ゼロの焦点のレビュー・感想・評価
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中谷美紀がものすごい
ストーリー的には、終戦直後のどさくさから高度成長期にいたる過程で生じた社会の亀裂を描いており、この手のストーリーはこれまで、何度も見てきたような気がするが、この作品がその原点的な作品のひとつなのであろうか。『飢餓海峡』とも似ている。北陸の寂しげな風景はこういったストーリーに向いているのであろう。
映像的には時代のディティールが壊れないように、気を使っており、風景描写を楽しむこともできる作品になっている。しかし時代の移り代わりとともに、この時代(昭和30-40年代)を描くのも、簡単ではなくなってきていると感じた。
主役は広末涼子だが、中谷美紀の演技がものすごく、主役を奪う勢いがある。彼女は幽霊ものとかやらせたら、とんでもなく怖い雰囲気を出せる役者さんのような気がするが、そういう作品があれば、是非見てみたいと感じた。恐ろしい眼力の持ち主で、能のような、非常に日本の伝統的な幽玄美を表現できる女優さんなのではないだろうか。
全体的によくまとまった仕上がりの作品。
この時代....大変ですね!
登場人物が少ない
ブライアン・デ・パルマ風の推理劇
昭和とバブルが迫力どアップ
広末涼子なかなかいいやん。
こんな悲しい映画だと思わなかった。こんな推理サスペンス物で泣いてしまう自分って・・・・。
戦後がどんなものなのか想像でしかわからないけど、今よりもっと女性が生きていくのに厳しい時代だったことは間違いないでしょう。
なんだか、観てるのが辛くなりました。
室田佐知子役の中谷美紀、田沼久子役の木村多江、鵜原憲一役の西島秀俊3人の過去が切なく胸に迫りました。
鵜原憲一の妻役の広末涼子は、私的に期待度が大変低かった為か、好演しているな~と思ったのですが。新妻の意地がよく出ていたかと思います。
姉に対するすまなさに押しつぶされそうな感じを、ちょっとしか出演してませんでしたが、崎本大海も好演していました。
あと、一見妻に冷淡そうな、鹿賀丈史も最後の最後に魅せてくれたと思います
中谷美紀も木村多江も期待どうりで間違いなし、でした。
みんなが内に秘めた思いがあって、話に奥行きが出していたように思います。
文句をつけるとすれば、ラスト近くの日本海での小船のシーン。
字幕で説明するのはいかがなものか、と。
音楽に関して、またラスト近くの「オンリー・ユー」がうるさかった。
いらないような気がする・・・。
ついでにエンディングロールの中島みゆきの主題歌。
最後まで曲は聞いたが合わないような気がする。あくまでこれは個人的意見ですが。
窓際の壁で刺されて殺された男が、翌朝、子供たちに発見されるシーンが、私は一番怖かったのですけど、みなさんは?(←ポイントずれてる?)
崖怖っ!
日本海の寒さが~
刑事モノが得意のテレ朝ならもっと深くできたはず
初めて「日劇」
という映画館で鑑賞。
入口前では
在日外国人参政権の演説が行われている
物々しい雰囲気の中、私にしては珍しく
道や建物内で迷うことなく、劇場へ入りました(苦笑)
しかし
この時点では、
まさか作品の冒頭に
たまたま初めて訪れた
この日劇がでてくるなんて、
そんな不思議な縁に気づくはずもありませんでした。
★彡 ★彡
う~ん、テレビ朝日。
これなら、2時間2夜連続ドラマと変わらないんじゃないかな・・・。
まずは、鑑賞直後に
感じたことを一気に記します。
①大好きな犬童監督
映像にしても、音楽にしても、
映画の域に到達していない気がしてなりませんでした。
これなら、2時間2夜連続ドラマにしてしまったほうが、
後半、あんな無理をして謎解きを急ぐ必要もありませんし、
登場人物たちのバックボーンを、もっと掘り下げられた気がします。
サスペンスもののわりには、ネタが甘い気もしました。
謎解きよりも、戦後日本で、女性が生きていく艱難辛苦。
戦争が引き起こす暗部。そちらに重点を置いたのかもしれません。
ラストのクライマックスは、
さすが、一気に盛り上げるのが上手いです!
詳しくはネタバレになるので伏せますが、中谷さんの服を全身真っ白に
したのも、ある意味が込められていると、解釈しましたが、正解かな??
