東京家族のレビュー・感想・評価
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小津監督の凄さを再発見
「東京物語」をなぞった、という山田監督のコメント記事を読んでから観てきました。
冒頭の長男一家のシーンが本当にそのまんま、でびっくり。さらに、まったく古くさくない、今でもごく普通にありそうなやりとりであることに驚きました。
失われた人間模様などノスタルジーの中で語られがちな・語りがちな小津監督作品ですが、現代風に色付けしてもまったく遜色ありません。むしろ、生き生きと今を写し出しているように感じました。
一方、新たに加味した要素は、活きているとは言い難かったです。特に、あえて震災を持ち出す必要があったのかは疑問。取って付けたような印象が拭えませんでした。「この国」発言の繰り返しも、違和感がありました。
役者さんたちは、それぞれ気持ち良さそうに演じていたと思います。杉村春子→中島朋子は力が入りすぎかと感じましたが…巧いです。とはいえ、個人的には、夏川結衣のでしゃばらない演技に好感を持ちました。
改めて、「東京物語」を大きなスクリーンで観返したくなりました。
小津安二郎監督作品や東京物語を一度観てみようという気になられた方が一人でも増えたならなら本作はそれで成功という映画なのだと思います
東京家族
2013年公開
本作は小津安二郎監督の没後50年、その代表作の東京物語の公開60年記念として製作されたのはどこからどうみても明らかです
でもそれを明示しては観客を限定してしまうでしょうから、そのようなことはどこにもアピールされてはいません
ご存知の通り小津安二郎監督は世界の監督が選ぶ世界一の映画監督に何度も選ばれたことがある巨匠です
東京物語も世界一の名画として何度となく選ばれています
山田洋次監督は松竹大船撮影所に入所した若き日に、その教えを受けた直系の最後の弟子になります
ですから没後50年、公開60年記念の映画を撮るなら山田監督を於いて他にいないのです
というか、自分がやらなければならないという使命感がそうさせたのだろうと思います
小津安二郎監督は60歳の誕生日に
お亡くなりになられています
山田監督は本作公開時82歳、今も元気に映画を撮られておられますが、失礼ながら自分ももうそんなに長くなく映画を撮れない日が来るのではないかと思われたのかも知れません
自分がまだ元気な内にこの記念作品はやり遂げなければならないそのような想いで製作された作品だと思います
つまり、本作はその東京物語のリメイクです
ことによるとパロディかも知れません
ですから本家の東京物語を観てなければ一つも面白く無いかも知れません
反対に東京物語を何度も何度も繰り返し見返しているような方には染み入るものが多い映画だと思います
あのシーンがどのように撮られているのか
小津安二郎調というものがあります
それが現代の作品にどのように再現されているのか、元の作品を知っていればいるほど分かってきます
東京物語を観た事もないし小津安二郎監督の名前も知らない方なら
そういうことから置いてけぼりになってつまらない映画という評価になるのも致し方ないかも知れません
それでも、小津安二郎監督作品や東京物語を一度観てみようという気になられた方が一人でも増えたならなら本作はそれで成功という映画なのだと思います
ぬくもりのある演出
小津安二郎の「東京物語」のオマージュ。
橋爪功、吉行和子の演じる夫妻が穏やかな口調、ゆったりとした物腰といった老夫婦の感じをすごく自然に出していた。とある島の田舎で暮らす老夫婦は、東京で暮らす長男、長女、次男、3人の子どもたちに会いに、東京に旅に出る。ホテル住まいではなくて、長男、次男の家に泊るところが、いまの感覚と少し違っているけれど、家族のつながりを感じたい気持ちがあれば、いまもありえなくもない。
子どもたちが、気を遣って高級ホテルを手配するも、1泊すれば、また長女の家に戻ってきてしまう。老夫婦が東京に子供たちに会いにいく数日間の間に、親子の関係を見つめ直し、家族の絆を感じ合う、そんなひとときがぬくもりとともに演出されていて、何より自然で感動しました。
