「トイレこそ家の要。」トイレット ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
トイレこそ家の要。
この監督の作品、「かもめ食堂」は大好きだったのだが、
続く「めがね」では激沈…。共通する不思議感はあれど、
なんだか微妙に気味が悪い感が先行してしまった…。
で、今回の作品。もっと変だ。(爆)カナダで日本映画?
しかもすごいぞー。全編日本語字幕付きの邦画なのだ。
なんたって主人公たちが皆ガイジン。日本人は監督と
もたいまさこ、だけ?だったのか。それを飄々とやって
のけてしまう度胸の良さと、私が本作で何よりも魅力に
感じた、古いミシンへの愛着と、オタク文化を賞賛する
(しかもそれをガイジンにやらせてしまう)という独自性、
餃子にかける意気込み♪(これは絶対に食べたくなる)
そういや、かもめ~でもガッチャマンを歌わせてみたり、
漢字を組み合わせて変な日本語作ってみたり、とにかく
やってることがけっこうオタクちっくなところが好きなのだ。
だけどそれを、いかにも…な俳優たちに演じさせてみたり、
普通の風景の中に当たり前に持ってくるとやけに違和感、
今回は一体どうなるんだろう…と期待薄で臨んだのだが。
あらら♪なんだろう、この心地良さと字幕が気にならない
のほほん感、ってかこの人たちガイジンなのに!^^;なんで
しっくり馴染んでるんだ!?という面白さが冒頭からある。
もたいまさこが喋れないのに心が通じる(爆)という設定は
以前と変わらないが^^;それにしてもこの三兄弟妹が巧い。
ほぼ語り部となる次男はもう、日本でデビューさせてみたら
どうなんだ??と思うくらいしっくりきている^^;ガイジンの
いかにもガイジンらしくない行動の一つ一つが日本人への
エールとなっているようで、つい私たちはほほ笑んでしまう。
もうこうなると彼らの生い立ちなどどうでもよくなってくる^^;
(一応、肝心な場面が後半に用意されていたりもするが)
父親が誰だろうと、母親がどう育てたのかも、だいたい何で
ばーちゃんがもたいまさこなんだ?なんで金持ってるんだ?
…とめどなくあふれる疑問も、あ~そっか。いいんだそれで。
おかしなことはトイレに流してしまえ。っていう意味じゃなくて
小さなことはどうだっていい。自分のまんまで生きられれば。
と、そんな心持ちになってくるのだ。だって、彼らの幸せな
顔をあれだけ見られるなら、それが当たり前になってもいい。
スカートをはいて演奏ができるのなら?これでいいのだ~。
あぁ好きだな…。この描写。
ロボット大好き男はまるで身近にいる誰かさんを見てるようだし、
やたら女を紹介しろ、ってうるさいインド人もまわりにいそうだし、
エアギター、って(チト懐かしいが)あれも一時期有名になったし、
でもって中国を差し置いて日本の餃子!更にはウォシュレット!
(TOTOさん、かなり宣伝されてますよ)
あの技術はもう!日本の誇りでしょう!慣れたら天国なのさ。
やれる範囲で頑張ってみる。そこにお金を使ってみる。
シンプルだけど、とても大切に価値観を描いたのも素敵だ。
(あのミシン家にもあった。小さい頃よく使ったのだ。懐かし~)