悪人のレビュー・感想・評価
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とても深津さんがいい映画
ほんとに原作に沿って脚本化されたって感じでした。
でもちょっと佳乃の生活背景の説明・描写が少ないので、彼女かわいさだけ印象に残ってしまった。
深津絵里は文句なしGOODでした
それと裕一の母親へのお金の無心についての告白って何故、削ったのでしょうかね・・・
誰が主役かわかりにくい・・・
一言で言って「詰め込みすぎ」です。
感情移入し始めると他のシーンへ飛び「あ~ぁ」という感じ。
一人一人の掘り下げが足りず、全ての登場人物に対して消化不足。
誰かに焦点を合わせてしまった方が、観る者に訴える作品になったでしょう。
と残念な気持ちでエンドロールを観ていたら、脚本に原作者が入っていたんですね。
それで納得しました。
どのシーンも思い入れが強いために起こる問題ですね。
衝撃的!
すごい衝撃的です。犯人と一緒に逃げる女、犯人とその家族、被害者とその父親、犯人と疑われた男と被害者の父親…。片方からの見方だけでなく、様々な視点から一つの事件を見ていてとてもおもしろかったです。とても重厚でした。 そして、役者がすごかった!樹木希林さんと柄本明さんの存在感はホントにすごい!二人の演技は泣けました。 これは見なきゃ絶対ダメです!
脚本が映画的ではない
脚本を担当しているのは原作者と監督だがこれがよくない。小説なら色々なところに寄り道をしながら主人公たちにフォーカスするのはありなのだが、映画では最初からフォーカスさせるべき。時間は短くても満島ひかりではなく深津絵里からはじめないとだめだ(おそらく監督が深津ではなく満島に惚れたんだろうね)。時系列通りにやっただけというかもしれないが、それなら殺人場面を飛ばすなんて論外だ。このせいで大学生が逃げている理由や祐一が最初に疑われない理由がよく分からない(作業用の手袋を使ったので指紋が出ない等)。むしろ満島はフラッシュバックとして何度も登場させるべきだろう。
全体を見ても小説家がこうすればいい画になると考えそうな場面が多く、さほど効果的ではない。やはり本職を雇うべきだった。それでも最近の説明過多のテレビ局映画よりはましなのだが、それだけでは寂しいではないか。
妻夫木聡と深津絵里は悪くないが、深津が妻夫木にひかれる描写は弱い(脚本家は主人公たちだから関係をもって当然と思ってるのか?)。物語に厚みを出すための脇役のエピソードもパッとしなくて、話が立体的にならない。もっと良くなる可能性はあっただろうが中途半端に終わった一本。
守りたい誰か、あなたはいますか?
原作ファンで、映画化と聞いた時、
祐一と光代が、妻夫木と深津と知って、
読んだ時とのイメージが違ってしまい、
どうかな・・と思ってましたが、観たら払拭。
ホントによかった。
二人とも主人公になってましたよ。
妻夫木の暗い目や、光代との最初のベットシーンでの
獲物を狙うような目は、祐一そのものでした。
深津の不安ながら、祐一に抱かれるシーンや
葛藤しているところも、よかった。
また、他の主要演者も最高でした。
柄本、樹木はもちろんですが、
貪欲な佳乃役の満島も、なかなかよかったし、
最後まで救いようの無かった大学生の増尾。
演じる岡田の笑顔が憎憎しく思えちゃいました。
残念なのは、逮捕後の光代への祐一の気持ち。
それから、なぜ捨てた母親と会っている時に
金を無心していたのかを描いてくれれば、
祐一という人間が更に解ると思うのですが。
せっかく原作にあるのに残念。
ですが、個人的には満足です。
1800円、妥当だと思います。
生き方とか、大切な人とかいろいろ考えさせられる。
大切な人がいて、生きることの価値って生まれてくるのかな。誰も悪人ではなくて、環境がそうさせていて、その環境ではそういう生き方しかできなくなってしまうのか。でも、生まれ育った環境に身を投じるのか、別の環境に飛び出す努力をするのかは結局本人次第。
原作を読んでから見ました。
これは、原作を読んでから見るべきでしょう。
映画を見た後、再度、原作を読みなおしました。
