100歳の少年と12通の手紙のレビュー・感想・評価
全20件を表示
こういうお話だったのか。。。
実はフランス映画は薔薇の味のスイーツと同じ位苦手でしたが、こちらの作品は出会えて良かった。
タイトルだけを見ると、年を取らない少年の話しなのかな?と思って観ていましたら、全然違って、いい意味で裏切られました!
題名を見ただけでは思いつかない、新鮮な展開でした。
空に向かって手紙を結んだ風船を飛ばすシーン、ちょくちょく出てくるプロレスの試合のシーン
ベッドが浮いて宙を舞うのは悪魔祓い系の映画以外で初めてでしたが^^;
色んなシーンが印象深く楽しめました。
中でもハッとさせられたのがローズの「黙っていると心が腐る」という言葉。
日常でも言葉を飲み込む事はありますが、確かにそうだな、と、気付きがありました。
言いたいことが言い合えるって、信頼と幸せの証拠なんですね。
重いテーマだけれど、12通の手紙を通して、100年を駆け抜けるオスカー少年だけでなく、とりまく周りにも成長が見られ、キラキラとした作品でした。
※こちらの作品を教えて頂き、ありがとうございました。感謝!です😊
観たい度◎鑑賞後の満足度◎ 観終わった後、オスカーくんが確かに100年分生きたように思えるから不思議。映画のマジックだね。
①恥ずかしながら、この映画の事は知りませんでした。推薦してくれた「美紅さん」にお礼を。
②映画が始まって直ぐに頭に浮かんだのは、アメリカ映画(元々はTV映画で日本では劇場公開)の『ジョーイ』(1977)という作品。
同じ様に白血病で余命わずかなジョーイという少年の話だけど、凄いのはお母さんがジョーイに、まもなく死ぬのではなくこれからも生き続ける健康な子供と同じ様に接するところ。悪いことをしたら叱るしジョーイの前では決してメソメソしない。(勿論、陰では堪えきれず泣くのだけれども) 名女優ジェラルディン・ページがリアリティーに溢れた説得力のある母親を造形した名演技が印象に残っている。
本作の冒頭では病院の誰もが、“間もなく死ぬ子だから”ということでオスカーを叱らない、腫れ物に触るように扱う、両親も正面切って我が子と向き合えない、それがオスカーには腹立たしい。
我々は直ぐ「可哀想に」と特別扱いしてしまう。多分、私もそうしてしまうと思う。
でも、誰でも死ぬまでは生きているわけで、普通に生きている人間として接して欲しいというオスカーの気持ちも分かる。余計「お前はもうすぐ死ぬんだ」と言われているようなものだし。
でもま、オスカーもややひねくれたガキだということも否定出来ない。
③そういうオスカーが口が悪く、自分に「さっさと死んじまいな」(だったかな?)(勿論オスカーがさっさと死んでしまう身だとはつゆともしらず)と言ってくれたローズに心を開くのは、ある意味想定内の展開だけど、ローズが親切心ではなくピザの売上げを伸ばす下心でマックス・フォン・シドー扮する担当医の提案を受けるところが単なる“いい話”にならなくて宜しい。
④ブーたれるオスカーを励ましたり後を押すためにローズがでっち上げる「女プロレス」のエピソードが難病映画としては目先が変わっていて面白い。
私も子供の頃は野球よりプロレスを観る方が好きだったけれど、子供ってプロレス好きだもんね。そこを上手く取り入れた巧みな脚本。
⑤1日1通の手紙を出す、というのはローズの故郷の風習という裏付けがあって自然な展開だが、1日を10年とするという発想がどこから出てきた背景がよく描かれていないのが残念と言えば残念。ローズが並べていたあのカードにタネが有るんだろうか、そうすれば私の勉強不足だけれども。
ただ、1日を10年とするというオスカーとローズとの約束事にしたがって物語が綴られていく事が、私にとっては本作で一番心引かれたところとなった。
誕生⇒幼少期⇒思春期⇒青年期⇒中年期⇒老年期⇒死、と人が辿る一生を10日で体験していくオスカー。
人生の最後に死が待っているのは誰でも同じ。だから、オスカーの人生が余りにも短くて可哀想などと変に(普通か)同情心が湧かない物語の組み立てにしてあるのが巧い。
⑥
想像力が人生を拡げて豊かにするんだね。
心の奥に、陽がともったような、温かさが残る。
クリスマス・新年を迎え、自分の生き方について考える時期に繰り返しみたい映画です。
極上のファンタジーを観た気分になります。でも、奇想天外な夢物語ではありません。
オスカーとローズ夫人が想像力を膨らませて紡ぎ出したファンタジー。
こんな風に想像力を膨らませて、見方を変えるだけで、世の中は、人生はこんなに豊かになるのかと気づかされる映画。
映画の原題・英語名は、拙い語学力を駆使すれば『オスカーとローズ夫人』。決して難病を前面に出したものではありません。監督が著した原作の題名がこの映画の邦題に近いらしい。
