星を追う子どものレビュー・感想・評価
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期待以上に面白い。
期待以上に面白かった。設定というか、話が面白い。それなりに設定に奥深さがあり、テーマもしっかりしており、尚且つ、スピーディに段々と進行していく。なかなかスゴイ事だと思う。
でも、内容やキャラがなんとなく過去の名作を思い浮かばせるのは、仕方がない事なのだろうか?
特にジブリ作品はイメージ多く重なる。特にナウシカ、ラピュタ、もののけあたりと。ジブリ作品以外でも、サザンアイズや鋼の錬金術士、エヴァンゲリオンなどともイメージがリンクする。もう、この手の話はされ尽くされているので、何かと重なるのは仕方がない事かもしれない。特にジブリ作品は影響力が強過ぎて、もう避けては通れないのだと思う。飛空艇を見たらゴリアテ、光る石を見たら飛行石、新天地を描けば天空の城…我々がもうイメージを強く持ち過ぎているために、せっかくの良作も、『パクリのオンパレード』に見えてしまう。ホント、ダメだよなぁ。こんなの。
主人公アスナの総愛され
どうにも昔流行った『ドリーム小説』や『乙女ゲーム』を思わせる人間関係。
突然アスナの前に現れた、長髪で気品のある青年、シュン。
産休の先生の代わりに担任になった、逞しい体躯のミステリアスな教師、森崎。
シュンのいなくなった後、アスナの前に現れた、シュンとそっくりだが少し野性味と幼い印象のあるシン。
この三人がとにかくアスナの事を大好きで彼女を守りながらがんばる、というお話。大分要約すると。
あまつ初対面の幼女や、キツネ〇スそっくりな猫や、幼女の祖父までアスナの事ちょうすき。愛されてるね。
映像美、世界観設定は面白いですが、どうにもどこかで見受けたな、というシーンがちらほら…(ナウ〇カ、ラピュ〇、ト〇ロ、猫の恩〇し、だけではなく、アドベンチャーゲームのIC〇、ワ〇ダと巨像もなんとなく…)ストーリーにも少しばたばたとした印象を受けた。普通に楽しく観れましたが、繰り返し観たくなる作品ではないかな…。
登場人物たちの心の変化についていけない
秒速と同じ新海誠かんとくということで鑑賞。まず誰しも思うことがとてもジブリっぽいっということ。ラピュタであったりもののけであったり千と千尋であったりナウシカであったりといろいろな作品から影響を受けているであろう展開,描写が多くそれがノイズになって自分には悪い影響を与えたかなーという感じ。地下世界アガルタへ好奇心旺盛なアスナと妻を生き返らせたい森崎が旅をする。まず男の先生と女の子が旅するっていう展開にちょっと違和感が(まぁこれはいいんだけど)。あと旅もののメインとしては前と後での成長が描かれていてほしかったがもともと成績優秀,家事までこなす完璧小学生アスナが持っている葛藤みたいな描写があまりなく,それゆえ成長があまり感じられなかった。森崎は森崎で自分の妻をよみがえらせるために抵抗なく(泣いてはいたが)アスナを差出すド畜生でまぁ失敗に終わってもそこから何か得られたのかといわれると。。。
また肝心のアガルタの描写があまり異世界である感じがせず(異世界なのに言葉が通じるっておかしくね?)そういった構想の練り方に甘かったのかなと。逆に現実の描写の細かな部分は共感できる点が多く楽しめた。
また秒速同様絵がとてもきれいでそこに関してはすごく心地よかった(あのサンドイッチ食べたい)。
異世界性を描写する事の難しさ
その圧倒的な映像美を銀幕に描き続ける、新海誠の長編ファンタジーアニメーション。現代から未来の若者の、恋愛や心の距離感を描いた過去3作品とは打って変わって、純粋な少女の冒険ファンタジーを描いている。
新海誠自ら宮崎アニメからの影響を語っており、作中にもこれでもかと言わなんばかりの宮崎アニメのオマージュが見られる。しかし重要なのは、これらのオマージュが、きちんとオマージュとして完結しており、いわゆる“まんまパクリ”では無いという事である。影響を受けつつも、きちんとそれぞれの独自性を見せている点は好印象だった。
