劇場公開日 2008年9月27日

「国家繁栄維持法=発想はユニークだけれど、根本がヘンテコ!!」イキガミ 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5国家繁栄維持法=発想はユニークだけれど、根本がヘンテコ!!

2022年7月24日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

2008年。監督:瀧本智行
題名を聞いたことも無かったです。
ついつい面白く観てしまいましたが、
国家の繁栄のために、1000人に1人の若者が殺されて行く法律。
それはないでしょう!!
アイデアは面白いし、真面目に作られた映画。
でもなんかとてもヘンテコ。

7歳位の時。子供全員にワクチンを打つ。
そのワクチンには1000分の1の確率で、カプセルが仕込まれている。
そのカプセルは20歳から24歳のアバウトタイムに突然作動する。
そして死ぬのです。

区役所勤務の藤本(松田翔太)は、イキガミ(死の24時間前に本人に届く)の配達人になります。
その配達された3人の若者(金井勇太、佐野和真、山田孝之)の死までの24時間が、
粛々の描かれる。
どのエピソードも共感が持てて、特に山田孝之が盲目の妹・鳴海璃子に、網膜を
提供するエピソードは、ちょっとジーンとしちゃいました。

イキガミ配達人の松田翔太の苦悩と葛藤も良かったけれど、
ちょっと待てよ!!

こんな法律のある国ってそもそもあり得ないし、選挙も公正に行われてるらしいのに、
政権が転覆しないのも、ヘンテコ過ぎる。
《国民は、洗脳されているってことなのだろうか?》

《平和で豊かな我が国》
という言葉を、今(2022年)、聞くと虚しく響く。
2005年から連載された間瀬元朗のコミックが原作。

SF作家星新一の「生活維持省」との類似が指摘されている。
ざっとあらすじを読んだが、原作者はまず間違いなく「生活維持省」を読んでる筈だと思った。

琥珀糖