100歳の少年と12通の手紙

劇場公開日:

100歳の少年と12通の手紙

解説

フランスを代表する劇作家エリック=エマニュエル・シュミットが原作・監督・脚本を手掛けた感動作。はれものに触るような態度の大人たちに幻滅していた余命わずかな10歳の少年オスカーにとって、口の悪い宅配ピザ屋の女主人ローズだけが、自分に正直に接してくれる唯一の大人だった。オスカーの希望で12日間毎日、オスカーの元を訪れることになったローズは、1日を10年と考えて過ごすこと、そして毎日神様に手紙を書くことを教える。

2008年製作/105分/G/フランス
原題:Oscar and the Lady in Pink
配給:クロック・ワークス、アルバトロス・フィルム
劇場公開日:2010年11月6日

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(C)2008 Pan-Européenne–Studiocanal–Oscar Films–TF1 Films Production–Cinémaginaire–RTBF (Belgian Telecision)

映画レビュー

4.0こういうお話だったのか。。。

2023年11月12日
スマートフォンから投稿

実はフランス映画は薔薇の味のスイーツと同じ位苦手でしたが、こちらの作品は出会えて良かった。
タイトルだけを見ると、年を取らない少年の話しなのかな?と思って観ていましたら、全然違って、いい意味で裏切られました!
題名を見ただけでは思いつかない、新鮮な展開でした。
空に向かって手紙を結んだ風船を飛ばすシーン、ちょくちょく出てくるプロレスの試合のシーン
ベッドが浮いて宙を舞うのは悪魔祓い系の映画以外で初めてでしたが^^;
色んなシーンが印象深く楽しめました。
中でもハッとさせられたのがローズの「黙っていると心が腐る」という言葉。
日常でも言葉を飲み込む事はありますが、確かにそうだな、と、気付きがありました。
言いたいことが言い合えるって、信頼と幸せの証拠なんですね。
重いテーマだけれど、12通の手紙を通して、100年を駆け抜けるオスカー少年だけでなく、とりまく周りにも成長が見られ、キラキラとした作品でした。

※こちらの作品を教えて頂き、ありがとうございました。感謝!です😊

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ホビット

4.0観たい度◎鑑賞後の満足度◎ 観終わった後、オスカーくんが確かに100年分生きたように思えるから不思議。映画のマジックだね。

2023年6月10日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

①恥ずかしながら、この映画の事は知りませんでした。推薦してくれた「美紅さん」にお礼を。
②映画が始まって直ぐに頭に浮かんだのは、アメリカ映画(元々はTV映画で日本では劇場公開)の『ジョーイ』(1977)という作品。
同じ様に白血病で余命わずかなジョーイという少年の話だけど、凄いのはお母さんがジョーイに、まもなく死ぬのではなくこれからも生き続ける健康な子供と同じ様に接するところ。悪いことをしたら叱るしジョーイの前では決してメソメソしない。(勿論、陰では堪えきれず泣くのだけれども) 名女優ジェラルディン・ページがリアリティーに溢れた説得力のある母親を造形した名演技が印象に残っている。
本作の冒頭では病院の誰もが、“間もなく死ぬ子だから”ということでオスカーを叱らない、腫れ物に触るように扱う、両親も正面切って我が子と向き合えない、それがオスカーには腹立たしい。
我々は直ぐ「可哀想に」と特別扱いしてしまう。多分、私もそうしてしまうと思う。
でも、誰でも死ぬまでは生きているわけで、普通に生きている人間として接して欲しいというオスカーの気持ちも分かる。余計「お前はもうすぐ死ぬんだ」と言われているようなものだし。
でもま、オスカーもややひねくれたガキだということも否定出来ない。
③そういうオスカーが口が悪く、自分に「さっさと死んじまいな」(だったかな?)(勿論オスカーがさっさと死んでしまう身だとはつゆともしらず)と言ってくれたローズに心を開くのは、ある意味想定内の展開だけど、ローズが親切心ではなくピザの売上げを伸ばす下心でマックス・フォン・シドー扮する担当医の提案を受けるところが単なる“いい話”にならなくて宜しい。
④ブーたれるオスカーを励ましたり後を押すためにローズがでっち上げる「女プロレス」のエピソードが難病映画としては目先が変わっていて面白い。
私も子供の頃は野球よりプロレスを観る方が好きだったけれど、子供ってプロレス好きだもんね。そこを上手く取り入れた巧みな脚本。
⑤1日1通の手紙を出す、というのはローズの故郷の風習という裏付けがあって自然な展開だが、1日を10年とするという発想がどこから出てきた背景がよく描かれていないのが残念と言えば残念。ローズが並べていたあのカードにタネが有るんだろうか、そうすれば私の勉強不足だけれども。
ただ、1日を10年とするというオスカーとローズとの約束事にしたがって物語が綴られていく事が、私にとっては本作で一番心引かれたところとなった。
誕生⇒幼少期⇒思春期⇒青年期⇒中年期⇒老年期⇒死、と人が辿る一生を10日で体験していくオスカー。
人生の最後に死が待っているのは誰でも同じ。だから、オスカーの人生が余りにも短くて可哀想などと変に(普通か)同情心が湧かない物語の組み立てにしてあるのが巧い。