ストーリーも王道を行く展開である。少し性急な印象も受けるが、不可解な描写は少なく、まとまっており、盛り上がる所できちんと盛り上がる。2時間を退屈だと思わせないストーリーである。今作でも新海誠こだわりの美麗背景は顕在で、登場人物達の細かな心理描写の一端を担っていると言えるだろう。
全体的に見てきちんとした面白い映画である。しかし、一方で監督自ら強い影響があると発言している以上、宮崎アニメとの比較は避けられないだろう。そしてやはり宮崎アニメと比べればその面白さには決定的な落差がある。
その落差が何なのか考えてみると、私は世界観の醸成であると思う。ファンタジーアニメーションに重要な要素には、その異世界の世界観が魅力的に見えるかどうかという点が一つある。そして宮崎アニメに登場する異世界と比較すると、新海誠が今作で描いた地下世界アガルタは決定的に魅力が欠けている。
宮崎駿と新海誠の世界観の描写において異なる点は、視覚的な情報量だと思う。宮崎アニメに登場するファンタジー世界は、腐海にしろ、ラピュタにしろ、たたら場や油屋にしろ、現実世界とは明確に異なる風景や、建築物のデザイン、登場人物の衣装、生活様式や文化など、視覚的に異世界性を示す情報をいくつもいくつも盛り込みながら、私達の日常とははっきりと異なるのだという非現実感を与えていた。さらにその世界に登場する個性的で時には人外のキャラクター達が、その異世界性をさらに強調していたのである。
しかし、新海誠のアガルタはどうだろうか。前半は現実世界でのストーリーが展開するが、現実世界とアガルタとで、そこまで受ける印象に差は無かった、衣装や生活様式こそ違えど、森や木々の描写は両者で違いはほとんど無かったし、そこに生きる人も生物も建物も、どこか現実世界の単純な延長にしか感じられなかった。モリサキによるアガルタの詳しい説明が無ければ、アガルタを異世界だと認識するのはもっと難しかったかもしれない。しかし、宮崎アニメの異世界は、説明など必要なく異世界だと感じる事が出来るのだ。
これは恐らく、新海誠が大人の理屈でアガルタの異世界性を描写したからであろう。異世界とはこういうものだ、というような理屈で世界観を設定したからであろう。一方で、宮崎駿は児童文学からの影響がある事から推測するに、子どもの感性で異世界性を描写するのである。そこに理屈は存在せず“なんだかよく分からないけどとっても不思議な所”という印象が、魅力的に映るのである。
この映画は、皮肉にも私の中での宮崎アニメの評価をさらに高める結果となった。しかし、同時に新海誠の挑戦心や独自性、将来性についても私は高く評価したい。両者共に今後の創作活動が楽しみでいられないアニメーション作家である。
死にゆく国で生を問う
自然に囲まれた田舎町で母親と2人で暮らす少女アスナは、奇怪な怪物に襲われそうになった所を不思議な少年シュンに助けられ、心惹かれる。
シュンは突然姿を消し、失意のアスナの前にシュンそっくりのシンが現れる。
誘われるように、アスナは地底世界アガルタへ…。
アニメ界の俊英、新海誠監督作品。
短編「ほしのこえ」、長編「雲のむこう、約束の場所」、中編「秒速5センチメートル」…登場人物の丁寧な心情描写と詩情溢れる美しい映像で見る者を魅了。
再び手掛けた長編作で描いたのは、アニメ映画の王道とも言える異世界(地底世界)での冒険物語。
単に胸躍る娯楽作と思ったら、少々肩透かしを食らう。
孤独な少女が自分自身を見出す成長物語と少年少女の淡い恋が繊細に綴られる。
そしてもう一つ、生と死。
舞台となる地底世界アガルタは死者を生き返らせる事が出来る伝説がある。
だがアガルタは文明が荒廃し、死にゆく国だった。
そんな死にゆく国でアスナは自分自身を模索し、生きる意味と意義を見出す。
一方、アスナと行動を共にする教師モリサキは、過去に愛する女性を亡くし、彼女を生き返らせる為、盲目的にアガルタを探し続ける。
そしてそれを達成したかと思えたが…
生者よりも死者を選び、欲と死に取り憑かれ、生きる意味も意義も見失う。
その対比が哀切漂う。
