悪人のレビュー・感想・評価
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本当の「悪人」とは誰(何)なのか、原作同様に問いかけてくる秀作
これは、すごい、、、すごすぎでした。
原作も読んで、もう打ちのめされるくらい、感動…というか、
言葉を失うくらい衝撃を受けたのですが、
映画でもほぼ同じ感覚を受けるなんて、、、
とかく長編小説を映画化した場合、“はしょってる感”が出てしまって
物足りなくなってしまうことが常だと思うのですが、
そんな物足りなさが皆無。
(反対に、短編を映画化したほうが、 “膨らませられる”ので成功しているような、、、
『ショーシャンクの空に』とか)
「百聞は一見にしかず」
という映像の特性を完全に生かしきって、
原作では何ページも割いて説明した情景を
一瞬の映像でわからせてしまっています。
うーーーーん、すごい、、、
これも一重に、原作者の吉田修一さんが、
脚本にもしっかりとかかわっていたからでしょう。
これほど高評価なのに★5つにしなかったワケはただ一つ。
主演の妻夫木くんです、、、
どーみても、この主人公の、
「不器用で誤解されやすい、車マニアの土木作業員」祐一に見えません、、、
原作を読んだイメージでは、やたらガタイのいい、
見た目はいかにもヤンキー=黙っててもケンカ吹っかけられるタイプを
想像してたんですが、、、(TOKIOの長瀬くんとか山田孝之さんみたいな)。
他のキャストがいやになるくらいピッタリだったぶん、
似合ってない感が目立ってしまいます。
まあ、妻夫木くん本人がこの原作に惚れ込んで、
プロデュース的なところから関わってきたというから、
仕方ないのですが、、、
でもそれなら余計に、客観的な目をもって、
本人は別の役(あの最低な大学生・増尾の友達役がハマリ役のはず)を
演じて、作品を見守ってほしかったです。
ぴったりキャストの中でも
私が「ひゃ~~~っ!!」と喜んだんは松尾スズキさん。
うさん臭さ全開で、最高です☆
一体なにをつかんだのか?
もったいない…
佳男が増尾の友人に語りかけるシーン
いれなくてよかったのに
映画に理屈を混ぜこむのは大きらいだ
.
.
そだててくれた祖父母に縛られる祐一
恋も満足もなにもない
だれかに甘えたいけど、
甘える相手もいない
自分に差し出せるものはない
お金しか
出て行った母親にも、
金をせびる
1000円でもいい、
なにか差し出せと
.
紳士服屋で、
終わりのない仕事を続ける光代
姉の奔放な愛をねたみつつ
それを抑えこむ
ねたみすら表現できないほどに、
力をなくしている
.
女をばかにすることで、
自分の力をあらわすことをおぼえた増尾
自分でわらいとばしてしまえば、
同情されなくてすむ
まだ、
わらえると、思っていた
.
男に必要とされることで、
自分がしあわせな気がする佳乃
必要とされていないと感じると媚び
必要とされると罵倒する
自分の存在価値を見つけだすのに、
かかりきり
.
美容院には興味のうすい妻が、
夫が大事にしている美容院の、
鏡を磨いて夫を待っている
夫は、
犯人への執着心を、
感情的な手段でさんざんはらしてきたというのに、
妻はそれを無垢なままに受けいれる
さんざん欲にまみれた顔をした人間を、
受けいれる
佳乃の、父と母
.
だれからも愛されていないとかいう、
妄想からはなれられなくなって、
すこし与えられた愛に、
飛びついてしまう
むしろ、
それは愛ですらないかもしれない
これしかない
これ以外つかめるものはない
執念
執着
さみしい
なんでもいい
溺れるものは藁をもつかむ
つかんだものは本当につかむべきものだったのか?
そんな選別すらなされないまま、
つかんでしまう
端からみれば、
一体なにをつかんでいるのかと笑ってしまえるようなものも
ばかなものをつかんでしまった、
なんて、
気づくのは10年後かもしれないし
もしかしたら、
気づく間もなく死ぬかもしれない
それなら、
つかめばいいのだと思う
.
なんだか大人気になりそうな映画だったけど、
なぜかいい映画かもと思えて、
見に行ってみた
私の勘はなかなかいいみたいだ
(後半1/4くらいはいらなかったけど)
映画も、
ことばと同じで、
いらない表現を、
切り落とす必要があると思う
.
