告白(2010)のレビュー・感想・評価
全337件中、281~300件目を表示
今年度、何らかの賞をとる作品だと思いました。
悶々とするけど拍手。
全くスカッとしない快作
観終わった後、言葉が出ませんでした。
こんな作品は『ダンサー・イン・ザ・ダーク』以来です。
物語は、とある中学校の1年生の教室。終業式の日の、どこにでもある風景から始まります。
担任の森口先生の【告白】。
そこから、事件に関わった人物の「告白」が続きます。
娘を失った教師。
教師の娘の命を奪った少年Aと少年B。
新しくクラスの担任になった熱血教師。
少年Bを信じ続ける母親。
少年Aと心を通わそうとする同級生の少女。
それぞれの登場人物は、自己中心的で残酷で、
物語には最後まで救いがないまま、結末を迎えます。
娘を失った教師の復讐は、中学生の少年の心理や行動を踏まえた上での、
計画的で、冷徹で、情け容赦ないものです。
そんな元担任教師が、物語の後半で一瞬だけ、人間らしさを見せます。
この場面での松さんの演技が素晴らしいです。
全体の抑えた冷徹さの滲み出た芝居が、凄く活かされたシーンだと思いました。
少年Bの母親を演じた木村佳乃さんの狂気じみた芝居も素晴らしいです。
映画の内容としては、全く救いが無いし、
登場人物も、周囲の傍観者も含めて、最悪な人物達。
そんな、「最低最悪な」映画ですけど、凄い作品だと思います。
「リリィ・シュシュの全て」に雰囲気は似てるかもしれません。
もう一度観たいとは思わないけど、凄く心に突き刺さる作品でした。
救いようのない傑作
内容は娘を殺された女教師の復讐の話。
少年法に守られた子供たちのロクでもない理由での殺人と
別に更生させようとするわけでもなく、一番悲惨な形での
復讐をたくらむ女教師。
犯人の子供を好きになる女生徒も病んでいたり
またその女生徒も殺しちゃったり
病んでいく子供が自分のお母さんを殺しちゃったり
女教師の後任の教師も馬鹿な熱血だったり
どこにも救いがない。
最後は自分の作った爆弾でもっとも欲しかった母親を
殺させるまで追い詰める女教師。
最後の最後まで後味が悪い展開。
ところどころ救いがあると見せかけて
実は全然無い、最後まで全然無い。
やっぱり牛乳には血を入れてない、とか
馬鹿な体育教師も、最後は生徒を救うのかなど
少しは期待する自分がいるんですが、全部裏切られる。
どこまでも酷い展開。
ところがこの映画、後味は全然悪くない。
むしろ清々しい。
さすがCM会の巨匠中島哲也。
(よく知らないけど)
人を殺しても法に守られることを知っている子供と
あっけらかんとした子供、どちらも子供で
それがそのまま思いっきり映像に表れて
衝撃的な話の内容と対照的に鮮やかで
この救いようのない映画を傑作にしています。
ただ、この映画が大ヒットする理由が、この映画の出来のよさや
清々しさにあればいいんですが、罪を犯した少年への復讐に対しての
賛美だったら嫌だなぁ・・・。
まぁ、とりあえず何を感じるかで大きく分かれるとは
思いますが観てない人は、今すぐ劇場へ。
哀しみで放心
今日やっと観てきました。この作品は是非劇場で、と思っていました。
原作のファンであるので、正直映画化は…、と、たかを括っておりましたが、暗くなってしまう残酷物語をリズミカルにスタイリッシュに仕上げられていて、引き込まれた。
