劇場公開日 2011年2月26日

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英国王のスピーチのレビュー・感想・評価

全216件中、201~216件目を表示

4.5文句なし

2011年3月4日
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鑑賞方法:映画館

楽しい

3月1日新宿武蔵野館にて観賞。
去年から映画館のフライヤーで気になっていた作品でした。とはいえ、前日のアカデミー賞受賞の後とあって大入りの館内にびっくりしました。
内容は文句のつけようがないほどだと思います。
個人的には2人で散歩するシーンが(霧がまいすぎとはいえ)非常に美しく感じて印象に残ったシーンです。
個人的に1つだけ文句があるといえば、ヘレナ・ボナム・カーターです。なぜならあの人見ると「フランケンシュタイン」の女フランケンしか頭に浮かんでこなくなるほどあれが強烈だったもので…。

にしても新宿武蔵野館は好きなんですが前の席の人次第では地獄のような映画体験を強いられますね。同行した彼女は今回もはずれ席だったようで、ずっと頭を曲げて観る羽目になっていました…

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ゲオルゲ・ハジ

5.0素晴らしい作品でした。

2011年3月3日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

興奮

幸せ

アカデミー賞を取る前に観たかったのですが、
時間の都合がつかず、受賞後に観ました。
「ソーシャルネットワーク」とどちらが受賞するか
心配していましたが、それは杞憂でした。
格が違いました。
私にとって「ジョージ6世」=「コリン.ファース」に
なってしまいました。素晴らしい!!!
今も涙が出てきます。(年のせいも大きく関係してる?)

私には何故「ジェフリー.ラッシュ」や「ヘレナ.ボナム=カーター」が
受賞しなかったのか不思議でなりません。
でもそれは、それ以上に「ザ.ファイター」が素晴らしいのでしょうね。
期待します!

それにしても、1972年生まれのトム.フーパー監督の感性に感激です。
この若さにしてこの落ち着きある立派な作品。
これからに益々期待します。

最後に...
この作品は、ジョージ6世とその妻エリザベスの愛の物語でも
あると思いました。皮肉にも、彼は56歳で亡くなり、彼女は
101歳で亡くなりました。
人には「生き別れか死に別れ」が必ずある。
長く連れ添っても憎しみ合っている夫婦は多く、愛し合っていても
別れなければならない夫婦もある。

それにしても、この作品でのシンプソン夫人の取扱い方にはびっくり。
これが真実で、これまでの私の聞いた話が作り物?
エドワード8世側から文句は出ないのかと心配になりました。

まあ、そんなことは兎も角として、本当に良い作品でした。

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ucchi-

4.5万人に受ける映画

2011年3月3日
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鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

知的

アカデミー賞発表の前日に見に行きました。英国王(エリザベス女王の父君)が吃音の持ち主で、スピーチセラピーと国王の掛け合いと友情、みごと吃音を克服する物語ですが、二人の俳優の演技のうまさが賞を取ったのではないでしょうか?とにかく笑わせます。万人が見て楽しめる映画だと思います。私はソーシャル・ネットワークが賞をとればとおもっていたのですが、これを見て、やはりこれが賞を取ると確信しました。

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未散

5.0万人が共感できる名作!!!

2011年3月2日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

幸せ

人は誰でもなにかしらのコンプレックスを持っていると思う。
そして、それを親のせいにして恨んでみたり、運命を呪ってみたりする。
けれど、それは何も意味をなさないということをこの映画は教えてくれる。
コンプレックスに向き合い、自分の生き方を見つけていく王の姿は
年月を経ても万人の共感を得る作品だと思う。

ただ、王に献身的に尽くした妻の愛情があったからこそ、
良い友人ともめぐり合えたし、頑張ろうと思えたわけで、
「結婚に失敗した人」や「恋人が見つけられない」というコンプレックスの持ち主は
“やっぱダメじゃ~ん”と思うかもしれないけど(笑)。
(ワタシの数多いコンプレックスのひとつがそれなのだ)

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いし子

1.0腹が立つ作品

2011年3月1日
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鑑賞方法:映画館

単純

英国王室に対しての敬意が全く感じられない。登場人物にしろ描写にしろ酷いもんだ。ストーリー展開も予定調和でしかない。賞をもらうような作品とはとても思えない。

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りょうま

2.0退屈な小作品

2011年3月1日
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鑑賞方法:映画館

単純

寝られる

とにかく退屈。吃音者で望まない即位の英国王とそれをとりまく人々のヒューマンドラマ。しかし、日本人には縁遠い話で感情移入は困難。オスカーってつくづくアメリカの賞なんだなと確信した。悪い作品ではないが、日本人にとっては退屈。寝ている人が多かった。

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hartland

4.0良く出来た映画でしょう・・・が

2011年2月28日
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鑑賞方法:映画館

知的

寝られる

アカデミー作品・主演おめでとう!!

