「天才だけどコミュニケーションは未熟」ソーシャル・ネットワーク 清水さんの映画レビュー(感想・評価)
天才だけどコミュニケーションは未熟
いきなり早口での彼女との別れ話から始まるシーン。
まったくかみ合わない二人。
結果的に彼女に愛想をつかされた形のマークは、腹いせに彼女の悪口をブログに書き、
そのまま酔った勢いでハーバード大学の学生年鑑にハッキングをかける。
彼は無作為に二人の女子大生の写真をウェブに上げ、どちらの女子がより美人か投票させるというサイトを立ち上げてしまう。
そのサイトは一夜にして大学中に広がり、夜中に22000アクセスという驚異的なアクセスを記録するのだった。
現在、全世界に広まったSNSの「フェイスブック」。
それを作ったマーク・ザッカーバーグの半生を、彼に対する二つの訴訟の場を元に回想していく形で展開される映画です。
今も生きている人の半生を映画化するのって、すごく難しい気がします。
だって、「あなたは彼をどういう人間だと思いますか?」って、訴訟に関わった人たちに聞いても、
「いや、本人生きてるし!言いづらいわ!」ってつっこみたくなりません?
しかし、さすがデヴィット・フィンチャー監督。
映画としての完成度の高さには驚かされました。
この作品のすごいところは、当事者であるマークがこの映画に一切関わっていないことですよ。
映画のセリフにもあったけど、本当に「僕はフェイスブックの事しか考えたくないんだ」ということなのでしょうね。
私はマーク・ザッカーバーグという人間について、本当にこの映画からの知識しかないんですが、嫌いじゃないと思いました。
少なくとも、金、地位や名誉に対する執着心はないね。
あるのは、プログラムに対する知的好奇心、探究心のみ。
面白いものを作ってみんなと共有したいという精神が、彼の言動の端々に見えます。
でも、悲しいかな彼の周りの人たちはそれで楽しみたいのではなく、儲けたいんですよね。
彼のたった一人の親友である、エドゥアルドとの溝が深くなっていく様子を見ているのは悲しかった。
私、この映画を見て色々と教訓を得たような気がします。
本当に自分の好きな事は、仕事(収入を得る手段)にしちゃいけない。
感情(友情・憧れ)とビジネスは分けなければならない。
ありきたりだけど、天才は理解されないものだなーと感じました。
マークは、まだ人として未熟なんでしょう。
実際、世界最年少の億万長者だし。(映画の時点で19~20歳)
氷点下の中パーカーと短パンで過ごすのは子供っぽいというのを超えている気がするが(笑)
なついた人間の言うままの行動をとってしまうところは、本当に幼い…と感じました。可愛くもあるけど。
マークは、「ナップスター」創設者ショーンを破産させた投資会社に仕返しするため、会議に遅刻しパジャマで登場、罵り言葉を吐いたとか。(ショーンの指示で)
あと、アメリカの学生のクラブ文化も、今まで知らなかった文化だったので新鮮でした。
日本の政界みたいでしたね。
うん。アメリカ人て「エリート」が好きよねー(笑)
ま、それが向上心の源なんでしょうけど。
淡々としていてセリフも多いので、眠くなるかなーと思ったけれど、同世代だからか、飽きずに見ていられました。
経営とかは大学の専攻にも関わりある分野なので、興味あったしね。
一緒に母と観に行ったのですが、母はネットワーク事情には疎いので、眠くなったそうです。
まあ、私もミクシーやツイッターはやったことないので、疎い方だと思いますが。
でも、ブログくらいしかやっていない私でも色々感じるものがあったから、実際にミクシーとかやってる人にはもっと身近で楽しめそうだな…と思いました。
最後のシーンは、証人尋問?を終えたマークが一人オフィスでフェイスブックを開くところでした。
彼がアクセスしたのは元恋人エリカのフェイスブック。
彼は淡々と無言の「友達になる」ボタンを押し続けるのでした…。