最初に読んだ時には、すらすらと読んだ場面、言葉が重みを増し、マーカーを入れながら読み直しました。
そして、再度、映画を見た時の感情を思い起こしました。
映画のエンディングは、昔のイタリア映画を見た時のような感覚でした。
自転車泥棒や、刑事、道…なんかを…まだ子供の時でしたが、哀愁という言葉の意味を、その映画から知った…と思います。
心に訴えてくるものがあり、涙が流れてきました。
どうしようもない事…不条理な事…それでも、その根底に潜んでいるものは、美しいもの。
哀しいのだけれども…どこか、かなり、はかなげではあるけれども、希望が、そこには、確かに、在る。
かすかな、かすかな…希望が…ある。
原作を読み返してみた時、マーカーをひいていった。その際に、太宰 治を彷彿させる表現があった。
かなり、細やかな表現。
読み飛ばしてしまえば、見逃してしまうような、言葉。
けれども、そこにこそ、場面が在る。
映画を見て、その後、原作を読んでみて、そう感じた。
まずは、原作を読み、そして、映画を見て、また原作を読む…久しぶりに、こういう映画の見方をした。
最後に…フランソワーズ・アルディの 「もう森へなんか行かない」なんかが流れたら、最高でしたね。
触発
妻夫木さんのこの映画に対する思いを聞き、それに魅かれ観に行ったが、
運びはわりと単純で、胸が詰まるような場面はなかった。
髪を金髪に染め懸命の役作りは感じるが、綺麗な暗い目は悪人を
演じるにはマイナス要因になり、祐一の生い立ちからすると
もっと粗野な立ち振る舞いがあるはずなのに動きが下品ではなく、
後半も逃亡しているという汚れが感じられず残念だ。
しかし彼のイメージとは違う作品を自らチョイスし演じた事は、今後の
妻夫木さんに期待大です。
深津絵里さんはいいね。最初は燃えるような激しい感情を持った女には
見えないけれど、どんどん辛い恋にのめり込んでいく様が
よく表現されていた。彼女も光代を演じることで女優としてある部分
脱皮したのではと思う。ドロドロの涙も激しいラブシーンも納得です。
脇役のふたり、樹木希林、柄本明さんは満点。深い役作りに感心です。
こうした方々の出演で重みのある映画として成り立っていくのだなと
感じました。
悪人とは何かを問う映画でしたが、日常の中で何時自身が被害者になるか
また加害者にかわるか又その家族になるかは紙一重ですね。
若い2人のチャレンジに触発される映画でした。
かなり期待しましたが
受賞したということで、原作を読み、本日劇場で見てきました。当然ですが、原作を完全に映画にするということで無いようで、細かいところで違いがありました。主役の二人より、きりんさんの演技がよかったです。すごいな~と感心しながら見ました。とくにバスから降りた所と、金を取り返しにいくところは圧巻です。見て損は無いけど過大な期待はどうでしょうという感じです。悪人というくくりでいえば、報道陣こそ悪人だと思います。善人の仮面を被っている彼らの仕事はなんなんでしょうね。報道商売という名の下に造られる多くの被害者が犯罪被害者以上の数にのぼると思います。「自分たちこそ正義であるという」彼らこそ大悪人だと思います。
やるせなく、切ない。
老いた祖父母の世話に、過酷な肉体労働。
癒えるのことのない、そんな変化のない片田舎の日常。
出会い系サイトで知り合った、若い娘の暴言にキレて、殺人を犯してしまう祐一。
自分をわかって欲しいと願い、
自分を受け入れてくれる人を探した。
他人の我儘はたいてい受け入れてしまうほど、優しい人間だ。
そんな人間が、殺人を犯してしまう。
世の中の不条理。
人を、外見で判断してしまうこと。
お金持ちか貧乏人かで判断してしまうこと。
祐一の場合にも、母親の存在の軽さがある。
自己中心的。
子供よりも自分だけ。
母親の愛って、無償のかけがいのないものだと思うけど、最近はそうでもない事件が多い。
バスの運転手さん、良かったなぁ。
親戚の矢島憲夫も良かったなぁ。
良い人もいれば、年寄りのナケナシのお金を奪う悪徳商法の悪い連中もいる。
相手次第で、善人にも悪人にもなってしまう。
裏表のある人間。
善悪合わせ持つ人間の妙。
苦しみや喜び、悲しみ、絶望、人恋しさ、いろいろな感情を、深く描いた作品。
