劇場公開日 2011年3月18日

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トゥルー・グリット : インタビュー

2011年3月7日更新

コーエン兄弟の新作「トゥルー・グリット」で、ジェフ・ブリッジスやマット・デイモンらに囲まれ、紅一点のフレッシュな魅力を放っているのが新人ヘイリー・スタインフェルドだ。殺された父親の復しゅうを誓う少女マティに扮する。役どころと同じ14歳のスタインフェルドは、これが初の大役にもかかわらずベテランたちと互角にわたり合う大人顔負けの存在感で、オスカーの助演女優賞に歴代9番目の若さでノミネートされたのもうなずける。監督や他キャストとともに訪れたベルリン国際映画祭で、話を聞いた。(取材・文:佐藤久理子)

これが映画初出演!? 凛としたたたずまいで大人顔負けの存在感を放つ
これが映画初出演!? 凛としたたたずまいで大人顔負けの存在感を放つ

ヘイリー・スタインフェルド、才能と度胸を兼ね備えた前代未聞のホープ
「年上の男性陣に囲まれたのは、悪くない気分(笑)」

カラフルな柄のワンピース姿で現れたヘイリー。素顔はスクリーンで見る男勝りな雰囲気とは異なり、まだあどけなさの残る天真爛漫な表情が印象的だ。コーエン兄弟との仕事やセットでの雰囲気について、「どうして私を選んでくれたのかは、はっきりわからない(笑)。とにかくセリフがたくさんあって大変な役だから、きっとそこにポイントがあったのじゃないかしら。共演者はみんなベテランで、撮影が始まるまではとても気後れしていたわ。でも一旦始まったら、現場はリラックスした楽しい雰囲気ですぐになじむことができたの。コーエン兄弟は独特のビジョンを持ったとてもクールな監督だと思う」と振り返った。

擬似的な父娘ともいえる絆を深めていくマティとコグバーン
擬似的な父娘ともいえる絆を深めていくマティとコグバーン

父親ほどにも年の離れたブリッジスをはじめ、デイモンやジョシュ・ブローリンら共演者とは、家族のように打ち解けられたという。

「年上の男性陣に囲まれたのは、悪くない気分だったわ(笑)。彼らは私にとって父親のような存在であり、俳優としてもロール・モデル。みんな才能にあふれているというだけじゃなく、人間としても素敵な人たちだし、自分たちの仕事をとても愛しているのが伝わってきたから。彼らの情熱にすごく感化された。セットで演技をしている様子を見ているだけでも、とても勉強になったわ。私にとっては毎日がチャレンジだった。一番のサプライズは、何10メートルもありそうな木に登らされたこと。監督たちから『高いところは大丈夫?』と聞かれて、私はどうせ馬上ぐらいの高さだろうと思って『全然平気です』って答えたら、高い木の写真を見せられて、この上に登ってくれって(笑)」

コーエン兄弟からの要求は特になかったものの、原作の最初の映画化であるジョン・ウェインの「勇気ある追跡」を見て役づくりに励んだ。「この時代のことをよく知らなかったから、少しでもその世界に慣れたいと思ったの。当時の社会についても自分なりにリサーチした。特にマティというキャラクターを演じるために役に立った情報は、当時は女性、それも若い女性が虐(しいた)げられていたということ。だからこそマティは芯が強く、父親の復しゅうをするためには大人のように振る舞うことを必要としたのよ」

来日会見では14歳らしい屈託のない笑顔を見せた
来日会見では14歳らしい屈託のない笑顔を見せた

当初、業界に入ったのは、子役をやっていた従姉妹を見てあこがれたのがきっかけだったそうで、「コマーシャルの仕事でバービー人形みたいなドレスを着たり、髪の毛が風になびいたりするのがすごくゴージャスで素敵に見えたの(笑)。もともと8歳で仕事を始めるまでは、バレリーナかバスケットボールの選手になりたいと思っていた」と述懐。それでも、「演技をするようになったら、この仕事を通していろいろな役柄を演じられることに気付いて、その方が楽しそうだなって(笑)。それにパフォーマンスやエンタテインメントが大好きだったから、女優になりたいと思ったの」と目を輝かせる。

レッドカーペットでフラッシュを浴びるセレブリティ・ライフに対する心の準備については「もちろん! そういうグラマラスなこともあこがれのひとつだったから(笑)」という屈託のない答え。才能とともに度胸もそなえた、将来が楽しみなブライテスト・ホープだ。

インタビュー2 ~コーエン兄弟「トゥルー・グリット」で体得した“無欲”の栄冠
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