ザ・ファイターのレビュー・感想・評価
全46件中、41~46件目を表示
前を見据えて叫べ、“クワッカー!!”
今更ながら、祝!
クリスチャン・ベール、アカデミー賞助演男優賞受賞!
役者魂はある人なのに、これまで共演者に喰われたり
作品があと一歩だったりしてたものね。
いやあ、ホント良かった。
逆に本作では巧い役者さんが多すぎて、主演の筈の
マーク・ウォールバーグが割を喰ってる感があるのが気の毒……。
けどね、彼だって今回良いんすよ!?
迫真のファイトシーンとか、身勝手な家族をそれでも見捨てない誠実さとか。
何よりミッキー役に相応しい屈強なブルーカラーの雰囲気と、
素朴で優しい雰囲気を併せ持った俳優ってそうそう居ないと思う訳です。
しかし主人公ミッキーが真人間なだけに、あの家族にゃ呆れた。
とうの昔の栄光に浸るクラック中毒の兄ディッキー。
その兄しか眼中に無い母親。
並の不良よりタチの悪い姉妹軍団……。
だが鑑賞後によく考えてみると、あの母親も優秀なボクサーだった息子を
盲目的に溺愛していた訳では無かった。
“優秀なボクサーからクラック中毒者に墜ちた息子”を立ち直らせてあげたい。
だからあそこまで『家族で』チャンピオンを目指す事に必死に拘り、ディッキーにばかり気を遣っていたんだろう。
……ケバくて口汚くて金に汚いのはまた別問題だろうけど。
そしてディッキー。
出所前、祈るような姿で階段にうずくまる彼の姿に涙が出た。
己の過ちでどん底まで墜ちた男が、再び這い上がりたいと一心に祈る姿に見えた。
弟から「兄貴とは組まない」と告げられるシーンはその後だったが、
本当は出所前のあの時点で、彼は自分を変える決意を固めていたんだと思う。
街を歩きながら甘ったるそうな青いクリームを舐め取るディッキーの、あの眼。
あの真っ直ぐな眼がいつまでも頭を離れない。
自分への甘さと決別し、前を見据えて歩く男の眼が。
「兄貴は俺の誇りだった」
「昔はな、昔は」
自分に残っていた僅かばかりの誇りを捨て去る——愛する家族を前進させる為に。
ディッキーのような過去の“英雄”がなぜ身を滅ぼしたかの過程が
あまり描かれていないと思ったが、そこは映画の雰囲気で分かる範疇だし、
安易な社会批判に逃げるのも本作にはそぐわない。
これは、現状を変える為に自らを変えるその勇気を讃えた物語なのだから。
人に前進する勇気を与えてくれる素晴らしい映画だった。
誇りは過去にではなく、未来にある。
振り返らずに進め、“クワッカー!!”
<2011/3/26鑑賞>
ボクシング映画には、傑作が多い。これも、その一つ。
実話に基づく物語。第83回アカデミー賞と第68回ゴールデングルーブ賞で、どちらにおいても助演男優賞(クリスチャン・ベール)・助演女優賞(メリッサ・レオ)受賞。
実は、観に行く直前まで、この話が実話だとは知りませんでした。ミッキーがチャンピオンになったのが、WBUと言う、日本には加盟しているジムの存在しない(って言うか、日本ではWBAかWBC以外は、基本的にJBCから認められていないみたい)ボクシングの世界ではマイナーな統括団体だったのも、その理由でしょうか?