「大切な人は、おるとね?!」
「殺人を犯した者は、本当に悪人だったのか」
「生きているんか、死んでるんか、わからんかった」
もう以前のような孤独には戻りたくない、そう願う祐一と光代。
妻夫木君の目の悲しみや憤り。
深津さんのくたびれた感、やるせなさ、情熱。
岡田君のイヤらしい身勝手さ。
柄本さんの娘を想う気持ちの強い頑固な親父。
この作品を見て、≪殺される理由≫について、考えてしまった。
期待しすぎた感が・・・
深津さんが賞を取った事もあり、期待満々で観に行きました。
だけど少々期待しすぎたようで、ストーリー展開を楽しむ事が出来なかった。
ただストーリーとは別に、登場人物を演じられた方々の迫力は感じられました。
深津さんの首を絞められる表情、実際に苦しかったと言う話もありましたが
迫真の演技だったと思いますし、妻夫木さんも人物の情けない弱さや心底にある
人への優しい気持ち、優しくして欲しい気持ちが伝わり、深津さんに負けず
素晴らしかったです。
この二人に負けずに良かったのが脇役の方々。
特に樹木希林さん、柄本明さんは観る価値がありましたし、大学生役の岡田さんも
イメージ的にはまってて良かったです。
ちょい役的なバスの運転手の一言、岡田さん演じる大学生の友人の一人
妻夫木さんの親戚と思われる男性、それらの方々の仕草や行動にも
素敵な部分が見れました。
誰が本当に悪人なのか、誰の心にもある闇の部分は悪人ではないのか
罪を犯した人は本当に悪人なのか、人を傷付けなければ悪人ではないのか
他人の不幸を楽しそうに話す奴に同調して笑っている奴は悪人ではないのか
犯罪者を愛した人は悪人なのか、犯罪者の家族はどうなのか
偉そうに他人を語る奴は正義なのか。
全てのことに線を引いたような一つの答えは無く、一纏めには出来ない。
同じように見える事も全ては違う事。
今更なことを今更ながら考えさせられなければならない世の中。
そんな事を感じさせられながら、そんな事に軽く苛立つ感じを最後に
感じつつ見終わったっすね。
それだけで実は監督の策に嵌ってしまっているのかな?(苦笑)
大切な人に会いたくなる
誰の心にも『善』と『悪』があって、
「私は自分に誠実に生きたい。」
見終わってそう思いました。
登場する人がみんな、身内や他人や自分や
誰かを傷つけて傷ついて、
誰かのために強くなれて...
愛情表現が不器用すぎる。
不器用にしか生きていけない人達の様子が切なくて泣けました。
一番近くにいる人が一番大切だけど
一番に傷つけているのかも。
大切にしたいです。
失いたくないです。
平凡な日常の幸せを気づくこと、築くことの難しさを想いました。
それぞれの孤独と悪
誰もが抱える孤独や悪が、とてもリアルに描写されていた。 終始重々しいストーリー展開だったが、食い入るように見入ってしまうのは、やっぱり深津絵里や妻夫木聡、他豪華俳優達の演技力だと思った。
必見の作品。
初めてレビューします。
今年観た邦画の中では、「告白」「孤高のメス」と並ぶ秀作。
映画は、祐一と光代の愛の逃避行が軸となっているが、その他のエピソードあってこそ。被害者側、加害者側、それぞれのドラマが胸を打つ。孤独、哀しみ、もどかしさ等は誰もが心に抱え、誰かにすがりたい空虚な愛、希薄な人間関係、衝動的な殺人はまさに「今」を反映している。簡単に割り切れない人間の善悪についても考えさせられる。
それらを体現したキャスト全員のアンサンブル演技は素晴らしく、李相日も「フラガール」とは全く違う演出を見せてくれる。久石譲の音楽も余韻が残る。
モントリオールでの受賞も納得の、必見の作品。
濃密な世界
皆さん、こんにちは(いま9月13日11:55頃です)
祐一は、無口で、ほとんど表情に出さない。でも、いったん、その感情があふれ出すと、とてつもない行動を引き起こしてしまう。
一方、光代は無口な彼にコミュニケーションしようと、いつになくしゃべる。
そして、祐一が人を殺した男と知ったとき、どうすればいいのか。離れるべきかとも一瞬迷うが、自分をこんなに求めていたひとはいなかった。
そんなふたりの逃避行。
これから先に幸せが待っているはずもない。そう、普通の人がみれば、破滅だけが口をあけて待っている、そんな状況である。
