「ロバートとジュードで決まり」シャーロック・ホームズ bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)
ロバートとジュードで決まり
公開当時に観ているが、改めてhulu鑑賞。
『シャーロック・ホームズ』と言えば、アーサー・コナン・ドイルが生み出したロンドンのベーカー通りの名探偵。パイプをくゆらせ、トレンチ・コートに身に纏い、親友の医師・ワトソンを相棒に、沈着冷静な名推理で事件を解決するというイメージが一般的。
しかし、本作でのホームズは、無精ひげを生やして精彩を欠き、自堕落な生活の中にも、ストリート・ファイターの格闘技に長けており、これまでにない斬新なホームズとして描かれている。但し、僅かな現象や現場の証拠から、科学的な知識を駆使しての抜群な推理力は健在。事件の謎の解くミステリー・サスペンスとしての面白さと共に、コミカルな言動でも楽しませてくれるエンターテイメントな仕上がりとなっている。
今回の敵は原作には無い、黒魔術によって人々を支配しようとするブラックウッド。若い女性の連続殺人犯として絞首刑にされながらも墓から蘇り、新たな殺人を繰り返し、英国制服を企む暗黒大魔王。そんなブラックウッドを演じたマーク・ストロングの威圧的な存在感に魅了される。
と言っても、やはり本作は、ホームズとワトソン役に、ロバート・ダウニー・Jrとジュード・ロウを起用した時点で、既に本作の当たりは決まっていたと言っても過言ではない。原作では、ワトソンは良き相棒ながら、あくまでホームズを引き立てて支えるサイドメニュー。しかし、本作では、2人の掛け合いや、持ちつ持たれつの間柄が同等に描かれているのが、より面白さを増している。そこに、ホームズの恋人のアイリーン・アドラーを、レイチェル・マクアダムスが、とてもチャーミングな悪女として演じている。
今から、14年も前の作品ながら、当時の薄暗いロンドンの風景やディテールの高い小道具、細部に渡り手抜きのない紳士・淑女の服装は、本作の効果的な演出を高めている。また、スローモーションやストップモーションを活用した緊迫感のある映像は、こうしたエンターテイメント作品を得意とする、ガイ・リッチー監督ならではの手腕であると思う。