コリン・ファースにジェフリー・ラッシュ、演技派2人が揃って魅せない訳がない!!
そうなんです、よくも悪くも予定調和です。

つまらないわけではありません
こうあるべき、ところに進む安心感はたっぷりです。

本当にアカデミー好みの
良く出来た、良い映画です。
      ・・・が、一瞬の油断で眠りに陥りました。

話のテンポが、睡魔をよびます。

ぜひ、十分な睡眠をとって観て下さい。

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たむさん

5.0キングにはキングの悩みや苦悩がある

2011年2月28日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

楽しい

知的

子供の頃の王室ならでは環境下のプレッシャーで吃音になってしまった皇太子がヒットラー率いるドイツとの宣戦布告を前に兄から王位を譲り受けるに当たり吃音の為に苦悩してそれを克服するまでが人間的に描かれている秀作です。

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takahamaman

4.5ヒトラーと同時代の王様

2011年2月28日
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鑑賞方法:映画館

楽しい

知的

幸せ

予告編で心ひかれ楽しみにしてました。きつ音障害のジョージ6世がヒトラーの演説映像を見てました。
演説巧みに人心を掴んだヒトラーと同時代の王様かぁと改めて認識、ハードル高そう。

英国王室の史実ドラマとして面白かったし、障害を克服していく個人のドラマでもありました。飄々と、重苦しくない、むしろ楽しいっていうのが素晴らしい。
言語療法士ローグとの初めての"個人と個人"の関わりは、公人である王の宝だったに違いありません。
王がローグと作り上げた、彼らしい見事なクライマックスに感動でした。

奥様のエリザベスは、重荷を背負う夫をいつも気遣う、本当に素敵な女性でした。
王と王妃の普通の夫婦の会話や家族団欒が楽しく印象的でした。ヘレナ・ボナム・カーターの温かく軽やかな演技、ピッタリだと思いました。

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グッドラック

4.5日本にも、こう言う立派なリーダーが欲しい!

2011年2月27日
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鑑賞方法:映画館

現女王エリザベスII世の父王ジョージVI世の物語。

ジョージVI世となれば、兄王エドワードVIII世に触れないわけには行かないでしょう。『王冠を賭けた恋』と言われたわけですが、その煽りを受けて国王になったのが、ジョージVI世と言う事になります。

この作品の深いところは、英国人の役には英国人かアイルランド人、オーストラリア人の役にはオーストラリア人の俳優が配役されています。日本人には判りにくいことですが、イギリス英語とオージー英語の違いがありますからねぇ。また、エリザベス王妃を演じたヘレナ・ボナム=カーターは上流階級の出身。上流階級には上流階級の話し方もありますしね。出身地や、育ちのリアリティを追求したのだと思います。

驚かされるのが、タバコに関する認識。ジョージVI世の吃音の治療の一環としてなのか、タバコは喉の緊張を弱めるとか言って、タバコが奨励されていたりします。もっとも、ライオネルは体に良くないと言って吸わせまいとしますが。こう言うことも、時代による認識の違いなんですかね。

エドワード王子のケイト・ミドルトンさんとの婚約という慶事に湧いているイギリスですが、チャールズ皇太子の評判がイマイチであるとか、ヘンリー王子の素行が良くないとかと言うこともあり、王室を取り巻くイギリスの世論には厳しい物があります。この時期にこの映画が公開されたのは偶然なのでしょうが、そう言うイギリス世論が背景にあるのか?と勘ぐりたくもなります。

第83回アカデミー賞には、作品賞・主演男優賞・助演男優賞・助演女優賞・監督賞を含む、全12部門にノミネート。まぁ、見てみると、その理由はよくわかりますね。よく出来た話です。って言うか、基本的には実話ですが。

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勝手な評論家

5.0淀みのないスピーチ。淀みのない感動。

2011年2月27日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

楽しい

何だかレビュー書くのが難しいなあ。
何でこんなに難しいんだろう。
こう、何ていうか、こういう感動って、結構空回りというか、上手く伝わらない時って、相手との温度差って凄いじゃないですかあ…と、同意求めても仕方ないかw

いやあ、本当、凄い良かったんですよ!!!!