可能性が広がっていればいるほど、ひとの意識は拡散されていくけれど、時間的にも空間的にも、あとがなく、狭ければ狭いほどその世界は濃密になる。
そして、相手のことを、相手以上に愛してしまう。ラストに近くなって、祐一が捕まりそうになったとき、光代を絞め殺しそうとする。それが、唯一してあげられることだから。光代の恍惚とした表情が印象的だ。
かりそめの安息の場所が、灯台である。そこは、冷たくて強い風が吹いていて、とても寒いけれど、ぬくもりを求め合うには最高の場所だ。
夕焼けが美しい。冷たいが風が気持ちいい。どこかで見た映画のように両手を広げる。ほんの少しだけ祐一に笑みが浮かぶ。祐一が着ていた赤いフリースを、光代が着ている。言葉にはしないけれど、そんな何気ない場面が素敵だ。
この映画は、このふたりだけが主人公ではない。
殺された女子社員の父親(柄本明)や祐一の祖母(樹木希林)が、この事件とともに、どんな生き方をするのかが並行的に描かれている。
また、殺された女子社員を満島ひかりが演じているのだが、そういったサブ・ストーリーもなかなか味わい深いものがある。
ただ、そこまで想いを届かせるには、ちょっとしんどいなと思うのも事実だ。
でも、こんなこってりとした濃密な映画もめずらしいのではないか。
その李相日監督の前作は「フラガール」。3年前、日本の映画賞を総なめにした監督である。彼は同じ場面を何度も何度も撮りなおすという。OKが出て、何日か過ぎると「あのシーンが気になっているんです」と再度、撮り直すこともあったという。
ハリウッドでいうとマーティン・スコセッシのようにしつこく粘り強く、妥協がない。
(といっても完璧はありえないのだが・・・)
ひりひりするような撮影現場が、想像されるけど、だからこそモントリオール映画祭で主演女優賞を受賞したときの深津絵里のことばが納得できた。
「監督の最後まで妥協を許さない演出と、その思いに応え続けたスタッフの皆さん共演者の妻夫木さんや皆さんで戦った証。みんなで勝ち取った賞だと思ってます」
出会いそれは人生の 少しだけ残酷な賭け事
殺人者と、その家族と、彼を愛した女と、遺族の話。
殺した動機は確かにわからなくもない。
遺族の怒り、哀しみもわかる。
だけど、「出会い系の恋」に賛同できない、共感できない。
だからずっと違和感が残り続けた。
サイトで知り合って、はじめて逢う2人がなぜ惹かれ合い、愛し合ってしまうのかが理解できない、共感しにくい。
殺人者を愛してしまう女の心もテーマとしては、アリだと思うけれど、
なぜそんなに深く愛してしまうのかが全くわからない、描き切れてない、というか「出会い系の恋愛」が僕には理解できなくて、最後まで違和感が残り続けた。
「いわゆるメディアが描く典型的な」大学生役に、岡田将生を持ってきたのは良い。
上手い演技。
満島ひかりは、最近よく出てるけど、なんだか「消費」されてる感がある。こういう役が多い気がしなくもない。
妻夫木聡、深津絵里は、ブレない演技力。
だけど、なんか納得出来なかった、共感出来なかった。
世間が見る殺人者、
それをそばにいた女から見た殺人者、
出会い系での恋愛でここまで繋がるのか、
そこに納得出来ないから、違和感だった。
僕には合わなかった…
「出会いそれは人生の 少しだけ残酷な賭け事」というある唄のフレーズが頭に響いた作品だった…。
日本得意の分野かも。
過去からこのような話はいろいろあったように思う。ただ、本当は誰が悪人なのか?という問いかけにはなかなか考えさせられる物が有りました。
日本でしか出せないような息のつまり方というか、見終わった後の、胸に何かしこりの残る、すっきりしない映画の中では、なかなかの良い作品だと思います。
深津絵里も良かったけど、やっぱ樹木希林の存在感となにげない演技に感動しました。樹木希林と柄本明がいなかったら、この映画の魅力は半減していたかも、と思うくらいの二人は素晴らしかったです。
妻夫木くんは、自ら志願したとはいえ、やっぱ顔のかわいさが見えてしまうので、もう一つ悲壮感に欠けたような気がします。
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