ザ・ファイターのレビュー・感想・評価
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欲で団結したモンスター家族は強い!!
兄のディッキーを演じたクリスチャン・ベールを見て、その変貌ぶりに驚く。贅肉をすっかり落とし、歯はボクシングによるものかヤクのせいか数本欠けている。落ちくぼんだ目には、時折、狂気が宿る。
かつては町の英雄ともてはやされ、母アリス(メリッサ・レオ)に溺愛されるディッキーは再起を目論むが、実際には弟のミッキーをダシにタイトルマネーをピンハネすることしか考えていない。
母アリスもまた、堅実にボクサー人生を歩もうとするミッキーの人格など無視だ。逆に落ちるだけ落ちたディッキーを溺愛する。このふたり、見ていてシラけるほどの身勝手さを発揮し、組んでミッキーを骨の随まで吸い尽くそうという勢いに圧倒される。
憎まれっ子、世にはばかるではないが、このふたり、さんざ悪態をつきながら第83回アカデミー賞の助演男優賞と助演女優賞をかっさらっている。見事なまでにジコチューのモンスターと化し、ミッキーにとって悪魔のような家族を熱演している。
身内を信じられなくなったミッキーにとって唯一のよりどころが、バーで知り合った恋人のシャーリーンだ。
これが、あの狂人ふたりを相手に一歩も引けをとらない。エイミー・アダムスが芯の強さを発揮する。ただ彼女とて、自分が大嫌いな家族からミッキーを引き離したいという、自己欲だけで動いていることに変わりはない。ボクシングは素人で、ミッキーに専門的なアドバイスはできない。
ミッキーは自己欲だらけの畑の中に放り込まれたような生活だ。
それでも家族を断ち切れないのは、彼の優しさとは言い切れず、むしろ頼るものを失うのが怖いのであって、これもまた自己欲に過ぎない。
最後は、バラバラになった家族が世界チャンピオンという夢に向けてひとつになるというお決まりの筋書きだが、決して自己欲が消えてなくならないところが、この家族の力強いところだ。シャーリーンまで巻き込んで、欲で団結した家族は、したたかに雪だるまのように大きくなっていくのだろう。
試合は、もう立ち上がれないほどやられっぱなしで、なぜ急に逆襲に転じられるのか不思議だが、「ロッキー」のショー的な演出とは違う。カメラワークがボクシングのTV中継に近い。また手持ちカメラの位置が必ずしもベストポジションでないところが逆に臨場感を高めている。
編集も素晴らしい。とくにチャンピオン戦のあとのリングサイド。家族の歓喜を深追いしないカット割りが絶妙。
クリスチャン・ベールという俳優、これまで暗いイメージしかなかった。
それが、チャンピオン戦を前にした合同記者会見では、ちゃっかりプレス写真の隅に入り込むなど、茶目っ気のある一面が出た。
これぞ、プロの役者魂だ!!
クライマックスの試合は、
もちろん大興奮したのですが、
その前の調印式シーンでの、クリスチャン・ベールの
細かい演技に『ダークナイト』で魅せた故ヒース・レジャーの
ジョーカー役の演技が重なって、思わぬところで、感涙しちゃったよ(合掌)
今、レビューを書く前に、
予告編をHPで見ました。
本編の興奮がリアルに蘇ってきて、
目に涙を浮かべ、自宅PC前でガッツポーズをしてしまいました。
実話ベースというのは知っていましたが、
エンドロール冒頭に本人達が登場するのはサプライズでした。
感動系のスポーツものだろうな、
というのは見るまえから明白。だから、
感動して泣けるのは、ある意味当たり前でしょう。
鑑賞前に最大の関心をもっていたのは、
そんな具合にストーリーの事前予測が、
ついていたのにも関わらず、アカデミー賞で、
なんで助演系の2部門を独占できたのか。しかも、
女優賞に至っては、受賞をしたメリッサ・レオだけでなく、
同じ作品からエイミー・アダムスもノミネートされてしまうほど。
昨年、同じくスポーツ系の実話もので、
サンドラ・ブロックが主演女優賞を獲っていましたから、
アカデミー委員たちは実話好きなんだろう、とこちらも、
予測が立ちますが、それにしても、独占&多数のノミネートは異例かと。
鑑賞後いや、鑑賞中から、
「こりゃ、助演賞、獲るわな」と白旗&脱帽。
メリッサ・レオがいたばかりに、
受賞を逃したエイミー・アダムスが、
ちょっぴりかわいそうになりました。
メリッサ・レオの場合は、昨年の
『フローズン・リバー』で主演女優賞を
獲ってもおかしくないほどの熱演を魅せて
くれていましたので、合わせ技一本での受賞だったのでしょう。
なんか、去年のケイト・ウィンスレットと受賞パターンが似ていますね♪
クリスチャン・ベールは、
痩せただけでなく、髪の毛も歯も抜いていましたよね(たぶん)。
この役作り、役者魂!には頭が上がりません。
すげぇな!!
