真夏のオリオンのレビュー・感想・評価
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本当に素晴らしい艦長なら白旗しかない。
事実じゃない。フィクションだと先ずは理解して鑑賞すべきだと思う。
『眼下の敵』『Uボート』を大いにリスペクトしたお話。
小学1年位の時『サブマリン707』『青の6号』と大変に流行った。
フジ◯レビとかテレビアサ◯の臭いがする。しかも、やり方一つではほぼ舞台劇の様にストーリー展開できる。つまり、CGまでも削減する事ができるのだ。しかし、このストーリーだと鑑賞者を1時間半位しか留めておけない事だろう。勿論、連続ドラマなんかにゃ出来ないって事だ。
『ラ◯ゲリ◯◯』の女優さんが出ている。まったく同じ様な役。さぞかし、演出家も楽な事だろう。
ロバート◯ミッチャムが知らない白人の俳優で、クルト◯ユルゲンスが『のだめカ◯タ◯ビレ』のちあき◯んい◯君とは!!
ミスキャストだと思うけどね。
追記
黒◯◯人と言う海軍軍人が回天と言う特攻兵器を提案した。彼は1965年まで生きながらえる。そして、海軍の山本五◯六に大いに評価されたそうである。
日本のナチ◯◯は生きながらえたんだね。
追追記
潜水艦とは、民間転用出来ない完全な兵器と理解すべきだと思う。
隠れて後ろから拳銃をぶっ放す卑怯な輩の行動と同じ。
色々な意見もあるけど好きな作品
いわゆる戦争映画と言うよりは、ヒューマンドラマとして観た方が楽しめる作品かと。
他の方が指摘するように、戦争映画としての作り込みとしては、ツッコミどころ満載ではあるけど。
一人のリーダーとしてのあり方に共感した映画でした。
特に印象的だったのは『潜水艦を選んだのは自由だから。』という主人公のセリフでしたね。
戦争反対なんて、絶対に口にできないあの時代に、それでも自分の信念を曲げないために自分に取りうる最善の方法を選んだんでしょうね。
それは回天を『もったいない』というギリギリの表現で出撃させなかったり、緊迫した場面でも敢えて空気を読まない『飯だ』と合意に気持ちを切り替えさせたり。
こういうのって、独立した組織として動ける潜水艦だから取れる行動なんだろうなって思いました。なにせ一度潜航したら外部と連絡なんて取れない訳だから。
また、信頼する沈んでいった同志から最後に貰ったメッセージを元に、亡くなった乗組員に楽譜を入れた瓶を持たせて、敵の艦長へ想いを届けるあたりは、敵である艦長が軍人として優秀である事を認めていて、優秀であるならば自分の想いも伝わるはずと考えられる思考がないと思いつかないですよね。
戦争なのだから、沢山の人が死ぬわけだけど。
自国の安全を保つ事が目的なら、ただやみくもに殺さなくても、相手の戦力だけを奪うという別のやり方で自分達の任務を実現できると考えている。そんな所があちこちに現れてて。だからこその潜水艦を選んだんだと。
ちょっと『永遠の0』にも通ずる部分もありますよね。
良い意味で空気を読まず、自分の信念を曲げずに生きた、素敵な館長の話として楽しめました。
特にみどころなし
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第二次世界大戦で20代で潜水艦の艦長になった男がいた。
で魚雷が残り1本とかで、頑張って戦って勝ったんやったかな?
とにかくそこで終戦し、ここから新しい日本が始まるとか言って終了。
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全体に目的もなく話が進む感じで、あまり面白くなかった。
なのでちゃんとは見てなかった。ってか、英語会話で字幕のシーンはうざい。
いつも言ってるが、画面を見ずに何かをしながらでも楽しめないと意味がない。
戦争で負け、ほとんどの人間がもう終わりだみたいに思う中、
主人公だけは、いやこれからだみたいな前向きな感じになってた。
全体に戦争映画独特の悲壮感とか無情感もなく、
戦争を舞台にして英雄を描き、その恋愛を描いたような作品。
ところで本当の戦争の終了時にはみんなどう思ってたんだろうか?
