「我が魂の指揮官が全力でオススメすます!」インビクタス 負けざる者たち 凛々シストさんの映画レビュー(感想・評価)
我が魂の指揮官が全力でオススメすます!
単刀直入に素晴らしい映画です!
流石はクリント・イーストウッド!何故に2010年第82回アカデミー賞のノミネートの作品賞とか監督賞から外れたのか、その意味がわからないくらいに素晴らしい映画です!
真に素晴らしい映画であると、私勝手に確信しました。
それくらい私にとっては素晴らしい映画でございます。映画好きでよかったなと。
至ってシンプルなヒューマンドラマです。
ネルソン・マンデラ大統領を演じるモーガン・フリーマンが、一人奮起して、国民を立ち上がらせ、ラグビーのワールドカップで優勝させる。という単純なヒーローもののスポーツドラマというわけでもありません。
とくに目立ってカッコイイとか凄まじいとかいうことはないんですれども、この抑制された映画の中でも、幾つかの山場と言いますか、抑揚させるようなシーンは、やはり存在するわけです。
私は、『頑張れ』という言葉が大嫌いです。
そもそも無理することが嫌いなのですが、十分頑張ってるつもりなのに、なんでこれ以上頑張らないかんねん?とか思うからです。
少なくともここ日本においては、頑張るという言葉は、間違った解釈で使われがちなんじゃないかなと思います。
頑張るって、読んだまんま、頑なを張るってことですやん?
要するに信念を貫くとか、自分らしくあるって意味じゃないんですかね?
と私は昔からそぉいう意識で生きてきているのですが、これが言葉で説明すると中々難しいのですが、兎に角、信念を貫くとか、他に流されず、自分らしくあるって意味での『頑張る』とか『頑張れ』という自分の解釈の中での言葉の意味は好きです。
しかし、軽々しく頑張れだのなんだの言うのも言われるのも大嫌い。
ですが、この映画の中においては、その『頑張れ』という言葉が頻繁に出てきます。
しかし、他人に軽々しく言われるのが嫌いなハズのこの言葉が、この映画の中においては、物凄く心地良くて、その言葉についての自分の気持ちや思いを、クリント・イーストウッド、そしてネルソン・マンデラが代弁してくれているように感じました。
イーストウッドも、そういうことをわかってて(勿論私個人に向けたものではないですが)、今の世情を理解して伝えるために、この頑張れという言葉を多様したんじゃないかと、勝手に思った次第なのですが、その頑張れの真意は、ネルソン・マンデラ大統領(=クリント・イーストウッド)から、『インビクタス』という詩に載せて南アフリカ共和国ラグビー代表チーム(=私たち観客)に伝えられます。
私を覆う漆黒の闇
鉄格子にひそむ奈落の闇
私はあらゆる神に感謝する
我が魂が征服されぬことを
無惨な状況においてさえ
私はひるみも叫びもしなかった
運命に打ちのめされ血を流しても
決して屈服しない
激しい怒りと涙の彼方に
恐ろしい死が浮かび上がる
だが長きにわたる脅しを受けてなお
私は何ひとつ恐れはしない
門がいかに狭かろうと
いかなる罰に苦しめられようと
私が我が運命の支配者
私が魂の指揮官
もぉ、この時点で鳥肌、そして思わず涙が溢れました。
私個人のことは置いておいて、これはもぉ、今のアメリカどころか世界中を駆け巡る大恐慌の嵐で、人々の心が荒みかけ、自尊心を傷つけられ失いかけている中で、イーストウッドが神、ないし世界の父として、世界中の人々に向けた重大なメッセージであり、頑張ることの真意なんではなかろうかと思いました。
『インビクタス(Invictus)』の意味は、ラテン語で『征服されない』とか『不屈』という意味だそうです。
つまり、世界の恐慌にも不幸にも、そして自分自身にも、負けることなかれと、そういうメッセージが篭められているんじゃないかと思いました。
そして、私の中の『頑張れ』という言葉の意味を、優しく、そして強く代弁してくれたようで、涙が溢れた次第でございます。