「ツッコミ所満載なのが逆に楽しい」三銃士 王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
ツッコミ所満載なのが逆に楽しい
これまで何度映像化されてきたか分からないアレクサンドル・デュマの「三銃士」。
冒険活劇の古典に、「バイオハザード」のポール・W・S・アンダーソン監督が挑む。
さて、何か新味は…?
「三銃士」と言うと、アトス、ポルトス、アラミス、そしてダルタニアンの英雄譚が有名。
勿論本作でも大活躍するのだが、同年代で描かれる事の多い4人を原作通りダルタニアンを青年に設定し、田舎からパリに出て来たダルタニアンと三銃士の出会い、リシュリュー卿の陰謀、バッキンガム公爵から首飾りの奪還、謎の貴婦人ミレディの暗躍など原作を踏まえつつ、派手に味付けしている。
その最たるは、劇場公開時の3D。それを意識したシーンも多く、特に飛行船バトルは見せ場だったろう。
でもでもでも、その醍醐味も劇場のみで、家でDVDだと…。何もこの作品に限った事では無いが。
ミラ・ジョヴォヴィッチ、オーランド・ブルーム、クリストフ・ヴァルツらビッグネームは悪役担当。
ミラは相変わらずセクシーで綺麗だし、オーランド・ブルームは初の悪役を楽しそうに演じているし、クリストフ・ヴァルツはタイプキャストっぽいが、悪役の方に圧倒的に華がある。
ダルタニアン役のローガン・ラーマンはまだフレッシュだが、三銃士はちょっと地味過ぎ…。「仮面の男」の三銃士は余りにも豪華だったので。
展開は荒唐無稽というか破天荒というか、ハッキリ言って漫画。ツッコミ所が多過ぎる。
ダルタニアンと三銃士はあっさり仲間になっちゃうし、三銃士はいつどうやってバッキンガムの飛行船を奪取したのか疑問だし、ロシュフォールは何だか大人気ないし、飛行船vs飛行船は空中戦という感じがしないし(雰囲気も音楽も某海賊映画に酷似)、極めつけは不死身のミレディ。アナタはアリスですか!(笑)
物語の深みとか登場人物の魅力とか、挙げたらキリがないが、逆に多過ぎて面白くなってくるから不思議(笑)
特に新味は見当たらなかったが、肩の凝らない明朗冒険活劇として無難に楽しめる。