②超豪華な女優の顔ぶれ
他のレビュアーさんたちも書かれているとおり、
広末さんと中谷さん。どっちが主役かわかりませんでした。
ただ、
登場人物の性格を考えると、
中谷さん:アグレッシブ
広末さん:ディフェンシブ
この設定になりますので、広末さんのほうが主役っぽく
目立ってしまうと、作品全体のバランスが崩れてしまいます。
だから、中谷さんが主役っぽくなっているのが正解だと思いました。
木村さんは、キャスティング時点では
日本アカデミー最優秀主演女優賞を獲る前だったそうですが、
『ぐるりのこと。』を犬童監督鑑賞し主演女優賞を獲ると確信。
広末さん、中谷さんと互角にわたりあえると判断しオファーを出されたそうです。
出番は中盤以降に集中していましたが、
監督の期待に十分に応えられていました。
それにしても、
本当に薄幸な役が似合いますね。
もちろん、褒め言葉ですが(苦笑)
★彡 ★彡
作品冒頭に白黒画像が流れます。
これは、伏線として用いられたのですが、
その後、カラー映像に切り替わります。
白黒画像の人々に表情を感じなかったのに、
カラーになった途端、急に華やぐんです。衣装、振る舞い、
CGで時代考証は考えられていましたが、どうも時代のズレ、
違和感がぬぐえませんでした。この作風なら、あえて終盤の
中谷美紀さん最大の見せ場まで、白黒で行ききって、そこで
カラーに切り換えるという手法もありだったなかな、なんて気もしました。
どこかの作品で使われている手法ですけどね(苦笑)
今回、サービスデーに
1,000円で鑑賞しました。
1,800円は、ちょっと高いかもしれません。
韓国、名古屋、金沢、雪降る極寒の夜。
撮影はとても大変だったと察しますが、
力を注ぐ焦点が、少しずつずれてしまったのではないでしょうか。
昇天してしまうほどの酷さではありませんでしたが、
笑点なら、9枚ある座布団のうち5枚は持っていかれるでしょう。
よって評価は「B-」にしておきます。
期待し過ぎました
主役は中谷美紀で!
映画的な味付けに芸がない
非常に丁寧に作られている。登場人物も整理されていて分かりやすい。ミステリーとしては単純だが、うまく時代背景に乗った話に仕上がった。
前半は、皆、怪しそうで、常套ながら出演者たちの持ち味が活かされている。中盤から犯人像が絞り込まれていくが、犯行の動機は依然はっきりせず、ラストで一気に解き明かす構成がいい。
気に入らないのは、事の成り行きを、語りだの字幕で処理してしまう手法だ。映画は、絵と音で表現するものであり、観るほうも馬鹿ではないのだから、状況で判断できる。そういう絵作りをするのが映画人の仕事。ナレーションやスーパーが多い映画は、説明っぽくて嫌いだ。せっかくの構成も、荒れ狂う北陸の海のような、観る者に迫る勢いが消失してしまった。
女優陣、魅力的だし、さすがに上手いが、お互いを意識しすぎか、やや力みが見えるところも。
昭和30年代の様子が上手く出ている。列車の揺れ具合など当時を思い出す。壁に貼られたホーロー看板やチラシは、やや整然とし過ぎて不自然。
余談だが、写真館が使うカメラのスリ硝子に投影される像は、正像ではなく、天地逆さまになるはず。また、当時の印画紙(写真)はバライタ紙であり、樹脂が含まれていないので、燃やしても化学的な色の炎にはならない。
断崖に柵を!
実力派女優らが体現する『終わらない戦争』
『ヴィヨンの妻』で見事な表情を見せた広末涼子だが、本作での演技は一本調子でイマイチ。華はある女優さんだが、主演を務めるには……ウーム。
説明過多なナレーションも耳につき、彼女が1人で映画を引っ張る序盤はどうも気持ちが乗り切らない。
だが中谷美紀が登場した途端、映画全体がグッと引き締まる。役柄が乗り移ったかのような凄まじい演技は必見。
木村多江も他2人より短い出番ながら、最後の最後で見せ場をかっさらう見事な『泣き笑い』で魅せる。
「もはや戦後では無い」と声高に謳われた高度成長期の日本。希望に満ちた新たな時代を生きたいと願いつつも、戦争の影に苛まれ続けた人々の物語。
時代に翻弄された女達の末路が描かれる終盤の展開に泣いた。
だが、未だに戦争の影を引き摺っていただろうこの時代全体の悲しみまでは描ききれなかった感がある。
戦後の描写はあっても戦時中の描写が皆無なのだから。
例えば事件の軸である鵜原憲一の場合、従軍経験が彼の性格に影を落としているのは明らかだが、その過去は描かれない。そのため彼が取る行動の動機も弱く感じられた。
タイトル『ゼロの焦点』の意味は僕には掴めず終い。
この機会に原作も読んでみようかな。
推理小説のように
昭和のミステリー
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