言葉を失っていたところ、
調印式での、あの細かく、
遊び心?狂気?っぽい振る舞い。
『ダークナイト』の
ヒース・レジャーが乗り移ったかのようで、
一瞬笑顔を浮かべたのち、涙が止まらなくなってしまいました。
あなたの好演は受け継がれている
理解してくれたのは友や家族だけではない
遺作にてガチでぶつかり合った共演者も魂をわかってくれている
わたしにとって最高の涙腺のツボは、
クライマックスのボクシングシーンではなく、
この調印式のシーンになってしまいました。
これは、とってもうれしい誤算でした(涙交じりの笑顔)
★彡 ★彡
客電点灯後、
余韻に浸りたくて、
しばらく席を立ちませんでした。
ストーリー以上に、役者の演技に、
もうしばらく酔っていたかったのです。
脇のキャラが立ちすぎて、影が薄くなってしまった
マーク・ウォールバーグ。でも、それは役を忠実に
演じた最高の結果だと思います。あの役で目立ってしまったら、逆にまずいですよ。
リング上だけではなく、
それ以外の場でも戦いを魅せてくれた今作。
役者のみなさまは5点では足りませんが、
実話ベースというのを差し引いて、総合では4.5点とします。
採点辛いかな・・・。
ボディ、くらっちゃうかな・・・(苦笑)
ファイトシーンがどこまで実話に忠実なのか知りたいところ
2011年アメリカ映画。115分。2011年12本目の作品。クリスチャン・ベールがオスカー助演男優賞を取った作品。
内容は:
1,かつてはその才能を有望されながらさっぱりなボクサーは、今日も試合に負ける。
2,そんな彼に一人のプロモーターがやってきて、トレーナーでありドラッグ中毒の兄やマネージャーの母と縁を切ってボクシングするなら面倒みてやるとオファーしてくる。
3,恋人のアドバイスもあり、彼は家族と縁を切ってボクシングすると連戦連勝しだし、ついに世界戦にまで上り詰める。
教養がなければオツムもない人々が生活苦を乗り超えようと、試行錯誤をしながらがんばっていくお話。みんな一生懸命でぎりぎりだから、身内ですらも利用する。当然のように、そんな家族は仲たがいするが、それでも最終的にまた結束する。
ほんとバカだなと思うけど、こんな素直なバカさが観ていてちょっと憧れる。最後のお父さんがお母さんに言った言葉なんて、すごくバカな発言だけど、裏を返せば本当に素直で正直。そんな人々が繰り広げる群像劇。
アメリカのボクシング映画というのは、アメリカの草の根世界を描くのにピッタリなジャンルなのだと思う。
「ロッキー」ほどドラマチックじゃないし、エキサイティングでもないけど、実話がベースになっていることから当然、説得力はこちらの方が上。
こういうアメリカの下町映画は好きです。
クリスチャン・ベールが。。。
実在のボクサーがモデルの映画。
最後になったチャンピオンというのが実はマイナー団体のものだったというのはまあ置いといて、ありがちなストーリーながら、ボクシングものとして十分に楽しめる。
試合のリアルさは元々期待していなかったが、勝った最後の2試合がいずれも劣勢の中でのラッキー・パンチというのは出来すぎ?(実話?)
