母なる証明のレビュー・感想・評価
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緻密にディテールを紡ぎ上げ、母の心のうねりを描き出す傑作
ポン・ジュノの映画では決して絵に描いたような「善」がまかり通る訳ではない。むしろ、社会通念や法では許されない行為に至る過程や登場人物の心のうねりをダイナミックに描き出すところに彼の手腕は光り、その筆致の深さが映画の陰影を際立たせ、社会の暗闇をじっと見据える視座を我々にもたらしてくれる。
「母なる証明」は笑える箇所もたくさんある。そしてその分だけ闇も深く、非常に風変わりな物語構造の中で「母親」の心情がえぐられていく。見た目は地味な物語なのに、「自宅の奥から表の様子を伺う」「水たまり」「針のケース」などの要素が幾度か繰り返される中でそれぞれの意味を持ち、土砂降りの雨の中で傘がパッと咲く場面が「目配せ」のように機能する様など、ポン・ジュノが我々に向かって発信しているメッセージも多い。濃密なミステリーであると同時にどこか観客までも引きずり込み共犯関係に仕立て上げる構造に凄みすら覚える怪作である。
2つの隠蔽
息子のためなら、どんな事もする母親像を描いたのか?
母は、女子高生殺人の犯人として逮捕された《知的障がいのある息子》
の無実を信じる、
たとえ信じていなくとも、息子が犯人とわかってしまっても、
母は息子を守る。
そのためには、目撃者の老人を家もろとも焼き尽くしてしまう
のもいとわない。
そして誤認逮捕されるもう1人の知的障がいのある青年。
息子の身代わりになった青年を拘置所に訪ねる。
そうして、質問する。
「お母さんは、いるの?」
青年は肯定しない。
母は安心する。
この青年のために、自分のように奔走する母親は、
いないのだ。
ファーストシーン。
乾いた色に染まる枯れ野の広がる丘を、母は歩いている。
片手で顔を隠して。
目を隠して照れたように笑うと、後悔したような表情に変わり、
口を覆いながら踊り続ける。
ラストにも意外な展開がある。
放火した廃屋から息子があるものを拾ってくる。
それは母の鍼灸道具の入ったケース。
息子は知ったのだ。
それでも母は後悔しない。
町内会のバス旅行のバスのシートで、太ももを露わにして、
自らの太ももに鍼をうつ。
その場所は記憶を無くすツボだった。
母の愛が狂気を放つ。
舞う女
これは、貧困がテーマなのだろうか。知的障害のある子を、一人きりで面倒を見る母。金や米を得るために、体を売る少女。彼女達をサポートしてくれる人はいない。がんばってがんばって、折れてしまった時に起こる悲劇。やるせない。
真犯人はトジュンかもしれないが、もしかしたら別にいるかもしれない。だとしたら、結局誰なのか。殺されたアジョンと関係を持った誰かか。ゴミ収集のおじさんの言うことが正しいのか。トジュンの母は、無意味なことをしたのか、それとも意味あることをしたのか。トジュンの後に逮捕された少年に対して、「お母さんはいるのか」と泣きながら尋ねる母。彼が無実であることを、誰が訴えてくれるのか。
トジュンの母は、けっこうお金を工面できるのね。割にちゃんとした服を着てるし。弁護士費用も何とかするし、トジュンの悪友ジンテにもお金払うし、借金したのか、またはハリ治療で稼いだのか? しかし、ハリは新調しないと使えないねぇ。ラストは、まるでプッツンしたかのように、踊る母。冒頭も踊るが、無表情で、言葉にできない鬱屈したものを吐き出すみたいだ。ダンスで始まり、ダンスで終わるのは、無言の叫びを表しているのだろうか。
ウォンビンの顔がかわいい。
BS松竹東急の放送を録画で鑑賞。
キム・ヘジャさん、ちょっと苦手。死んだオカンにちょっと似てるから(...
人間の複雑さを炙り出す傑作
母の愛と狂気
わかる。母親って子供のためなら、人だって殺せるよね。
殺人のシーンにリアリティが無かったので、★マイナス0.5
真相はわからず、結局は、人の語りから想像するしか無い
前半のゴルフのシーンって、証拠となるゴルフボールのためだけなら、長すぎる
キャラ渋滞しすぎなてんもマイナス
でも何よりも、母親の愛情=狂気の説得力と美しさい表現に圧倒される
踊るシーンは美しく、胸を打つ
凄い映画を観た
今度ポン・ジュノ監督の新作「ミッキー17」が始まるので前から気になっていたこの作品を鑑賞。見終わった感想は凄い面白かった。見終わったあと呆気に取られてしまった。もちろんよい意味で。家族と見終わったあと感想を言い合ったが気が付かなかった箇所が幾つかあった。1つは主人公の名前が無いこと。みなオバサンとか母さんと読んでいたので言われてみれば名前が無かった。もう1つは女の子を殺したのは計画的ではなく「バカ」と言われて条件反射で切れてしまったこと。これは作中に丁寧に描かれていたが忘れてしまっていた。最後の嫌な記憶を消すツボの描写は見事だった。とにかく新作を楽しみにしたい。
知ってしまう秘密
凄い映画を観た
ラストも石もあり得ない
パラサイトはなんか普通。殺人の追憶でとんでもない作品だ!と思わされての母なる証明だった。
個人的にはあり得ない作品となった。
息子が帰宅するシーンを元に母が無実を証明しようと必死になっているのを、我々は鑑賞しているわけですよ。
ラストの方でその前半のシーンが間違っていた事を後出ししてしてくる。
それならさ、前半のシーンは酔っ払っていたのだからカメラワークで酔っている表現とか、もっと朧げにとかできただろ!他にも前半シーンは主人公主観、ラストは第三者や固定カメラ主観、とかできたやろ!なんなら前半のそのシーン丸々いらなかったわ!息子は朦朧としていたんだからね!