原作は手紙の文体で書かれているらしい(未読)。でも、原作者である監督が映画化した時に焦点を合わせたのは、オスカーとローズ夫人を中心にした人々の関係性。原作に忠実に映画化したくなるだろうに、”映画”という表現に合わせてエッセンスをそのままに構成し直すなんて、なんてすごい才能の持ち主なんでしょう。
人と向き合うことにマニュアルは通じません。それは二人で手探りの中で作り出していくものです。
悪戯しても叱られない。一見、優しい対応に見えて、なんて残酷なこと。生きているのに、幽霊のように、いないこととして扱われていることと同じこと。
愛する息子が死ぬということ、それは辛いことに違いない。でも、子どもの気持ちに向き合うよりも自分の気持ちを優先してしまう親。最近多いですね。
もうすぐ死ぬかもしれないけど、まだ生きているオスカーはどうしたらいいのでしょう。
これは難病ものの話だけど、難病じゃなくても、こんな風に子どもの心が大人から無視されてしまっている状況はいたるところで見受けられます。
そんな中で、オスカーは、ローズの助けを借りながら、彼なりの精神発達を遂げていきます。人を好きになることが愛することに変わり、人への思いやりに繋がり、最期は…。二人でいたからこそできたこと。そんな彼を導いているはずのローズもまた…。
なんて展開をかくと、説教っぽい話に見えますが、精神発達を遂げるとはいえ、本当のオスカーはまだ10歳。日本でなら小4か5年生。ちょっぴり生意気盛りになり、汚言を好み、プロレス等の強いものに憧れる年頃です。悪戯だってします。そんな生身の10歳と同じ目線で付き合うローズとのやりとりが、時に苦笑したくなるような爆笑物として、時に活き活きと、時にファンタジックに、時にロマンチックに、時にとっても現実的でシリアスに描かれます。甘いだけではありません。
そしてラスト。主治医がぐっと物語を締めてくれます。
面白おかしいエピソードの中で、人生とは、人と向き合うとは、人を助けるとは、ということにしみじみ感じ入る映画です。
体が動かなくなったとき、でも想像力だけは駆使できます。
その時、私はどんなふうに想像を拡げるのでしょう。運命を呪うのか、感謝できるのか。
ちょっとだけ楽しみなりました。だって、オスカーとローズがついていてくれるから。
勇気をもらえる
優しさと哲学をミックスされた感動作。
『100歳の少年と12通の手紙』字幕版
*主演*
ミシェル・ラロック
アミール
*感想*
白血病の少年オスカーと元女子プロレスラーでピザ屋のローズとの交流映画。
感動はしましたけど、ちょっと哲学的だったな。でも、優しさ溢れてたし、オスカーが両親を嫌いになる気持ちはなんとなくわかる気がするし、ローズもローズで、最初はヤバい女だな~って思ってましたが、オスカーと出会ったことで冷たい心が徐々に溶けて感じる部分は良かったな。
恋愛とファンタジー、コメディ要素もあったけど、最終的には感動しちゃったな。
100歳の意味がちょっと哲学っぽかったけど、良作でした。(^^)
自分と向き合う時間
ものの捉え方
人の一生に四季があるとはよく聞くことで、長くても短くてもと。
それは短命で終わってしまう方への慰めと捉えていた。
この映画でも一日を十年と考えて生きていくということを提案している。
でも、慰めでもなく見事にオスカーの一生をきちんと終わらせることになっていた。
というか見事に生きることになっていた。
捉え方や考え方を変えることで世の中の物事が見事に変わるということを体感させてもらった。
中でいくつか感銘を受けたこと。
『何色でもいいよ、愛してる』
何でだかこの言葉を聞いた時にいきなりぶわっと涙が出てきた。
別に僕が反差別を意識しているわけでなく、彼の言葉が純粋にストレートに見た目とは違うところの愛情を持っていたこと。そういうことだと思う。
とにかく無事でいてほしいという願い。
先に死んでいくものの責任。
これをオスカーに語るとき酷だとは思いつつ、その通りだと思っていただけに印象に残った。
少年の笑顔に救われる。
神様はなんて残酷なことをするんだろう。
あんなに可愛い笑顔の可愛らしい性格の彼に、白血病という宿命を負わせるなんて。
神様、神様、もし神様がいるなら、こんな純粋な彼にこんな酷い仕打ちをすることをやめてあげて。
両親もきっと代わってあげられるものなら、代わってあげたい…と思っていたはず。
元気なことが当たり前と思っていた我が子が、ある日突然白血病になってしまったら…。
きっと戸惑ってしまって、うまく接することができなくなることもあるかもしれない。
でも、彼と距離を置かないで!