主人公の兄母はまだしも、姉妹軍団が怖い。。。
気になったのは、主人公マーク・ウォールバーグの老け具合。30には見えないと思ったが、やはりもっと上だった。
ただ、クリスチャン・ベールは圧巻。バッド・マンがここまで汚れになれるとは。。。
おなごは強い
ダメ家族の再生物語。
主人公ミッキーは何度ミスマッチを組まれても、兄への憧れを断ち切れない、煮え切らない男。
兄のディッキーはジュガー・レイ・レナードからダウンを奪ったことを唯一の誇りとして、今はヤクにおぼれるダメ男。
母親は自分が一番ミッキーとボクシングのことを分かっていると思いこんでいるが、実はダメなマネージャー。
ミッキーの恋人は自分とミッキーの幸せだけを願い、ミッキーと家族の絆を理解しようとしない。
姉妹と父親は周りで騒いでいるだけ。
そんなダメ家族が最後はミッキーの世界チャンピオンへの道でひとつにまとまる。
ウェルターの重量感はでているが、腹のエグレで伊勢谷の勝ち。
突撃!一家でロケ現場。
今年、アカデミー賞の助演賞を独占した怪作^^;
男優賞にC・ベール、女優賞にM・レオ。
ハテどんなもんだろうか?…と恐る恐る観たものの(爆)
いやはや、恐れ入りました!のこれまた怪演だった^^;
すんごいんだわ、この二人が。実際の二人がこうなんでしょう。
受賞も納得。顔も似てる。(爆)
今作は実話なので、仕上がりとしてはうわ~♪という単純な
サクセスストーリーにはなっていない。まぁ…ボクシングなんで、
後半で大いに盛り上がるのはもちろんなんですが^^;
普通ボクシング映画というのは、主人公の敵は対戦相手だ。
でも今作の主人公(で、いいのよね^^;)のミッキーには最大の敵、
モンスター家族がついているのだ。これがまぁ…酷いのなんの。
金のためならどんな試合でも組んでしまう自称^^;マネージャーの母、
昔、天才ボクサーと地元の期待を背負ったドラッグ依存症の異父兄。
このどうしようもなく荒れ果てた家族(温厚な父と金魚の糞姉達もいる)
の期待(というかマネー)を背負って戦うのが可哀想なミッキーなのだ。
コイツら、本気でミッキーをチャンプにする気あんのか?とすら思う。
一応主人公なのに^^;黙って彼らに従い大怪我を負い、コレじゃあ…
と思った所へ救世主、酒場のオンナが現れる(我らがE・アダムス!!)
このまた、鼻っ柱の強い彼女のおかげでミッキーは自分を大切にする
ことを学び、家族と訣別することを条件に、試合に挑み始める。が…
あの、別にボクシングをやるヒトが皆ブルーカラーだとは言いません。
でもね、オシャレなお金持ちがタイトル獲っても面白くないのは事実。
生きるか死ぬかの攻防戦で観衆のハートを掴むのは、やはり血で血を
あらう闘いに挑む輩で、そこには当然プライドを凌ぐ賞金が懸っている。
異父兄であるディッキーは、シュガー・レイを倒した(本人談^^;)という
プライドを努力に繋げず、過保護な母親に溺愛されてドラッグに溺れた。
いい歳こいて、何やってんの!?というシーンがテンコ盛りだが、
そんな兄をボクサーとしては買っている弟の目も確かに狂ってはいない。
どんなに有能なマネージャーが付こうと、実際にリングに上がった者で
なければ分からない闘い方のノウハウがあるのだと思う。
小さな頃から兄貴にそれを教わってきた弟には、どうしても外せない兄、
サッサとドラッグやめろ!と観客全員で思いますわねー^^;
さて…そのドラッグ更生施設を出て、家族の元に戻った兄貴ですが…。
無事に弟くんをチャンプに導くことが出来たんでしょうか…。
そしてあの母親は弟くんの長年の忍耐に気付いてあげられたでしょうか…。
まぁ^^;この二人の暴力や暴言やトチ狂った演技はかなり観モノです!
でもその仕打ちに耐えた今の夫と、弟くん、そして彼女はすごいぞ!!
ボクシング映画を観てるんだか、バイオレンス一家を観てるんだか、
一瞬分からなくなることもありますが^^;しかし話は、ちゃんと結末へ…。
エンドロールの冒頭、当然(ですかね、やはり)ご本人たちが出ます^^;
この時の兄と弟のやりとりがまた面白い!!変わってないんだね…^^;
(毎日ロケ現場に家族の誰かが現れていたそうです。あの一家なら納得)
今、俺は、変わる。
学校の宿題は、やったほうがいいに決まっている。自分のためになるに決まっている。よくわかっている。だけれど、ゲームやテレビで1日が終わっていく。そんな毎日だったのに、ある日、ある時、突然勉強をしだす。次の日も。その次の日も。毎日。欠かさず。
寝る前に歯は磨いたほうがいいに決まっている。虫歯の予防になるに決まっている。よくわかっている。だけれど、洗面所に行かずに布団に入る。そんな毎日だったのに、ある日、ある晩、突然歯磨きをしだす。次の日も。その次の日も。毎日。欠かさず。
そういう感覚を思い出させてくれる、いい映画でした。
前を見据えて叫べ、“クワッカー!!”
