劇場公開日 2011年1月15日

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ソーシャル・ネットワーク : インタビュー

2011年1月11日更新

トム・クルーズジャック・ニコルソン共演の軍事法廷ドラマ「ア・フュー・グッドメン」(1992)で映画脚本家デビューし、「アメリカン・プレジデント」「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」といった映画のほか、ABCのシットコム「Sports Night」、NBCの政治テレビドラマ「ザ・ホワイトハウス」など多方面で活躍するアーロン・ソーキン。現代最高の脚本家のひとりと称されるソーキンが語る、映画「ソーシャル・ネットワーク」の魅力とは?(取材・文:編集部)

アーロン・ソーキン インタビュー
「私もいい脚本を書いたと思うが、素晴らしい映画にしたのはデビッドの功績だ」

いまやベテラン脚本家となったアーロン・ソーキン。次回作はブラッド・ピット主演の「マネーボール」
いまやベテラン脚本家となったアーロン・ソーキン。次回作はブラッド・ピット主演の「マネーボール」

「この映画を語る際に、まず最初に言わなければならないことは、観客がフェイスブックユーザーでなくても、フェイスブックを1日に10回以上チェックするヘビーユーザーでも、同じくらい楽しめる映画であるということだね」

そう語るように、ソーキンは「フェイスブック」に興味をもって、本作の執筆に取りかかったわけではなかった。

本作でオスカー受賞なるか? デビッド・フィンチャー監督
本作でオスカー受賞なるか? デビッド・フィンチャー監督

「私が惹(ひ)かれたのは、それこそ何1000年も語り継がれてきた友情、裏切り、権力、階級、嫉妬(しっと)……そういった古典的なストーリーに必要な要素が、この『ソーシャル・ネットワーク』にはすべて入っていたということ。こういったストーリーがこの21世紀の現代的な舞台で繰り広げられていたことに興味を持ったんだ」

デビッド・フィンチャー監督とは、今回が初めてのコラボレーション。「映画づくりにはたくさんの地雷があるが、デビッドは、いくつもある地雷を全部避けてこの映画を完成に導いてくれた」と絶賛する。

「材料はいいのに、100以上間違える可能性があるという状況の中で、半分くらい正しいやり方を理解していたら、その監督はかなり天才的だと思う。そういった意味で、デビッドはまさに天才。私もいい脚本を書いたと思うが、素晴らしい映画にしたのはデビッドの功績だ。もし、彼以外の監督が演出していたら、あれほどパワフルな映画にならなかっただろうね」

エンディング近く、まさに“崖っぷち”のマーク
エンディング近く、まさに“崖っぷち”のマーク

近年、フィンチャー監督は、クライマックスを最後に持ってくる一般的な映画のストーリーテリングとは異なる「ゾディアック」「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」を監督したが、本作も前2作と同様、フラットな語り口の映画となっている。

「私が書き上げた脚本がすでにそういうフラットなストーリーラインだったので、もしかしたら、そういうところがデビッドにアピールしたのかもしれない。まあ、この映画は最初から、いきなりアクセル全開の猛スピードで突っ走るから、全編クライマックスみたいなもんだよ(笑)。嵐のような口論からこの映画は始まり、エンディングも主人公のマークからしたら感情的には“崖っぷち”みたいなものだ。たしかにストーリーラインはフラットかもしれないけど、感情的なクライマックスが次々と押し寄せてくるようなつくりになっているんだ」

その、次から次へと押し寄せる「感情的クライマックス」を形成しているのは、登場人物たちのセリフの多さ。マークたちはのべつまくなしに口を動かし、映画を言葉で埋めていく。

マークの敵となった元彼女エリカの台詞にも注目!
マークの敵となった元彼女エリカの台詞にも注目!

「おそらくセリフの多さ、脚本の厚さというのは、書き手である私の問題だね(笑)。この映画におけるセリフの多さは、『言葉が大量に消費されている時代の象徴』という声もあるけど、それは勘違いだよ。私は言葉が話されているのを聞くと、心地よい音楽のように感じるんだ。だから、私はト書きではなく、セリフを多く書いてしまうんだ」

素晴らしいセリフを書くことに定評のあるソーキン。「ア・フュー・グッドメン」でジャック・ニコルソンが口にする“You Can't Handle the Truth.(貴様なんかに真実を取りさばけるか!)”は今でも名ゼリフとして知られているが、生み出す秘けつとは?

「私はただ書いているだけだから、正直わからない(笑)。書いているときは、ただスピーチの一部として書いていて、映画が出来上がった後あんなに有名なセリフになるなんて思いも寄らなかった。だから、自分の目の前にあることに集中するだけだよ。ひとつ忘れてはならないのは、名優ジャック・ニコルソンがあのセリフをしゃべったということ。彼がしゃべるとそれは特別なものになる可能性を秘めているんだ」

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