どこまでも陰湿な生徒達を一人ずつはっ倒してやりたかった。
でも、この時代の10代のなんたる世の歩き方の巧い事か。小さい時分から大人の顔色を伺い、周りの空気を読み生活してきた、此れ程の悲劇はあるまい。
犯人の一人であるところの母親へも同情するが、子供と向き合っていない感じがして腹が立った。
私なら、チェンソーで以て扉を壊してでも、真っ向勝負したい。それから殺されても本望だ。
改めて大切な存在を噛み締められる作品でありました。
森口先生、噂に違わず迫力満点
復讐物語として凝った展開で、最後まで見入りました。
森口先生は、噂に違わず迫力満点でした。
他人の命を尊ぶのは、自分の命が尊いと実感出来ないと出来ないと思います。
この後を想像するに、ほとんど他人の様な二人の父親が「お前さえいなければ」と責めるのかな、更正は遠いだろうと思いました。森口先生の思う壷ですね。
岡田将生演じる男性教師の無能ぶり、私にとってはかなりリアルで、嫌な経験のトラウマスイッチ入りそうでした。熱演でした。
映画の中で、音楽が最近の洋画みたいに元気なロック大音量なのは違和感でした。
洋画で母国語の曲を流すのは歌詞も含めてメッセージになるだろうけど、邦画では歌詞が大半の人に解らないです。清水節さんの評論に紹介されていた、レディオヘッドというグループは結構重い歌詞の曲が多いらしいので、知っている人にはナルホドな選曲かもしれないですが。
反省なき更正はない
縁に金色を帯びた黒白色の厚い雲が空を覆っている。世の中はカラフルなものが溢れているが反して人間たちの心はその雲のように淀んでいる。物質にしか満たされていない。
反社会的なものへの憧れが強い年頃の生徒たちが母性を担任に求めるも、代用しそこねたための嫉妬が小さな命を消し去ってしまう。
自己アピールに犯罪を起こすあたりが彼らの浅さを物語っている。
注目されること記憶されることが愛と思う犯罪者はまだ本物の憎悪を知らなかった。
松たか子演ずる森口のシャットアウトした演技はその「注目」を与えず「関心」も見せず我が子への想いを語り復讐していく。凄まじい静な憎悪だと思った。
ショッピングセンターでの場面の母親ぶりがとても優しいから、その他の演技でみていてその暗い嘆きが伝わってくる。
この映画をみてリアリティがないというひとがいるようだが、これほどリアリティがある映画はまれだと思った。
勿論犯罪そのものは有り得ないけれど、子供の適性を見ようとしないことや親の幼稚さ鈍感さが子供を苦しめることは現実にある。
いつもの色彩を封じながら掴めぬ光を散りばめたあたりも監督のセンスが光る。
原作にないラストの一言にみせた監督の優しさにホロリとした。
シュール
なんと表現すればよいか判らない、言葉が見つからない…。
強いて言えば全ての登場人物が『ハッピーエンド』の真逆になる…って感の後味の悪い作品かな…!?
監督さんは人間の感情の部分を表現したかったのでしょう。
でも登場人物が全て精神疾患の患者のような人ばかりで個々がやる事なす事無茶してるのにつじつまが合ってくるあたり逆にリアリティがなくなって来たように思う。
実際映画が始まると引き込まれて『あっ』という間に終わってしまいましたけどね!!
