パッセンジャーズ : インタビュー
「プリティ・プリンセス」「プラダを着た悪魔」などのラブコメディで人気スターの仲間入りを果たし、現在スター街道邁進中のアン・ハサウェイの最新作は飛行機墜落事故の謎に迫る衝撃のサスペンス「パッセンジャーズ」。本作で初のサスペンス映画に挑戦したアン・ハサウェイに話を聞いた。(文・構成:編集部)
アン・ハサウェイ インタビュー
「色々な意味でもがいている主人公のキャラクター設定に惹かれたわ」
飛行機事故で生き残った5人の乗客の心の傷を癒すためにカウンセリングをすることになったセラピストのクレア(アン・ハサウェイ)。だが、5人の生存者が事故に関する新事実を口にすると、彼らはひとりまたひとりと姿を消していく。不審に思ったクレアは、錯綜する現実に自分を見失いそうになりながらも事故の真相を探っていくが、そこには衝撃の真実が待っていた……。
「今回は、まずキャラクター全員の人間性にとても興味を惹かれたわ。素晴らしいけれど欠点をもつ人物たちが、とても大きな問題を抱えている。うまく対処できる人、怒りを抱えた人、何も言わない人。彼らの喪失感にはさまざまな段階があるの。それに主人公のクレアにもとても惹かれたの。自分の人生を本当の意味で生きていなくて、恐怖心から無愛想な態度をとってしまうクレアに、それを打開するチャンスがやってくるという、そのキャラクター設定のアイデアに惹かれたの」
「プリティ・プリンセス」での主演デビュー以降、アン・リー監督の名作「ブロークバック・マウンテン」、オスカー女優メリル・ストリープと共演したラブコメ「プラダを着た悪魔」、凄腕スパイ・エージェント99に扮しアクション・コメディに挑んだ「ゲット・スマート」といったヒット作に恵まれ、順調にキャリアを重ねているアン。まさに旬の女優となった彼女が今回演じたのは若きセラピスト・クレア。
「クレアは、大人でいようとして自分を追い込んでいる。何事も真剣に捉えたい、ちゃんとした医者でありたいと思っている。でも年のせいで誰もそう受け取ってくれない。才能があって、賢い人間だったということはわかっている。だから世間に対して、なんとか自分を大人に見せようとしている。でも同時に、内面的な生活とは折り合いをつけることができないでもがいているの」
だが、患者に真剣に向き合うことによって彼女は自分自身を成長させていく。
「セラピストとして真剣に仕事をしていく中でクレアは人間を尊ぶことを学ぶの。人の言葉に耳をかたむけ、プロフェッショナルとして医者と患者の間の距離を保てるようになるのよ。そして全員を助けたいと思う。でもそれはどんなに才能があったとしても、とても難しいことだわ」
本作のメガホンを取ったのはあの世界的文豪ガブリエル・ガルシア=マルケス(「百年の孤独」)の息子で、「彼女を見ればわかること」「美しい人」といった群像劇で知られるロドリゴ・ガルシア。アンはガルシアが本作の監督に決まると出演を即断。ガルシア監督の撮影は、今までアンが体験してきた現場とは異なり新鮮だったとか。
「ロドリゴはこれまで仕事をした監督とは全然違うわ。まず彼はモニターはほとんど見ない。常に俳優の演技をカメラの真横で見てるの。だから、私が緊張していることもすぐに伝わるし、芝居に嘘があったり、波長が違っていると、すぐに見抜かれてしまう。そして大声で「もう一度!」って言われてしまうの(笑)。だけど、彼とは初めて会った時から気があったわ。彼には自分のことをすべて話し、ゆだねることが出来たのよ」
今後は、すれっからしの麻薬中毒患者を演じ、自身初となるアカデミー賞ノミネートを受けたホームドラマ「レイチェルの結婚」(ジョナサン・デミ監督/4月公開)やジョニー・デップと共演するティム・バートン監督の3D大作「Alice in Wonderland」など楽しみな新作が待機しているアン。本作同様、これまでとは異なる新たなアン・ハサウェイ像を見せてくれそうだ。