失望した者、戦争が終わって喜んだ者、どんな比率だったのかな?
米英は鬼畜との風評が意図的に流されてたからなあ。
ふとそんな事を考えた。
悪い意味で美しい映画。
少し前に観ました。
私は戦争映画を娯楽として観れない部分があります。
個人的に、モヤモヤしました。
美しいです。悪い意味で。
北川景子も玉木宏もすごく綺麗です。
美しい役者に涙を誘う美しいストーリー。
そこそこ広めな潜水艦にイケメン達。
奇跡のような美しい結末。
本当に爽やかで美しい映画でした。
戦争映画とは思えないくらい。
暗いけれど悲壮感は無くて「戦争って、そんなに悪いもんでもないんじゃない?」みたいな声も聞こえてきそうです。
美しいものを創りたいなら戦争を題材にしなくても。。。と思ってしまいました。
どうして、潜水艦乗りを選んだんですか?
映画「真夏のオリオン」(篠原哲雄監督)から。
同じ「太平洋戦争」の海軍の話なのに、
艦隊(船)、ゼロ戦(飛行機)とはまた一味違う、
潜水艦が舞台とあって、またまた違った視点で戦争を眺められた。
私が興味をもったのは、潜水艦長に若い医師が訊ねるシーン。
「どうして、潜水艦乗りを選んだんですか?」
「自由なんですよ」「自由?」
「潜水艦は、いったん海に出てしまえば、
自分の判断だけで行動ができるんです」
そうか、潜水艦の居場所が敵にわかってしまっては、
話にならないから、極力、本部とは連絡を取らないし、
そういう意味では、戦争中は上官の司令は絶対という、
軍隊ならではの縦の規律もあまり届かない世界と言えそうだ。
逆に言うと「全て自分の判断」がものをいうこととなる。
「艦長、潜航してから35時間です」という台詞は、
空気があと僅かしかありません、を意味し、
行動は自由だけれど、空気が吸えなくなる危険性もある。
戦争時の配属先って、どうやって決まるのだろうか。
もう少し、調べてみようかなぁ。
潜水艦ものにはずれなしというけれど
総合:45点
ストーリー: 45
キャスト: 40
演出: 30
ビジュアル: 65
音楽: 60
もう潜水艦のこととか海軍のこととか、本当に全然わかっていない人が脚本書いているんでしょう。設定や技術・時代背景の描写が現実無視して無茶苦茶でした。
・坊主頭が基本の日本海軍の兵士なのに、何故かみんな髪が長い。潜水艦なんか乗っていると汗だくになってシラミだらけになりますよ。
・自動追尾魚雷もなくて水上艦艇しか攻撃できない時代に、何故か潜行中の潜水艦同士が魚雷の打ち合いをする。
・最初の戦闘(最後の主な戦闘ではない)で何故か敵駆逐艦の目前で堂々と浮上し、敵は救助活動をしているから攻撃してこないと断言し、実際攻撃されない。
・アメリカ側が日本の潜水艦を見ただけで、それがたくさんある他の同型艦ではなく具体的にどの潜水艦か名前まで特定ができるだけでなく、その艦がどのような戦果をあげたのかまで実によく知っている(イ77が13隻沈めたと知っていた)。隠密兵器の潜水艦なのに、なんでそんなことがわかるの?