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もーさん

5.0愛しい時間をありがとう♥

2023年5月25日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
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美紅

5.0想像力が人生を拡げて豊かにするんだね。

2021年10月9日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

楽しい

幸せ

心の奥に、陽がともったような、温かさが残る。
クリスマス・新年を迎え、自分の生き方について考える時期に繰り返しみたい映画です。

極上のファンタジーを観た気分になります。でも、奇想天外な夢物語ではありません。
オスカーとローズ夫人が想像力を膨らませて紡ぎ出したファンタジー。
こんな風に想像力を膨らませて、見方を変えるだけで、世の中は、人生はこんなに豊かになるのかと気づかされる映画。

映画の原題・英語名は、拙い語学力を駆使すれば『オスカーとローズ夫人』。決して難病を前面に出したものではありません。監督が著した原作の題名がこの映画の邦題に近いらしい。
 原作は手紙の文体で書かれているらしい(未読)。でも、原作者である監督が映画化した時に焦点を合わせたのは、オスカーとローズ夫人を中心にした人々の関係性。原作に忠実に映画化したくなるだろうに、”映画”という表現に合わせてエッセンスをそのままに構成し直すなんて、なんてすごい才能の持ち主なんでしょう。

人と向き合うことにマニュアルは通じません。それは二人で手探りの中で作り出していくものです。
 悪戯しても叱られない。一見、優しい対応に見えて、なんて残酷なこと。生きているのに、幽霊のように、いないこととして扱われていることと同じこと。
 愛する息子が死ぬということ、それは辛いことに違いない。でも、子どもの気持ちに向き合うよりも自分の気持ちを優先してしまう親。最近多いですね。
 もうすぐ死ぬかもしれないけど、まだ生きているオスカーはどうしたらいいのでしょう。

 これは難病ものの話だけど、難病じゃなくても、こんな風に子どもの心が大人から無視されてしまっている状況はいたるところで見受けられます。
 そんな中で、オスカーは、ローズの助けを借りながら、彼なりの精神発達を遂げていきます。人を好きになることが愛することに変わり、人への思いやりに繋がり、最期は…。二人でいたからこそできたこと。そんな彼を導いているはずのローズもまた…。

なんて展開をかくと、説教っぽい話に見えますが、精神発達を遂げるとはいえ、本当のオスカーはまだ10歳。日本でなら小4か5年生。ちょっぴり生意気盛りになり、汚言を好み、プロレス等の強いものに憧れる年頃です。悪戯だってします。そんな生身の10歳と同じ目線で付き合うローズとのやりとりが、時に苦笑したくなるような爆笑物として、時に活き活きと、時にファンタジックに、時にロマンチックに、時にとっても現実的でシリアスに描かれます。甘いだけではありません。

そしてラスト。主治医がぐっと物語を締めてくれます。

面白おかしいエピソードの中で、人生とは、人と向き合うとは、人を助けるとは、ということにしみじみ感じ入る映画です。

体が動かなくなったとき、でも想像力だけは駆使できます。
その時、私はどんなふうに想像を拡げるのでしょう。運命を呪うのか、感謝できるのか。
ちょっとだけ楽しみなりました。だって、オスカーとローズがついていてくれるから。

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とみいじょん
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