今更ながら、祝!
クリスチャン・ベール、アカデミー賞助演男優賞受賞!
役者魂はある人なのに、これまで共演者に喰われたり
作品があと一歩だったりしてたものね。
いやあ、ホント良かった。
逆に本作では巧い役者さんが多すぎて、主演の筈の
マーク・ウォールバーグが割を喰ってる感があるのが気の毒……。
けどね、彼だって今回良いんすよ!?
迫真のファイトシーンとか、身勝手な家族をそれでも見捨てない誠実さとか。
何よりミッキー役に相応しい屈強なブルーカラーの雰囲気と、
素朴で優しい雰囲気を併せ持った俳優ってそうそう居ないと思う訳です。
しかし主人公ミッキーが真人間なだけに、あの家族にゃ呆れた。
とうの昔の栄光に浸るクラック中毒の兄ディッキー。
その兄しか眼中に無い母親。
並の不良よりタチの悪い姉妹軍団……。
だが鑑賞後によく考えてみると、あの母親も優秀なボクサーだった息子を
盲目的に溺愛していた訳では無かった。
“優秀なボクサーからクラック中毒者に墜ちた息子”を立ち直らせてあげたい。
だからあそこまで『家族で』チャンピオンを目指す事に必死に拘り、ディッキーにばかり気を遣っていたんだろう。
……ケバくて口汚くて金に汚いのはまた別問題だろうけど。
そしてディッキー。
出所前、祈るような姿で階段にうずくまる彼の姿に涙が出た。
己の過ちでどん底まで墜ちた男が、再び這い上がりたいと一心に祈る姿に見えた。
弟から「兄貴とは組まない」と告げられるシーンはその後だったが、
本当は出所前のあの時点で、彼は自分を変える決意を固めていたんだと思う。
街を歩きながら甘ったるそうな青いクリームを舐め取るディッキーの、あの眼。
あの真っ直ぐな眼がいつまでも頭を離れない。
自分への甘さと決別し、前を見据えて歩く男の眼が。
「兄貴は俺の誇りだった」
「昔はな、昔は」
自分に残っていた僅かばかりの誇りを捨て去る——愛する家族を前進させる為に。
ディッキーのような過去の“英雄”がなぜ身を滅ぼしたかの過程が
あまり描かれていないと思ったが、そこは映画の雰囲気で分かる範疇だし、
安易な社会批判に逃げるのも本作にはそぐわない。
これは、現状を変える為に自らを変えるその勇気を讃えた物語なのだから。
人に前進する勇気を与えてくれる素晴らしい映画だった。
誇りは過去にではなく、未来にある。
振り返らずに進め、“クワッカー!!”
<2011/3/26鑑賞>
殴り合いも罵り合いも他人ごとだからこそ面白い
最下層で虐げてられてきた男が己の拳とハートを頼りに、チャンピオンへの階段をのし上がっていくサスセスストーリーは、『ロッキー』から続くボクシング映画の王道を踏襲。
ニュース映像を交えたドキュメンタリー要素の濃い展開で撤退したボクシングへのリアル指向は、圧倒的だが、試合描写以外において新鮮味は少ない。
むしろ、トラブルばかり起こす兄やロクなマッチメイクしないくせに弟のスケジュールを牛耳る母親(メリッサ・レオ)etc.家族間のドロドロした確執がメインとなっており、リング内より外での闘いの方が濃厚に繰り広げられ、圧倒的に興味深かった。
特に利己的拝金主義者の母親の横暴ぶりは強烈で、取り巻きのオンナ子分共を引き連れ、弟の恋人(エイミー・アダムス)とビンタ&髪の毛引っ張り合いのキャットファイトは、ハッキリ云ってボクシングより、断然、興奮する激闘シーンだったと思う。
愛や憧れより憎悪や欲望が、闘志を燃やし、家族を一つにまとめる原動力と化すのは何とも皮肉である。
良くも悪くもやりたい放題の亀田一家が、相変わらず高い注目度を保つのが解る気がした。
では、最後に短歌を一首
『噛ませ犬 しょっぱい拳に 愛ぶつけ 嵐へ挑む リング(戦場)の家族』
by全竜
ボクシング映画には、傑作が多い。これも、その一つ。
実話に基づく物語。第83回アカデミー賞と第68回ゴールデングルーブ賞で、どちらにおいても助演男優賞(クリスチャン・ベール)・助演女優賞(メリッサ・レオ)受賞。
実は、観に行く直前まで、この話が実話だとは知りませんでした。ミッキーがチャンピオンになったのが、WBUと言う、日本には加盟しているジムの存在しない(って言うか、日本ではWBAかWBC以外は、基本的にJBCから認められていないみたい)ボクシングの世界ではマイナーな統括団体だったのも、その理由でしょうか?