・戦闘状態の緊迫した状態で音を出せば発見されてしまうのに、何故か船員は大声を出したり音を出しっぱなし。
・何時間もお互い相手の位置を見失ったこう着状態なのに、何故かアクティブソナーが使用されっぱなしでピンガーの音が鳴り続けて自分の位置を暴露しているのに、それでも不思議とお互いを発見出来ない。
・爆雷を投下されているのに、何故か艦長は平気でソナーのヘッドセットを耳につけたまま。鼓膜破れるでしょう。
・一発当たれば駆逐艦など沈めてしまう強力な潜水艦搭載用魚雷を直撃されたアメリカ駆逐艦が、何故か沈むどころかまだ戦闘能力すら維持している。
ここまで無茶苦茶なことが次々に出てくると、こんなことがあるわけないだろうと呆れてしまい、見ていてどうも面白くありません。だからもう何もかもが嘘に見えてしまう。
それに攻撃されている命の危険のある恐怖状態において、何故か乗員たちに死線を彷徨う緊迫感がない。攻撃されて死を感じたときでも本来は敵のソナーに捕捉されないように声が出せないはずだが、そんな場面でもただ大声で叫びっぱなしによってそれを表そうとする。演技も下手な人が多い。君たち死ぬかもしれないんだぞという雰囲気がなくて、なんとなく平和な感じがする。せいぜいクラス対抗のサッカーの試合をやってるけど負けそうです、くらいの緊迫感しかない。これはもう演技の素人の芸人とかを配役したことの失敗でしょう。
艦長の決断といった物語性をとにかく重視しているのか、そのために戦闘や技術的な現実を無視して都合のいい話を無理やり作り上げている。
映画では潜水艦ものにはずれなしという格言があります。それは潜水艦がどういうものか、戦闘とはどういうものか、そのときの乗組員の心理はどういうものかを非常に現実的に描いているからです。この作品にはそれがない。まるでサッカーボールの代わりにバレーボールを使用して、手をつかってもハンドにならず、相手を殴ってもファールにならないサッカーの試合を、吹奏楽部の部員が演じている映画を見ているようなもの。だから例えば潜水艦映画の傑作「Uボート」とは全く比較になりません。
眼下の敵Part2
ナショジオで実際、似たような出来事があったことを知りました。
もし自分が同様の立場で艦に乗っていたら・・・主人公と同じように少しでもひろく判断できるかどうか・・・自分の感性に忠実に生きれるかどうか・・考えさせられました。そう生きたいが・・・なかなか修行が足りなくって。
終戦記念日には最高の映画の贈り物となりました。
個人的に潜水艦大好き人間でパッシブソナー音に痺れます。携帯も呼び出し音にしています。
φ(・_・。 )フムフム
太平洋戦争
海軍
と言えば玉砕と連想する映画が多い中
少し異色な感じがする作品でした
太平洋戦争末期の軍人と言えば
いかに散り花を咲かせるか
という勝手な印象があるのですが
あの時代にこのような「戦争」があったのだとしたら
まだ少しは救われたのかなぁなんて
思ったり 思わなかったり
戦争映画の転換期。
観る前までは、それほど期待していない作品だったので^^;
これはまだあとで良いか。なんて、先延ばしにしていた。
玉木宏を使っているあたりからして、ん?アイドル映画?
あるいは…コメディ?じゃないな、潜水艦映画だから…など
色々な憶測を持ったが、観終えてこれは私の好きなタイプだと
(出ている役者自体タイプですが)素直に観て良かったと思った。
まぁ洋画の…傑作「眼下の敵」とか「Uボート」などには、
(それを引き合いに出しては可哀相)叶わずとも健闘している。
なんで戦中映画なのに、みんなしてロン毛なのさ??という
(キムタクが決して髪型を変えずドラマに出るような)不具合を
指摘する旨もあるが、当時の乗組員たちはボサボサのロン毛。
とても散髪をする余裕などなかったそうだ。でも確かに、
潜水艦vs駆逐艦映画には、スッキリとした髪型の俳優が出る。
とりあえず今回は、私には目に余るほどの、ではなかった。
それともう一つ。
玉木君が艦長ってのは…ちょっと若すぎやしないかい?