風景画のように自然な演出が続く、山田洋次監督の匠の技だと思った。
蒼井優が作品に恵まれているのか、 蒼井優が上手いのかはわからないが、 とにかくいろんな作品で見る蒼井優はどれもいいとオレは思う。
動画配信で映画「東京家族」を見た。
劇場公開日:2013年1月19日
橋爪功
吉行和子
西村雅彦
夏川結衣
中嶋朋子
林家こぶ平
妻夫木聡
蒼井優
小林稔侍
風吹ジュン
監督
山田洋次
脚本
山田洋次 平松恵美子
「家族はつらいよ」シリーズは3作とも見た。
キャストがほとんど同じなので家族はつらいよの前段なのかと思ったが、
あっちは平田家で、こっちは平山家だった。
住んでいる場所や家族の職業などもそれぞれ違っていた。
橋爪功、吉行和子夫妻が瀬戸内海の島から
東京に住んでいる3人の子供たちに会いに来る。
西村雅彦は医師で、
中嶋朋子は美容院のオーナー。
妻夫木聡は歌舞伎などの舞台の裏方をやっている。
それぞれの家庭を見た老夫婦は東京で立派に暮らしている3人と家族を見て、
誇らしいと思い、また満足した。
吉行和子がとってもいい人だった。
中嶋朋子のきつい感じの長女がまるで実在の人物のような気がした。
2人が東京に来て数日後、
大事件が起きる。
これは山田洋次作品の常套手段で、
「男はつらいよ」シリーズからずっと変わらないやり方だと思った。
数日後島に集まった家族一同。
終劇から7分前、橋爪功と蒼井優の泣ける場面がある。
蒼井優が作品に恵まれているのか、
蒼井優が上手いのかはわからないが、
とにかくいろんな作品で見る蒼井優はどれもいいとオレは思う。
満足度は5点満点で5点☆☆☆☆☆です。
安易に登場人物を殺すな
年寄りの悲哀
橋爪でなく邦衛もあり。
女優が監督を、監督が女優を
特に何も起こらないのにおもしろい
親子の確執があったり、子供は都会に出てきて両親だけ田舎に住んでるごく普通の家族の話です。
特にめずらしい事も起こらないのに、あったかい気持ちになる不思議な作品だと思います。さりげないけど素敵なセリフがたくさんありました。
日常を客観的に見ることで親子の愛情や平凡な幸せを感じれるストーリーだと思います。
ひとり残ったお爺さんを近所の人が当たり前のように世話を申し出るのがいいなと思いました。
今回初めて蒼井優の演技を見たのですが、特別な雰囲気があってきれいだと言われる理由が分かりました。
でも、前半と後半ではちょっと統一感がないように見えましたが、他の作品も見てみたいと思いました。
長男の子供二人もよかったです。まさに今時の子供で、せっかく来てるのにこんな風だったなと思いました。
悪い映画ではない。でも山田太一監督の言いたいことがストレートにすぎ...
現代邦画界の中で、気品すら漂う気骨ある作品を次々に世に問う山田監督に改めて敬服した作品
この作品が制作されている中、人知を超えた災厄が日本を襲った。
山田監督は撮影を一時中断をし、黙祷ののち、更に気合を込めて家族の再生をこの映画で描き切った、と様々なレビューで知った。
東北地方で青春時代を送り、多くの友人が福島県庁を始め、東北の各所で働いている中で、個人の力で出来る事の限界を感じていた身として、申し訳ない気持ちとともに日本映画界の大監督である山田監督が上記の気概で映画を撮ってくれたという事実に、映画人としての気概を感じるとともに、感謝の気持ちで映画館に足を運んだ事を思い出す。
映画としての完成度は流石というものであり、作品の面白さに満たされて映画館を後にした。
山田監督はこの作品の後も現在日本の抱える重いテーマを喜劇の風味をまぶしつつ、鋭い視点で我々に問いかける作品を早いペースで上映されている。
しかも、商業ベースで、きちんとした結果を出しておられる。
凄い監督である。
<2013年1月19日 劇場にて鑑賞>
時の流れ
東京物語
しつこく山田洋次監督作品で攻めてみよう。 なんとなく小津安二郎監督...
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