シャレード(1963)のレビュー・感想・評価
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オードリーが珍しく相手役を口説く理由
列車から投げ落とされた男の血だらけの顔がアップになった直後に、スキー場のテラスで優雅に食事するマダムに銃口が向けられる。でも、それは水鉄砲だったという巧いオチから始まる、25万ドルをめぐる騙し合い。その間、未亡人のレジーナは謎の紳士、ピーターの素性を疑いながら、次第に惹かれていく。製作から60年近くが過ぎてもなお、ロマンチック・サスペンスの秀作として、また、オードリー・ヘプバーンの代表作の一つに数えられる作品だ。でも、本作の場合、オードリー扮するヒロイン、レジーナと相手役の関係が他と少し異なる。ピーターがレジーナを口説くのではなく、どちらかと言うと、否、露骨にレジーナの方から積極的に誘いをかけるのだ。それには裏があって、撮影当時58歳だったピーター役のケーリー・グラントが、33歳のオードリーにアタックする(オリジナルの脚本)ことに難色を示し、逆モーション・バージョンにリライトされたのだった。こうして、本作はオードリーが珍しく男性に対して積極的な作品として記憶に刻まれることに。オードリーとグラントはこれで意気投合し、再共演を模索するが、遂に叶わなかった。ハリウッド黄金期の最後を飾ったトップスター同士の顔合わせは、もしかして1度きりだからこそ色褪せないのかもしれない。
オードリーの魅力と、上質なミステリーの融合
【イントロダクション】
〈シャレード〉謎解きゲーム。
オードリー・ヘプバーン、ケイリー・グラント主演のコメディ・スリラー。夫を亡くした若妻の前に、夫の遺した金を狙うワケアリの男達が現れる。
監督は『雨に唄えば』(1952)のスタンリー・ドーネン。脚本は『サブウェイ・パニック』(1974)のピーター・ストーン。
【ストーリー】
パリに向かう列車から1人の男性が突き落とされ殺害される。
時を同じくして、かつての職場の友人親子とのスキー旅行先で、富豪の夫との離婚に悩むレジーナ・ランパート(オードリー・ヘプバーン)。お金はあるが、秘密だらけで愛のない結婚生活にウンザリしていた彼女の前に、ピーター・ジョシュア(ケイリー・グラント)と名乗る男性が現れ、連絡先を交換する。
旅行からパリの自宅へ帰宅すると、家財道具の一切が無くなり、もぬけの殻となっていた。そこへ、グランピエール警部が現れ、彼女に事情聴取を求める。
警察署で警部から聞かされた話では、夫チャールズは家財道具の全てを競売に掛け、25万ドルの大金を手に、国外逃亡を企てていた。しかし、何者かに列車から突き落とされ、殺害されたのだという。遺留品のバッグには、4冊の偽造パスポートや手帳、櫛、万年筆、身投函のレジーナへの手紙が入っていた。
途方に暮れるレジーナの前に、旅行先で知り合ったピーターが現れ、チャールズの死を新聞で知り、協力させてほしいと申し出る。
チャールズの葬儀は寂しいもので、自分や友人のシルヴィ以外は、レジーナの様子を見に来た警部しか参列者が居なかった。しかし、突如ハゲた小柄な男ギデオン(ネッド・グラス)、痩せ身の大男テックス(ジェームズ・コバーン)、右手が義手の横柄な男ハーマン(ジョージ・ケネディ)が立て続けに現れ、それぞれ柩を確認していく。
レジーナはアメリカ大使館のバーソロミュー(ウォルター・マッソー)から呼び出され、夫の正体が“チャールズ・ボス”という男だと知らされる。彼は、第二次大戦中にCIAの前身である戦略情報局に所属しており、対ドイツ戦に従事していた。彼は、葬儀を訪れた男達と共に25万ドル相当の金塊を盗まれたと偽装して地中に埋め、終戦後に山分けする約束をした。しかし、チャールズは仲間を裏切って金塊を独り占めし、その金で裕福な生活を送っていたのだ。
真相を知ったレジーナの前に、彼女が金の在処を知っているに違いないと考えた3人の男達が次々と現れ、「金を寄越せ」と脅迫してくる。ピーターはレジーナを守る素振りを見せる。しかし、彼もまた3人と旧知の仲であり、共謀して金の在処を探っていたのだった…。
【感想】
オードリー・ヘプバーンのファンなので、彼女目当てに鑑賞。撮影当時30代前半のオードリーだが、年齢を重ねた事による大人の女性の魅力と、まるで10代の少女かのような若々しさと瑞々しさ、その両方を兼ね備えた演技は圧倒的。ジャケットにある白いコートにスカーフ姿をはじめ、数々のファッションに身を包む姿が非常にオシャレで美しい。