という心配だったのだが、これがまたなかなかいい感じだった。
実社会でも、歳若い上司と年配の部下。というのは当たり前に
存在するし、優秀な人材が常に上に立つのは決して珍しくない。
(まぁ凄味には欠けるんだけど…)
そんなことよりも、常に艦長を信頼して従う部下と、部下を労う
艦長の人間性に清々しいものを感じたし、常に「飯にしよう」と
まるで永谷園のCMのように食べまくる豪快さに笑いが毀れた。
とはいえ、戦略となれば抜群の勘と指導力、一寸外せば、命に
かかわるという決断をする…という重要な立場をよく演じていた。
彼を取り巻く部下たちも好演していて、みんな素晴らしく、
なんか「男の仕事場」を見せてもらいました。という感じだった。
地上でのやり取りや、恋愛云々を出来るだけ排したのも良い。
せめて「真夏のオリオン」だけ、ロマンチックに掲げたのだろうか。
映画初出演の堂珍嘉邦、若手ベテランの平岡祐太・黄川田将也、
中年勢の吉田栄作、吹越満、益岡徹に加え、敵駆逐艦長の
D・ウィニングという俳優の目が良かった。艦長の頭脳攻略戦が
期せずして「終戦」を迎えた洋上でのラストシーン…。
戦争という凄まじい男の仕事を終えたあとの、男同士の視線の
交わし合いに、やっと終わったのだ。と安堵の気持ちが訪れた。
確かに戦争映画としては、キレイに描かれすぎ感が強いものの、
何をか云わんや。語ろうとすることはどの映画も同じなのである。
(回天の悲劇に対する「もったいない」には尊い意味があったのね)
細かく見たら文句があるけど・・・
まったく期待せずに観たので予想外に良作だった。
戦争映画だと思うと、いかがかと思うし、艦長たちはもっと年配の方が、もしくは、
がっちりした俳優の方が内容的にいいような気もするし、
ヒロインはなんだか感情表現が乏しい気もしたし、細かい部分を言い出したらきりがない。
しかし、特に何の情報もなく、期待もせず観たためか、
一つの物語として、感動することが出来た。
また、観た後の余韻も心地よく、良い意味でじわじわと気持ちが暖かくなった。
脇役がすばらしい。
せっかくの映像化なのに・・・もったいない
何となく戦争ではなく、魚雷戦ゲームの印象
タンカー撃沈後、護衛艦の目の前で浮上する潜水艦があるのか。
しかも回天搭載艦。
タンカー乗員を救助中だから、こちらは撃たれないとする根拠がわからない。
船団の護衛艦が単艦で行動しているのも不思議ですが。
ピンポイントで伊77潜と爆雷攻撃による機関故障で海中に潜航したままの僚艦とモールス信号での交信はU-571のパクリ?これもあり得ないような気が・・・
潜水艦長の手記などによれば、潜望鏡の操作も迅速に上げ下げしないと潜望鏡の波きりで見つかるそうですが、そのような緊張感もなく、じっくり潜望鏡をのぞいていたりしていて、何とも緩慢な印象です。
原作は重巡洋艦インディアナポリス撃沈(日本海軍最後の大型艦撃沈戦果)に由来しているそうですが、普通にインディアナポリス撃沈話で良かったと思います。
実話でも、回天搭乗員の出撃希望の催促を無視して通常魚雷で撃沈しているそうで、映画でもそのようなシーンがあるものの、緊迫感がなく残念です。
実話の文章だけでも緊迫感が味わえるのに、せっかくの映像化でこの出来栄え。
伊77潜艦長の言葉にありますが実に「もったいない」。
大部分が潜水艦と駆逐艦のバトルになっている以上、もっと緊迫感が欲しかった。
ミッドウェイ海戦での伊168潜による空母ヨークタウン撃沈、魚雷攻撃後、相当な爆雷攻撃を受け、蓄電池の硫酸ガス発生などで修理後、決死の覚悟で浮上、命からがら逃げて来ている話もあることから、潜水艦が敵護衛艦の目前に浮上する演出は度し難い(悪天候下で潜るに潜れずという話もあったようですが)。