悪の連鎖
悪意は連鎖するんだと思う。
増尾が佳乃を見下し、佳乃が祐一を見下す、
悪意が連鎖して強くなり最悪の結果に。
佳乃の嫌な面が初めに描かれていて
絶対友達になりたくない!と思ってしまうくらい嫌な奴で・・
でも親にとって子はかけがえのな大切な存在。
子を思い増尾につかみかかる佳乃の父、
そんな状態でも佳乃や父をばかにする増尾。
かわいそうな人な人ですよね。
あんた大切な人はおるね?その人の幸せな様子を思うだけで、
自分まで嬉しくなるような人は。
佳乃の父が淡々と語るシーンで胸が締め付けられました。
少しの優しい気持ちがあれば悪意は消えていってしまうんだと思う。
いつも母が見守ってくれていたら、
祐一は罪を犯さなかったのかなぁ・・と。
偽善と偽悪
被害者になることで自己正当化する偽善と、被害者にしてあげる愛情が被る偽悪。どんな人でも内包しているこの因果をとても良く描いています。他人が欲しがる見栄えが良い彼氏がいるという友人の嘘を同僚で「友達だからという大義」で受け入れつつ蔑むことで自分の足元を固める人、臆病な自分を上書きするために死んだ女を肴にはしゃぐ友に「同級生で金持ちだからという大義」で相乗りすることが友情であり痛みを分かち合う手段だと思って諫めない人。それに対して、老婆にむしゃぶりつくマスコミを引き剥がすため車内の雰囲気を悪くしながら怒鳴り散らし、同乗している乗客をも無視し職務を逸脱して老婆の降り際に自分の思いを伝えるバスの運転手、自分の全てを受け入れ、生きる証とまで思わせてくれた自分の命よりも愛する人を安全な「被害者」の位置まで連れて行くために、今までの短くも焦がれるような愛しい日々を全て自分からも、相手からも消し去るがごとく「俺は、あんたが思うとるような男じゃなか!」と口づけながら光代の首に渾身の力をかける祐一。どうしようもなく思える増尾も客商売のくせにまずいラーメンを出して金を取っている店に馬鹿面さげて食っている他の客を尻目に「ごちそうさん、まずかったぁ。」と言えるほどの偽悪心はあるのです。偽善と偽悪、カレー味のウ○コとウ○コ味のカレー。普段食べているのはどちらなのかを見た人の感想から伺えるのがまた楽し。私の好物はカレーです。
エエかっこしいと自己憐媚
もったいない映画
何が悪なのか、誰が悪なのか…。
加害者だが被害者でもある、というのは人物を掘り下げる人間ドラマとしては当然の要素なので、そこまでの評価には繋がらない。
そして、深津絵里の感情の流れについていけない。
孤独を出会い系サイトで埋めようとしていた彼女が、青年に何を見出し、何を求め、逃避行に走るのか。
寂しかった、退屈な日常から飛び出したかった、彼は私を必要としてくれた、では弱いのではないか。
原因は彼女が事件そのものと関係がない設定であること。
青年が起こした殺人事件が物語の軸としてるが、彼女は遺族でもなければ、加害者の家族でもない。
ましてや被害者と面識もなければ、青年とも出会ったばかり。
物語の軸と噛み合わない故に彼女が出演するまで時間がかかるし、彼女の動機を描ききれない。
ただひとつ秀逸だったのは、逃避行の果てに辿り着いた海で青年が見せた笑顔である。
母に捨てられ、「目の前に海があると、どこにも行けん気がする」と閉塞した寒村で育った青年の人生で、初めて充実した瞬間だったのだろう。
笑うことを忘れた青年が、絶望といえる状況下、初めて見せた笑顔が悲しさを際立たせている。
予想していた以上に
暗く重い作品でした。
この作品を見れば誰もが
何が悪なのか?
誰が悪なのか?
と悩むのではないでしょうか。
しかしながら、どんな事情があっても人を殺せば悪人なのです。
そんな悪人を愛してしまった一人の女性。
彼女は彼の何に惹かれたのか?
彼は彼女に何を求めたのか?