一番辛いのは、白血病になってしまった少年自身。
なのに、彼が一番笑顔で楽しそうに病気と向かい合って生きている。
彼の笑顔によってどれだけ、大人が救われたか…。
子供は大人以上に素直な分、運命を受け入れる許容範囲も意外と大きく深い。
でも、大人のように、感情を抑えられないから、大人が守ってあげないと。
元気な姿の陰には、病気に対する恐怖が常に潜んでいるってことを忘れてはいけないね。
強さの裏には弱さが隠れてる。
でも、彼は最後まで弱さを見せることなく、神様のところへ行きました。
彼の強さに、元気な大人が救われていたことに気付かされたラストでした。
難病もの
いたずらをしても先生に叱られることがないオスカー。それがために愛情を感じられない病人の孤独。そんなとき出会ったのが、がさつで下品で乱暴なピザ屋のローズ。乱暴な言葉で叱られたことに愛を感じたのかもしれない。いやいやながら病院長(シドー)の頼みを受け入れオスカーの相手をすることになった。1日を10年分として、その年齢に沿ったことを手紙に書き綴る。
まずは思春期で、好きな女の子に告白せよと命令されたオスカー。肺に血液がうまく循環しない青い少女ペギー。同じ小児病棟のポップコーンに恋路を邪魔されたが、キスをして一晩一緒に寝るという経験をした。そんな青白い子より中国人(中国人じゃないけど)のほうが魅力的だぞ!キスも上手いし・・・
毎日ローズはプロレスの話でオスカーを喜ばせ、外の世界を見せたりもした。教会でキリストを信じさせることもした。そしてオスカーはクリスマスに病院を抜け出し、ローズの元へ・・・家族が集まっていた。そこで聞ける家族のコーラスも良かった。そして、喋りたがらなかった両親とも仲直り。急速に年を取るもんだから、人間的にも成長したんだな。
難病モノはちょっとずるいと思ってたけど、一味違った物語。ローズにとっても自分の家族への愛情の再認識。病院嫌いという苦手を克服もした。
何と言っても音楽がいい。ミシェル・ルグラン。これがファンタジーのしつこいところを和らげてくれたし、最後の葬儀のシーンでは少年少女合唱団の神秘的なコーラスが心洗われるほどの心地よさ。音楽によって加点。
大人びた言葉を話す子供と、大人に対するように子供に話しかける大人。...
フランス映画らしい
偶然見つけた感動作
感動
原題に沿っていきましょうよ
原題は『Oscar and the Lady in Pink』。 せめて『オスカーとロージー』など タイトルを原題に近くしてくれれば もっとスムーズに観れたと思います。
『アメリ』のような流れと 幻想の世界が融合して、闘病中で死が迫る少年のお話を 分かりやすく・楽しく・そして現実と向き合う勇気を 心に植え付けてくれる、ステキな作品。
演技もバックグラウンドも 色とりどりのコントラストも素晴らしいけれど、何よりも セリフがいい。
オスカーの大人びた問いかけに、真剣に向き合い・少しだけ言葉を選んで優しい言葉で包んでくれる ロージーの表情がとても心に残ります。
知っている俳優さんが一人もいないのに、こんなに夢中になれて たくさん泣けて心が洗われました。 ぜひもう一度観たいです。
重いテーマのわりにはアッサリ見れますョ
青少年にお薦めの1本
子供と動物で泣きを取るような映画は嫌いだと公言しながら、「リトル・ランボー」に続けて子供が主人公の映画を観てしまった。
フランスを代表する劇作家エリック=エマニュエル・シュミットが原作・監督・脚本を手掛けた08年の作品。「リトル・ランボー」も07年の作品で、ともに日本公開が遅めだ。
病気を知っている大人たちは、なにをしても怒らない。まだ生きているのに死に人に対するような扱いだ。“ピンクの婦人”ローズの歯に衣着せぬ物言いは、オスカーにとって自分がまだ生きている実感となったに違いない。時にはキツい表現も、人によっては生きる糧になる。
難病ものの映画は多いが、1日を10年として子供に人生を仮想経験させる設定が目新しい。その世代に訪れるであろう人生の機微を、病院という狭いセカイの中で体験させていく脚本が巧い。
短いながらも精いっぱい生きたと自慢できるオスカーの人生、それは少年のまわりの大人たちが貴重な経験を積んでいくことでもあった。
ラストにドクターが言った「実はあの子が周囲のめんどうをみていた」が印象に残る。
この映画を観て、高校生のとき観た白血病の少年と父親の愛を描いた「クリスマス・ツリー」(テレンス・ヤング監督、ウイリアム・ホールデン主演、仏1968)を思い出した。今回、客席は年配者で埋まっていたが、今作のように命と人生、家族愛を描いた作品は青少年にこそ観てもらいたい。ちっとも堅い映画ではない。明るくて楽しくて、ちょっぴり泣ける映画だ。
全20件を表示