細かいことはあげつらいたくないですが、映画でも妙に細かい演出があったりしてますので、細部にこだわるなら徹底してもらいたかった。
最後に魚雷を命中させているのに、敵駆逐艦の損害軽微というのも納得いきません。
本来なら艦尾が吹き飛ぶほどの大破か撃沈のはず・・・・
全体的にファンタジックな戦争映画の印象です。
邦画ならしょうがないか・・・・
映画とは関係ないですが、佐藤和正著「艦長たちの太平洋戦争・艦長たちの太平洋戦争(続編)」の潜水艦長の話の方が当然リアルで緊迫感を感じます(インディアナポリス撃沈の伊58潜艦長の話も収録)。生死を分けて戦い、日本駆逐艦長宛に(日本側が)撃沈したと思っていた米潜水艦の艦長から手紙が届いたというエピソードもあったりして、いくらでもネタはありそうなもの・・・・
(映画の構成はこのエピソードに類似してますね)
戦争を全く知らない人たちのための戦争映画
いい意味でもよくない意味でも、
「戦争は遠くなったなぁ」と感じさせられた映画でした。
いまの60歳くらいの人たちが若いころ
「戦争を知らないこどもたち」といわれましたが、
30歳というのは、そのさらに子どもたちの世代
これは「戦争を全く知らない世代」を対象に書かれたドラマなのだ!
ということを確信した次第。
北川景子演じる倉本いずみは、祖父の倉本艦長(玉木宏)あてに届けられた
一枚の楽譜の意味を知りたくて、唯一の生き残りである
鈴木水雷員のもとを訪ねるところからこの物語ははじまります。
祖父の倉本艦長は激しい戦闘を生き残り、戦後も商船のしごとにつき、
祖母もいずみが小さい時は存命だった・・・なのに
いずみには、祖父の足跡がちょっとも知らされていなかったのです。
本篇にいく以前の時点で、
うーん・・と考え込んでしまいました。
戦争末期の日本不利な状況のなかで、なんと
13隻ものアメリカの軍艦を沈没させた軍功高き軍人だったのに、
そういうことって、たとえば父(倉本艦長の息子)をとおして、とか、
自分でしらべてみたりとか(資料はたくさんあるはず!)してもよさそうなのに、
楽譜がおくられてきてはじめて、祖父のことを知るなんて、
「おかしい」と思う反面、
「いやいや、こんなものなのかもね」とも思いなおしました。
太平洋末期の人間魚雷を搭載した潜水艦の映画は、
最近だけでも、「ローレライ」「出口のない海」と二本観ましたが、
潜水艦は、(セリフにもあったように)
そのつど指令を待たずに単独での判断ができる「自由」があること。
仲間をつぎつぎに失う、ということのないかわりに
作戦が失敗すれば、「一蓮托生」で、ともに命を失うこと。
など、閉鎖された空間の中での
シチュエーションドラマにつくりやすい設定なのですが、
この作品では、潜水艦の「外側」の映像も多かったです。
倉本艦長と米海軍駆逐艦スチュワート艦長との
おたがい相手の棋譜を読み合うような頭脳戦、
相手の裏をかく攻撃、人間魚雷回天の驚くべき使い方、など、
もともと戦略重視の原作でしたから、
船の位置や進路が重要になってくるわけです。
そのあたりはざすがに本を読むよりは分かりやすかったです。
イマドキの映画だから仕方ないんでしょうが、
戦争を経験した高齢者や
「戦争映画はこうでなきゃ」と思い込んでいる人にとっては
「ありえない映画」だと思います。
人間魚雷なんて究極の「自爆テロ」みたいなものですが、
当時だって人の命は大切だった、でもそれ以上に大切な
守るべきものがあると思っていたから
やむを得ず「回天」とか「特攻隊」が存在したわけです。
死ぬのも怖いし、死なれるのも辛いから、