見終わった後も考えさせる映画でした。
そして忘れてはいけないのが役者たちの演技です。
モントリオール世界映画祭で最優秀女優賞を受賞した深津絵里はもちろん、妻夫木聡、柄本明、そして樹木希林にも注目してください。
彼らの熱演がこの作品をより暗く重い作品に仕上げています。
時折映る海が暗く重く描かれているのですが、この作品を物語っているように見えたように思えます。
悪人であり善人であり。
観ていて気持ちのいい作品では決して、ないが…
じっくりと腰を据えて考えさせられる佳作だと思う。
悪人。と切り捨てててしまえばそれまでの人間も、
本当にそうなのか。と思わせる柔軟性、
善人。と思われていた人間が、本当にそうなのか。
と一考させる疑問の投げかけ方。
原作はチラ見(いつもすいません)程度なのだが、
なんかスッキリしない感が残って、映画版の方が
分かりやすいラストのような気がした。
考えても考えても、誰が悪人だ。と決められないのは
どんな人間も悪人の身に善の皮を被っているからだ。
欲を剥き出しにし、はしたないと思われたくないから
なんとなくカッコいい自分を演出したりはしてみても、
しょせんお体裁など相手によって簡単に見抜かれる。
このヒトならと思い、真の自分の姿を見せた時、
怖いとか、気持ち悪いとか、バッカじゃねえのなんて
酷い台詞を浴びせられて、一気に逆上してしまった、
なんていう事件が昨今でも起きているように思うが、
ではその、酷い台詞を浴びせた人間が悪人なのか。
いや、手をかけた人間こそが悪人なのだろうか。
いやいや、そんな子供に育ててしまった親はどうだ。
…考えるとどこまでも果てしない(汗)。
個人的にはとにかく孤独の果ての寂しさがこの上なく
冒頭からのしかかり…何でこんなに辛いんだろうかと
観ていて胸が苦しくなった。もともと孤独に生きてきた
人間にとっては孤独感は友達のようなものだと思うが、
満たされない想いが欲情と化し、一気に加速し、その
やり場のない怒りに満ちた行為には愛が感じられない。
差し出されたお金によって、買われたという屈辱感。
あの時の、彼女の失望はどれほどだったろうと思うと
心から泣けてくる。まぁ所詮、出会い系で知り合う仲、
お金同様に割り切ってしまえ。ということなのだろう。
私には解せない…が。
ただ今作に登場する祐一という青年は、妻夫木くんの
キャラもあろうが^^;あまり悪人には見えず、いや、善
のイメージが強すぎるんだろうな…いいヒトに見える。
自分の孤独を、なにでどう消化させればいいのかが、
分かっておらず、とりあえず女と逢って快感を求めて
いたが、真の快感(というか幸せ)を光代という女から
貰ったことによって、活きることに目覚めてしまった。
とはいえすでに殺人を犯した身体、罪を償おうと決意
したその時彼を止めたのは、意外なことに光代だった。
彼女もまた、酷く愛に飢えていた。
深津絵里の演技は確かに受賞も納得の巧さだったが、
彼女は昔からこういう役をやってきたように思えるし
それがまたよく似合っている。ので特に意外性はない。
悪といえば徹底して悪い男を演じた岡田将生の演技力、
それを傍で見つめる友人・永山絢斗の目線、何気ない
バスの運転手からの一言など、僅かな救いともとれる
温かな視点が共同脚本から生まれたことが幸いと思う。
なにはどうあれ、誰かを想い邁進する人々の気持ちを
もっと大切にしなければいけない世の中になっている。
人の気持ちをぞんざいに扱えば自分に反ってくるのだ。
娘の殺害現場に花を手向ける父親を遠目に、タクシー
運転手に向かって話す深津絵里の表情を捉えたラスト
は秀逸。悪人を愛してしまった、と言いながら後悔は
していない凛とした態度と意志の強さには目を見張る。
出逢う順序が逆なら悲劇は起きなかったかもしれないが、
いとも簡単に出逢い、車に乗り、人目のつかない所へ
向かう先に、事件性がないなんてあり得ないと思えるが。
(出逢いそのものを大切にする風潮が懐かしいこの頃。。)
一瞬の出来事の代償の大きさ
原作者自ら脚本を書いただけあって、話の展開がスムーズ。その脚本にも携わった李相日監督の演出は「フラガール」から一段と進歩したようだ。無駄な台詞やナレーションなど使わず、カット割りだけでその人物の心情を表現してみせる。光代が単調な日常から逃れる決心をする場面などがそうだが、安易な演出の作品が目立つ昨今、こうした映画の基本的なテクニックに磨きをかける李監督の姿勢に好感が持てる。
また、映画は光と音の総合芸術。今作は音を使った演出もいい。GT-Rのエキゾーストノートが祐一の心の葛藤をかき鳴らし、雨の音の強弱が光代の心の動きを伝える。控えめな雷鳴も却って効果的だ。夜のとばりに包まれた理容店の店頭サインがカタカタ回る音など、派手さはないが音響的な演出に長けている。
本題の「悪人」だが、文字通り殺人を犯した祐一に非があるわけだが、事件に至る様々な問題点と、事件後の逃亡劇を組み合わせ、悪かったのは犯人だけだったのかと問いかける。
