「まじで」のぼうの城 病気の犬さんの映画レビュー(感想・評価)
まじで
共同監督のお二人は、私が高校生~大学生のころ90年代の後半から00年代初頭に出てこられた監督でお二人とも映画を見てすぐに誰が監督なのか気になりました。ひっかかりの有る監督です。
それぞれの監督との個人的な出会いは、
犬童監督は『金髪の草原』、サントラ買いました。
樋口監督は『ローレライ』劇場で見てあとからDVDも借りました。
戦国時代も好きですので自ずと期待は高まります。で感想。
つまんねー。何だこれ、つまんね。
まあ、製作時になにかしらのトラブルがあったそうだというのは何かで見ましたが、いやはや残念の一言。つまんないっす。
とにかく映画の立ち位置が非常に中途半端。
まず、そもそも原作自体ライトな歴史小説ですので、歴史考証が浅く戦国好きにははまりにくい。役者自身の頑張りは感じますが、渋めで固めるのかライトに寄せるのかはきりしない。結果、全体の調和に欠ける。一方は渋く片方はコメディ。主役の一つであるはずの城も難攻不落には見えないし、オンボロ城にしては新しい。
のぼうを中心とした弱きものが強いものに立ち向かう、
勝てないまでも鼻を明かすという肝心のテーマが上っ面でしかなく、
のぼうは有能に描かれ過ぎで石田方は無能すぎる。(歴史的にはこのときの石田はまああんなもんかも。)
大群の脅威もおざなりにしか見せないし、潤沢な予算らしく見せる工夫も無い。
北条方と豊臣方の具足の対比を派手にするとかあるでしょ。せめて皆朱の槍くらいもっと剛毅なものを魅せて下さいよ。あんなもんオカマの旗竿やないか。
農民が突撃して余裕で敵兵を惨殺しまくってました。それならそれでもっとご都合主義的な童話にするのも一つの手なのに、要所要所で血しぶきが飛び味方が死んでいる。とにかく思い切りに欠ける作品。
いっそ戦国無双やんけ。っていうあのシーンで埋めるとかさ。最後に全員で田楽やってもいいでしょう。唯一、いいところは野村さんの田楽。田楽から狂言って派生したんですよね。やっぱ。プロ。巧すぎ。見応えがあります。
本来ののぼうはもう少し純粋な馬鹿さが多く、もっとカッコ悪くないといけないように思います。野村さんがやると巧すぎる。だから俳優をもっと渋い役者で固めてしまい、派手な衣装も甲斐姫とのぼうだけにして周りのレベルを全体的に挙げてしまったほうが良かったのではないかなと。
ぐっさん好きですし、上地さんも悪くは無いんだけど、(というよりむしろ良かった。)のぼう(野村)より弱いものが周囲にいる上に出来るキャラだとねー。どうしても調和が取れないですよ。
というわけで石田堤よりも土台が安定していない作品。