この作品は何と言っても、アカデミー賞にも輝いたクリスチャン・ベールでしょうね。ジャンキーの役作りに徹したその姿は必見。いやぁ、本当に彼はジャンキーなのではないかと、思ってしまうほどでした。ちなみに、エンドロールの際にディッキー本人が出るんですが、姿かたちは異なるものの、その喋り方などは、完コピでしたね。
他方、制作兼主演のマーク・ウォールバーグ。実は、このミッキー・ディッキー兄弟の家から30分くらいのところに住んでいたそうで、何時か映画化しようと着々と(3年半もの間)準備を進めていたそうです。その準備には、世界チャンピオンを目指すボクサーの体つくりも含まれていて、見事にスクリーン上でその努力の結果が披露されていました。
こう言う事を言うとちょっとアレですが、典型的なアメリカの田舎町のダメ家族の物語に成りかけていたところを、ミッキーがチャンピオンを勝ちとり、何とか、感動の物語になったかなと言う、ぶっちゃけ、皮肉な味方をしてしまいました。すいません。
それにしても、ボクシング映画って、名作が多いですね。『ロッキー』と言い、『ミリオンダラー・ベイビー』と言い。しかもそれらって、ボクシングその自体というより、ボクシングをやる人物の人間物語を描いているという共通点があったりしますが、これも、そう言って良いと思います。
ただの格闘映画ではない。奥が深い題名。
ほんとによく出来た実話だ。そう思ってしまうくらいフィクションではよくある展開。だが面白い。実際2回鳥肌が立った。
眠気とは無縁 終わりまでずっと入り込めたスムーズな展開
そして「ザ・ファイター」という題名は奥が深い。
それぞれの戦いの中で弟は兄に兄は弟に影響される、そんな関係を描くと同時に周りの人間も二人に影響されていく。よく2時間で収められたなと驚いた。2時間があっという間だった。
クリスチャン・ベール、参りました。
まずは、クリスチャン・ベールの役者魂に参りました。
「バットマン」や「パブリックエネミーズ」の役とはうって変わり、とんでもないヤツ。
「マシニスト」のあまりの痩せ方に驚愕したけど、今回も驚かせていただきました。
とことん、やるのね。スゴイです。
13kgも体重をおとして、歯を抜いて、髪の毛を抜いて・・・。
そんな姿になり、やる気がなくフラフラ歩く様や、本当に目がイッちゃってる様、などさすがです。
マーク・ウォールバーグは、弱さが少し足りなかったように思う。
どん底のような憔悴しきった顔が、みられなかった。
ストーリーは、≪家族愛≫がテーマ。
利用してるんじゃないの?!なんて思われても仕方ないような母と兄。
とんでもなくイライラさせられる家族でも、やっぱり家族。
無償の愛を持っているのは、家族。
大切です。
それと、苦境に立った時や、皆がそっぽを向く時に、普通に接してくれる友達、知り合いの者。
血が繋がっていなくても、わかってくれる人。
そんな人たちの存在が有りがたく、とても大切に思う。
そんなことを教えてくれる作品でした。
満足
3月27日新宿にて鑑賞。
主人公がどうみてもスーパーライト級には見えないほどの体格なのだが、そこはご愛嬌ということで。
それ以外はなーんもいうことありません。
ガッティとの3番勝負でもう一本映画作れるんで無いでしょうか?
今年初の映画泣きさせてもらいました。
おススメできます。ボクシング映画はハズレが少ないなぁ!
