80年代、メタリカ、スレイヤー、メガデス、アンスラックスのスラッシュ四天王や、ガンズ&ローゼスやらのL.A.メタルに加え、モーターヘッドなどの成功をおさめているバンドにも一目置かれ、影響を与えたバンド『アンヴィル』。
彼等は1982年発売のアルバム『メタル・オン・メタル』でメタル界を牽引し、一瞬はささやかながらも名声を得たものの、その後マネージメントの問題なのか?はたまたもっと違う問題なのか、低迷しつづけ、50歳になる今となっては、給食配達やら建設業で食い扶持を繋ぐ日々を送っていた。
しかし彼等は、活動を停止することも、解散させることもなく、どんなにどん底にいようが、どんなに苦しい最低の生活を送ろうが、これ以上悪くなることはないと信じ、今でも大好きな音楽・バンドを楽しみ、成功を夢見て、30年間もの間、注目されなくとも活動を続けていた。
『アンヴィル』というバンドのことを語るとき、はたまたバンド・音楽に携わっている時のメンバーの笑顔が非常に輝いてるし、辛くて見せる涙も凄く綺麗で、メンバーやマネージャー、その他アンヴィルに携わる人たちとの間でいざこざがあって怒っている姿も非常に純粋で、50歳でありながらも、まるで子供のような表情を見せる彼等に胸を打たれます。
しかもこれは、筋書きのある作り話ではなくて、ドキュメンタリーであってリアルな話です。
私もへヴィー・メタル/ハードロックが大好きで、15歳の時からギターを始め、バンドをやって、色んなバンドを経て、バンドによってはCDを自主制作で出してみたり、県外でライブに出させて頂いたり、時には閑古鳥が鳴いているようなハコでライブしたこともあれば、モッシュやらダイブやらヘッドバンキングやらが横行するような中でライブをしたりとか色々あった人間の一人で、今もやはりギターを弾いてバンドを続けておりますが、この映画には非常に胸を打たれ、興奮し、心震わされました。
バンド解散した時とか、結婚した時とか、子供が生まれたときとか、メンバーとうまくいかなくなっと時とか、生活が苦しくなった時とか、何度も音楽活動辞めようと思ったというか決意した時もありましたが、結局諦めきれず、未だにギター弾いて、大切なメンバーや仲間に囲まれて、楽しく音出させていただいております。
なので、私はアンヴィルのように、何千、何万というオーディエンスの中でのライブをしたことがあるわけではないですが、彼等の気持ちは痛い程にわかると言いますか、共感できる面が凄くあります。
残念ながら現在となっては、廃れまくってもはや死後となりつつある感じのメタル、一部のバンドを除いては不遇すぎて寒い時代でございますが、それでも、メタルファンってのは非常にコアで熱くて、やってる側も結局其処が居場所であって、其処から離れたくもないし、どんなに辛くてもやっぱり楽しくて、夢を見たくて、叶えたくて戻ってきてしまう。
当然、現実を見て辞めて行く人間も沢山いるし、それが悪いわけでも、かっこ悪いわけでも勿論ないし、寧ろ賢い生き方なのかもしれないけれども、やってる側がそれこそ石に噛り付くような感じで、どんなに泥臭くて無様で不器用でかっこ悪くても、本人達は至って真面目で、そんなかっこ悪い生き方も通し続ければ尊敬に値するし、やっぱカッコイイんですよね。
HM/HRファンは必見です。
HM/HRファンじゃなくても、石に躓いて、今立ってるところが何処なのかを見失いかけている人、自分のしていることにイマイチ自信を持てない人にもオススメしたい、より多くの人に観てもらいたい素晴らしいドキュメンタリー映画ですね。