あとは木村佳乃氏が『こんな役するんだっ!』的な吃驚な役どころが見どころかな。
全然、面白くもないし、ためにもならない。
「告白」映画としては素晴らしいが、後味は人様々
松たか子、岡田将生、木村佳乃、
そのほかのキャストはみな若い、本当の中学生らしい。
**
ある中学校、3学期の終業式で担任の森口悠子(松たか子)が語り始める。
森口悠子は娘を保育園に預けるシングルマザーの教師。
遅くなるときは学校に娘を連れてきていたが、ある日、愛美が学校のプールで溺死した。
事故死として処理されるが、森口はクラスの生徒に殺された、と告白する。
彼女は犯人の名を語らないで、少年AとBと呼ぶ。
クラスメートはすぐに誰が少年A、少年Bなのかを知る。
*
そして、どんどんと思惑から外れて曲がっていき、
やがて驚愕の結末へと突き進んでいく。
**
いきなり、事件の告白。
自分の口からはあえて名指しはしないものの、犯人をあかし、
事件の真相を語る。
この時点ですでに、この映画が謎解きの物語ではないということが示される。
そこから事件の真相を共有したクラスメートと犯人の二人の少年の神経戦。
追い詰められていく少年たちの物語か、と思わせておいて、
実はそれぞれの事情があり、考えがあり、思惑通りにいかなかった真実がある。
そして、最後にすべてが示されて結末を迎える。
ちょっぴり、楳図かずおの「おそれ」を思い出した。
*
なかなか凝った構成で、途中に入る「告白」も効果的だった。
原作は知らないが、原作の読者感想を読む限り、
作者の意図はかなりの部分でうまく映像化できているように思える。
登場人物のそれぞれが別々の背景、過去、思い、思惑を持ち、その考えに沿って行動するが、
全く噛みあわないまま接点を持ち、人生は目論見通りには進まない。
そしてほんのちょっとした行き違いが、物事を思わぬ方向に進めていくが、
その代償は大きい。
キャストの演技力も素晴らしいが、監督の力量に感服。
告白
松たか子さんの全て見抜いたような行動・言動・雰囲気に怖さを感じました。誰もハッピーにはなれない結末だったと思いますが、最後の松さんの生徒に対しての一言に教師としての側面が出ていたのではないか?と解釈しました。
凄かったです!
不謹慎にも爽快感がありましたw
おっそろし〜復讐劇なんだけどカタルシスがハンパないですw
(なんて自分の中の怖い一面を感じつつ、、、)
思ってた程、二度と観たくないようなサイコスリラーでもなく
子供の狂気を扱った重いテーマだけど、中島監督の手腕で
軽やかにファンタジックに魅せてくれて、それはもう
不思議にも嫌な話のはずなのに、興味深い面白さでした。
約7割近くハイスピードで撮影された映像で
切り取られた日常が、ながいプロモかCMのようでやっぱり
その手のプロとして画が美しい。
いつものポップな極彩色は抑えられて私は好きでした。
選曲もわざと楽しげだったり憂いあったりでサントラが
BGMとしても良さげで、とても欲しくなりました。
とにかく、他人はどうでも良くて相手を思いやる
気持ちや想像力が欠如しまくりの人たちばかりで、、、
そら寒いし緊張感もすごかった。
・子供を殺された教師が、復讐とはいえ他人の子を
どん底に突き落とす狂気。
・母に注目されたい一心で暇つぶしに人殺しで有名に
なることに憧れる狂気。
・いつでも人を殺せるけど、自殺する為に薬品収集しているの
と上から目線の狂気。
・自分の子が人殺しでも、それは他人のせいであって一番
かわいそうなのは我が子と思ってしまう親バカの狂気。
それぞれの「告白」は、とても自分勝手に正当化された
ものでした。
自分の歴史を振り返ってもやっぱ中学時代って一番残酷
だったと思うし、そのくせものすごく繊細。
近頃のイジメがどれくらい陰湿かわかんないけど、
今も昔も焼け野原にたたずんでるような子いますよね。
どうしてか、その鬱憤が自己処理できず他人に向けられて
しまう(子も少なくない)微妙なお年頃。
やっぱ私もこの頃には戻りたくないです。。。
娘を殺された森口先生(松たかこ)が淡々と語り始める
冒頭から犯人をオープンにした上で、あえて訴えず
復讐の宣戦布告。
「命の尊さ」を諭してダメなら、わからせるまで、、、って
その方法がいきなり境地を極めてて、かなりインパクトあり。
(いくらなんでも子供にはキツイだろーw)
ポスターになってるだけあって松さんの迫真の
冷たくいっちゃってる顔がホント見物ですw
なんかこの手の話の魅せ方としては斬新でした。
やっぱり・・凄かったです。
原作を読んで大半の作品と同様に期待外れになってしまうのかと思ったのですが、完璧に良い意味で裏切られて最高でした。内容はかなり重いですが、見終わって『頷けました』絶対に薦めたい作品です。改めて、邦画作品を見直した作品です。中島監督の世界観は素晴らしいです!!!
はずれなく凄い作品
全337件中、281~300件目を表示