新海誠監督らしい繊細な描写と美しい映像、独特の世界観で物語れ、一本のアニメ映画として標準以上の出来だと思う。
この作品をジ○リと比べる評が多いが、比べるのは愚かな見方だ。
(2011日本アカデミー賞アニメ映画賞でノミネート漏れ。「コクリコ」「けいおん」「ブッダ」は分かるとして、この作品を差し置いて「豆富小僧」「コナン」が挙がるとは…。いつもながら日本アカデミー賞の選考基準を疑問視してしまう)
ラピュタに似すぎ
比較するのも申し訳ないんだけど、ラピュタに似ている割に、ラピュタからド迫力のアクションや憎たらしい敵など面白要素を省いたような腑抜けた内容であんまり面白くなかった。
地面から出てくるゾンビみたいなお化けが主人公の女の子をさらうのに無傷のままだったのに、後からやたらと危害を加えようとするのが意味が分からなかった。他のお化けにすればいいのに。
アニメは作るのがただでさえ大変な労力を必要とすると言う。そんな力作に文句をつけるのは非常に心苦しいのでシナリオ段階できちんとした方がいいと思う。
(追記)
初めて見たつもりでいたら7年前の感想が記されていて驚いた。見ている間、全く気付かない。ラピュタに似ているとは今回も思ったのだけど、もののけ姫の要素もたくさんある。昭和40年代くらいの時代設定は面白い。一緒に旅をする先生が悪者でないところがいい。
ジブリとブレイブストーリーと‥‥とにかくガッカリ‥
●秒速五センチメートル‥は超秀逸な作品でした~ヽ('ー`)ノ~
そして‥
‥それを期待してDVD借りた俺の‥
ガッカリ感はハンパないスヽ('ー'#)/
作品や作風によるけど‥
映画は最初の30分がミソに思いますが‥
こちらそのイントロ部がナカナカ興ざめ(`o'ヾ
■小さなネコバスや‥
■ハクの五年後‥
■おっことぬしや‥
■モロ一族の住まい‥
‥らが登場(^-^)?
なんぢゃこら?
何故今?
この時期に?
‥この作品‥?
◇サマーウォーズでもなく‥
◇アップルシードでもなく‥
何故に???
☆評は‥
DVD100円水準にて‥(^-^)
DVD買う度⇒①★
モ、1回見たい度⇒①☆
オススメ度⇒①♪
デートで見る度⇒②◎◎
観る相方o(^o^)o】‥一人見も辛いし/誰かと見も辛い‥ヽ('ー'#)/
監督や制作陣は‥
こちらに何を伝えたかったンだろ~ヽ('ー`)ノ~?
俺にはサッパリ分からぬ(`曲´#)
うぬぬ‥
‥分からぬo(><;)(;><)o
アニメだー
生きるとは?
というテーマをひたすら追い求める映画。
すごく深いお話だと思います。
でも、いまいち盛り上がりに欠けるというか。
主人公より先生サイドが気になりました。
恋人をとても愛していて、もう一度会う方法をずっと探していたのに、
最後はあっけない結末になってしまい切なかったです。
しかし、この出来事によって彼の今後も変わっていくのかな?と
この後みんなどうなっちゃうの?と今後の展開が気になる終わり方でした。
主人公の方が星は?お父さんは?
なんか設定が活かしきれてなくてモヤモヤしました。
星の輝きの様に生きる事は美しく尊い、その事をそっと感じて欲しい
人が生きる事は出会いと別れの繰り返し、時に愛する者と死別し、そしてまた新しい出会いがある。その中で人は成長を遂げて行く、人の宿命をファンタジーで伝えた心温まるファミリームービーだ。
私は残念な事に、新海誠監督の前作品を見ていない。したがってこの作品が、彼の作品の中でどのような位置を占める事に成るのかと言う判断は出来ない。
しかし、本作は音楽も綺麗だし、自然描写も美しいので、子供連れの家族で見るのも楽しいし、或いは10代の人達がこのアニメをデートに行く時に選んでみてもきっと外れる事が無い、夢があって良い作品だと思う。
愛する人(父親)の死をやっとの思いで乗り越え前へ進もうと生きる少女アスナの生き様と、妻との別れを諦めきれない、現実を受け入れられない教師モリサキと言う大人。この二人の人間の生き方の対比こそが、ファンタジーアニメと言う、おとぎ話ちっくに描いてはいるが、誰の人生にでも起こり得る人間の永遠のテーマである生と死→生きる意味と命の価値、或いは、生かされて生きている人の宿業と、人として存在することは、この世に生かされている事を知る旅でもあると言う作者のメッセージ伝わってくる。