金の在処を巡る謎解きや、二転三転するストーリーは、最後まで真相を掴ませず面白い。
誰一人として信用ならない金を狙う男達、ピーターの正体が二転三転するストーリー、ダブルミーニングで交わされるウィットに富んだ台詞と、オシャレで子気味良く展開される脚本が心地良い。中盤、ピーターとレジーナが互いを疑いながらも付いたり離れたりするロマンス部分には若干の中弛みが感じられたが、真相が判明していくクライマックスの盛り上がりは素晴らしかった。また、クライマックスから意外性のある粋なラストまではヒッチコック作品のような空気も感じられた。
金の在処が“貴重な切手”という仕掛けは抜群にオシャレ。テックスとピーターが切手の交換市でそれに気付く瞬間の、数々の切手を捉えたショットもキマっている。
てっきり、夫の遺した手紙にあった“歯医者の予定を変更”という記述が、夫婦間でしか伝わらない暗号なのではないか?とか、レジーナが全ての黒幕で、最終的に男達を騙し切って財産を手にする(警部の「あなたは嘘が下手なようだ」という台詞が伏線かと疑った)のではないか?と思っていた。
唯一信用が置けるかと思っていたバーソロミューこそが全ての黒幕であり、戦死したと思われたカーソン・ダイル本人だったというのは驚いた。真相が判明してからのウォルター・マッソーの危険な雰囲気を纏わせた演技もグッド。
ラスト、大使館に切手を返却しに訪れたレジーナの前に、大使館員ブライアンとしてピーターが真の正体を明かす瞬間のおどけた表情も印象的。これまで2人の間で度々交わされてきた、
「結婚は?」
「離婚した」というやり取りが、最後には
「結婚は?」
「してる。婚姻届を提出しに行こう」
というやり取りがニクい。
ジェームズ・コバーンにウォルター・マッソーと、脇を固める役者陣まで渋いスターが揃っているのも高評価。
【総評】
オードリー・ヘプバーンの魅力、驚きの展開を見せる脚本と、古い作品ながら確かな魅力に満ちた作品であった。
余談だが、著作権表記がなされていなかった為に、パブリックドメインとして国内外で廉価版ソフトが多数流通したというトリビアもあり、実際私が手にしたDVDもその一部と思われる。出来れば、高画質・良音質のBlu-rayを購入したいのだが、残念ながら国内では新品商品の取り扱いは見当たらず、中古品を購入するしかない様子…。
いや~これはもう満点でしょ😭
オードリー・ヘプバーンの魅力を引き立たせるための作品
オードリーのオールナイトパリ
バカンスから帰宅するとアパートはもぬけの殻で、さらに夫も死体で見つかるというショッキングな幕開けは、わくわくする。教会の葬儀に怪しげな連中が入れ替わり立ち替わり現われるシーンも面白い(何度か見ているが、詳細は覚えていなかった)。
ところがピーターが悪党どもと結託しているふうな内幕を早々にバラしてしまうあたりから、物語が渋滞し始める。レジーナがピーターに疑念を抱きながらなびいたり、かと思うと逃げたりする行動も不可解だ。そもそもピーターが悪党どもに取り入った経緯もよくわからない(この間大使館の仕事はどうなっていたんだろう)。ま、スタンリー・ドーネンの作風からして、そんなことはどうでもよく、楽しく見られるサスペンス編を撮れれば良かったのだろう。オードリーはローマを散策する話が有名だが、「パリの恋人」とか「パリで一緒に」など、パリでもあちこちオードリーしている。おシャレ度で標準点をクリアする戦略らしい。
オードリー・ヘプバーンが亡くなってもう30年以上経つが、未だに根強い人気があるようで「スクリーン」の読者投票ではベスト10に入り続けている。確かに現代では似たタイプの女優はなかなかいないかも。何と言ってもあの特徴的な眼である(一時期のウィノナ・ライダーが近い印象があった)。この映画の時には既に30代になっているが、相手役のケイリー・グラントは59歳で髪色もロマンスグレーだ。他の映画の共演者も、ハンフリー・ボガートだのフレッド・アステアだのゲイリー・クーパーだのレックス・ハリスンだの、当時50代の役者がやたら多い。そのせいでオードリーの妖精らしさは際立つが。
警部役の役者がいい味を出していた。
ため息しかでない…
ヘップバーンを愛でるため″だけ″のフィルム。。。