一見、淡々として躍動のない物語って印象(実際そう感じる人も居るでしょうけど)なんですけど、常に話がポンポン弾んでるというか、カット割り激しいとか大掛かりなアクションはないんだけども、「ウィットに富んだ」という表現が本当ピッタリな、粋な映画でした。

「英国王が吃音、さてどうしましょう」というワンテーマで、これほどの話運びと人間模様、感動と涙と友情まで盛り込んでみせたのは見事としか言い様がないんですよ。
実話ってトコも何か凄くイイ。脚色は勿論あるのだろうけども。

でも、やっぱりこの映画最高!と思わせてくれたのが、あのラストですよね。これがもうね、本当良かった。
スピーチに固唾を呑んで見守るあの瞬間!!
テーマパークのアトラクションばりにハラハラするなんて!!!
躍動感なんて皆無な筈のスピーチが、こんなクライマックス的感動で以って跳躍するなんて!!!!
気が付けば、お涙頂戴な訳でもないのに、何故か落涙。思わず落涙。

コリン・ファース万歳!
ジェフリー・ラッシュ最高!
ヘレナ・ボナム・カーター有難う!

アカデミー賞にノミネートされなきゃ、確実に見逃したであろう一本。
本当、出逢えたことに感謝!!!!

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ロロ・トマシ

4.0最大のスキルは人と向き合うこと

2011年2月27日
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鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

知的

人前で思うように話すことができない王室の三男が王位に就いてしまったという事実への着眼がいい。それがこの作品のすべてと言っても過言ではない。
吃音症で苦しむ男が一国の王として独り立ちする物語自体はいたって単純で、それだけに出演者、とりわけジョージ6世ことアルバート、言語聴覚士ライオネル、それにアルバートの妻エリザベスを演じるコリン・ファース、ジェフリー・ラッシュ、ヘレナ・ボナム・カーターの演技力が試される。もしこれが、いっぱいいっぱいの演技だったら大失敗になる。
ところが、この3人、いっぱいいっぱいどころか余裕で役をこなす。自然な振る舞いと喋りで、本当にその場に居合わせた気分だ。
アルバート王子をほかの患者と差別せず本人の承諾も得ずにバーティーと呼び、ときには厳しくときにはユーモアを交えて接するライオネル。彼はアルバートの王としての資質も見抜く。また、夫の身を案じても取り乱さず、いつも温かく見守るエリザベス。この二人は文句なしだ。まさに、ふたりに後押しされる形でアルバートのコリン・ファースがその上に君臨する。
アレクサンドル・デスプラ担当の音楽もいい。オリジナル・スコアはもちろんだが、ラストでスピーチのバックに流れる“ベートーヴェン交響曲第7番第二楽章”が効果的だ。

ライオネルは特別な資格を持った言語聴覚士ではない。経験によって独自の療法を積み上げていった吃音矯正の専門家だ。
いっぽうアルバートも、生まれながらにして王家の一員ではあるが、それは血筋であって資格ではない。
では言語聴覚士や王位としての専門知識を学ぶことだけが、その道で成功するためのスキルになるのだろうか? この作品からは《最大のスキルは人と向き合うこと》だと汲み取れる。

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マスター@だんだん

4.5良かった。

2011年2月27日
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鑑賞方法:映画館

勝手にコメディっぽい作品かな?って思いつつ見にいったのですが、全然違ってました。

最後にホロリという感じで、良かったです。

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ぐるもこ

5.0勇気と友情と感動のドラマ。

2011年2月26日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

楽しい

シンプルな構成でも,
派手に盛り上げず,
丁寧に葛藤と克服を描いてゆくドラマが好印象。

誠実な品格にも満ちていて見応えがあった。

コリン・ファース,ジェフリー・ラッシュ,ヘレナ・ボナム=カーター。
3人の役者が素晴らしい!!!

ユーモアとハートフルな交流を経て,
大舞台に臨むジョージの姿に共感。

胸を打つラストの演説は名シーン!!

秀作!