人は、その命に感謝すて生き、また総ての命は死を超えた何処かでまた繋がる事を、美しい自然描写と、音楽で自然に理解出来る様に謳い上げる本作が、ジブリでなく、新海監督の手によって制作されたと言う点でも、この長編アニメが、更に次回作へと繋がり、これからの日本のアニメ界に根付いて育って行くと、映画ファンとして、とても嬉しい。
日本映画界は、世界規模のマーケットが無い為に、どうしても低予算作品ばかりで、実写映画作品には、どうしても、もう少しお金をかけたなら、グッと素晴らしい出来に仕上がり、見栄えの良い、リアリティある作品になるのになぁと残念に思う作品が多数ある中で
アニメの世界なら、表現が比較的実写作品より、鑑賞に耐えうる作品に仕上げる事が出来るのだから、ジブリ作品は、ジブリでその良さが有るが、ジブリだけでなく、より多くの優れたアニメ作品が今後多数出来る事を映画ファンとして心待ちにしているのだ。そう言う意味でも、この作品、満点を上げる事は残念ながら決して出来ないけれど、今後も、日本の長編アニメ界を担う作家の一員として、本作で長編デビューを果たされた、新海監督の記念作品として高く評価をしたい。そして私達映画ファンも、色々な作品を多数見て、映画を見る目を肥やす事で、作者のクオリティーを底上げ出来たら嬉しい事ではないだろうか!私も含めて映画COMファンの人達も一緒に映画文化を育てて行く事が出来たらこんな素晴らしい事はない!
色彩は、数百ページの難題に挑む
「秒速5センチメートル」などの作品で知られる新海誠監督が、オリジナル企画で挑む青春ファンタジー作品。
剣と魔法、未知の怪物に鉱石。正に王道ともいえるファンタジー作品の要素を取りこぼす事無く盛り沢山に混ぜ込み、幅広い年代の観客が心躍らせる冒険物語が展開されている。それだけならば、世に数多ある「青春ドラマ」なり、「ファンタジー大作」と銘打ったアニメーションと代わり映えしないのだが、本作が異色の味わいを醸し出しているのは物語世界を支える「確かな知識と、深い洞察」の力だろう。
「生と、死」「喪失と、葛藤」。日本に限らず、世界中の学者先生方が数百ページにわたる専門書を血眼になって書き殴る事で分析してきた豊穣なる哲学と、思想の世界。本作は2時間弱の穏やかな色彩と、美しさに満ちた世界の描写を持って、堅苦しい言葉が並びがちな思想談義へと力強く歩を進めている。
自らの死を予感したとあるキャラクターの取る行動は、死に場所を求め彷徨う象の本能に酷似しているし、最期の決断とラストシーンは、現代に満ちる悲壮感と絶望に立ち向かうための道を、観客へと差し出す哲学者の答えのようだ。
アニメという柔軟かつ自由な人間描写を可能にする表現手段を持って、映画の作り手が今、何をするべきなのか。本作はこの深い想像力と、青春の力強さを軸に置いたストーリーをもって、私達に提示している。
肝心の物語において登場人物の感情と苦しみを十分に描こうとしているが、若干スピード感を重視しすぎた作りのためにぶちぶちとシーンが切り刻まれて人物同士の繋がりと関連が分かりにくい部分もあり、ゆったりと世界に浸るには不親切な感じが漂うのは難点か。
とはいえ、その場しのぎの漫画をちょいといじったような陳腐なアニメ作品が席巻している日本映画界にあって、人間の複雑怪奇な感情を鋭く丁寧に描写する本作のようなオリジナル企画は、我が国が誇るクールジャパンの新しい可能性を感じさせてくれる。じわりと観客の心を暖める良心に溢れる佳作だ。
少年と少女
やってくれました。
大人になれない少年と大人になった少女を少年の世界から静的に、内面性が重視されて作られたのが秒速5センチメートルならば、少女の世界から動的に、外面性を重視されたのが星を追う子どもです。題名も、星のような手の届かないものを求めてしまうのは子どもなのだということを示しています。作品の中で男と女の対比、そして作品通しでの男と女の対比。涙が出るほど素晴らしい、これから見る方は秒速5センチメートルを見て沸々と沸き上がる少女への気持ちを胸に抱いてからこの作品を観ることをお勧めします。
