三つのBがキーワード。
すなわち、バイク(Bikes)、ビール(Beer)、女(Booty)という身も蓋もないだらしなさ。
むさくるしい中年バイカーがブイーン、バイク降りたらビールをグビグビィィイ、そしてなぜか美女たちのパイオツがバイーンという作品。
バイク乗り回してビール飲んでるだけの中年オヤジが、どうやってガソリン代を稼いでいるのだろう?
どう見てもイケメンとは程遠いにオッサンに、とびきりセクシーな美女が群がるのだろう?
そんなに物騒なことやってたら警察にパクられませんか?
などなど無粋な疑問には一切答えず、ただただバイク走らせて、なんか知らんけど族同士の抗争みたくなって、そして少しばかりホロリとさせる。
レビューとしてはこれで十分じゃないかと思ってしまうくらい分かりにくくて分かりやすい映画。
かつてのバイカー映画を復活させたいというキャストとスタッフの情熱はよく分かる。
本作ストーリーでは、30年前に殺された女をめぐって族同士の抗争に発展、自分たちの軍資金も何者かにちょろまかされる。
生まれた子どもがむさくるしいヒゲ生やすには十分な年月を経た今頃になって抗争もないもんだと思うけれど、これは当時のバイカー映画に対するオマージュだろう。
この辺、当時を知らないお子様からすると、オレの毛が生える前の話なんざ知ったこっちゃないぜ状態だろうけど、製作側はまったく意に介していない。なんてったって、かつてのバイカー映画へのオマージュだから。
話のつながりも妙な具合にねじれていて、誰がナニして、オマエがアレか?といった按配。
ストーリーをきっちり追おうとすると頭痛がしてくる。
そこに美女がセックスアピールしてくるから、もういいや的なノリで沈み込んでしまう。
最後も驚きの結末なのだけど、いまさら目をむいて前のめりになる気力もなく、「おーおー、好きにやっちゃってや~」的な脱力感に。
ビール飲んで美女とベッドイン。けだるい満足感。そんなゲッスッスゥ~なイメージが脳内を支配する。
しかし本作を観るなら一つだけ注目して欲しい。
それはキャストの韻を踏んだセリフ。
英語音声だと実にリズミカル。中身はとっても下品なこと言ってるんだけど。
そいつをシルクのスカーフで包むように響きのいいセリフ回しに仕上げているのは、製作総指揮に入ったクエンティン・タランティーノのテイストだろうか。
英語がよく分からない人も、音の響きだけでも確かめて欲しい。それくらいイケてるセリフが多い。
では評価。
キャスティング:6(ピスカレロの凶暴な感じ、ジェントの食えない感じはイケてる)
ストーリー:3(断片的で全体のつながりはつかみにくい)
映像・演出:4(バイクがブイーン、ビールをグビグビ、オッパイがバイーンってのに満腹。でもそれだけ)
バイオレンス:8(悪ガキが中年オヤジにスライドしたらこうなるだろうなという暴力性)
エロス:8(パイオツのモロ見せ。ストリッパーのような腰使い)
というわけで総合評価は50点満点中29点。
バイクがブイーン、ビールをグビグビ、美女のパイオツがバイーンって映画を観たい人にオススメ。
も、それしか言えない。本当にそういう映画なんだもの。