力派で固めており、演技に不安要素がほとんどないので、安心して
ストーリーを追っていけたのも良かった。
121分と長め上映ですが、飽きることなく見終えました。
子供向けの話ではないと思います。けれど「うつ病」は大人だけの病気でなく、年齢問わずかかる「心のかぜ」。思わず笑った温かい、面白いシーンもあるので、老若男女関係なく、観てもらいたい映画。
余談だけど、宮崎あおいさん、おだんごヘアー似合うなぁ。着ている洋服がまた似合っていて、可愛い!
そして堺雅人さん、演技力の幅広いわぁ。お見事。
出演したイグアナもベテラン俳優のよう。イグアナの「イグ」の演技にもご注目!
クスクス、ウルウル、ホンワカ
キャスティングがぴったりはまった!
宮崎あおいちゃんは可愛くて、暖かくて、でもちゃんとしっかりしてて。
堺雅人さんは軍人とかより、こういう役の方が、ぴったりです!!
人にはそれぞれ個性があるのだから、人生の価値観だってそれぞれでいいのに
なぜか、人は横一列に並びたがる。
このお話は、ツレがうつになったことで、「がんばらない」生活に目覚めますが
なにも病気にならなくても、誰もが、そんなに無理して頑張らなくてもいいのではないかと気づかされます。
それにしても、このハルさんは、妻の鑑です。
家族が、パートナーがうつになった時、病んだ時、窮地に陥った時に
このように接することが理想なのでしょうけれど
実際自分の身に降りかかったら、ハルさんのようにふるまえるでしょうか?!
でも、これ、実話なんですよね。
ハルさん、凄過ぎます!
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