「何事にも征服されない心。」インビクタス 負けざる者たち りりーさんの映画レビュー(感想・評価)
何事にも征服されない心。
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1987年制作の「遠い夜明け」は、まだアパルトヘイト政策下の南アフリカだったけれど、
この「インビクタス」は、ネルソン・マンデラ大統領に代わった直後からの物語。
1995年のラグビーワールドカップで、弱小だった南アフリカのチームが、優勝を成し遂げた実話だ。
スポーツドラマではなく、マンデラ大統領を軸においた、社会性ある素晴らしい実話。
「実話」であることの、重みがヒシヒシと伝わってくる。
黒人はサッカー。
白人はラグビー。
スポーツの世界にも、アパルトヘイトは存在した。
27年間も刑務所に収容されていたネルソン・マンデラ。
両手を広げて伸ばせば、部屋の壁に当たってしまうような、日本で言えば畳2枚分の広さ、そんな狭い空間に押し込められながらも、ほんの少しの復讐心も持たない。
変えなくては、ならないもの。
変えては、いけないもの。
変わらなくては、いけないもの。
すべての人に、分け隔てなく接する大統領の話は、人種を超えて、人々を惹きつけて魅了していく。
国の指導者とは。
上に立つ者の技量とは。
また、その気持ちに応えようとする喜び。
オールブラックスとの決勝戦は、その場にいる観客になったかのように、応援してしまった。
黒人も白人も関係ない、民主主義国家の誕生だ。
場外の警備に当たっていて、試合を楽しみにしている白人と、その車から聞こえてくるラジオを聞きたい黒人の少年。
その距離が、少しずつ少しずつ、縮まっていく過程が、実に微笑ましい。
ネルソン・マンデラになりきった、モーガン・フリーマンはとても素晴らしい。
決勝戦の観客の中に、クリント・イーストウッド監督の姿を、チラッと見たような気がするのですが、見間違いかな~。
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