幻想(=ファンタジー)の世界にこの世にはないものを求めて旅立ち、喪失を受け入れて現実の世界へと戻っていった少女と、喪失を受け入れられず幻想の世界に留まった男性。さよならをいうための旅、まさにいい得て妙ですね。
一見ただのちゃちなファンタジーに見えてしまうかもしれませんが違うのです。男という内面に内面に入り込む世界を描いた秒速5センチメートルと対比して外の世界に触れて生きる女の世界を描いたのがこの星を追う子どもなのです。
個人的には非常に満足でしたが、今まで静的な世界ばかりを描いてきた新海誠監督が初めて動的な世界を描いてしまったために起きてしまったジブリっぽさ、そしてどこか新海誠監督らしくないように感じてしまう背景描写を考慮して評価は4.5にしたいと思います。
うーん。賛否両論ありそうだな。
新海監督のファンなので、見に行ってきました。
事前に色々賛否両論はあるのは知っていて、監督自身のインタビューでもジブリっぽいというのは認めてらっしゃいましたがwむしろジブリというのではなく、世界名作劇場を目指したのだと。いわれていました。
実際見た感想としては、やっぱりどうしてもジブリっぽいw
景色や、音(風の音とか、虫の鳴き声、水音)なんかは新海作品ぽいし、とくに空は本当に新海作品の特徴を色濃く出しています。
だけど、キャラデザインが今回別の方がされているので、それもあって、まずいままでの作品と違う感じ。
あと声優を使っているので、グッといわゆる「アニメ感」が高い。
正直ジブリっぽさは否めない。あまり悪い意味ではなく感じましたけど、ラピュタとかの影響は色濃く感じました。モリサキのキャラもムスカっぽいというかwラピュタ、もののけ姫、せんと千尋、あとネコっぽいミミっていう子がいるんですが、ナウシカのキツネリスみたいな感じがw(肩にのっかってくるあたり)
全体的な雰囲気は、宮部みゆきさんの原作を映画化したブレイブストーリーを思い出しました。
日本人が作った異世界ファンタジーっていう意味では同じくくりなのかな。
なんにせよ、今ままでの深海監督の作風とは大きく違ってます。ので、ファンの中には戸惑う方もいるかなと。彼の初の長編アニメーションで、一人で作っていないということがあります。
全てが彼のこだわりだけでは作れなかったのだなと。色んな意味で、既存の日本アニメに近づいている気がしました。
個人的には嫌いではないです。ただ、ここまで既存の作品をイメージしてしまうというのが、ひとつのオリジナル作品としてどうなのかなぁと。少し思いました。
宮崎駿監督の蒔いた種は、ジブリ以外のところから芽が生えたか。
監督の地元・長野にロケハンしたという山に囲まれた日本の田園風景。大小の雲の漂う青空から差し込む太陽に照らし出された地上にできる光と影。金属に反射する光も描写するなど、新海誠監督作品の映像は美しい。
監督自身が語るように、テトやトトロを思わせるような場面もありジブリアニメのオマージュに満ちている。(クラリス役の島本須美さんも起用されてる)異世界の風景などには、世界名作劇場のような感じもある。
少年少女と不思議な石と異世界はファンタジーの定石だけど、そこから広がる物語は、新海誠監督の独自世界。監督が子どものときに読んだ児童書が発想のモトになっているという。
母と二人暮らしの女子中学生アスナの人物描写などは、宮崎駿監督作品のヒロインと似てるようで違う。
エヴァの中学生たちの揺れる心情と似ているところもあり、彼女と同行する教師の森崎もまたそうした喪失感を抱えている。
美しい映像と広がるファンタジー世界に最後まで楽しめた。ただ、アスナの持ってた鉱石からアスナのお話が広がらないなど最後のまとめ方が不十分だったかもしれない。
宮崎駿監督の蒔いた種は、ジブリ以外のところから芽が生えたか。なお、物語の舞台は日本の70年代とジブリの次回作ココリコ坂と重なってる。
新海独特の虚無感は無し!
