こんな韓国映画もあるんですね
すごい大人の映画って感じがしました(微笑)
冒頭の感想は作品タイトルを意識したわけではありません。
エンドロールが流れ始めたとき、本当に微笑みが浮かんだのです。
韓流のラブストーリーというと、
もっと事件や悲劇があり、クライマックスでは
観客を巻き込んでボロボロ大泣きするなんてイメージが
ありますが、今作に関しては、そういうものが一切ありません。
だから、エンドロール中に席を立たれた方の気持ちも
「もっと期待していたのに、つまんなかった」と口に出された
おばさんの気持ちも、よくわかります。おそらくあのハンドバックの
中には涙をふくためのハンカチが用意されていたのでしょう(苦笑)
◇ ◇
どこかで観た役者さんだなぁ、と思いきや
『グッド・バッド・ウィアード』でグッドな役を
演じられていたチョ・ウソンさんでした。同作とは
違い、とても真摯で誠実で且つ恰好いい役を演じられています。
役者に触れたので、あと一人だけ。
お名前がわからないのですが、先日鑑賞した
『最後の贈り物』にも出演されていた大地さんに似た
男優さんが今作でも、非常にイイ味を出してくれています。
まさに“名脇役”の言葉がふさわしい。“グッジョブ賞”を勝手に進呈します(苦笑)
◇ ◇
〈 時節を心得て降る雨 〉
作品タイトルにあるとおり雨が、この作品の鍵を握ります。
それは、時には大雨であり、時には小雨であり、時には悲雨でもあります。
舞台は四川省成都。
この地において、
ふとしたキッカケで
学生時代の初恋を取り戻す。しかし、その裏には・・・。
ここには
四川大地震も絡んでくるのですが、
なによりも触れなくてはならないのは
余すことなくとらえられた成都の美しい景色でしょう。
竹林の美しい甫草堂、繁華街、デートで訪れるパンダ公園。
特に竹林の美しさは、芸術ものです。青々とした麗しさだけでなく
奥へ一直線に伸びていく小道からは、二人の人生も感じさせられます。
作品全体の流れとして
“動”よりも“静”で見せていましたので、
静謐感溢れる、この地がとてもピッタリ当てはまっていました。
ラストも
この地が使われるのですが、
「よかった」と微笑んでスクリーンを
見つめずにはいられませんでした(微笑)
ただ、それだけでなく、
「どうなったんだろうね」
観客に余韻を与える終りかた。大好き。
雨と晴の対比。
竹林の青緑を軸にした
色彩の使い分けもお見事でした(笑顔)
☆彡 ☆彡
『渇き』(10年新春日本公開)
パク・チャヌク監督が、
「現在の韓国は抑えた演技がヨシとされている」と
東京フィルメックスのティーチインで話していましたが
まさに、その本流を行っているのが、今作かとも思えました。
“一皮向けた大人の韓国映画”
号泣はしませんが、
ホロッとはしますので、ハンカチは用意したほうがいいと思いますよ(笑顔)