パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々 : インタビュー
古くは「グレムリン」「グーニーズ」の脚本家や「ホーム・アローン」「ミセス・ダウト」の監督として、そして最近では「ハリー・ポッター」シリーズで知られるクリス・コロンバス監督が、新たに立ち上げたファンタジーシリーズ「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々」。少年少女の冒険物語を描く上で確かな手腕をもつコロンバス監督は、本作を演出する上で何を目指したのか? プロモーション初来日となったコロンバス監督を直撃した。(取材・文:平沢薫)
クリス・コロンバス監督 インタビュー
「大切なのは、小説のすべてを映画化することじゃない」
「ハリー・ポッター」シリーズの最初の2作を監督、第3作を製作したクリス・コロンバス監督が、なぜまたファンタジー映画を監督しようと思ったのだろう。
「だからこそ、僕はこの映画に適任なんだよ。『ハリー・ポッター』に似てる部分を省くことが出来るからね(笑)。それに僕なら『ハリー・ポッター』で学んだことを活かすことが出来る。それは、小説と映画はまったく別ものだということだ。大切なのは、原作の中で映画にしたときに、もっともエキサイティングな要素は何かということをつかんで、それを映画で描くことだ。小説のすべてを映画化することじゃない。今回の作品だって、原作通りにやったら2時間半は超えちゃうよ(笑)」
では、コロンバス監督が今回もっとも描きたかったのはどんな部分なのか。
「もっとも魅力を感じたのは、主人公パーシーの水を自由自在に操るという能力を映像化することだ。現在の映像技術なら、水をリアルに表現することが出来るからね。映像をイメージするときに、つねに頭にあったのは色彩のコンビネーションだ。5つの頭を持つヒュドラが吐く炎のオレンジと、パーシーが操る水のブルー。その対比をスクリーンで描きたいと思った。あのシーンは原作にはないけど、監督していてもっとも興奮した。出来上がった映像を見てもうまくいったと思うよ。あの場面は、映像としての魅力を優先して舞台も変えている。原作ではセントルイス・ゲートなんだけど、映像的には見栄えがしない。だから、脚本家のクレイグ・ティトリーが教えてくれた、テネシー州ナッシュビルにあるパルテノン神殿のレプリカに舞台を変更したんだ」
もうひとつ、監督が気に入ったのは、ギリシャ神話の神々が現代のアメリカにいるとしたら……という設定。パーシーがiPhoneを武器として使うなど、この設定に沿った映画オリジナルのアレンジも多い。
「地獄への入口がハリウッドサインの下にあるというのも、映画のオリジナルだ。ハリウッドは現代アメリカを象徴するアイコン的な場所だからね。そこから冥界の王ハデスの宮殿に行く旅の過程もポエティックに描けたと思うよ」
そのギリシャの神々のキャスティングは、ゼウスがショーン・ビーン、海の神ポセイドンがケビン・マクキッド、冥界の王ハデスがスティーブ・クーガン。同じ神々が登場する「タイタンの戦い」では、ゼウスがリーアム・ニーソン、ポセイドンがダニー・ヒューストン、ハデスがレイフ・ファインズ。このキャスティングは意識しただろうか。
「いや、キャスティングしたのはこっちが先だ。だから神に最適な俳優をキャスティングできたんだよ(笑)。意識したのは2点。まず、すばらしい俳優であること。そして現実世界よりもスケールの大きい雰囲気を持っていること。この配役はすごくうまくいったと思うよ」
そしてコロンバス映画のお約束、家族のカメオ出演は今回も変わらない。
「パーシーをパーティに誘う赤毛のニンフが上の娘だ。原作ファンの下の娘も、ナッシュビルの神殿の外で犬を連れて歩いてるけど、一瞬しか映らないから分からないんじゃないかな」
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