美しさ潔さの装飾をして、「気持ちよく」送り出したわけです。
でも、このドラマでは、人間魚雷は「野蛮な兵器」で
(たしかにそうなんだけど)
倉本艦長はついに最後まで出撃命令をだすことはありませんでした。
今の感覚では、とってもまともです。
とにかく「戦争はよくない」メッセージが
現代の私たちの感覚で繰り返されています。
これからの戦争映画はみんなこうなっていくんでしょうか・・・
当時の艦長は、たいてい30歳前後と聞きますから、
キャストの実年齢とも近くけっして若すぎるキャスティングではないのですが、
さらさらヘアーの草食系男子ばかりのキャスティングにも違和感あり。
原作とは何もかもが違うので、いちいち指摘はしませんが、
つっこみどころはあちこちあって・・・
楽譜が敵艦の艦長の手にわたったのは「奇跡」だからいいとして、
海底何百メートルの潜水艦内のハーモニカの音が海上まできこえたり、
モールス信号や発光信号で伝わる情報多すぎっ!!
特に敵艦からの発光なんて、たぶん英語なのに、
「オリオンよ 愛する人を導け
帰り道を見失わないように・・」
なんて、光をピカピカするだけで、しゃべるスピードで伝わるなんて
なんなんでしょう・・・!?
私のメール打つ速さよりずっとずっと速いです。
敵といえどもお互いに敬意を払い、
終戦でノーサイドになったわけで、
攻撃をする必要もなくなった。
そこへもってきて、「真夏のオリオン」の詩は
このシーンにぴったりで、感動するポイントなんでしょうが、
あまりにご都合主義で、ちょっと冷静になっちゃいました。
全体的に、この映画、とても「おススメ」とは言えないのですが、
観終わってみると、玉木宏の倉本艦長像は、
むしろリアルかも?という気になりました。
たとえば「硫黄島からの手紙」の
栗林忠道中将も、(いろいろな資料でみるかぎり)
かなりおだやかな癒し系の人のようで、
渡辺謙のイメージじゃないんですよね。
食事の時間を大切にしたり、
極限状態でのおだやかな笑顔など、
有能な指揮官は、意外と玉木宏みたいな
ソフトな感じなのかもしれません。
幼い記憶に似た世界
正直な話、欠点はいくらでもある。そのほとんどが、実際に起こった戦争を題材にしていることに起因しているように思う。なので、本当はアニメもしくはSFのように、完全な架空の世界でのお話に向いてるのかもしれない。不可能可能は置いといて、それが作品にとって一番恵まれた形だったのではないか。リアリティが邪魔をして入って来られない人を、それこそ「もったいない」と思うくらい、話自体は心地よかった。
この映画のおもしろさは、少年漫画のおもしろさだ。どこをとっても清々しい。敵味方はあったとしても、そこにある感情は憎しみではない。心のねじ曲がった人物が出てくることはなく、主人公を筆頭に、誰もが気持ちのいい性格をしている。こんな世界はどこにもないかもしれない。けれど、あったとしたら。それがスクリーンに投影されている。だからこの映画は観ていて穏やかな心持ちになるのである。荒唐無稽な話かもしれないが、上映している二時間、そういう人物たちは存在している。それだけでいいのだ。それだけで充分、戻ってきた現実が違うものに見えた。
おそらくこの映画は、評論家にひどい言われようをすることと思う。たしかに、将来名作と呼ばれ愛され続けるかといえば、それは違うかもしれない。でも、ひとつだけ言えることは、多くの人がこの映画を観てひととき、穏やかな気持ちをそれぞれに持ち帰ったんじゃないかということだ。そして、間違いなく自分も、その一人である。
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