殺人者の青年は、何もない海辺の寒村で年寄りの面倒を見ながら建設現場で働いている。これといった異性との出会いもない。一方、出会い系サイトを利用して漁るように彼氏を求めた被害者と、そんな行動を何一つ察知できなかった両親。被害者のしつこさに嫌気がさして事件のきっかけを作った裕福な大学生。そして殺人者を逃亡させてしまった年上の女。
映画は、おそらくこのあと裁判で取り沙汰されるであろう事象を摘み上げながら構築されている。いろんな要素が絡み合って事件が起きる。だが、事件が起きれば親は娘を永遠に失い、母親代わりを務めてきた老婆は孫を殺人犯として失う。一瞬の出来事の代償は大きい。
樹木希林が相変わらず巧い。昔から実年齢がどこなのか判らない女優さんだ。
妻夫木聡が予想以上によく、目を使った演技ができるようになってきた。
深津絵里はひと皮もふた皮もむけた。光代が祐一に惹かれていく様を、映画という限られた時間枠のなかで無理なく見せた。ここに無理があると作品がガタガタになってしまう。
ありふれた悪。。。それだけに怖い。
出てくる登場人物は特別でもない普通の人ばかり。
悪い面も愛される面も普通に持ち合わせた人ばかり。
ただ若さ故、暴言も感情のコントロールの下手さもありで、、、
主人公含め、被害者の見栄っ張りOL(満島ひかり)や
スカした大学生(岡田将生)の暴言も出来心な“悪”さえ
ありがちな光景だけにエグイ。。。
殺人を犯した主人公:祐一(妻夫木)の“悪”も揺るぎない
事実だけれど、普段は、祖父母の面倒を観る良い一面も
あったりする青年。
孤独から求めた出会いと裏切られた感情の爆発で
犯してしまった殺人は事故のようなモノ。。。
冒頭やさぐれてた祐一が光代(深津)との出会いで、
本来持っていた優しさと良心の呵責に苛まれる姿が
それだけに切なかったです。。。
そして最後にとった愛故に突き放す行動も。。。
肝心の深っちゃんの演技は受賞ニュースで期待しすぎたのか
結構フツーに感じちゃいました。。。(上手いんだけどね)
孤独からの出会いで、会ってすぐあそこまで好きになること
あるんかなーと、やはりそこは少しひっかかりましたが、
理由が理由なだけに、自分には愛で優しく包み込むしかない
+逃避行がこの一瞬を盛り上げたに違いありませんw
祐一の祖母(樹木希林)と被害者OLの父(柄本明)
の肝の座った愛情の演技は見物☆
殴りたくても殴らない、こらえる佇まいだけで泣けます。
悪についてあれこれ考えさせられる面を持ち合わせつつ
それ以上にいろんな愛情の面も教えてくれたよな
切ないけど優しい気持ちにもなれる後味でした。
ほんとの悪とは、ほんとうの愛とは、
映画「悪人」を観てきました。
殺人犯と彼を愛する女。
そして彼らの家族、遺族、その周りのひとたちの葛藤と混乱。
ひとことで表すとチープな表現になってしまうが
「苦しい」
この一言。
キーワードでもある「だれが悪か?」
映画を観ながらずっと考えていたが、最後まで分からなかった。
増尾くん(岡田将生)が単純に悪い奴ではあるが、悪か?といったら違う。
彼を育てた親にも罪がある。だけれども親も愛するあまり過保護になり・・
と、永遠に繋がるので答えはでない。
ただ一つはっきりと言える事は
「人の死」
ひとりの人間が死んだことが、これほどまでに沢山の人を悩まし影響を与える。
人が死ぬということは、わたしたちにとってとてつもなく大きい出来事だと。
それは私たちが今を生きているからなのだと。
プラスに影響を与えかわろうとする人。
マイナスに影響を与えかわっていく人。
観ていてとても苦しく胸がいたくてたまりませんでした。
まだ原作を読んでいないので、細かい設定や背景がまったく分かりません。
実際映画を観ている最中も、ああ今はしょったな。とわかるほど。
上下ある小説を2時間ちょっとでまとめるのだから当たり前なので
早速小説を購入しました。
考えさせられた(°□°;)
何が悪いか、誰が悪人かを考えるきっかけに・・・
孤独、出会い系サイト、殺人、詐欺、家族、友人・・・現実に在りうる事件の裏側に迫っていたと思う。もしかしたら、出演者全員が、ある意味”悪人では?”とも思えた。
なぜなら、原因があって結果に繋がるから。そういった点では、大人の社会の中での「自分さえ良ければの精神」が、一番の悪かな。(子育て放棄も詐欺も出会い系も報道人も、よせよと言えない友人も)
なぜ殺したのか?→殺したくなるほど、悔しかったかもしれないが、罪を犯して、家族も一生引きずる行為だけは、すべきでなかったね。
幼少時から孤独な人生だった祐一に、光代は 真の大切な人だった。もっと早くに出会いたかっただろう。光代と出会うまでは、愛おしいと思える人が祐一にはいなかった。彼が、光代を大切な人と思えたから、あの最後のシーンになったのですよね。彼女が待たないように。
これは、殺人がいかに人の一生を(それは、家族、知人も含め)変えてしまうかも教えてくれている。
なぜ愛したのか? それは、祐一の心をときほぐすのに、光代が必要だった。
出会い系サイトで、大切な人に出会えるだろうか?
