「【”奇跡のサラブレッド” 第一次世界大戦中、様々な人の情けに助けられながら戦場を駆け抜けた栗毛のサラブレッドの数奇な半生を描く。】」戦火の馬 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”奇跡のサラブレッド” 第一次世界大戦中、様々な人の情けに助けられながら戦場を駆け抜けた栗毛のサラブレッドの数奇な半生を描く。】
■印象的だったシーンの数々
・冒頭、小作人テッド(ピーター・ミュラン)が栗毛のサラブレッドの子馬に”一目惚れ”し、地主のライオンズと競り合い、30ギニーで競り落とす。地主には嫌味を言われ、家に帰れば奥さん(エミリー・ワトソン)に叱られる・・。だが、息子アルビン(アルバート:ジェレミー・アーヴァイン)は喜び、”ジョーイ”と名付け、可愛がる。彼がフクロウの鳴き声で、”ジョーイを調教するシーン。
そして、荒れ地を開墾するアルビンとジョーイ・・。
-このファーストシークエンスの幾つかのシーンが、後半の幾つかのシーンに効いてくる。-
・第一次世界大戦が勃発し、ジョーイは軍馬として徴用される。アルビンは”ジョーイ”に”いつか又、必ず会えると頬ずりしながら言い、ジョーイの手綱にテッドの勲章”大隊旗”を結びつける・・・。
アルビンの姿を見たニコルズ大佐(トム・ヒドルストン:珍しく良い人・・。ハンサムだなあ・・。)はアルビンに”借りるだけ・・、大切にする。”と笑顔で語り掛ける。
・部隊の指揮官(ベネディクト・カンバーバッチ)が乗る黒毛の馬”トップソーン”との競争にも勝つ、”ジョーイ”。(で、仲良くなる二頭)
だが、イギリス軍はドイツ軍にあっさり敗退。ニコルズ大佐も戦死。
”ジョーイ”と”トップソーン”はドイツ軍の軍馬となる・・。
その後も、ドイツ軍の馬を愛する兵卒の兄弟に戦場から救い出されるが、あっさり見つかり、”ジョーイ”と”トップソーン”は農業を営む老人と孫娘エミリーに愛され、世話を受ける。特にエミリーは”ジョーイ”を大切に扱う・・。
が、ドイツ軍が現れ、農作物、鍋釜とともに”ジョーイ”達を簒奪する。ドイツ兵が言った言葉 ”戦争は皆から大切なものを奪う・・”
ーここら辺、どんどん持ち主が変わるし、その過程もあっさりと描かれる・・。ちょっと、残念。-
”ジョーイ”はドイツ軍から逃れ、戦場を走るが有刺鉄線に絡まり、身動きできなくなってしまう・・。
・場面は英国とドイツが戦う最前線に移る。アルビンや友人たちも兵として塹壕に潜んでいる。
-近年、第一次世界大戦を描く映画が幾つか出たが、”1917 命をかけた伝令””トールキン 旅のはじまり” かの大戦が、相当な肉弾戦であったことが良く分かる。銃弾飛び交う中、銃剣を持って突撃!って、どうなのよ・・、と軽く思ってしまう・・。-
・英国軍と、ドイツ軍は最前線で”ジョーイ”を見つけ夫々馬好きの英国軍コリンとドイツ軍ペーターが”協力して”ペンチで有刺鉄線を切り、”ジョーイ”を助ける。お互い、”ジョーイ”を欲しがるが、コイントスでコリンが”ジョーイ”を獲得。二人は握手して、別れる。
・だが、”ジョーイ”は怪我が悪化し、ある軍人(エディ・マーサン”に”楽にさせられそうになる”になるが、眼を怪我していたアルビンの”フクロウの鳴き声”に反応し、更にアルビンの必死の願いで、汚れていた身体を拭いてもらうとアルビンが言う、脚の”白いソックス”と眉間の”白い模様”が出てくる。
・”ジョーイ”は助かり、戦いは終わるが、”ジョーイ”たち軍馬は競りに出されることに・・。途方に暮れるアルビン。だが、仲間達がカンパで29ポンドを出してくれる・・。
が、そこで100ポンド!で競り落としたのはエミリーの祖父だった・・。彼はエミリーのために”セリフで彼女が亡くなった事が分かる・・”三日かけて奇跡の馬を買いにきたのだ・・。
懇願するアルビンに対し、エミリーの祖父は最初は断るが、”ジョーイ”の手綱からあのテッドの勲章”大隊旗”が見つかり・・。
アルビンと”ジョーイ”は両親の待つ実家に戻り、強く抱擁する・・。
<随所で、サクサクと話が進むのが少し瑕疵に思えたが、スケールの大きな作品である。人間の善性が随所で描かれている所も良い。見応えある作品だと思う。>
■独り言 この作品、私は何故、映画館で見なかったのだろうか?当時、映画界の評価が低かったのかなあ・・。