4人のファイター、それぞれの戦い。
この映画のタイトルは「ザ ファイター」ですが、その「ザ」は本編の誰を指しているのでしょうか?マーク ウォールバーグ演じるスランプに落ちた現ボクサーの戦いか?それともクリスチャン ベール演じる薬物と戦う元ボクサーで現トレーナーの兄の戦いか?それともエイミー アダムズ演じるバーテンダーの男たちとの戦いか?それかメリッサ レオ演じる9人(息子2人娘7人)を育て上げた母親・マネージャーとしての戦いか?解釈はそれぞれだと思いますが、いずれにしても皆それぞれ戦いがありそれを上手く描かれている作品だと思います。
1980年代のマサチューセッズ州が舞台の本作上記で上げた4人の戦いのほかに兄弟の絆だったりボクサーとバーテンさんの恋だったり主人公のミッキーのチャンピオンへの道を描いています。
注目は主要3人の演技と上手く描かれたファミリードラマ。この作品は「レイジング ブル」や「ロッキー」のようにボクシングが中心となって描かれている作品ではなくむしろ家族のドラマが中心となっていて見終わったとつい「シンデレラマン」がこうであったらいいのになと思いました。それから、ベールのやせこけた姿やアダムズの増量して撮影に望んだ姿はもちろん凄いのですが、何と言っても凄いのがメリッサ レオのへ~ん~しぃ~んぶりです。まさにカメレオンとイってくらい凄い変身ぷりです。この作品と彼女が数年間に撮った「フローズン リバー」を観てもその差は歴然です。
さて、ボクシングシーンはどうだったのかと言うと80年代のボクシングシーンを観ているというよりは現在の技術を駆使したボクシングシーンとなっています。リアルなのはリアルなのですが、自分が小さかった頃スローモーションだったり、上からのカメラってあったかなと思いました。まるで現代のK-1の中継を見てるみたいで今の技術とその頃の技術のギャップを感じるはずのところがあまり感じなかったと言うのが正直なところです。
そして、この作品にもう一つ弱点というか欠点があるとすれば、それはマーク ウォールバーグの演技です。何だか彼は「ブギー ナイツ」から変われない演技をしているように思えます。
いずれにしてもこれはなかなかの良作です。是非1度チェックしてみてください。
役者の ボクサーとしての体作りに脱帽
映画「ザ ファイター」を観た。
実在するボクサー兄弟の 実際にあったことを元にして作られたバイオグラフィー映画。
2時間。アメリカ映画。
撮影もすべて この兄弟が生まれて育ったマサチューセッツ州 ローウェルという小さな町で行われたそうだ。日本での公開は3月26日。
ゴールデングローブ賞で助演男優賞をクルスチャン べールが、母親役のメリッサ レオが助演女優賞を獲得した。アカデミー賞では、クリスチャン ベールが助演男優賞、マークの恋人役を演じたエイミー アダムスが助演女優賞に、また映画が作品賞にノミネイトされている。
監督:デヴィッド ラッセル
キャスト
アイリッシュ ミッキー ワード:マーク ウェルバーグ(弟)
デック エグランド:クリスチャン ベール (兄)
母親アリス エグランド:メリッサ レオ
マークの恋人シャリーン:エイミー アダムス
クリスチャン べールの役をブラッド ピットがやるはずだったが、ピットが断った為 クリスチャンが演じることになった。クリスチャン ベールで適役。全くもって これほどボクサーとして迫力ある演技は彼にしかできなかった。ウェルター級ボクシングのチャンピオンの話だから、もともとピットの大きな体には 役柄に無理があった。クリスチャン ベールも背が高いから体重がある。それを極限まで落としている。頬には肉がなく、頭蓋骨に皮が被っているだけの感じ。異様に落ち込んだ目で、走り、跳躍しジャブを繰り返す。それが怖いほどだ。
この役者の 役作りには定評がある。2004年「マシニスト」という不眠症の男を演じるために35キログラム体重を落とした。ドクターストップがかかったそうだが、本人は平然として 全く食べなくなると体が軽くなって頭が冴えて演技に身が入る と言っていた。2007年には カンボジアで米軍兵が捕虜となり 飢餓の中をたったひとり生還した兵士役を演じた時は 体重を20キログラム落として カメラの前で 平然と蛆を食べていた。