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AKIRA

5.0指揮者とたった一人の楽団員

2011年2月22日
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鑑賞方法:試写会

知的

私は吃音にこそ悩まされたことはありませんが、過去に弁論大会で失敗した事があり、それ以来人前でしゃべるのはるのは苦手になりました。本編に登場するライオネルのような存在がいればと思うと・・・。何だか悲しい気持ちになってきます。

1925年から1939年に掛けてこの物語はロンドンで繰り広げられるのですが、初めは王子だった主人公のジョージは吃音に悩まされているせいで大勢の前で恥をかいてしまいます。その後妻エリザベスがこの手の手の専門家でスピーチセラピストのライオネルに助けを求めます。初めはライオネルから心を閉ざしていたジョージでしたが、次第に彼の教えに従うようになり、彼は自身の病気を治そうと奮闘します。

注目はなんと言ってもコリン ファースとジェフリー ラッシュの演技合戦。特にファースは完全にジョージというキャラクターを自分のものにしていて完璧な演技を魅せています。一方のライオネルを演じるジェフリー ラッシュも負けてはいません。繊細で優しいおじさんと言った印象を持たせる演技でこちらは完璧すぎる演技を発揮していると思います。そして、何と言ってもクライマックスのスピーチが見所です。ここで二人の繊細な演技がぶつかり合いまるで指揮者とたった一人の楽団員のような関係へと発展。見ごたえ十分です。それから夫を献身的に支えるヘレナ ボトム カーターも良い味を出していると思います。

この物語に大きな弱点というか欠点はないのですが、もう少しライオネル側の苦悩をもっと観たかったというのがあります。たとえて言うなら「プラダを着た悪魔」のメリル ストリープのような一見完璧に観えて実は・・・みたいなそんなものがほしかった気がします。

しかし、これはなかなかの傑作です。二人の演技が見事なハーモニーを奏でる素晴らしい一本だと私は思います。

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SAOSHIーTONY

5.0主人公の背負ってきた心の傷に迫っていく、滋味深い深い大人の映画といった趣。音楽が素晴らしい。

2011年2月18日
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鑑賞方法:映画館

 アカデミー作品賞筆頭候補に相応しい作品でした。派手なアクションとか対人関係の葛藤がないけれど、静かに滋味深く、主人公の背負ってきた心の傷に迫っていく、大人の映画といった趣でしょうか。
 だからといって、重く退屈なところはなく、イギリス映画だけに随所にウィットを効かした洒脱なシーンが散りばめられました。試写会でも、ごく普通の「おばちゃん」がゲラゲラと笑っているレベル(^_^;)なんです。
 可笑しさの源泉は、まるで『釣りバカ日記』を地で行く、王様と平民のスピーチ矯正の専門家とが対等に渡り合う滑稽さなんですね。これを日本でやったら不敬罪ですよ。天皇陛下を○○ちゃんと呼び合い、吃音指導では平気で叱り飛ばすのですから。こうした作品が成立するのも、イギリス人のシャレっけを理解する粋な心意気だからでしょうか。
 さて、冒頭からピアノのメインテーマがとても心地良く奏でます。それはまるで、傷心の主人公を優しく包み込むような音色なんですね。
 すると1925年の大英帝国博覧会の閉会式で、スピーチを控えて不安げなジョージが登場します。案の定スピーチは、吃音によりほとんど語れなく失敗に終わります。
 けれども父王は、ジョージの吃音を認めず、様々な式典のスピーチを容赦なく命じるのです。妻のエリザベスは、見かねて片っ端から言語聴覚士をジョージに引き合わせるものの、かえってそれが逆効果に。だって、口の中にラムネ玉を入れるだけ押し込んで、普通にしゃべれなんて指導は、通常の人だって無理ですよ。ジョージが怒るのも無理はないのです。

 そこでスピーチ矯正の専門家・ライオネルの登場となるのです。ライオネルが自国の皇太子にため口を浴びせるように、地位の上下をなくして、一介の友人として接したのは、決して不遜な気持ちではありませんでした。ジョージをごく普通の悩める人間として、その悩みに触れるために、身分という殻をまず脱ぎさせようしたのですね。
 その真意には、生まれつきの欠点など無い、あるとしたら心が傷ついて、病んでいるだけだという同悲同苦の優しい気持ちと、必ず直るという圧倒的な善念が込められていました。
 けれども、ジョージは初めての指導で激怒して帰ってしまいます。だって、出来ないと分かっているのに、いきなりシェークスピアの『ハムレット』の台詞を朗読を強要されて、おまけに聞きたくもないその声をレコードにまで録られてしまっては、赤っ恥もいいところです。ジョージは、自分の酷い声を録音されてしまったと思い込み、治療の効果がないことに腹を立てて帰ってしまったのです。しかし、帰宅後に録音されたそのレコードを聴いてみると、ちゃんと朗読できているではありませんか。ライオネルは見抜いていたのでした。外部の視線や自身のコンプレックスや恐怖心をシャットアウトする環境さえ作れば、ジョージは普通にしゃべることができると。驚いたジョージは、一端は指導を断ったライオネルの元に、「無言」で押しかけるのでした。