この作品は何と言っても、アカデミー賞にも輝いたクリスチャン・ベールでしょうね。ジャンキーの役作りに徹したその姿は必見。いやぁ、本当に彼はジャンキーなのではないかと、思ってしまうほどでした。ちなみに、エンドロールの際にディッキー本人が出るんですが、姿かたちは異なるものの、その喋り方などは、完コピでしたね。
他方、制作兼主演のマーク・ウォールバーグ。実は、このミッキー・ディッキー兄弟の家から30分くらいのところに住んでいたそうで、何時か映画化しようと着々と(3年半もの間)準備を進めていたそうです。その準備には、世界チャンピオンを目指すボクサーの体つくりも含まれていて、見事にスクリーン上でその努力の結果が披露されていました。
こう言う事を言うとちょっとアレですが、典型的なアメリカの田舎町のダメ家族の物語に成りかけていたところを、ミッキーがチャンピオンを勝ちとり、何とか、感動の物語になったかなと言う、ぶっちゃけ、皮肉な味方をしてしまいました。すいません。
それにしても、ボクシング映画って、名作が多いですね。『ロッキー』と言い、『ミリオンダラー・ベイビー』と言い。しかもそれらって、ボクシングその自体というより、ボクシングをやる人物の人間物語を描いているという共通点があったりしますが、これも、そう言って良いと思います。
ただの格闘映画ではない。奥が深い題名。
ほんとによく出来た実話だ。そう思ってしまうくらいフィクションではよくある展開。だが面白い。実際2回鳥肌が立った。
眠気とは無縁 終わりまでずっと入り込めたスムーズな展開
そして「ザ・ファイター」という題名は奥が深い。
それぞれの戦いの中で弟は兄に兄は弟に影響される、そんな関係を描くと同時に周りの人間も二人に影響されていく。よく2時間で収められたなと驚いた。2時間があっという間だった。
クリスチャン・ベール、参りました。
まずは、クリスチャン・ベールの役者魂に参りました。
「バットマン」や「パブリックエネミーズ」の役とはうって変わり、とんでもないヤツ。
「マシニスト」のあまりの痩せ方に驚愕したけど、今回も驚かせていただきました。
とことん、やるのね。スゴイです。
13kgも体重をおとして、歯を抜いて、髪の毛を抜いて・・・。
そんな姿になり、やる気がなくフラフラ歩く様や、本当に目がイッちゃってる様、などさすがです。
マーク・ウォールバーグは、弱さが少し足りなかったように思う。
どん底のような憔悴しきった顔が、みられなかった。
ストーリーは、≪家族愛≫がテーマ。
利用してるんじゃないの?!なんて思われても仕方ないような母と兄。
とんでもなくイライラさせられる家族でも、やっぱり家族。
無償の愛を持っているのは、家族。
大切です。
それと、苦境に立った時や、皆がそっぽを向く時に、普通に接してくれる友達、知り合いの者。
血が繋がっていなくても、わかってくれる人。
そんな人たちの存在が有りがたく、とても大切に思う。
そんなことを教えてくれる作品でした。
満足
3月27日新宿にて鑑賞。
主人公がどうみてもスーパーライト級には見えないほどの体格なのだが、そこはご愛嬌ということで。
それ以外はなーんもいうことありません。
ガッティとの3番勝負でもう一本映画作れるんで無いでしょうか?
今年初の映画泣きさせてもらいました。
おススメできます。ボクシング映画はハズレが少ないなぁ!
4人のファイター、それぞれの戦い。
この映画のタイトルは「ザ ファイター」ですが、その「ザ」は本編の誰を指しているのでしょうか?マーク ウォールバーグ演じるスランプに落ちた現ボクサーの戦いか?それともクリスチャン ベール演じる薬物と戦う元ボクサーで現トレーナーの兄の戦いか?それともエイミー アダムズ演じるバーテンダーの男たちとの戦いか?それかメリッサ レオ演じる9人(息子2人娘7人)を育て上げた母親・マネージャーとしての戦いか?解釈はそれぞれだと思いますが、いずれにしても皆それぞれ戦いがありそれを上手く描かれている作品だと思います。
1980年代のマサチューセッズ州が舞台の本作上記で上げた4人の戦いのほかに兄弟の絆だったりボクサーとバーテンさんの恋だったり主人公のミッキーのチャンピオンへの道を描いています。
注目は主要3人の演技と上手く描かれたファミリードラマ。この作品は「レイジング ブル」や「ロッキー」のようにボクシングが中心となって描かれている作品ではなくむしろ家族のドラマが中心となっていて見終わったとつい「シンデレラマン」がこうであったらいいのになと思いました。それから、ベールのやせこけた姿やアダムズの増量して撮影に望んだ姿はもちろん凄いのですが、何と言っても凄いのがメリッサ レオのへ~ん~しぃ~んぶりです。まさにカメレオンとイってくらい凄い変身ぷりです。この作品と彼女が数年間に撮った「フローズン リバー」を観てもその差は歴然です。
さて、ボクシングシーンはどうだったのかと言うと80年代のボクシングシーンを観ているというよりは現在の技術を駆使したボクシングシーンとなっています。リアルなのはリアルなのですが、自分が小さかった頃スローモーションだったり、上からのカメラってあったかなと思いました。まるで現代のK-1の中継を見てるみたいで今の技術とその頃の技術のギャップを感じるはずのところがあまり感じなかったと言うのが正直なところです。
そして、この作品にもう一つ弱点というか欠点があるとすれば、それはマーク ウォールバーグの演技です。何だか彼は「ブギー ナイツ」から変われない演技をしているように思えます。
いずれにしてもこれはなかなかの良作です。是非1度チェックしてみてください。
全46件中、41~46件目を表示