事実と全く違うシーンを事実のシーンっぽく映しておいてラストで違かったとかガッカリでした。
羅生門にも遠く及ばない。
石も石。投げて一撃で殺せるあの石の重さって、何なんだ。怪力すぎる。
鳩山由紀夫が首相の際に国会質疑の場に与謝野馨が立ち、お母さんから毎...
鳩山由紀夫が首相の際に国会質疑の場に与謝野馨が立ち、お母さんから毎月数千万のお小遣い貰ってるんでしょ、弟の邦夫にあなたにお金を配る子分いないの?とその弟の邦夫から聞いた話を披露してましたが、その与謝野馨も武士に二言なしと言いながら、民主党内閣の閣僚になってますが、鳩山由紀夫の母がもう多国籍企業のブリヂストン創業者の娘ですが、その会社の株主としての毎月の配当金の額が高額ですが、当映画で米と交換で身体を売る女子高生が、またその独り身の母が知的障害者ですが、その米と交換で身体を売る女子高生の死亡事件があり、当映画の主役も知的障害者ですが、高麗人参もどきを高値で売る母と一緒に暮らしてますが、当映画の主役がその米と交換で身体を売るその女子高生を殺害したのですが捕まらず、その女子高生殺害を目撃した屑鉄拾いの乞食然の髭面もその女子高生殺害をしたその息子の母に殺されて、また当映画の広告がその年輩の母とその知的障害者の息子が床に一緒に寝て、その年輩の母の片胸を鷲掴みですが、その米と交換で身体を売る女子高生にばかーっと言われて、足下の重い石を持ち上げて、それをその女子高生の頭に投げつけてその女子高生が死亡ですが、その高麗人参もどきを売るその母の息子もその地元で知的障害者で有名でその米と交換で売春する女子高生もその地元で有名なような
あの終わり方いいね
映画の方が
エグかったです。当時、母親が廃品回収業の人を叩きまくっているシーンがもっと長く鮮血が飛び散り画面が赤、赤、そこへ炎の赤も加わり
二度と観たくない、と思ったものです。ウォンビンが出るから、と思って観たらその意味では期待外れでした。邦題から、母とは最愛の息子の為ならここまでするのだ、これが母なのだ!
と投げかけられたようで納得しなければいけないのかどうか。
説明のなさがかえって、物語の余白となり、見る側の想像を掻き立てる
凄絶な女子高生殺人事件の容疑者となってしまった息子の無実を証明するために 、母親が狂気的に真犯人を探す。
登場人物それぞれの背景や生い立ちについての説明がないまま進むが、主人公は貧しい母子家庭であり、息子には少し知的に問題がありそうで、母親はどこか偏愛的であることは想像に難くなく、その説明のなさがかえって、物語の余白となり、見る側の想像を掻き立てる。
母親が無条件に子どもを守ろうとするのは女性”性”のなせる本能だが、本作の母親はそれだけではなく、息子への贖罪や自身の存在意義や、あるいは懸命な記憶の改ざんや、様々な個人的要素を内包しており、それらが渾然一体となって、常軌を逸した行動へ駆り立てる。
後半、時々挟まれてきた、よく分からない映像が全て見事に回収されながら、怒涛の展開を見せる。息子とは違う「彼」に面会し泣き崩れるシーンが秀逸。母親の息子への躾が因果応報的にきいてくるあたりは無情。
ありえそうで怖かった
・冤罪と思われた青年が実は真犯人でその証言者を母親が殺して真犯人として別の男が現れて事件は終了というどこにでも起こり得そうな話で恐ろしかった。
・随所に伏線が貼って合ってそれを随時回収していって凄いなぁと思った。あんまり覚えてないけど、そういう印象が強く残った。憶えてるのはラストの内ももに鍼を打って嫌な記憶を消してしこりを消すのを打ってほしくなった。
・弁護士の人が依頼を投げたのかと思ったら、微妙に精神科医と検事と口裏を合わせるために接待してたのが意外だった。
・母親が息子の無実のために行動する姿を観ているといたたまれず、苦しかった。葛藤よりも犯人探しに焦点が合ってる感じがあって何とか観られた。
・最後に冤罪として捕まった青年がとても可哀そうだった。
・心中するときのエピソードで淡々と農薬の種類の話してたの印象深かった。2種類あって、弱いのを使った。あの時強いのにしてたら…とか何かリアルだった。
・殺された少女は一体、どういう経緯で商売をしていたのだろうと少し疑問だった。幅が広すぎて、最後は廃品回収のおじいさんだったけど。
よくわからなかった
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