わたしはボブ デイランの「アイアム ノット ゼア」で ギターをもって ヒゲだらけでデイランの歌を歌ったときのクリスチャンが好きだ。声がそっくりだった。
2008年には「バットマン ダークナイト」でバットマンとして、美しい肉体美を見せてくれた。また「ターミネイター4 サルベイション」でも主役の ジョン コナーを演じて 息つくヒマもない激しいアクションを展開した。
骨と皮の痩せ役で良し、むっちり筋肉をつけた肉体派ファイターで良し などという便利な役者は そうは居ない。得がたい役者だ。役柄に徹することのできる役者魂をもった役者だ。
ストーリーは
デイック(クリスチャン ベール)はローウェル町のヒーローだ。ウェイター級のボクサーとして連戦連勝してきた。母親のアリス(メリッサ レオ)はボクシングジムを経営していて デイックのマネージャーを務めてきた。彼女はデイックを溺愛している。母は9人の子供を産んだ。そのうちの6人の娘達は成人したあとも母親の家に同居している。デイックは母親からも 姉妹たちからも チヤホヤされてきた。ボクサー引退後のデイックは 麻薬浸けで犯罪にも加担しているが、家族はそれを見て見ないふりをして黙認している。そんな家族のなかで 異父兄弟のマットは 影が薄いが、幼い時からデイックにボクシングを教わってきて、当然ボクサーになることを期待されていた。
ある公式試合で ミッキーがさんざんに負けたとき、ラスベガスから試合を見に来た興行師が、ミッキーが本気でプロのコーチについて ボクサーになりたかったら 母親と麻薬浸けのデイックから離れてラスベガスに来るように言う。ミッキーは 恋人のシャリーン(エイミー アダムス)と二人でラスベガスに行って 家族のしがらみを捨てて 自立する夢を見る。
しかし 夢はデイックが 麻薬に絡んだ犯罪で逮捕され、実刑判決を受けたことで消え去った。嘆き悲しむ家族を置いて行く事が出来ない。兄のコーチなしで 自分の場所で強くなろうと決意するミッキーは 徐々にボクサーとしての力を蓄えていく。
一方 刑務所のデイックは 受刑者の間ではヒーローだ。昔デイックが活躍したフイルムを受刑者全員が見て デイックを褒め称える。しかし受刑期間は 麻薬中毒だったデイックに 良い結果をもたらせた。
2年たち、刑期終了して帰ってきたデイックに、ミッキーは 再びコーチになってくれるように依頼する。憎み合っていた兄弟が和解し、最強のボクサーとコーチのコンビができ上がった。そしてウェルター級のチャンピオン戦にむけて、、、。
というお話。
デイックとミックの二人の体作りが徹底している。もうあきれるほどだ。
クリスチャン ベールの これ以上痩せられない顔で、走りまくり ジャンプし、フットワークも軽々とボクシングする姿もすごいが、マーク ウェルバーグもすごい。右手を警官達に叩き割られ ひどい骨折をしてボクシングができなくなった彼のおなかには、しっかり脂肪がついて みるからに重くなっていた。それが公式戦で戦うようになった時の筋肉のつきようは半端ではない。上半身、筋肉こぶが沢山出来ていた。どんなに 腹を打たれても全然平気。最後のチャンピオン戦の 激しい打ち合いには 何度も悲鳴を上げそうになる。その場に居たら 何度白タオル投げていたかわからない。スローモーション画像で一発一発の拳が入ったときの打撃の大きさに、目を背けたくなる。ボクシングは本当に激しいスポーツだ。
母親のメリッサ レオが 9人の子供を育ててビッグマザーとして家族に君臨する姿や、デイックへの溺愛する親馬鹿ぶりが 実にうまい。ゴールデングローブ賞を取ったのは 妥当だと思う。
恋人役のエイミー アダムスも 女7人の敵に囲まれて それでも負けずにミックを守ろうとする けなげさが立派だ。いつまでもママを頼る デイックの姉妹達の醜い年増女の姿も それらしくて うまい。
映画に出てくる人物すべてがよく計算されていて、よく演じていて、通行人の盲目のおじさんや、店の主人やらまでが 実に芸達者だ。すごく よくできた映画。完全完璧監督のクイント イーストウッドの作品みたいに よくできている。クリスチャン ベールを見るだけのために これを観ても良いし、完全完成品を見る目的で この映画を見ても良い。素晴らしい。
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