オードリー・ヘプバーンが34歳の時に製作されたサスペンス調の映画だ。
アカデミー賞主演女優賞を獲得した出世作『ローマの休日』からちょうど10年、
世界中を魅了し紛れもないスターとしての地位を掌中に納めた彼女の、長編プロモーションフィルムとして見れば、何の文句もない。
作中のヘップバーンは、本当にチャーミングで健康的な美しさを振り撒いている。
どの角度から見てもスキがない。
怒った顔、笑った顔、困った顔、恐怖におののく顔、、
あらゆるヘップバーンを愛で楽しむのが本作のゴールとなっている。
大変申し上げにくいが、
ケーリー・グラント、ウォルター・マッソー、ジェームス・コバーン、ジョージ・ケネディなど錚々たる男優陣も、本作では、全員が刺し身のツマでしかない。
誤解を恐れずに言えば、脚本すらどうでもよかったのではないか、と感じてしまうほどだ。
以上を理解して鑑賞すれば心から楽しむことができるだろう。
ケーリー・グラントは素でとぼけててはまり役。
オシャレ尽くしだけど
オードリー綺麗だった。
オシャレに垢抜けた感じで。あの美貌でジバンシイのファッションを身に纏っていたら、さぞかし人目を引くだろうと思った。
離婚する筈だった夫がパジャマ姿で遺体で見つかった。数カ国のパスポートも、全て偽名で。
夫は何者なのか。
葬儀には怪しい3人の男、そしてピーターと名乗る男。アメリカ大使館に呼び出され、夫が25万ドルを持ち逃げしているとバーソロミューに告げられる。
怪しい男からピーターを信用するなと言われ、
誰を信用すればいいのかわからない。
レジー、なぜかピーターに言い寄る。
フランスにはギロチンがあるんだ、って、
いつまで行われた?
服のままシャワー浴びるピーター?
バーソロミューから電話、
ピーター怪しい、と思ってしまうレジー❣️
真犯人は⁉️
黒スキーウェア→薄緑のコートワンピース帽子→赤コートアニマル帽子→黒ワンピースジャケット→薄緑のコートスカーフ→白半袖ワンピース+黒太ベルト→赤スーツ白帽子→黒スーツ→紺ガウン→辛子色ワンピースコート→花紺スーツ白帽子
大体シンプルなデザインで襟ぐりを少し開けて鎖骨が半分見えるデザイン、女性の首元を美しく見せてくれる。
さらに帽子と長手袋がオシャレ度を上げている。
何回も観たが、初めて作品始まりのところ、ちゃんと観た。
レジーに衣装提供、ジバンシイと書いてあった。
レコードプレイヤー、昔のエレベーター、水色タクシー‥‥レトロでオシャレ
一番疑問に思うのは、オードリー扮するレジーが父親ほどのケイリー•グラント扮するピーター
に愛していると迫っていくところ❗️
やはりムリムリなストーリーだった。
衣装提供:ジバンシィー の文字が燦然と輝いている🌟🌟🌟 だけど、ス...
今作はセクシーな役所なのだろうけど、やっぱり何処か可愛さが拭えない...
オードリー最高傑作?
4点。
私のような素人にはオードリー映画の良さがよくわからない。
彼女の魅力だけでヒットしたように感じてしまう。
でもこの映画は今でも通用するような、
よく練られたストーリーであったと思います。
スタンリー・ドーネン監督の手腕光る!!
ファッションも音楽も全てが彼女を中心に回る、
オードリー・ヘップバーンの魅力満載の映画。
ケーリー・グラント/ウォルター・マッソー/ジェームズ・コバーン/ジョージ・ケネディと高名な役者たちが、未亡人となったオードリー演じるレジーナをイジメ抜く。表現を変えると、誰が味方か敵か?最後まで「困らせる」ということになる。
暗いサスペンスにあらず、軽薄な恋愛ものにもあらず、恐怖に怯える物語にもあらず、誰でも気楽に「楽しめる映画」としている。
登場人物以外にも、登場の仕方が最高とも思える、オシャレなモーリス・ビンダーのタイトルデザインに加え、そこに流れるヘンリー・マンシーニの楽曲がすごく良い。
「ローマの休日」後に数々のヒット作に恵まれたオードリー。軽い恋愛ものだけではなく「戦争と平和」や「尼僧物語」などの質の良い人間ドラマにも挑戦している。「ローマ…」からちょうど10年後の「シャレード」は、彼女の映画人生の折り返し地点でもある。
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ジバンシィのショー
印象に残る音楽とGIVENCHY
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