私は「秒速」「あの雲」のように見終わったあとの虚無感を体験したく見に行ったのですがそういったような作品とは少し違い残念でした。
物語的にはありきたりかなと思いましたが絵がとても綺麗で一つ飛び抜けていたと感じます。
ただ最後のあたりに新海らしさが出ていました。
最後に、
作品としてはつまらなくないのでDVDではなく劇場鑑賞をオススメします。
ある意味望まれていた作品。
第一感想は「面白かった。直ぐにでも、もう一回みたい」だった。この監督の作品でこんな感想が出ることは初めて。
知らない人の方が多いので説明すると、新海誠監督は視聴者が見終わった途端に欝になるくらい苛烈なまでの切なく悲しい物語を独特な色彩感覚の背景美術の映像で見せるアニメ作家で、一部に熱狂的なファンが居る。
そんな彼の新作がイメージからは想像できなかった全力投球のど真ん中で放ってきたのが、この「星を追う子ども」である。
監督本人は世界名作劇場みたいな古き良き日本アニメを目指したというがやはりジブリをイメージしてしまった。現に凄く分かり易いジブリオマージュがかなり盛り込まれているが、巧妙に隠したり下手に弄ったりしてないのでかえって潔くパクリとかいう気にはならなかった。
それに新海監督らしさも前面に出されている、代名詞の背景美術に相棒・天門さんの心に響く音楽、一見すると強い人なのに内面には弱さを抱えている登場人物(ジブリキャラは病人でも芯が強い)、個人的にはそれらが上手く噛み合って凄く楽しめた。
説明不足を指摘する声もあり私もそう思うが、そういったものを自分や仲間と考えたりして補完するのは存外に面白いことなのでやってみるといいと思う。
新海誠監督の作品は見返したいけど切なくなるのがわかり切ってるから中々見直せないという人や、最近のジブリはこぢんまりしすぎて面白味に欠けると思う人は確実に居るはずで(特に後者)そうした人に是非見て欲しい。
細かいことが気になる人以外は損は無いと思う。
究極の自己満足映画
独特の世界観と映像美で評価の高い新海誠監督の最新作「星を追う子ども」を拝見。
監督のやりたいことをふんだんに盛り込んだだけのなんともビックリする究極の自己満足映画でした。
今作では、今までの作品で高い評価を受けてきた新海流を少し抑え、批判を恐れずジブリ(正確には日本の古きよき時代のアニメ)を思わせる世界観をツールとして作品づくりに挑んだそうですが、その試みはとても興味深く、それだけに楽しみにしていました。この作風にした理由が、これまでやって来たことに飽きた、と言うのも笑えましたし。
ですが蓋を開けてみれば、その実態は自分のやりたいこと、表現したいことをそのまま絵にしただけの、しかも笑ってしまうくらい中二病精神に満ち満ちた稚拙な作品です。
作り手のやりたいようにやる。それ自体は間違ったことでは無いでしょうが、映画はお金が発生するビジネスです。
当然スクリーンの前に座るであろう観客の事を頭に入れて作らなければならないと、個人的には思います。実際2000円弱払っているわけですし。
やりたいことをやりつつ、それをもって何を伝えたいのか、観客にどう考えて欲しいのか、そういったメッセージが伝わって来るような作品でなければならないはずです。
何の内容も詰まっていないようなコメディ作品だって、必死に考えて笑いを捻り出しているんです。
そういった、いわゆる作り手の誠意が、この作品からは全く伝わって来ません。ただ2時間ダラダラと監督の濃い妄想に付き合わされただけです。
例を挙げれば、主人公のピンチにかっこよく白馬の王子様が登場する見せ場なんて、小学生向けヒーローアニメでも無い限り、作中に1回あればそれで充分なんです。そしてそんなシーンを多用したところで一体何が伝わるのか。
1回目はほど好い爽快感、高揚感を感じられても、2回目3回目はウンザリするだけ。
いわゆる、そういった「見せ場」を上手に使うのでは無く、入れたいだけ盛り込んでしまっているので、作品をもり立てるツールとして全く機能していません。
もちろんそれだけではありません。
日本が世界に誇るアニメーションの原点ともいえる過去の作風を取り入れる試みだって、そのアイデア自体はとても良いのに、ただその作風を「借りてきた」だけで、じゃあそれを取り入れて何がしたかったの?これにそれ、必要だった?と言いたくなってしまうようなお粗末さ。
そして何より許せないのは、ストーリーの根底にあるはずのひとつの筋が全く見えないことです。
登場人物達の行動の動機の希薄さ、一貫性の無い立ち振る舞い。そのせいで、何をきっかけとしてどのようにストーリーが動き、どこに帰結するのか。とにかく支離滅裂です。
他にも書ききれない程の、どこを取っても良いとこ無しの大失敗作です。
こんな作品、ネット上で誰でも観られる自主制作アニメにでもしておいてください。
過去の新海作品の大ファンだった僕としても、誰にもオススメできない作品でした。本当に本当に残念です…。
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