偽らないこと、正直なお互いを認められることこそが、本当の出会いの始まりと思える。
深く、重い・・・
孤独
意外と身近な事件かも
深津絵里は思ったより悪人かな
共感できる
すべての登場人物の行動が理解でき、また何故そういうを行動、思いになるのか考えさせられる。そんな作品でした。
出会い系で出会った人物が深くつながり合う。一見ありえない展開であるようだが、人と人は出会った瞬間にその人物がどのような人かわかる部分がある。波長と合う部分というか、上手く表現できませんが…。
10年一緒に居てもわかり合う事ができない事もあるし、瞬間的に、普段自分の隠している感情の部分を理解し合い、通じ合う事もある。そんな事をこの作品を通じて、あらためて確認しました。
そう考えるとラストは必然だと思います。
役者も一人一人がベストもしくはベストに近い演技を見せています。特に樹木希林。魚を捌く姿や、米をとぐ姿、何気ない動きひとつからも目を離す事ができない圧巻の演技でした。
またほんのチョイ役ですが、余貴美子も良かった。この女優は本当に出演作品の空気感をそぐ事なくいい演技をみせてくれます。
そして、妻夫木聡。役の上で顔が良すぎという感想もありますが、自分の地元(北海道)にもああいうタイプの友人がいます。顔の肌荒れ具合や唇のカサカサ感、似合っていない金髪をはじめとする外形の役作りももちろん、将来への閉塞感も上手く表現していたと思います。
個人的にはいくつかいらないエピソードがあったのと、頑張っていたけどセックスシーンにもの足りなさが残りました。特にこの2人にとってセックスシーンって重要だと思うんですよね。一回目と二回目で感情の変化を感じる事ができましたが、いろいろな理由はあれども、出会い系で出会った二人な訳ですから上半身だけで無く、全身から沸き出す感情と欲の交わりを感じさせる演出をして欲しかったです。
好き嫌いはあるかもしれませんが、万人にオススメしたい良作です。
リアルと非・リアル
事件は結果だけでは判断できない側面があり、
「誰が本当の悪人か」を見極めるのは難しい、
という問題提起には成功していると思うが、
深津絵里演じる光代が主人公の祐一の告白を聞いて、
あまりにも簡単に「待つ」と言うのを不自然に感じた。
いや、即決してもらうのは結構だが、
出逢ってからそれまでの、
祐一に惹かれる経過がほぼ、無いにもかかわらず、だ。
自分の期待が打ち砕かれ、泣いていたではないか。
そしてその後、祐一が見せた誠意は、
<謝りに来た>、まだ、ただそれだけで、
「これから2人ははじまる予感」どまりだったではないか。
なのに次の瞬間もう「運命の人」のようになっている、
その思い込みが孤独な女の狂気の成せる技というならば、
エンディングは事故現場などへ行かず、
何事もなかったかのように元の生活に戻っていればいい。
祐一の罪を少しでも軽くしたいなら、
祐一の優しさに甘んじることなく
一緒に逃げたのは自分の意思だと言っているはずで、
なにやら女心はわからんのぉという中途半端な思いが残った。
けれども登場人物の設定がどうもリアルで、
そこには深く感じ入るものがある。
達者な役者さん達の功績は大きいと思うが、
キラキラおメメを封印した暗い目のブッキーの新境地に拍手。
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