 しかし、父王が死去し、兄エドワードが王位を継承したものの、「発展家」の兄は、ショージの忠告も聞かず離婚歴のあるウォリスとの恋を選び王位を去ってしまいます。国王は新教の教主を兼ねるため、離婚歴のある女性との結婚はタブーだったのです。
 国王への即位をためらうジョージに、ライオネルは即位の決断を迫ります。いくら対等の約束をした仲でも、ライオネルの立場をわきまえない発言に、ジョージは怒ります。
 但しその怒りは理性で抑えられて、ただもう来ないでくれと、静かにライオネルに告げるだけでした。
 ふたりが別れるシーンは、とても映画的な印象に残るものでした。寄り添って歩いていたはずのふたりなのに、突如ライオネルは歩みを止めて、その距離が次第に開いていくのです。その場で立ち止まってしまったライオネルの後悔の想いが滲み出てくるかのようなシーンでした。

 王位継承評議会のスピーチで大失敗したジョージは、恥も外聞もなくライオネルの元に訪ね指導を請います。ここでのやりとりで、初めてお互いの過去が語られます。
 ジョージはライオネルが予想したとおり、年少期から父王のしつけが厳しく、すっかり萎縮してしまっていたのでした。ライオネルが語るには、左利きを無理矢理に矯正された子供は、吃音になりやすいのだそうです。
 逆にジョージが、なぜ医者でもないのにまねごとをしているのかと、ライオネルの過去を聞き出そうとします。けれどもライオネルは一度も治療するという意識は持ったことがなかったのでした。戦争から戻ってきた友人が戦争神経症になり、言語障害に陥ってしまったのを、ライオネルは役者としての経験を活かして、発声指導を手伝っただけだったのです。でも、その中でライオネルは見つけるのです。どんな神経症の重症者でも、心の傷に耳を傾け、語らせてあげれば回復していくことを。そんな経験から、ライオネルはジョージが自らの心の痛みを語り出すのをじっと待ち続けていたのですね。なんて深い優しさなんだろうと思いました。だから医師の資格を持つ多くの言語聴覚士が尽くジョージの治療に失敗するなかで、唯一ライオネルの指導だけが有効だったのです。
 二人の絆が深まる感動的なシーンでした。

 ジョージが王位に就いたころ、ナチスと友好路線だったボールドウィン内閣に代わり主戦派のチャーチルが首相に就任。いよいよナチス・ドイツへ戦線布告します。そして、国民へ団結呼びかけるため、全軍の長たるジョージは、ラジオを通じて戦いの正義を呼びかけることになったのです。
 この本作最大のハイライトは、ベートーベンの交響曲7番第2楽章が用いられ、ジョージの緊張と決意を暗示するかのように、荘厳でドラマチックに描かれていきます。
 そしてジョージのそばに寄りそう、ライオネルの指導ぶりが実に分かりやすくて、言葉に詰まりそうになるジョージを的確に支えていたのです。

 ジョージ役のコリン・ファースは、吃音の発声をパーフェクトに演じるばかりか、彼が背負い続けてきた幼年期の心のトラウマまで、見事に表現しています。これはもうアカデミー賞主演男優賞ものの演技でしょう。
 またライオネルを演じたジェフリー・ラッシュの、表面では突き放しつつも、全てを飲み込んでいるかのような包容力を見せる、奥の深い演技を見せてくれました。

 全編を通じて、本作から伝わってくるメッセージとして、まず、自分だけに思えてしまう欠点やコンプレックスは、自分ばかりではないこと。みんな同じに悩んでいるのだということです。国王陛下ですら、人並みのことで悩んでいたのですから。そして、その欠点は、自らを愛することができて自信がつけば克服出来るのだということです。けれども、度重なる失敗の蓄積の結果、自己否定の思いに打ち負かされている人も少なくないでしょう。
 そんな時は、ライオネルのような人生を心から語り合える「法友」を持つことでしょう。単なる友人ではダメです。自分が生きてきた軌跡を打ち明け、これからの道のりを相談し合えるような関係の人と出会えれば、何とか打開する展望が見えてくるのではないでしょうか。そういうかけがえのない関係の友を得ることが、いかに素晴らしいことか、示唆に富む作品でした。

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流山の小地蔵