「アレキサンドリアと西欧宗教」アレクサンドリア 宋3世さんの映画レビュー(感想・評価)
アレキサンドリアと西欧宗教
古代エジプト文化の頂点に立つ天体衛星の楕円軌道を推論した実在の女性哲学者ヒューーパテアの伝記なので、実在の人物の物語りの迫力はあるが、このスペインの監督アレハンド・アメナーバルは前作「海を飛ぶ夢」が車椅子生活を強いられる身体障害者のキリスト教会では禁ずる自殺に至る心理葛藤を克明に追った宗教的な手法で、キリスト教宗教的テーマを常に追求する宗教作家と云うことができる。しかも西欧のキリスト教会を題材にしながら反教会的テーマを貫く思想の持ち主である。過去にキリスト教社会である西欧映画で宗教映画と呼べるものはフランスのロベール・ブレッソン監督の神を肯定する「田舎司祭の日記」、神を否定する作品ではアメリカのフレッド・ジンネマン監督・オードリー・ヘップバーン主演の「尼僧物語」などが代表的だが、現代ではメキシコのアレッサンドロ・イニヤリトウ監督の「バベル」がある。アメナーブル監督とイニヤリトウ監督は共にスペインとメキシコと云う云わば後進国ヒスパニック系とも云うべきスペイン語圏の作家である点が興味深い。
宋3世
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