劇場公開日 2011年8月5日

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「リメイクの必要性がない」モールス マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0リメイクの必要性がない

2011年8月12日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

結論から言おう。
スウェーデン製作のオリジナルの方が圧倒的にデキがいい。
そもそもオープニングからして、肌を切り裂くような寒さを感じない。田舎町を取り巻き、林を漂い、古いマンションの中庭を流れる空気、そのどこにも凍てつくような透明感がない。

オリジナルが駄作だったのならともかく、秀作であり、しかもオリジナルの公開からたった2年しか経っていないなかでのリメイクに、いったいどんな意味があるのか、その必要性がわからない。
これほど早くリメイクするのであれば、オリジナルを超える〈何か〉が必要なはずだ。
オリジナルは原作者自ら脚本を書いた。今作は脚本がマット・リーヴス監督本人になっているが、物語の進行、カット割りすべてがオリジナルから抜け出ていない。

透明感のある肌をもったコディ・スミット=マクフィー。綺麗な顔立ちだけでなく、少年特有のナイーヴさも併せ持つ。早くも女優魂を見せるクロエ・モレッツ。猟奇なストーリーの上にピュアなラブ・ロマンスを成立させるには、このうえないキャスティングだが、映画史上に残るようなオリジナル作品で使うべき逸材だろう。こんなリメイクごときに使ってしまうとはもったいない。

邦題も映画の内容からすると弱い。タイトルになるほど、モールス信号が活用されていない。

マスター@だんだん